Transcript メディア・リテラシー
主題5:メディア・リテラシーの理論 ◆マクルーハン、オング、ポスター、カッツらの議論は 焦点を当てられた「メディア的世界(メディア空間)」が、固有のリアリティをも つこと、われわれの感覚編成(リアリティの感じ方)を規定していた。 「メディアのリアリティ構成の文法」 ◆ただ、メディア決定論にならないためには メディア的変数×社会的・文化的変数が相関しあっている二重の構造性が あるといわれている。 とりわけ、利用者・受容者がメディア的な世界・作品・リアリティをどう受け止 めているかが重要になる(利用者重視アプローチ)。 ◆受容者・利用者の視点から、メディアの文法を意識させるためのもうひと つのメディア理論がMedia Literacy…受け身からの脱却 ■カナダ発のMedia Literacy論 カナダ・オンタリオ州教育省編 『メディア・リテラシー』1989→邦訳1992 FCT(市民のテレビの会)訳 ▼世界的影響〜日本にも影響 『メディア・リテラシーを学ぶ人のために』1997 『メディア・リテラシー【入門編】』2000 『メディア・ビオトープ』2005 ■Literacy という用語 リテラシー(Literacy) 新聞や書物などの文字を読んだり、文章を書くた めの能力のこと。読み書き能力、識字力 ▼ コンピュータ・リテラシー、情報リテラシー ▼ イメージ・リテラシー(バーバラ・M・スタフォード) ヴィジュアル・リテラシー(B.M.スタフォード) トランジット・リテラシー(加藤・吉見) ■8つの基本的概念 メディアは中立ではありえない。コードがある。 (1)メディアはすべて構成さたれものである。 (2)メディアは現実を構成する。 (3)オーディエンスがメディアから意味を読み取る。 (4)メディアは商売と密接な関係にある。 ■8つの基本的概念(続) メディアとクリティカルに付き合う (5)メディアはものの考え方(イデオロギー)と価値観をもっている。 (6)メディアは社会的・政治的意味を持つ。 (7)メディアの様式と内容は密接に関連している。 (8)メディアはそれぞれ独自の芸術様式をもっている。 ■日本での理論受容:鈴木みどり 鈴木みどりグループ:市民のためのテレビの会 「メディア・リテラシーとは、市民がメディアを社会 的文脈でクリティカルに分析し、評価し、メディア にアクセスし、多様な形態でコミュニケーションを 作り出す力を指す。」(1977) 「メディア・リテラシーの最終的な目標は、単にクリ ティカルな文責にあるのではなく、メディア社会を 生きる人間の主体の確立にある。」(1977) ■日本では受容:水越伸 水越伸グループ:MELLプロジェクト 「人間がメディアに媒介された情報を構成されたも のとして批判的に受容し、解釈すると同時に、自 らの思想や意見、感じていることなどをメディアに よって構成的に表現し、コミュニケーションの回路 を産み出していくという、複合的な能力のことであ る。」 ■水越伸:複合的なML 複合的なメディア・リテラシー(総体) (1).メディア使用能力 (2).メディア受容能力〜批判的に受容し、解釈す ることができる能力 (3).メディア表現能力〜個人やグループの思想、 意見、感情などを表現する能力 ▼ 社会的な実験さえも可能になる。 ■教育・実践としてのML 「情報社会でメディアを介したコミュニケーションを 自律的に展開する営みと、それを支える素養のこ と」(水越、2005) 「メディア実践(メディア・プラクティス):メディアリテ ラシーの概念の根本が何かといえば、それは活 動や実践ではなく、ものの見方、パースペクティブ だということを忘れないほうがいい。それは、メ ディアに視点をすえてものごとをとらえるという パースペクティブを学ぶ、身につけることと言い換 えることもできるだろう。(水越、2005) ■CMを視る。読む ◆『クリスマス・エクスプレスの頃』(2009) 三浦武彦(電通)×早川和良(CMディレクター=演 出家) ◆『もう一度観たい日本のCM50年』(2010) 1961〜2009 「ACC(日本CM放送連盟) CMフェスティバル」 グランプリ、金賞、銀賞、銅賞、など ◆『杉山登志TVCM作品集』(2010) 1961〜1974