情報科学概論 I 第10回 現象を表す式の意味(1) (基礎)

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Transcript 情報科学概論 I 第10回 現象を表す式の意味(1) (基礎)

情報科学概論 I
第10回
現象を表す式の意味(1)
(基礎)
(株)JSOL
芝野 真次
e-mail:[email protected]
HomePage:http://www.lab.tohou.ac.jp/sci/chem/info/
1
第10回 現象を表す式の意味(1) (基礎)
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今日の学習内容
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科学の基礎:物理学
•
物理学の基本的なものの見方
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周期的な現象と三角関数
三角関数と波
位置・速度・加速度と微分
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微分


•
•

物理学で取り扱う現象と方程式
•
•
•
•
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微分って何?
微分とグラフ
Newtonの運動方程式と意味
1次反応方程式と意味
流体力学の基礎方程式と意味
Maxellの電磁気方程式と意味
積分
•
•
•
積分って何?
積分と面積
力・運動量・エネルギー
(出典:ウィキペディア アイザック・ニュートン)
2
講義内容
回
内容
1
オリエンテーション(情報活用概論)
概論
2
インターネットのしくみとメール
基礎知識
3
コンピュータとOSのしくみ
基礎知識
4
情報活用落とし穴(1)(セキュリティ・ウィルス対策)
迷惑防止
5
情報活用落とし穴(2)(個人情報・機密情報・著作権)
迷惑防止
6
Windows 利用の手引
リテラシー
7
MicroSoft Officeの利用法(1) wordの初歩的な使い方の概説
リテラシー
8
MicroSoft Officeの利用法(2) excelの初歩的な使い方の概説
リテラシー
9
MicroSoft Officeの利用法(3) PowerPointの初歩的な使い方の概説
リテラシー
10
現象を表す式の意味(1)(基礎)
知識・知恵のネタ
11
現象を表す式の意味(2)(応用)
知識・知恵のネタ
12
科学技術計算(CAE)に求められるもの
知識・知恵のネタ
13
最新CAE紹介(1)(分子・熱・流体解析)
企業利用事例
14
最新CAE紹介(2)(構造・電磁場解析)
企業利用事例
15
試験
情報リテラシー(information literacy)とは、情報 (information)と識字 (literacy) を合わせた言葉で、情報を
自己の目的に適合するように使用できる能力のこと (Wikipedia:http://ja.wikipedia.org/wiki/情報リテラ
シー)
3
第10回 現象を表す式の意味(基礎)
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科学の基礎:
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自然科学の基本原理:
•
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『科学』的なものの考え方
•
•
•
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自然界は隠された法則に従っており、人は理性を用いて、その法則に迫ることができる。
=>論理的でない科学はあり得ない。
自然界に存在するなるべく汎用的な規則とその限界を見つけたい
汎用的な規則を数学で表現したい
数学の知識をもとに、規則から自然界の現象を説明したい
科学の基礎は『物理学』
•
•
•
化学現象も量子力学を基礎にした量子化学で説明できる
生物現象も分子生物学を用いて、説明できるものが増えてきている。
もちろん、生物・化学のすべての現象を予測するには、コンピュータ・パワーが足りないけれど・・・

| t   Hˆ | t 
t
2
2 f
2  f
この方程式は実は、波動方程式
 v
t 2
x2
Schrödinger equation
i
と同じもの
原子・分子・電子の世界での波の性質をあらわす式

化学・生物は、物理に比べて、現象が複雑


現象に寄与するものと無視してよいものを見極めることが大切
但し、無視したものによって、見れない現象ができることにも注意を忘れずに
4
課題について(これまでの結果を踏まえて)

第7回課題 (ワード)について

『科学の基礎は論理的推論』を会得する。
•

論旨の展開法:論文の構成を学ぶ。
•
•

自然界は隠された法則に従っており、人は理性を用いて、その法則に迫ることができる。
ワードの使い方を学習しつつ、レポートを書いてみることで、論旨の展開法を学ぶ。
(参考(論文例):http://www.lab.toho-u.ac.jp/sci/chem/info/reff/G-6-5.pdf )
『諸言』~『結語』 (1章から最終章までで記述すべきこと)
• 『諸言』: 『なぜ自分がこの研究・実験を行おうとしたのか? 』
『その理由や価値について述べるもの』
『まとめ』・『要旨』の色彩もあるが、それだけでは不十分。
• 『中間部』: 『諸言』で示した『自分の意図』に従って、どのようなことをどのように実施した
のかを論理的に記述する部分。
倫理の展開が自然で、スムーズであることが求められる。
• 『結語』:『この研究・実験を終えて、何を得たのか?』
『何が不十分なのか?何が残された課題か?を述べるもの』
• また、自分の主張や結果を補強するために、『参考文献』(他者の過去の実績)が重要
かつ自分の意見のどこを補強するものなのかが明示的でなければ、参考文献と言えない。
第8回課題(エクセル)について

『科学データの種類と性質』を会得する。
•

科学データには『計測などでしか得られないもの』と
『得られた結果をもとに、規則などから導けるもの』があることを知る。
『法則や規則を知る手がかり=>図化』手法を会得する。
•
数値データの羅列では得られない性質を見つけるための図化手法を学ぶ。
5
課題について(これまでの結果を踏まえて)

第9回課題(パワーポイント)について

『自分の考えを形にし、わかりやすく表現する方法』を会得する。
•

論文/レポート:自分は何を得たのか(新規性)が大切
=>『自分(独自)の意見を論理的にわかりやすく表現できるか?』を評価
•
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『私はAという現象を見つけた』より、『Aという現象が観測された』という表現のほうが、主観的(個
人的)ではなく、客観的(汎用的)であるということで、論文表現では受身表現が好まれるが、これ
は個人の発見がより、汎用的で普遍であることを強調するもので、個人の新規発見を否定するも
のではない。
引用・参考文献について
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引用:誰かの著作物(文書・画像など)を再利用した場合
•
•
•
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他者の写真・画像は著作物=>引用元表示が不可欠
他者の文書は、内容が同じでも自分の言葉で書き直せば、引用の必要はない
他者の文書をそのまま引用した場合、"独特の表現(キャッチコピーなど)”は引用表示不可欠
例:"魔性の魅力を放つ女性"1)と言われるAさんは・・・・
参考文献: 1) 毎日新聞ニュース 2010/05/10 (http:// .....)
参考文献:誰かの意見を参考にした場合
•
•
•

特に、表現方法に気を付けること。(先生口調や聴衆に委ねる表現は厳禁)
参考文献は、自分の意見を補強するために、表示。
内容は同じでも、表現はすべて自分の言葉で書くもの
参考文献の概要を文中に記載し、参考文献に戻らなくても、
論旨がわかるようにすることも多い。
例:渡辺らは"この現象はメタンの配置による"2)が、
著者らはその他に温度影響があると・・・・
あり得ない間違いを複数の人が?
 もちろん,エクセルでは誰かのものを出してもわかりませんが・・・
今、自分で考えなくていいのでしょうか?
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PowerPoint 採点基準(変更)のお知らせ
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課題
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課題:『最近不思議に思ったこと』
5枚~10枚程度のプレゼン資料を作成してください
提出はメールでお願いします。
複数回(再提出)可
提出先(メールアドレス):[email protected]
提出期限:2012/07/22 (日) 中 (07/23 0:00はアウト)
採点基準 (PowerPoint)
課題を見つけられた
2点
プレゼン構成ができている
5点
図・写真などを利用できている
1点
見つけた意見を補強するネット情報を
見つけられた
2点
合計
10点
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)

方程式ってなんだろう?

方程式:A=B
•
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左辺(A)と右辺(B)が等しい(=同じ=釣り合っている)ことをしめすもの
物理学の基本的なものの見方

つりあい
•
•

ばねの力の釣り合い
F  kx
(F:力、k:ばね定数、x:ばねの伸び)
力と伸びは比例し、その比例定数がばね定数
運動法則
力は加速度・速度・変位のもと
mx  cx  kx  F
=>方程式をみると・・・
何と何が釣り合っているのかを考えるくせを
つける
8
第10回 現象を表す式の意味(基礎)

周期的な現象と三角関数

円運動と三角関数
ばねの運動は、円の上を動く球の等速度運動と同じ
円の上を動く球の等速度運動:円上の球の位置(l):
θ
ばねの位置(x):
ばねの速度(v):
ばねの速度(α):

V  r  r / t
x  r sin( )  r sin(t )
v  r cos(t )
円運動の速度(V):
  r 2 sin(t )
エクセルで、ばねの位置・速度・加速度の関係を調べてみよう
(エクセルシート”基礎例題(1)”参照)


円周=360度=2π
角速度(ω)=2π/T (T:周期)
9
l  r
第10回 現象を表す式の意味(基礎)

三角関数と波

三角関数は波をあらわしていることを以下の図で確認しよう
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)
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位置・速度・加速度と微分



速度=位置(距離)/時間
加速度=速度/時間
微分
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時間微分
•
•
速度=距離/時間?
速度が変化する場合を考えると、ある時刻での速度は
速度(t ) 

時間差(Δt)を限りなく小さくしたら、
速度(t ) 


距離(t  t )  距離(t )
t
lim  距離(t  t )  距離(t )  dx


t  0 
t
 dt
微分は割り算の分母を限りなく小さくしたときの割り算
常に変化するものの瞬間をとらえるには、『微分』が必要
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)

微分は変化の割合

微分を見たら、割り算で考えてみよう
df f f ( x  x)  f ( x)


dx x
x

ある量がxでもyでも変化するときは
f f f ( x  x, y)  f ( x, y)


x x
x

上式のように、yを変えない割り算が偏微分
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)

Newtonの運動方程式と意味
d 2x
mx  m  m 2  F
dt
質量×加速度=力
ここに、x:変位,α:加速度,t;時間,F:力,m:質量
力がかかると、加速度(α)が生じる。その大きさは
m  F
   F / m
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)

1次反応方程式と意味
物質Aが物質Bに変化する化学反応(下式)は
AB
多くの場合、以下の1次反応式で表せる。
db
 ka  k a0  b
dt
ここに、b:物質Bの濃度,t;時間,k:反応係数,a:物質Aの濃度,a0:物質Aの初期濃度
上式の意味は、物質Bの生成割合は、物質Aの濃度に比例している
a  a0ekt

b  a0 1  ekt

物質A,Bの濃度変化はエクセルシート”基礎例題(2)”参照
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)
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変化の割合=勾配



グラフと微分
一次反応式の変化を見てみよう(エクセルシート”基礎例題(2)”参照)
自然現象から汎用規則を見つけるために





実験結果をまとめる
種々の変化の割合と何かが比例しないかを考える
比例関係=>方程式
方程式を解くことで、汎用的な解を得る
実験結果とどの程度合っているかを検証
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)

流体力学の基礎方程式 (Navier-Stokes方程式)と意味
   
密度(ρ)の時間変化+密度(ρ)の空間変化=0
  
0
t x y z
u
u
u
u
1 p
 2u  2u  2u
u v  w  
 ( 2  2  2 )
t
x
y
z
 x
x y z
v
v
v
v
1 p
 2v  2v  2v
u v  w  
 ( 2  2  2 )
t
x
y
z
 y
x y z
w
w w
w
1 p
2w 2w 2w
u v  w  
 ( 2  2  2 )
t
x
y
z
 z
x
y
z
ここに、u:x方向速度, v:y方向速度, w:z方向速度,p:圧力,ν:粘性係数,ρ:密度
各方向の加速度の変化=
各方向の圧力の変化+各方向の粘性せん断応力の変化
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)

Maxellの電磁気方程式と意味
(E) x (E) y (E) z


q
x
y
z
(H ) x (H ) y (H ) z
x


0
y
z
B
(H ) x
Ez Ey

 x 
y
z
t
t
B
(H ) y
Ex Ez

 y 
z
x
t
t
Ey Ex
B
(H ) z

 z 
x y
t
t
D
(E) x
H z H y

 ix  x  ix 
y
z
t
t
D
(E) y
H x H z

 iy  y  iy 
z
x
t
t
H y H x
D
(E) z

 iz  z  iz 
x
y
t
t
電束密度(D=εE:誘電率*電場)の
空間変化=電荷密度(q)
磁束密度(B=μH:透磁率*磁場)の
空間変化=0
変化した方向を回転軸とする電場(E)の渦=
磁束密度(B=μH)時間変化
変化した方向を回転軸とする
磁場(H)の渦=
電束密度(D=εE)と
電流密度(i)の時間変化
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第10回 現象を表す式の意味(基礎)
6.000

速度の面積
積分

積分って何?
dx
 vdt   dt dt  x

右はエクセルで、速度の面
積と変位を比較したもの
(エクセルシート”基礎例題
(1)”参照)
4.000
変位
2.000
0.000
0.0
2.5
5.0
7.5
-2.000
-4.000
-6.000
=>積分は面積




自然界のいろいろな現象はこれまでみてきたように、微分方程式で
表されるの
微分方程式は小さな区域での釣り合い
広い空間で、方程式をうまく満たすために、積分したもの(面積)が
どうなればよいのか?
最も小さくまとまっているほうがいいというのが
自然界の要請=>最少エネルギーのところに実際の現象がある。
18
10.0