Transcript none

今日の予定
配布物:2枚
出欠アンケート1枚
ガイダンスプリント1枚(裏表)
1.ガイダンスプリントの説明
2.大学と高校の違い
3.大学の物理と高校の物理の違い
4.力学の内容
1
高校と大学は違う。
大学4年間は、社会人になる準備をする時期。
早めに高校生気分から脱出しよう。
大学では高校と何が違うのか?
2
高校と大学の違い
1.自主的に動く。
2.大量の情報を処理する必要。
3.協力してやる。
3
1.自主的に動く。
高校ほど面倒見がよくない。
社会人になるための訓練。
勉強するのも自分の責任。
勉強しないと留年の可能性もある。
席も自由(大部分の科目で)
お勧めは、最前列または3列めまで。
授業の30分か1時間前に来て、心静かに勉強する。
早起きの練習。
前の晩、早く寝る。
飲み会は1次会で帰るのがお勧め。
4
2.大量の情報を処理する。
高校では、決められた薄い教科書を丁寧に勉強した。
大学では情報量が増える。
教科書が分厚い。
パワーポイントの授業が増える。
会社に入ると社長さんは板書してくれない。
口頭の情報もきちんとメモする必要。
シャープペンシル、鉛筆をそろそろ卒業する。
(試験の時は必要ですが)
ペンでメモを取る習慣を付ける。
ノート
高校生のノートは板書を写しただけ。
大学生のノートは、口で言ったこともメモしてある。5
ノートの使い方
・ノートの表紙に、大学名、氏名を入れること。
万一電車の中に置き忘れても、戻ってくる確率が上がる。
・ペンで書くのが基本。シャーペンは高校生の筆記用具。
(試験は別)
・キャラクターのノートはそろそろ卒業しよう。
・ページ番号と授業の日付(2015.4.13など)を入れること。
ルーズリーフの場合は、科目名も入れる。
・問題演習で間違えた場合は、消さずに×を書いて、
次に書く。
6
3.協力してやる。
高校の時は、個人の勉強が多かった。
大学受験は孤独な戦い
大学に入れる人数が限られている。設備の関係。
大学の進級は、人数制限はない。
一緒に勉強する。
勉強会の開催。教えあう。 社会人も勉強会をやっている。
教えることは勉強になる。
会社で後輩に教える必要。どんな教え方がよいか。
教わり方も学べる。
会社の先輩が気持ちよく教えてくれるには、
どうすればよいか。
同級生250人の英知を結集すると、すごい結果が生まれる。
7
大学の物理
8
物理のおもしろさはどこにあるか?
1.自然現象、日常の現象が理解できる。
2.機器の仕組みが理解できる。
携帯電話、スマートフォン、GPSなど。
医療機器:MRI, PETなど。
3.いろいろな考え方、視点が身につく。
4.数学的ツールを使ってシンプルに書ける。
5.空間的な把握ができる。
大学の物理では3次元空間のベクトルで考える。
6.脳みそのチャレンジ。
決して易しくない物理学をいかに理解するか?
9
大学の物理と高校の物理はだいぶ違う。
-> 違いは次のページ。
高校で物理ができたからといって、
大学でできるとは限らない。
(人による。)
10
高校の物理と大学の物理の比較
(1)大学では、微分積分、3次元ベクトルを使う。
(高校物理では微積分は使わない。1変数)
(2) 高校では、公式の暗記と問題演習が主だった人も多い。
大学では、概念をまず理解。法則も導ける物は導く。
大学生は抽象的な概念を扱う訓練が必要。
(3) 高校では問題に全て書いてあった。
大学では、あいまいな問題も出る。定義から考える必要。
参考: バカロレア(フランスの大学入学資格試験)
「○○について述べよ」白紙10枚
社会人になると、答がすぐ出ない、あいまいな問題が多い。
まず定義から考える必要。
11
物理の勉強上のヒント
物理のノートを用意して、計算を全て書くといいです。
失敗したプリントの裏を使うのはやめましょう。
ルーズリーフでもいいですが、
間違えた計算も残す観点からは、とじてあるノートが
お勧めです。
計算
シャープペンシルや鉛筆ではなくて、
ペン(ボールペンでもサインペンでも)がお勧めです。
間違えた計算は、消しゴムで消さず、
さっと斜線を大きく引いて、次の欄に書くのがいいです。
振り返る時に便利です。
(なお試験ではシャーペンまたは鉛筆を使って下さい。)
12
力学
1.スケールの話。
2.いろいろな力。
3.3次元空間内の運動の表現
動径ベクトル
4.速度ベクトル、加速度ベクトル。
13
力学とは
mechanics
力や運動を扱う物理の分野。
いろいろな力学がある。
流体力学、粉体力学、量子力学などもある。
生命物理学1では、力学の基礎を扱う。
14
物理は数学と関係が深い。
ニュートン Isaac Newton
17世紀後半-18世紀初
イギリスの自然科学者
数学も物理も研究していた。
・力学の基礎
・二項定理
・微積分の基礎
15
長さのスケール。
量子力学
素粒子
物理学
古典物理(力学、電磁気)
物性
物理
100
10-10
水素の半径
(ボーア半径)
0.5Å
1010
m(メートル)
=1
細胞の大きさ
ナノ 1μm(10-6)~10μm
(10-9m)
金属原子の
半径
宇宙物理
生物物理
人間の身長
1.5-1.8mくらい
地球1周
4x107m
太陽までの最短距離
1.5x1011m
(半径6400km)
医学が扱う
領域
1Å=10-10m
オングストローム
単位を覚えておこう。
マイクロ(μ)= 10-6 = 1/1,000,000
ナノ(n)=10-9
16
-12
ピコ(p)=10
長さのスケール。
マイクロ(μ)=10-6
ナノ(n)=10-9 n:nine (9) と関係
ピコ(p)=10-12
フェムト(f)=10-15
fifteen(15)
17
いろいろな物理量と人体
・長さ
身長、臓器の大きさ、ガンの大きさ、
・時間
人間の寿命、1日の長さ、1分間の脈拍、呼吸の回数
・速度
歩く速度、走る速度、血流の速度。
・質量
体重
・力
筋肉にかかる力、スポーツ
・振動数 音を聴く。
・圧力
血圧
・電荷
神経系の電気シグナル
・熱、仕事 食物として取り入れるエネルギー、運動で使うエネルギー
・温度
体温
しかし定量的に測りにくい場合も当然ある。
定性的な判断:
例) X線の画像を見て、ガンがあるかどうか判断。
18
いろいろな力:
1.重力
人体にとって大事な力。
重力に逆らって血液を流す必要がある。
無重力下で人体はどうなるか?
・宇宙飛行士の測定。
骨のミネラルが失われる。
適度な重力が人体に役立つ。
m
mg
19
いろいろな力:
2.摩擦力
摩擦が全然ないと、滑って歩けない。
静止摩擦係数 μ
N(抗力)
N
μN
摩擦力 μN
歩くには、μ> 0.15が必要。
これより摩擦が小さいと滑って転びやすい。
乾いた道路上のゴムタイヤ:μ=1.0程度
濡れた道路上のゴムタイヤ:μ=0.7
関節: μ=0.003
20
食べ物を飲み込む時、唾液によって摩擦係数を減らしている。
(乾いたトーストは食べにくい。)
3次元空間のベクトル
21
なぜベクトルを考えるか?
力学は力や運動を扱う。
3次元空間での、位置、速度、加速度や
力を考える時に、ベクトルが扱いやすい。
22
スカラーとベクトル
ベクトル vector
大きさと方向を持つ量
成分の数は、
3次元ベクトルなら3つ。
2次元ベクトルなら2つ。
例:速度ベクトル、力のベクトル
スカラー scalar
大きさを持つが、方向を持たない量
成分の数が1個。
例:質量m、時間t、温度T、体積V
ベクトルではないことを強調したい時に、
「スカラー」ということが多い。
23
ベクトルの足し算と引き算(高校の復習)
C AB
補助問題
(1) ベクトルAに対して、ベクトル-Aを図示せよ。
(2) ベクトルAとBに対して、
a) A+Bを図示せよ。
b) A-Bを図示せよ。
24
補助問題の解答
(1) –AはAと同じ長さで、方向は逆の矢印。
A
(2) A+Bは2つのベクトルの始点を揃えて、
平行四辺形を作ったときの反対側の頂点に向
かう矢印になる。
B
A
B
A
(3) A-BはベクトルBの終点から
ベクトルAの終点に向かう
矢印になる。
A
B
B
A
25
力はベクトル。
教科書p.3
大きさと向きだけでなくて、
作用点も大事。
物理のベクトルは、
平行移動できない。
作用点
問題 隣の人と2人1組になり、お互いの手に
力をかけてみて下さい。
力の大きさ、向き、作用点を変えてみて下さい。
26
1a1ベクトル場.ppt
page = 5
ベクトルの矢印
追加ページ
y
(1,3)のベクトルを図示せよ。
(数学のベクトルとして)
数学の場合は特に指示がなければ、
原点を始点にして、
x方向1, y方向に3進んだ点を
終点とする矢印を書く。
-1
3
2
1
1
0
-1
2
x
27
補足:ベクトル
数学のベクトル:自由に平行移動してよい。
y
ベクトルの成分表示
A  3,2
2
1
0
1
2
x
物理のベクトル:平行移動できない。
y
作用点(始点)が大事。
例:点(1,1)において、
ベクトル(3,2)を書け。
2
1
0
1 2
x
28
3次元の軸の書き方
z
z
右手系
O
x
こちらを
使います。
(業界標準)
O
y
左手系
x
y
回転させても、重ならない。
右手系の書き方。
・xy平面(xが東、yが北)に対してz軸を上向けに書く。
・野球の場合、x軸は1塁方向、y軸が3塁方向、z軸が上向け。
29
3次元の軸:補足
・指で覚えるのは間違えやすいので、避けた方がよい。
右手の親指:x, 人差し指:y, 中指:z
なぜ右手系か左手系の片方に決めた方がよいか。
回転の方向を説明する時に必要。
例:「x軸からy軸に回る方向」
(後で出てきます。)
30
基本ベクトル
ex , e y , ez
x軸、y軸、z軸方向の単位ベクトル(長さ1)。
座標で書くと、
z
e x  (1,0,0)
e y  (0,1,0)
e z  (0,0,1)
教科書では
i, j, k
ez
ex
O
ey
y
x
と書いている。
電流、虚数単位、波数などと間違えやすいので、授業では、
e , e , e を使っている。
31
x
y
z
動径ベクトル
r
radius vector
位置ベクトルとも言う。
r  xex  ye y  zez
z
ある原点Oからのベクトル。
P(x,y,z)
r
ez
ex
x
O
ey
y
注意:数学のベクトルは平行移動できるが、
物理のベクトルは平行移動できない物が多い。
動径ベクトルも平行移動できない。
(位置が変わってしまう。)
32
2次元の場合の
基本ベクトル
ex , ey
x軸、y軸方向の単位ベクトル(長さ1)。
座標で書くと、
ex  (1,0)
e y  (0,1)
y
ey
x
O
ex
33
動径ベクトルを使う理由
r  xex  ye y  zez
力学は物体の運動を調べる。
運動を見るには、まず場所を知る必要。
動径ベクトルで、「どこにいるか?」を
記述する。
座標(x,y,z)よりも、ベクトルrで
記述した方がわかりやすい場合がある。
34
動径ベクトルの2つの説明
r  xex  ye y  zez
説明1
成分を使う。
右辺=x(1,0,0)+y(0,1,0)+
x
z(0,0,1)
=(x,y,z) 左辺になる。
z
P(x,y,z)
r
ez
ex
O
ey
y
説明2
動径ベクトル(赤い矢印)
=黄色の矢印+ 緑の矢印 + 茶色の矢印
= xex  ye y  zez
35
動径ベクトルの補足
動径ベクトルは、原点から物体がいる点までの
ベクトル。
半径の方向と長さが
物体
変わっていくイメージ。
動径(動く半径)
と呼んでいる。
記号rを使う理由は、
英語でradius(半径)
のため。
原点
36
微分
1.スカラーの微分(高校の微分)
2.ベクトルの微分
37
なぜ微分が必要か?
動径ベクトル
ベクトルの微分の意味は、
後でやります。
微分
速度ベクトル
2階微分
微分
加速度ベクトル
38
微分の定義
教科書p.367-368
differentiation:微分(名詞)
differentiate: 微分する(動詞)
似ている単語:
difference: 差
y = f(x) の微分
df
f ( x  x)-f ( x)
 lim
dx x→0
x
引き算と割り算
関数
Δ
Δx
lim
lim
x0
デルタ と読む。
xが少し変化した量
limitの略。極限、限度。
Δxが0に近づいた時の値。
xが少しだけ変化した時に、y=f(x)がどのくらい変化するか
割合を示す。 微分の図形的意味は次のページへ。
39
微分の補足
Δxとは xの増分(=増加した分)
もし、xがΔxだけ増えると、
x → 0
x
x x + x
とは
x
がどんどん小さくなること。
40
直線の傾きとは
y
Δy
Δx
0
y
直線の傾き=
x
x
傾斜が急かどうかを表す。
41
曲線の傾きとは?
その点での接線の傾き。
場所によって傾きが違う。
青い点での傾き大きい
赤い点での傾き小さい
42
接線の傾きをどう定義するか?
y=f(x)
直線の傾きを求めるには、2点必要.
43
接線の傾きをどう定義するか?
赤い点での傾きを求めるには、
曲線上の点(黄色)との傾きを求める。
黄色、緑、青と近づけると、
赤い点での傾きに近くなっていく。
44
微分の図形的意味
y
df
f ( x  x)  f ( x)
 lim
dx x0
x
y=f(x)
f(x+Δx)
接線
f(x)
x
青い点線の傾きが
x+Δx
x
f ( x  x)  f ( x)
x
Δxが0に近づくと、青い実線に近づいていく。
df
は接線の傾きを表す。
dx
45
補足:次の2つの式は同じ。
f ( x  x)-f ( x)
lim
x→0
x
f ( x  h)-f ( x)
lim
h→0
h
2階微分
df
f ( x  x)  f ( x)
 lim
dx x0
x
もう1度微分したものを2階微分と呼ぶ。
d f d  df 
  
2
dx
dx  dx 
2
2の位置に注意。
別の書き方
df
 f (x)
dx2
d f
( 2)
 f ( x)  f ( x)
2
dx
47
微分の補足
df
d という微分操作を関数fに対して
の意味
dx
dx したと見ることができる。
d
fを分離して
f あるいは  d  f
書くことがある。
dx
 dx 
この微分操作を2回した時の記号は、
2
d f
と書くこともできるが、簡単に
 
 dx 
d2 f
と書くことが多い。
2
dx
2の位置は、分子はdの右上、
分母は変数(この場合はx)の右上。
48
「べき」とは
漢字で書くと、「冪(べき)」
べき乗、累乗とも言う。
英語では、power
ここを「べき」と言う。
5
2
two to the 5th power
two to the power of five
べき関数: power function
2
x ,x
5
など、べきの形になった関数
49
べき関数の微分
df
f ( x  x) - f ( x)
 lim
dx x→0
x
微分の定義は
数2の復習
問題 微分の定義を使って、次の関数の微分を求めよ。
a) f (x) = c(定数)
b)
f ( x) = x
c)
f ( x)  x
d)
f ( x) = x 3
e)
f ( x)  x
2
n
nは自然数
50
微分の定義を使った計算:注意
数2の復習
df
y
f (x + x ) - f (x )
= lim
= lim
dx x →0 x x →0
x
最初からΔx=0を代入すると、分母=0、分子=0になって、
0÷0でわからなくなってしまう。
先に右側の計算(引き算と割り算)を実行して、
整理できることはしてから、最後にlimをとる。
(Δx=0を代入する。)
51
べき関数の微分の解答
c)
f ( x)  x2
f ( x  x)  ( x  x)  x  2xx  x
2
2
2
y  f ( x  x) - f ( x)  2xx  x
y
 2x  x
x
dy
y
 lim
 lim (2x  x)  2x  0  2x
dx x→0 x x→0
2
52