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• 前回の授業の補足
• ホールセール業務:
– 企業・機関投資家を相手とする業務
• リテール業務:
– 主として個人を相手に証券を売買する業務
• ホールセールとリテールとの分離
– アメリカではホールセール専門の証券会社(インベストメント・バ
ンク)とリテール専門の証券会社に伝統的に分かれている
• ホールセールとリテールとが分かれている理由
– 業務・報酬体系・組織構造の違い→文化の違う組織を1つに統
合することのデメリット
– ホールセール:専門性が強く商品(業務)別縦割り組織、フラット
で機動性の高い組織、実績主義の報酬体系
• ホールセールとリテールとの一体化のメリット
– ホールセールで引受けた証券を同じ証券会社のリテール部門
を通じて販売できる
– 人事政策上、リテールからホールセールへ移動できるようにし
た方が、従業員のやる気を高める
1
③外資系証券会社
• グローバルな組織を生かしたトレーディング・資産運用
→自己売買業務
• デリバティブ・証券化等での金融技術の強み
• 日本でも投資銀行業務を強化
– M&A、不良債権・企業再生ビジネス
• 株式市場での外国人投資家の取引増大
→外資系証券会社による委託売買の増大
・日系証券会社との合弁という形もある
・日興シティ、モルガン・スタンレーと三菱UFJ
・日系会社の顧客基盤が狙い
・
メリルリンチ:山一買収による本格進出→縮小
– GSの個人向け夜間株式取引市場PTS→撤退
– 富裕層向けプライベートバンキング業務は強化
2
・株式引受ランキング:日本:2012年
Thomson Reuters
3
○日本企業関連M&Aアドバイザリーランキング:2012年
・M&A仲介手数料率:0.97%
Thomson Reuters
4
・証券発行引受・M&A アドバイザリーのシェア
:証券会社タイプ別:2012年1-9月、()内は過去3年平均
株式
1案件当り株式 社債
引受金額
独立証券
38%
(43.7)
176百万ドル
(271)
銀行系
49.6
(30.3)
外資系
11.9
(25.2)
・外資系:
M&A
1件当りM&A金
額
36.3%
(37.1)
10.1%
(15.6)
299百万ドル
(486)
278
(235)
60.9
(60.4)
21.1
(16.8)
274
(288)
147
(426)
2.5
(2.3)
33.2
(35.2)
551
(1130)
・M&Aシェアは手数料
ベースで計算
Thomson Reuters
・独立証券:
・銀行系:
5
・日本株売買に占める外国人投資家の比率の増大
2007年
2008
2009
2010
2011
外国
人
54.2%
(39.8)
63.4
(46.4)
53
(39)
62.3
(47.2)
65.8
(53.2)
個人
32.4
(23.8)
22.8
(16.7)
29.3
(21.5)
23.2
(17.6)
21.9
(17.7)
()内は証券会社の自己売買を含むシェア
東京証券取引所「投資部門別株式売買状況」
注:上記シェアは委託売買中(証券会社の自己売買を除く)のシェア
日経05.07.01.
6
・外資系証券会社のシェアは世界企業危機以降
低下傾向
%
外資系証券のシェア推移(営業収益)
29
27
25
23
21
19
17
15
2004年度
2005
2006
外資系上位8社
2007
2008
2009
2010
2011
外資系上位10社(2007年はデータなし)
7
④銀行系証券会社
• 戦後~93.3.:銀行・証券の分離
• 自由化で銀行の証券子会社による新規参入
– 93.4.金融制度改革法施行:当面の業務範囲を制限(激変緩
和措置)→99.10.業務範囲規制撤廃
– 主としてホールセール業務:当初、社債引受で実績→その
後、株式引受・証券化・M&A業務等も強化
• 銀行参入の背景:
• 銀行再編に伴うグループ証券会社の再編・強化
– リテール中心の従来からの系列証券会社の再編
統合
– その後、ホールセールとリテールを統合する動き
– 三井住友による日興証券の買収、三菱UFJ証券と
モルガンスタンレー日本法人の経営統合
8
・社債引受ランキング:日本:2012年
・債券引受では、株式引受に比べて銀行系証券会社の力が強い
・社債発行手数料率:0.34%
Thomson Reuters
9
・株式引受ランキング:日本:2012年
・株式発行手数料率:3.24%
Thomson Reuters
10
米国:銀行のシェア縮小・市場型金融機関のシェア拡大
%
80
70
60
預金金融機関
50
年金
40
投資信託
証券化
30
市場型金融機関
20
10
0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
2010
・市場型金融機関:年金、投資信託、証券化、保険
11
日本の金融機関シェアの推移
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
預金金融機関
市場型金融仲介機関
・市場型金融機関:年金、投資信託、証券化、保険
12
・銀行系証券会社の再編
日本証券経済研究所『図説日本の証券市場:2010年版』p.231
13
・みずほ証券とみずほ
インベスターズ証券は
2013年1月に合併予定
14
15
– 企業文化の違い
• 米国のシティ・グループの失敗、しかし欧米でも銀行中心
の金融グループが多数
• 銀行中心のグループの中の証券会社は、銀行のカラー
(銀行の企業文化)から抜け出せない?
– 資本面、流動資金確保面での銀行の強み
• JPモルガン、バンク・オブ・アメリカによるベアー・スターン
ズ、メリル・リンチの救済合併
– 銀行の顧客基盤の広さ
• メインバンク関係による企業への影響力、株式新規公開
候補企業の証券会社への紹介
16
• 銀証融合に有利な規制緩和
– リテール面
• 1998年銀行による投資信託販売解禁
• 2002年銀行・証券の共同店舗解禁
• 04年証券(金融商品)仲介業解禁:仲介業者は仲介
のみを行い口座は証券会社が管理、銀行が仲介業
に進出
– ホールセール面:
• 09年6月銀行・証券の役職員兼務、法人顧客の情報
共有を認める
• 世界的には、世界金融危機後の金融規制強化の
中で、銀行(グループ)による証券業務展開の自由
度が制限される流れ
– 米国のボルカー・ルール、イギリスのリングフェンス規制
• cf. (3)世界の証券業界の変貌
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⑤日本の証券業界の変貌
• 戦後~1990年代半ば
– 大手4社と中堅・中小証券との安定した業界構造
• 1990年代半ば以降
• 大手2社、ネット証券、外資系証券、銀行系証券
• ホールセールとリテールとの関係
• 異質な業者間の競争
– 業界の流動化:新しい証券ビジネスモデルの模索
• 企業・機関投資家への質の高いサービスの提供
• 海外展開:グローバル展開を目指す野村、アジア重視の大
和
• 今回の世界金融危機を受けて、世界の投資銀行
が変貌?
– 日本の証券業界への影響は?
18
• 証券業界変貌の背景
– 金融ビッグバン1997~2001:金融の自由化・規制緩和
–
–
–
–
–
金融危機: 1990年代後半の日本、2007年以降の世界
長期的傾向としての銀行業務縮小・証券業務拡大
IT革命
金融のグローバリゼーション
今回の世界金融危機の世界及び日本の証券業界へ
の影響
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