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第2章. 証券会社と証券業務
(1).証券会社の業務
○伝統的業務
• 発行市場関連
– 新規に証券が発行される市場
–①
–②
• 流通市場関連
– 既発行証券が投資家間で売買される市場
–③
–④
• 証券業:金融ビッグバンの中で98年12月から「免
許制」から「登録制」に移行
1
①引受業務→引受手数料
– 証券発行体の審査・評価、市場情報の提供・
発行計画の立案、投資家への情報提供と販
売、売れ残りリスクの引き受け
– 企業審査の専門性・リスク負担能力・販売能
力が必要
→日本ではこれまで大手証券会社が独占、近
年外資系や銀行系証券会社も引受け
2
・株式引受ランキング:日本:2011年
Thomson Reuters
3
・社債引受ランキング:日本:2011年
・債券引受では、株式引受に比べて銀行系証券会社の力が強い
Thomson Reuters
4
・株式引受ランキング:世界:2011年
Thomson Reuters
5
・債券引受ランキング:世界:2011年
Thomson Reuters
6
• IPO業務(Initial Public Offering 新規公開発
行)
– 引受業務の一部分(新株発行・売出)
– 新興企業の株式公開増大
→証券会社にとって業務としての重要性増大、新興
企業に関してはIPO後も増資のチャンスが多い
– 通常の引受業務(公開企業の新株発行増資)よりも
深い専門性が必要
→手数料も通常高い
7
・IPO引受ランキング:日本:2011年
Thomson Reuters
8
・証券発行引受シェア:証券会社タイプ別
2011年1-9月、()は2010年1-9月
株式
社債
IPO
(38.5)
37.9
(37.1)
83.2
(42.5)
23.8
(17.4)
21.6
(42.2)
58.7
(61.7)
3.5
(1)
16.8
(35.1)
0
(22.7)
独立証券 54.6%
銀行系
外資系
・独立証券、外資系:社債より株式に強い
・銀行系:社債引受で強い
・外資系:大型の株式発行引受に強い
9
・引受手数料率
株式
債券
IPO
日本
4.22%
0.41
7.21
世界
2.71
0.33
3.6
・債券の引受手数料は株式に比べて非常に安い
・IPOの手数料は上場企業の新株発行手数料より高い
・手数料率は日本は世界に比べて高い
・歴史的に引受手数料は株式も債券も世界的に低下傾向
・日本の債券発行手数料は、銀行系証券会社の参入に
伴い急激に低下
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②募集(分売)業務→募集手数料
• 引受証券会社からの委託により新規発行証券の
投資家への勧誘・販売のみを行う。
• 投資信託の販売も募集業務に含まれる
– 投資信託の商品は投資信託委託会社・アセットマネジ
メント会社が作り、販売は各種の金融機関が行う。従
来は証券会社のみが販売。
– 98.12.より銀行・保険による投信販売解禁
– 05.10.より郵便局も投信販売開始
11
公募投資信託販売ルート別シェア
%
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1999 2000 2001
2002 2003 2004 2005 2006 2007
証券会社
銀行等
2008 2009 2010
直販
投資信託協会「投資信託の販売態別純資産残高の状況」
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③委託売買業務→委託売買手数料
• 株式の委託売買手数料の自由化
• 固定手数料(取引所が定める)→94.4.以降大口から
手数料自由化始まる→99.10.完全自由化
• c.f.アメリカでは75.5.完全自由化(メーデー)
13
• 日本:手数料自由化による競争激化とネット取引
の普及が同時進行
• →ネット取引による格安手数料の提供、数多くの
ネット証券会社(オンライン・ブローカー)の登場
– 金融は現物のデリバリーが不要なため、ネット取引と
の相性がよい
– 証券は手数料が高いため、特にネット取引の効果大
– ネット証券会社の手数料:売買代金の0.03%~0.1%
– 自由化以前:売買代金100万円で1.15%
• →証券会社の二極化
– ITサービス特化の低価格戦略型
– IT+対面サービスによるアドバイス重視・付加価値提
供型(資産管理型営業)
14
・
福光・高橋編『ベーシック証券市場論』04年版p.136
日経06.11.18.
15
④自己売買業務
→自己売買益(トレーディング益)
• 株式
– 証券取引所での取引、上場株式の取引所外取引
– 取引所での売買の1/4程度が証券会社の自己売買
• cf. 本講義第1章(2)株式の流通市場.株式売買状況
• 債券
– 対顧客取引、業者間(インターディーラー)取引
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○取引所での株式売買状況2010
年:部門別
•
•
•
•
•
•
•
•
売買比率
保有比率
個人:
17.6% : 19.9%
銀行:
0.1 :
6.3
事業法人:
1 :
23.5
保険:
0.4 :
6.9
投資信託:
2 :
4.4
外国人:
47.2 :
26.2
証券会社の自己売買:24.2 : 1.2
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○債券の流通市場の概念図
業者間市場
証券会社
(ディーラー)A
証券会社
(ディーラー)B
対顧客
取引
投資家:
a
b
c
d
e
f
cf. 外国為替市場での取引構造と同じ、デリバティブの
店頭取引や証券化商品の取引も同じ取引構造
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◎伝統的業務以外の業務
• P TS(私設取引システム)業務
• cf. 本講義第1章(2)株式の流通市場
• 投資信託業務・資産運用業務
– 通常、証券会社の子会社・関連会社の形態で業務展開
• M&A業務:
• 企業再生ビジネス:
– 経営不振・破綻企業への資本投資・経営改革・事業再
構築を通じて企業を再生し、株式公開・企業売却により
資金を回収する事業
• 証券化業務
• 店頭デリバティブ業務
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・Chi-X(野村証券が運営)が2010年7月日本に進出
・マネックス、カブドットコム、松井は2011年にPTS業務から撤退
深見泰孝「我が国のPTSの現状と課題について」『証券レポート』2010年8月
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○証券会社のM&A業務
• 企業の買収・合併を専門的アドバイザーと
して支援する業務
– 対象企業の徹底した事前精査due diligence:
事業面・財務面・人事面・税務面・法務面
– 適切な買収価格・合併比率の算定
– 様々な分野の問題点の摘出と解決策の提示
– 対象企業との交渉
– 法的手続きの遂行
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・M&Aのアドバイザー業務:
対象分野を特定して企業を買収するケース
西村信勝『外資系投資銀行の現場』日経BP社 p.260
22
23
○日本企業関連M&Aアドバイザリーランキング:2011年
・M&A仲介手数料率:0.97%
Thomson Reuters
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・日本企業関連主要M&A案件:2011年1月~9月
ラン
キン
グ
被買収企業
買収企業
金額
被買収側アドバイ
ザー
買収側アドバイザー
1
住友金属
新日本製鉄
225億
ドル
SMBC日興証券/
ゴールドマン・サッ
クス/ドイツ証券/大
和証券キャピタル・
マーケッツ
三菱UFJモルガンス
タンレー / メリルリン
チ/みずほ証券/JPモ
ルガン
2
ナイコメッド
(スイス)
武田薬品
137
ゴールドマン・サッ ドイツ証券/野村証
クス/クレディスイス 券
/JPモルガン
3
野村土地建
物
野村ホールディン
グス(株式交換によ
る完全子会社化)
110
デロイトトーマツ
野村証券/プライス
ウォーターハウス
クーパース
4
カリディアン
(米)
テルモ
26
ゴールドマン・サッ
クス/シャーマン・ス
ターリング(米)
エバーコア(米) /み
ずほ証券
5
スキンカリ
オール(ブラ
ジル)
キリン
25
シティ
25
○世界のM&Aアドバイザリーランキング:2011年
・M&A仲介手数料率:1.3%
26
・証券会社の企業再生ビジネス
日経新聞05.10.07.
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