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前回授業の補足説明
・株式交換比率の決定方法
• 買収価格の決定方法
– 現金対価の買収も株式交換による買収も買収価格の決定
方法は同じ
• 被買収企業の1株の価値を算定:算定方法
– DCF(Discounted Cash Flow)法:株主に帰属する将来キャッ
シュフローを割引率(金利+リスクプレミアム)で現在価値化
したものの総和
– 市場での被買収企業の株価(過去の一定期間の平均株価)
– 市場での類似会社の株価(過去の一定期間の平均株価)
• 株式交換の場合:買収側の企業の1株の価値も算定
– 算定方法は同じ
1
• 事例:トヨタ自動車によるトヨタ車体の完全子会社化12
年1月
– トヨタは以前から、トヨタ車体株の56.23%を保有
– 株式交換比率:トヨタ車体株0.45株に対しトヨタ株1株(訂正:
トヨタ車体株1株に対しトヨタ株0.45株)
– 両社のファイナンシャル・アドバイザー(トヨタ側:野村証券、
トヨタ車体側:SMBC日興証券)による適正な交換比率の算
定を基礎に、両社の交渉により決定
2
・野村証券による算定
採用手法
株式交換比率の算定結果
市場株価平均法
0.40~0.40
類似会社比較法
0.24~0.58
DCF法
0.41~0.60
・SMBC日興証券による算定
採用手法
株式交換比率の算定結果
市場株価平均法
0.39~0.40
DCF法
0.35~0.64
3
• 直近(2011年7月12日)の株価との比較
–
–
–
–
株価:トヨタ自動車 3555円、トヨタ車体 1320円
単純にこの株価から計算すると、
トヨタ1株=トヨタ車体0.37株
トヨタ車体株主は、3555円×0.45=1510円分の株を受け
取れる。その時の株価1320円より14.4%多く受け取れる
(プレミアム)。
• 買収価格は市場の株価にいくらかのプレミ
アムを付加するのが普通
– 被買収企業の株主の同意を得るため
4
⑥資本の集中とリスクの分担
• 株式会社制度
– 株式の発行を通じて幅広く事業に必要な資本を集中、
事業リスクを多くの株主間で分担
• 多くの投資家から資本を提供(リスクを負担)しても
らうには、流動性のある株式市場②が必要
• 株式市場の存在が、多くの株主にリスクを分担して
もらいながら、かつ大きな資本を集中するという現
行の株式会社制度を成り立たせている。
5
• では、幅広いリスク分担がそれ程必要でな
く、株式市場からの資金調達の必要性も
低い企業にとって、株式の上場・公開は必
要か?
– 同族等ですべての株式の保有・リスク負担が
できる企業
• 外部からの経営への介入も避けたい
– そうした企業にとって、株式の上場・公開の必
要性は低い
– →株式の非上場化・非公開化の動き
6
・株式の非公開化・非上場化
・MBOによる非上場化の推移
• 上場企業が上場を止め、株
式を非公開にすること
• MBO( Management Buyout)
– 所有と経営の一致
– リスクは経営陣・ファンドに集中
• 事例
–
–
–
–
2005年:ワールド
2006年:すかいらーく
2010年:吉本興業
2011年:カルチュア・コンビニエ
ンス・クラブ
『MARR』2011年7月号
7
• 非公開化・非上場化の理由・促進要因
– 上場維持コストが負担
• 会計監査費用、証券取引所への上場料等
– 株式市場からの資金調達の必要性が低い
– 株式市場からの経営への干渉を避ける
• 株主からの経営への干渉を避けて、抜本的経営改革をやる
– 買収ファンドと組んで、経営改革後の再上場を目指す
– e.g.すかいらーく
• 買収の危険性を避ける
• 同族会社的経営に戻る
– MBOのための資金調達が容易
• 金余りの中で銀行が積極的にMBOローンを提供
• 非公開化・非上場化により外部からの経営への
チェックは働きにくくなる
• 多くの株主による幅広いリスク分担が必要でない企
業にとって、株式公開の必要性は低い
8
• 大規模な企業で、現状多くの株主によって幅広くリ
スクが分担されている企業では、特定の株主がす
べての株式を取得し、すべてのリスクを集中して
負担することは不可能。
• →
9
○第1章参考文献
• 二上・代田編『証券市場論』有斐閣ブックス
• 井出正介・高橋文郎『ビジネスゼミナール
経営財務入門』日本経済新聞社、第4章
• 日本証券経済研究所『図説:日本の証券
市場2010年版 』日本証券経済研究所
• 日本証券経済研究所『図説:アメリカの証
券市場2013年版』日本証券経済研究所
• 「MBOを活用した経営戦略」『MARR』 July
2011
10
第2章. 証券会社と証券業務
(1).証券会社の業務
○伝統的業務
• 発行市場関連
– 新規に証券が発行される市場
–①
–②
• 流通市場関連
– 既発行証券が投資家間で売買される市場
–③
–④
• 証券業:金融ビッグバンの中で98年12月から「免許
制」から「登録制」に移行
11
①引受業務→引受手数料
– 証券発行体の審査・評価、市場情報の提供・
発行計画の立案、投資家への情報提供(目論
見書)と販売、売れ残りリスクの引き受け
– 企業審査の専門性・リスク負担能力・販売能
力が必要
→日本では従来、大手証券会社が独占、近年
外資系や銀行系証券会社も引受け
12
・株式引受ランキング:日本:2013年
・株式発行手数料率:3.13%
Thomson Reuters
13
・社債引受ランキング:日本:2013年
・
・社債発行手数料率:0.44%
Thomson Reuters
14
・株式引受ランキング:世界:2013年
・株式発行手数料率:2.28%
Thomson Reuters
15
・債券引受ランキング:世界:2013年
・社債発行手数料率:0.41%
Thomson Reuters
16
• IPO業務(Initial Public Offering 新規公開発行)
– 引受業務の一部分(新株発行・売出)
– 新興企業の株式公開増大
→証券会社にとって業務としての重要性増大、新興
企業に関してはIPO後も増資のチャンスがある
– 通常の引受業務(公開企業の新株発行増資)よりも
深い専門性が必要
→手数料も通常高い
17
・IPO引受ランキング:日本:2013年
Thomson Reuters
・IPO時の株式の発行・売出し手数料率:4.08%
18
・証券発行引受シェア(%):証券会社タイプ別
2010年→11年→12年→13年:各年1-9月期
株式
独立証券 38.5→54.6
銀行系
外資系
→38→41.5
17.4→23.8
→49.6→31.6
42.2→21.6
→11.9→25.1
社債
IPO
37.1→37.9
→36.3→44
61.7→58.7
→60.9→54.7
1→3.5
→2.5→1.1
42.5→83.2
→29.3→50.4
35.1→16.8
→59.8→36.4
22.7→0
→7.6→13.2
・銀行系:社債引受で強い、株式引受も強化
・外資系:社債より株式に強い(大型案件で強み)、
19
・引受手数料率2013年1-9月期:()内は過去4年平均
日本
世界
株式
債券
IPO
3.13%
(3.66%)
2.28
(2.46)
0.44
(0.39)
0.41
(0.37)
4.08
(4.29)
3.68
(3.42)
・
・IPOの手数料は上場企業の新株発行手数料より高い
・株式の引受手数料は日本は世界に比べて高い
・歴史的に引受手数料は株式も債券も世界的に低下傾向
・
:1990年:1.6%→2010年代0.4%程度
20
②募集(分売)業務→募集手数料
• 引受証券会社からの委託により新規発行証券の
投資家への勧誘・販売のみを行う。
• 投資信託の販売も募集業務に含まれる
– 投資信託の商品は投資信託委託会社・アセットマネジ
メント会社が作り、販売は各種の金融機関が行う。従
来は証券会社のみが販売。
– 98.12.より銀行・保険による投信販売解禁
– 05.10.より郵便局も投信販売開始
21
公募投資信託販売ルート別シェア
%
/標準
/標準
/標準
/標準
/標準
/標準
/標準
/標準
/標準
/標準
/標準
1999
2000
2001
2002
2003
2004
証券会社
2005
2006
2007
銀行等
2008
2009
2010
2011
2012
2013
直販
2013年は10月末
投資信託協会「投資信託の販売態別純資産残高の状況」
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