Transcript スライド 1
第5章.資産運用と投資信託・年金 (4)年金の制度と資産運用 ○確定拠出型年金の導入 2001年10月:制度創設 07年9月 :2500社導入、250万人加入、残高約3兆円 確定給付年金 確定拠出年金 拠出・給付 給付が確定 掛金運用 国・企業が運用 資金形成 公的年金:世代 間扶養 企業年金:合同 積立て 1 確定給付年金 確定拠出年金 運用・年金支 給の責任 企業・国、運用成績が悪くて積 立不足が生じれば企業・国が 穴埋めor年金給付金の切下げ or年金基金の解散 年金債務(積立不足)を企業の B/Sに計上 持ち分 不明確 ポータビリティ 難しい(元々長期勤続者を優 容易(個人の持分が明 遇する制度で、転職者にとって 確)、但し転職先が確 不利) 定拠出年金を導入して いることが条件 明確 2 • 確定拠出年金導入の背景 – 企業の浮き沈み・盛衰の激化 – 年金制度が不十分な中小企業従業員・自営業者 も加入できる年金を創設する 3 ・拠出限度引上げ 及び 従業員による拠出 を認める制度 の要望が強い 久保知行『わかりやすい企業年金』日経文庫p.132 4 ・加入者はあらかじめ決められた運用商品のメニュー (3種類以上、元本確保商品を含む)の中から選んで 投資運用を行う。 みずほ総研『図解年金の仕組み』東洋経済新報社p.127 5 ・確定拠出企業年金の運用商品のシェア ・ 元本確保型商品 の割合が減少 企業年金連合会「確定拠出年金に関する実態調査」 6 日本証券 経済研究所 『アメリカの 証券市場』 2002年版 p.245 ・アメリカでは ・2006年末残高:確定給付企業年金22573億ドル=248兆円、 確定拠出企業年金 32667億ドル=359兆円 IRA(個人退職勘定、個人型確定拠出年金)42320億ドル=466兆円 7 ○年金は証券市場、特に株式市場で投資 家として重要な役割を果たしている。 ○株式保有構造の日米比較2006 日本 米国 ・個人 19.1% 26.6% ・銀行 6.2 0.3 ・事業法人 21.6 ―― ・保険 7.5 ・年金 10.7 23.1 ・投資信託 4.6 27.8 ・外国人 27 8 13.7 8 ・年金基金とコーポレートガバナンス • 米国のカルパース(カリフォルニア州職員年 金基金) – 経営改善を求める企業名をリストアップし公表、 経営不振企業の経営者解任、取締役の独立性、 財務・会計の透明性 – 1992:GMのCEOロジャー・ステンペルの解任 – 2004:ウォルト・ディズニーの会長兼CEOマイケ ル・アイズナーの解任要求、アイズナーは会長を 辞任、翌年任期を残してCEOを辞任 9 日本の年金基金も近年コーポレートガバナンス 活動を開始 • 企業年金連合会の議決権行使 – 自家運用分: • (2003年に議決権行使基準を策定) – 委託運用分: • 運用受託機関に対し、投資家たる企業年金連合会の利 益増大のため議決権を行使することを求め、ガイドライ ン(2001)を提示し、議決権行使状況の報告を求める。 • 資産運用会社 10 ・企業年金連合会の株主総会(2006年度)での 議決権行使:自家運用 11 ・公的年金(年金積立金管理運用独立行政法人)における議決権行使 12 ○ ・議決権の指図行使、行使方針の策定と開示が義務付けられている。 ・株主総会(2006年度)での議決権行使 13 ○第5章参考文献 • 日本証券経済研究所『詳説:現代日本の証券市場06年版』 • 日本証券経済研究所『図説アメリカの証券市場05年版』 • 福光寛・高橋元編『ベーシック証券市場論:改訂版』同文舘 出版2007 第7章 • ゴールドマン・サックス投信編『投資信託革命』日本経済新 聞社1999 • 大崎貞和『金融構造改革の誤算』東洋経済新報社2003 第2 章 • 川村雄介『証券市場』財経詳報社2006 第2章 • 証券経営研究会『証券ビジネスの再構築』日本証券経済研 究所2004 第4章 • 遠藤幸彦『ウォール街のダイナミズム』野村総合研究所 1999 第2章、第5章 14 第6章.投資ファンドとサブプライム問題 (1)ヘッジファンド ・ 米国:投資家が100人以下or投資家が499人以下 ですべて500万ドル以上の運用資産保有 – 資産規模:1兆ドル(2005年) – ファンド数:8000、ソロスのクウォンタムファンド、LTCM • 創設者が自らの財産をつぎ込んでファンド運用 • ファンドマネージャーの報酬は業績連動型 15 ・ヘッジファンドの資産規模拡大 『金融ジャーナル』06.7.p.108 16 • ○ヘッジファンドの種類(運用戦略による分類) • ① – 割安株の買い持ち・割高株の売り持ち • ② – 市場間の価格格差から利益 – 類似証券の同時売買とレバレッジ:同一企業の転換社債 と株式、国債とモーゲージ債、原資産とデリバティブ • ③ – 企業の買収、合併、倒産等による証券の値動きを利用 • ④ – 世界中の投資対象にあらゆる戦略を用いて投資 • ⑤ – マーケットリスクではなく、信用リスクを収益源とする • ヘッジファンドの運用はパッシブではなく、アクティブ 17 ・北越製紙の株価の推移:06/7/24王子、北越へのTOB(860円)発表 8/29王子TOB敗北宣言 ・仮に、イベントドリブン型のヘッジファンドがTOB不成立を予想して 高値近辺で空売りを仕掛ければ、大きな利益が得られる。 18