Transcript M&Aの目的
第4章.ファンド資本主義 (1)買収ファンド ○出口(Exit)戦略 • 出口:買収ファンドが投下資金を回収し、当該投資 案件から出ていく。ファンドの設定期間は7年程度 • ① ( Initial Public Offering) – 買収ファンドはIPO時の売出しとその後の市場売却を通じ て持株を手放す • ② – 事業会社は自社の事業戦略にマッチする会社を買収 • ③ – 他の買収ファンドへの売却、2次買取りを主とする買収 ファンドも存在 1 『証券アナリストジャーナル』2005.4.p.63 2 ・買収ファンド成立 (バイアウト市場成立)の条件 • ① – 1990年代末よりM&A急激に拡大 • ② – 近年、機関投資家(銀行、保険、年金)が買収ファンドへの投資を積極化 • ③ – 近年、金融機関(銀行、大手証券)がLBO資金供給に積極化 – メザニンファンド(返済順位が劣後する代わりに金利の高い融資を専門 に行うファンド)も設立される • ④ – 潜在的には能力のある人材は存在すると考えられるが、経営者市場は 発展途上 • ⑤ – 資金流入量に比べてファンドマネージャーが不足 3 4 越純一郎『プライベート・エクイティ』日本経済新聞社p.66 5 日経06.10.7. 6 ・世界の買収ファンドの動き:規模の急拡大 出所:Private Equity Intelligence 7 ・買収ファンドによる買収の対象企業の巨大化 出所:Private Equity Intelligence 8 • 米国の玩具専門店トイザラスの買収 – 2005年7月、66億ドル=7600億円 – コールバーグ・クラビス・ロバーツKKRなど買収ファ ンド3社による買収 – 背景:ウォルマートの攻勢で企業業績悪化、小売業 の業界再編 • 欧州電機大手のフィリップスの半導体部門(売 上高世界9位)の買収 – 2007年初、64億ユーロ=9400億円 – KKRなど買収ファンド3社による買収 – 背景:フィリップスは医療機器部門に集中し買収を 活発化(企業戦略の再編)、業界再編 9 ○買収ファンドを巡る最近の動き: ファンドの上場 • ①買収ファンドを株式会社(持株会社)に衣替え、持株会社を 上場 – RHJインターナショナル(リップルウッド)がブリュッセル取引所に05年3 月上場、東証にも上場予定? – ファンドの運用期間に縛られることなく、長期的に投資対象企業を経営 • ②買収ファンド運営会社が公募の会社型買収ファンドを設定・ 上場 – KKRがアムステルダム取引所に06年5月上場、5700億円の資金調達 – 幅広い投資家から弾力的な資金調達が可能、投資家もいつでも資金回 収が可能 • ①、②のマイナス面: – 限られた期間内に経営改革を遂行する緊張感・瞬発力が失われる恐れ 10 本講義第3章.資産運用と投資信託・年金 (3)ビッグバンと投資信託 ①業務自由化・商品多様化 • ○商品の多様化 • 未公開株投資信託 – 未公開企業・ベンチャー企業に投資する投信 – 大阪証券取引所が2001.12.に「ベンチャー ファンド市場」を開設 – クローズドエンド会社型投信 11 (2)ヘッジファンド ・ – 米国:投資家が100人以下or投資家が499人以 下ですべて500万ドル以上の運用資産保有 – 資産規模:1兆ドル(2005年) – ファンド数:8000、ソロスのクウォンタムファンド、LTCM • 創設者が自らの財産をつぎ込んでファンド運用 • ファンドマネージャーの報酬は業績連動型 12 ・ヘッジファンドの資産規模拡大 『金融ジャーナル』06.7.p.108 13