米国のサブプライム 住宅ローン問題

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Transcript 米国のサブプライム 住宅ローン問題

証券市場論講義計画
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第1章:証券化
第2章:株式・株式市場
第3章:証券会社と証券業務
第4章:資産運用と投資信託・年金
第5章: M&A
第6章:ファンド資本主義
第7章:日本の金融システムと証券市場
1
◎米国のサブプライム
住宅ローン問題
• サブプライム・ローン
• ①米国のサブプライム・ローンの債務不履行
の増大
– 米国の住宅ローン会社の破綻
• ②サブプライム・ローン関連の金融商品に投
資していたファンドや金融機関の破綻
– アメリカのファンド、フランスのファンド、ドイツの
銀行
2
• ③サブプライム・ローン関連の金融商品の格
付の急速な引き下げ
• ④世界的な信用不安の増大
– 世界の中央銀行による流動性供給の拡大
• ⑤サブプライム問題の米国及び世界の実体
経済への今後の影響
3
①米国のサブプライム・ローンの債務不履行の増大
・日経07.03.15.
4
・米国住宅価格の推移
日経金融07.8.8.
5
②サブプライム・ローン関連の金融商品に
投資していたファンドや金融機関の破綻
• サブプライム・ローン関連の金融商品
– サブプライム住宅ローンの証券化
• Residential Mortgage Backed Securities(住宅ローン
担保証券)
– RMBSを再度証券化した Collateralized Debt
Obligations(債務担保証券)
• 証券化Securitization
6
○証券化の仕組み
債権譲渡
原
債
権
負
債
資
本
・
債(
不
務足
者主
体
)
オリジ
ネーター
(
原 A 資
債 B 産
担
権
S 保
証
券
SPC(特別 )
目的会社)等
証
券
市
場
投(
余
資剰
家主
体
)
福光寛・高橋元編『ベーシック証券市場論』第1章、同文舘出版
7
・サブプライム・ローン関連の金融商品に投資していた
ファンドや金融機関の破綻
8
◎ヘッジファンド
・
米国:投資家が100人以下or投資家が499人以下
ですべて500万ドル以上の運用資産保有
– 資産規模:1兆ドル(2005年)
– ファンド数:8000、ソロスのクウォンタムファンド、LTCM
• 創設者が自らの財産をつぎ込んでファンド運用
• ファンドマネージャーの報酬は業績連動型
9
・ヘッジファンドの資産規模拡大
『金融ジャーナル』06.7.p.108
10
・ヘッジファンドの投資対象:
・クレジット・デリバティブ: 信用リスクを扱うデリバティブ(債務不履
行時に元利返済を肩代わりする)
・クレジット型ヘッジファンドの増大
11
・金融のグローバリゼーションの進展
・海外からの対米投資の増大
米国の社債・証券化商品の保有構成の推移
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
海外
銀行
生保
年金
投信
0.05
19
50
19
65
19
80
19
83
19
86
19
89
19
92
19
95
19
98
20
01
20
04
0
12
③サブプライム・ローン関連の金融
商品の格付の急速な引き下げ
• 格付けRating
• デフォルト(or信用)リスク
• BBB(Baa)以上:投資適格、 BB(Ba)以下:投機的
• 代表的格付会社:S&P(スタンダード・プアーズ)、
ムーディーズ、R&I (格付投資情報センター)
13
格付投資情報センター『格付けQ&A』日本経済新聞社 2001
14
・07年6月15日:格付会社ムーディーズ、サブプライム住宅ローン担保証券
131件を格下げ
7月10日:ムーディーズ、399件格下げ
S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)、612件格下げ
・サブプライム住宅ローン担保証券の格下げ数
日経07.06.27.
・格付け(会社)に対する不信の高まり
・昨年末にはローンの延滞率の高まりははっきりしていたのに、格下げが遅すぎた
・元々の格付けがそもそも甘かったのでないか
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④世界的な信用不安の増大
• 8月9日:フランス最大手銀行BNPパリバが傘下の3
ファンド(サブプライム関連に投資)の凍結を発表
(パリバ・ショック)
• 「巨額損失を抱えて危機に陥った銀行がある」とのう
わさ → 短期金融市場で疑心暗鬼が広まる
– サブプライム関連の金融商品は世界中に広まっており、
どこの誰がどの程度損失を被っているか不明
• 世界の中央銀行による流動性供給の拡大
– 欧州中央銀行ECB:9,10日に25兆円の資金を短期金融
市場に供給
– アメリカの連邦準備理事会FRB:10日緊急に4兆円の資
金供給、その後公定歩合引き下げ
– 日銀: 10日緊急に1兆円の資金供給
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⑤サブプライム問題の米国及び世界の実体経済への今後の影響
2000年のITバブル崩壊後の米国経済を支えたのは、個人消費の堅調さ
← 住宅ブーム・不動産価格の高騰
米国の個人貯蓄率NIPA
0.12
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
19
46
19
50
19
54
19
58
19
62
19
66
19
70
19
74
19
78
19
82
19
86
19
90
19
94
19
98
20
02
20
06
-0.02
17
19
46
19
50
19
54
19
58
19
62
19
66
19
70
19
74
19
78
19
82
19
86
19
90
19
94
19
98
20
02
20
06
家計のキャピタルゲインの推移:家計可処分所得比
0.6
0.4
0.2
0
-0.2
-0.4
-0.6
株式
不動産
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