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○ CDSについての補足説明
・CDS取引の仕組み
貸出
・参照組織の破綻等(クレジット・イベント)が発生した場合
プロテクションの売り手が買い手に損失額(参照組織の債務
の額面-時価(清算価格) )を支払う
・企業の債務だけでなく、証券化商品を対象とするCDSも
近年活発に取引が行われていた。
1
・各国国債のCDSのスプレッド(フィー )の推移
・basis point: 100分の1パーセント
IMF, Global Financial Stability Report, Sep. 2011 Appendix p.4
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CDSの支払いの例
• 2012年3月:ギリシャ国債のデフォルト
– 清算価格(元本100に対して):21.5(損失率78.5%)
– CDS取引残高(グロス):708億ドル
– CDS取引残高(ネット:同一取引主体による売りと買
いを相殺):32億ドル(グロス残高の4.5%)
• 2008年10月:リーマンブラザーズの破綻
– 清算価格:8.6(損失率91.4%)
– CDS取引残高(グロス):4000億ドル
– CDS取引残高(ネット:同一取引主体による売りと買
いを相殺):70~90億ドル(グロス残高の2%程度)
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第2章.情報生産
1.情報生産とは?
• 情報生産とは?
– 貸出先・投資先についての調査・分析・審査(本章の対象)
– 金融市場は金融資産の価格(金利・株価・為替レート)を形
成し、その情報を発信
• 情報生産の必要性
• 事前的情報生産と事後的情報生産
– 貸出・投資決定前の調査・分析と貸出・投資後のモニタリ
ング
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2.銀行の情報生産
• 銀行の内部信用格付
– 信用格付:
• 内部格付:銀行内のリスク管理のための格付
• 外部格付:外部への信用情報提供のために格付会社や信用情
報提供業者によって行なわれる格付
– アメリカでは個人向の貸出(住宅ローン、消費者ローン、クレジット
カード・ローン)の際に、信用情報としてFICOスコア(クレジット・ス
コアリング)が使われている。
– 不良債権問題・担保主義への反省
→信用リスク管理体制の強化の必要性
→内部信用格付制度の導入
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「信用格付を活用した信用リスク管理体制の整備」
『日本銀行調査月報』2001年10月号
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・財務定量(財務スコアリング)モデル:統計的に貸倒れと相関が高い財務指標
を抽出、それらの指標をウェイト付け等をすることで点数化するモデルを構築
・貸出の最終的決定の際には、取引関係の深さや取引採算も考慮される。
・格付の見直しは、年度決算を基に年1回実施するのが普通
・個別格付に関して、営業・審査部署と与信監査部署との判断が異なる場合、
与信監査部署の判断が優先する(営業優先によるリスク増大の危険を防止)
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– 純資産額:(時価評価後の実質的な)自己資本
– 流動比率=流動資産/流動負債
– 自己資本比率=自己資本/総資産
– 経常利益=営業利益ー営業外損益(支払利子等)
– 経常収支比率=(売上高+営業外収益)/(営業
費用+営業外費用)
– 有利子負債返済年数=有利子負債残高/(経常
利益+減価償却)
– インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+受
取利息・配当金)/支払利息
– 増収率:売上の伸び率
– 増益率:利益の伸び率
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3.格付会社の情報生産
• 格付けrating:
– デフォルト(or信用)リスク
– BBB(Baa)以上:
、 BB(Ba)以下:
– 代表的格付会社:S&P(スタンダード・プアーズ)、ムー
ディーズ、フィッチ、R&I (格付投資情報センター)
– 銀行の情報生産:生産された情報は自らの貸出業務・銀行
業務の中で活用
– 格付会社の情報生産:生産された情報は投資家に提供さ
れ、投資家が投資の際に活用
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格付投資情報センター『格付けQ&A』日本経済新聞社 2001
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黒沢義孝
『格付けの経済学』
PHP新書
12
・格付別デフォルト率:企業格付
Turner Review, March 2009 p.77, Financial Service Agency, U.K.
13
• 格付けが高い(低い)
⇒
⇒
14
・格付けと債券発行金利
社債発行スプレッド=社債発行金利-国債金利(流通利回り)
日本証券経済研究所『現代日本の証券市場:2006年版』p.95
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・日本の社債の格付別流通利回り
日経2011.12.22
各国の格付け:
S&P(2012年5月17日現在)
ドイツ:AAA
イタリア:BBB+
ポルトガル:BB
ギリシャ:CCC
日経2012.03.25
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○債券の利回りとその計算
• 利回り
– 投資家側から見た金利
– 流通利回り:既発行の債券を流通市場で購入し
た場合の利回り
• 発行金利と流通利回りとの関係
• 利回りの計算方法:単利と複利
– 単利:利子が利子を生むこと(孫利子)を計算に入れない
– 複利:利子が再投資され、利子を生むとして計算
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• 例: 残存期間5年、表面金利クーポンC=4円(債券
発行時に約束されている毎年の支払い利子)、満期
時に額面100円償還(表面金利4% ) 、債券の現在
時点での市場価格P=96円
• 投資家がこの債券に新規に投資した場合の利回り
は?
• 単利の(最終)利回りrs
• =1年当りの受取収入/投資金額
• =(利子+年当り償還差益) /投資金額
• =
• ={4+(100-96)/5}/96=0.052(5.2%)
• 一般式rs= {C+(100-P)/5}/P
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・ 複利の利回りrc
96=4/(1+rc)+ 4/(1+rc)2 + 4/(1+rc)3
+ 4/(1+rc)4+104/(1+rc)5 : ①式
から求められる rc が複利利回り。
rc ≒0.05 、5%
・複利利回り:
満期までに債券から生じるすべてのキャッシュ・フ
ローの現在価値(①式の右辺)が、その債券の市
場価格P(①式の左辺)と等しくなる割引率rcのこと
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○格付けの手法
• デフォルトリスク:
• 事業リスク:
• 事業リスクの規定要因:(1)産業特性、(2)
対象企業の収益力の水準と安定性
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• (1)産業特性
–
–
–
–
①市場規模・トレンド・変動性
②競争状態
③需要者・供給者との関係
④規制・保護の存在
• (2)対象企業の収益力の水準と安定性
–
–
–
–
–
①売上規模・シェア・成長性
②販売力・ブランド力・技術力・製品開発力・コスト競争力
③売上構成
④コスト構造
⑤事業戦略・経営陣・経営組織
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• 財務リスク:
• 財務リスクの規定要因
– 資本負債構成、実態に近いバランスシートを作
成して検討
– 借入金・社債の返済時期・契約内容
– 巨額の投資やM&A
– 金融機関との関係
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格付投資情報センター『格付けQ&A』日本経済新聞社 2001
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・自動車会社の格付け:2012年4月現在
東京電力
震災前:AA+ →現在:(BBB)
( ):レイティングモニター(格付見直し中)
格付投資情報センターR&I 2012年4月30日現在
General Motors: BB+
Ford
: BB+
Chrysler
: NR(無格付)
日産:BBB+
トヨタ:AA本田:A+
S&P (スタンダード・アンド・プアーズ) 2012年5月
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・自動車会社の格付け:2011年5月現在
本田技研工業
AA〔安定的〕
震災前:AA+ →現在:A-
東京電力
格付投資情報センターR&I 2011年5月31日現在
General Motors: BBFord
: BBChrysler
: B+
日産:BBB+
トヨタ:AA+
本田:A+
S&P (スタンダード・アンド・プアーズ) 2011年6月
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