レノボのグローバル戦略

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レノボのグローバル戦略
MC008
蒲明驥
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レノボの概要
本社所在地: 中国(北京)、アメリカ(ノースカロライナ州モーリ
スビル)
設立:1984年
業種:電気機器
事業内容:パーソナルコンピュータ及び周辺機器の製造、販売ならび
にそれに付帯する一切の事業、サーバー、ワークステーション
代表者:楊元慶(聯想集団公司総裁)
売上高:295.7億ドル(2012年)
従業員数:約4.2万人(2012年)
.
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レノボの発展過程
1984年
中国政府系研究機関「中国科学院」が出資して設立
1992年
自主ブランドのパソコンを発売
2004年
アメリカIBMのパソコン事業買収
2008年
業績悪化を受けて、携帯電話機事業を親会社の連想傘下の
ファンドに売却
2009年
携帯電話機事業を買い戻し
2010年
スマートフォンに参入
2011年
•日本NECのパソコン事業に51%出資
•独パソコン企画、販売大手メディオンを買収
•タブレットに参入
2012年
ブラジルの家電メーカー、デジブラスグループを買収
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近年、成長中のレノボ
2007年-2012年レノボの売上高 レノボのオフィシャルサイトより作成
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近年、成長中のレノボ
時間
売上高(億ドル)
純利潤(億ドル)
2012年
338.7
6.35
2011年
296
4.7
2010年
216
3.58
2009年
166
1.29
2008年
149
2.26
2007年
163.5
4.84
2007年-2012年レノボの売上高 レノボのオフィシャルサイトより作成
現在のレノボ
レノボは当初より香港においていち早く「多国籍企業」事業を展開し、IBM
パソコン部門の買収をきっかけとして、グローバル企業へと躍進した。
グローバル市場攻略に着実に成功しつつあり、先進国市場では、たとえば日
本ではNECのPC事業と統合したことによってトップシェアを獲得し、北米
では市場シェアを前年比1.8%増の9.3%に押し上げた。新興国市場でも、アジ
アパシフィック+中南米地域での売り上げは、レノボグループの21%を占める
まで成長、さらに欧州・中近東・アフリカ市場がグループ売り上げの24%を占
めるなど、世界中で満遍なく数字を伸ばしている。
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2012年のPC業界は出荷台数ベースで8.1%縮小したが、
レノボは逆に10.2%の成長を遂げ、グローバル市場シェア
15.5%とトップのHPに肉薄している。2013年5月23日発
表の2012~13年度の決算でも、売上高が前年比15%増の
340億米ドル、収益は34%増の6億3500万米ドルと目覚ま
しい成果が喧伝された。
レノボは著しい業績を得る原因が「世界の工場・中国で
安価な労働力を駆使して安いPCを作って世界市場で売り
まくって得られた」というだけのものではない。現実的な
ビジネス戦略とブランド戦略を投資によって実践してきた
結果だ
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レノボのグローバルビジネスモデル
•世界各地に散在するビジネスのアイディアやチャンス、人材、資金を組み合わせて、新
たなイノベーションや収益を生み出す。
出所:鷲澤優介の論文-「聯想はグローバル市場で成功したか」
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グローバル市場におけるレノボの経営戦略
トリプルA(AAA)のグローバル戦略
グローバル企業であれば、多かれ少なかれ、トリプルAのグローバル戦
略を利用している。レノボもこれら三つのAを運用して、発展している。
適応
戦略
アービト
ラージ戦
略
集約戦略
レノボのグローバル戦略
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レノボのグローバル戦略―適応戦略
レノボはIBMのPCを買収して、アメリカのモーリ
スビルで、本社を設立して、PC関連の事業を続
ける。2007年にシンガポールでの本社も成立した。
それに、各国のローカル市場への取り組みを強化
することで売上高を市場シェアを増やすために、
レノボは海外で、アメリカ、イギリス、オランダ、
フランス、ドイツ、スペイン、オーストリアに 子
会社を設立した。
海外での本社と子会社を設置することからみる
と、レノボは適応戦略を使って海外市場を拡大す
ることを明らかになった。
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レノボのグローバル戦略―集約戦略
レノボグループは、製品販売と顧客サービスの地域市場を
担当する5つのエリア本部を設置した。この五つのエリア本部
は、アメリカ、EMEA、アジア太平洋地域(日本、韓国、オー
ストラリア、ニュージーランド、香港、台湾、ASEANなど)、
中国、インドである。
M&Aは集約戦略と企業外部成長戦略の一種であり、被買収企
業の経営資源、とくに無形な情報的資源を獲得するための手
段である。2004年12月、レノボ社のIBM 社からのPC部門
買収して、その後IBMブランドを徐々にLenovo ブランドに
切り替えている。中国市場では、IBMのシェアを吸収し、
聯想が市場の3割以上のシェアを占めるに至っている。同社の
PCの世界シェアは、当時、デル、HPに次ぐ3位となったた。
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R&D投資の増加も、規模の経済を求めて集約戦略の一つ手段である。
レノボの開発拠点は、北京、アメリカのラーレト、日本の神奈川県の
三つ地区体制となる。この地域構成により、24時間の開発体制が実
現した。例えば、アメリカの開発者が退社時間前に研究課題を積み残
したとする。アメリカの開発者が寝っている間に、日本や中国に課題
が引き継がれて解決ができる。翌朝には、アメリカの開発者の手元に
解決の連絡が届いている。
レノボグループは、制限されている運用コストの削減を実現する
ために、海外の新興市場への仕事の移転を通じて、このように中国市
場、人的資源の賦存量への完全なアクセス権を持っている。将来的に
は、その展開のグローバルレイアウトと一緒に、広い範囲に規模の経
済のための製品やサービスの標準化をより多くの地域本部を設定する
ことにより、集約戦略の強化に焦点を当てるべきである。
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レノボのグローバル戦略―アービトラージ戦略
レノボの世界での生産基地を設置することからみれば、アービト
ラージ戦略を使うことがわかりやすい。レノボの生産工場は広東省の
恵陽と北京と上海に三つがあり、海外の生産基地は、インドとメキシ
コなどの新興市場に転送され、新興市場で生産の低コストを追求する
とともにその国のPC市場シェアも奪っている。
レノボのグローバル展開は、最初は、適応戦略を採用し、香港とア
メリカの市場に現地法人を設立してきた。それら現地法人は、それぞ
れの企業活動のほぼ全てを担いながら、地域特性に適応してきた。近
年は、複数の国を一つの地域として統括し、地域レベルとグローバル
レベルで集約する戦略によって規模の経済を拡大しようという狙いで
ある。それに、賃金格差を利用するために、インド国内の従業員を増
やし、生産基地を設置した。このような、国による差異(アービト
ラージ)が利用され始めている。
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レノボのグローバル化の結論
レノボはIBMのパソコン事業買収後、収益性を上昇させ
効率性のある経営を行っている。その理由は世界でのIBM
のパソコン事業の市場シェアを得って、売上高の上昇と新
興国に生産基地を設置によるコスト削減に起因する。近年
の財務の面では成功しているといえる。
しかし、地域別セグメント分析によって、近年、レノボ
は、 M&Aなどの手段を通じて、新興国と先進国市場でシェ
アを獲得しつつあっていて、急速にグローバル化している
が、収益状況からみると、レノボは中国に依存しているこ
とが判明した。
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レノボのグローバル戦略の問題点
レノボはトリプルAのグローバル戦略を使って世界で発展しているが、
現在のレノボによって、トリプルA戦略がいろいろな問題がある。
まず、三つの戦略を同時追求するのは難しい、なぜなら、一つの企業
が同時に三種類の組織構造を追求することはできない。マトリックス型
など複数の組織構造を組み合わせるアプローチもあるが、管理の複雑性
が高まるというマイナス面を抱えている。現在のレノボの状況からみれ
ば、集約戦略とアービトラージ戦略をはじめて利用しているが、適応戦
略も捨てていない。
三つのAすべてを追求することも、特に後発企業の場合は不可能では
ないが、企業、というよりある事業、ある部門が競争優位を獲得するに
は、一つか二つの戦略に焦点を絞る必要がある。
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集約戦略について:
M&Aは集約戦略と企業外部成長戦略の一種である。とくに近年レノボに
よる海外企業の買収(M&A)が活発しているが、買収された企業内部中で、
既存の企業文化、ビジネスモデル、組織などの様々な問題が多いので、ど
うやって合理的に解決するかということは最も重要である。たとえば、コ
ンピュータ製造工業では、優れたサプライチェーンが不可欠である。レノ
ボは中国国内でのサプライチェーンが非常に優れるが、海外市場では、
IBMの巨額の損失と応答が遅いサプライチェーンを直面して、 2つの巨大
なサプライチェーンの合併と統合は非常に難しいので、今、レノボは海外
での生産がまだIBMのサプライチェーンシステムを使用される。それに、
バリューチェーンを世界中に散在させて、消費者の注文から、消費者の手
元に届くまで、長い時間がかかるので、海外でのサプライチェーンシステ
ムの最適化が必要がある。
アービトラージ戦略について:
レノボは、製品の研究開発と生産がいろいろな国に設置して、違う国で
の市場間の差異を活用して、低コストと利益の最大化を追求している。複
数の国によって、社会、文化、制度、市場が違うため、多様な障害と摩擦
を乗り越えなければならない。