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○証券会社の業務とインサイダー取引
• 証券会社は証券発行の引受やM&Aの業務を行い、
かつ自己売買も行っており、インサイダー取引にな
らないか?
• インサイダー(内部者)取引
– 証券市場における不公正な取引の1つ
– 金融商品取引法166条:会社関係者等が会社に関する重
要事実を知りながら、その事実の公表前に当該会社発行
の証券の取引を行うことを禁止
• 会社関係者等:発行会社関係者(役員・従業員・主要株主)、情報
受領者(会社関係者から直接重要事実の伝達を受けた者)
• 重要事実:株式発行、配当異動、合併、新製品・新技術の企業化、
主要株主の異動、手形の不渡り、決算情報等
• 証券会社は、業務部門間での情報の交流を遮断し
ている(ファイアーウォール)
1
○証券会社のM&Aアドバイザリー業務
被買収企業
買収企業
金額
被買収側アドバイザー
買収側アドバイザー
住友信託銀
行
中央三井トラスト
ホールディングス
7685
億円
大和証券キャピタルマー
ケッツ/ UBS
野村 / JPモルガン
パナソニック
電工
パナソニック
3962
大和証券キャピタルマー
ケッツ
野村
・なぜアドバイザーが付くのか?
→ M&Aをスムーズにやるには専門家が必要、株主に対する説明責任
(独立した第3者による公正な手続きによるM&A)
・必ず買収側と被買収側の両方(グループ会社であっても)にアドバイザー
が付くのか?
→ YES :
それぞれの側の企業・株主の利益を代表するアドバイザーが必要
・複数アドバイザー:通常はメインが1社で、残りは買収価格の適切さを
確保するためのアドバイザー
・アドバイザーの報酬:着手金・リテイナーフィー(途中でかかる経費分)と
成功報酬(買収金額の一定割合)、金額的には成功報酬が大きい
2
(2)証券業の再編と新規参入
①大手証券会社の再編
• 戦後~1997年まで大手4社(野村・大和・日興・山一)体制
– 97年11月:山一証券経営破綻
– 98年6月:日興・トラベラーズ(後のシティグループ)提携
• リテール:日興コーディアル証券、ホールセール:日興シティグループ証券
– 98年7月:大和証券・住友銀行提携
• リテール:大和証券、ホールセール:大和証券SMBC
– リーマン・ブラザーズの破綻
• 英銀バークレイズと野村証券が分割して買収
– ベアー・スターンズとメリル・リンチはそれぞれ、大手銀行のJ.P.モルガ
ン・チェースとバンク・オブ・アメリカに救済され、吸収される。
– ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは独立を維持しているが、
銀行持株会社に転換
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• 98年の再編で、日興も大和も財務基盤強化と
• 野村証券:
• 2008年1月:不正会計問題による日興の信用不安という状
況の下で、シティが日興を完全子会社(株式交換方式)
• 08年9月:野村証券、リーマン・ブラザーズの欧州・中東部
門とアジア太平洋部門を買収
• 09年5月:シティ、経営危機により日興証券を売却、三井住
友銀行が5450億円で買収
– 日興コーディアル証券と日興シティグループ証券の株式・債券引受
部門を買収
• 09年9月:三井住友銀行、大和証券は大和証券SMBCの
合弁解消
4
• ホールセール業務:
• リテール業務:
• ホールセールとリテールとの分離
– アメリカではホールセール専門の証券会社(インベストメン
ト・バンク)とリテール専門の証券会社に伝統的に分かれ
ている
• ホールセールとリテールとが分かれている理由
– 業務・報酬体系・組織構造の違い→文化の違う組織を1
つに統合することのデメリット
– ホールセール:専門性が強く商品(業務)別縦割り組織、フ
ラットで機動性の高い組織、実績主義の報酬体系
• cf.加野忠『金融再編』文芸新書 第6章ウォール街文化をどう迎
えるか
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• ホールセール業務とリテール業務
– 外資系証券:基本的にホールセールのみ
– 日系大手証券:
• 大和:ホールセールとリテールを分離
– 大和証券と大和証券キャピタル・マーケッツ(CM)(大和証券
SMBCを大和証券キャピタル・マーケッツに社名変更)
• 野村:これまでは一体、リーマン買収に伴い専門職向け人事
報酬体系を導入
– ホールセール部門・管理部門の社員は人事報酬制度に関し、
従来型か「特定社員」処遇(業績連動型報酬、部門間人事異動
なし、企業年金なし)かを選べる
– 銀行系証券:
• みずほ、日興は共に一体
– 銀行系+外資
• 三菱UFJモルガンスタンレー証券:一体
– 但し、機関投資家向け証券売買とトレーディングはモルガンス
タレーMUFG証券が担う(世界的に一体運用するため)
6
②ネット証券
• ネット取引による格安手数料の提供
– ネット証券の登場による手数料率の急低下
• 売買代金の 0.03~0.1%
• 野村での取引:売買代金100万円で1.16%(野村ホームトレー
ド:0.58%)
• 個人の株式売買:ネット取引比率の急上昇
• ネット証券以外の証券会社の対応策
– 資産管理型営業:顧客の資産状況・投資目的に合わ
せた資産運用アドバイスの提供
– ラップ口座:証券会社が顧客の大まかな指示(要求利
回り、リスク許容度)に基づき預けられた資金を運用、
手数料は取引金額とは関係なく残高の一定比率
7
・株式委託売買手数料率の推移
日経09.10.07.
日経06.11.18.
8
– 信用取引:投資家が証券会社から株式の買付資金(売付株券)を借
りて、売買すること。
– ネット取引の60%が信用取引(09年)
• cf. 個人の株式取引全体の中での証券化取引の割合:56.5%
– 5社に集中、アメリカでも同様
– 寡占化の理由
• 一旦知名度の高いネット証券会社ができると、
– 09年10月マネックス証券とオリックス証券が合併発表:システム統合効果
• 野村証券は系列のネット証券会社ジョインベスト証券(06年設立)を09
年11月に吸収合併:ネット証券としての生き残りの難しさ
• 株式売買サービスの差別化:
– 定額手数料、無期限信用取引、夜間取引
• 提供サービスの多様化
– 投信販売、為替証拠金取引FX
9
・証券会社の収益構造
・ネット証券会社の
信用取引依存度
(=金融収支比率)
09年度
松井
2007
年度
40%
楽天
29
22
SBI
28
22
証券会 7
社全体
26%
5
日経09.10.07.
10
・証券会社の収益構造
09年度
08年度
07年度
06年度
05年度
04年度
委託手数料
18.2%
26%
24%
26%
31%
31%
引受手数料
8.5%
4%
3%
6%
6%
7%
募集手数料
14.1%
10%
10%
10%
8%
8%
その他手数料
トレーディング
損益
金融収支
28.6%
35%
38%
31%
26%
26%
26.3%
17%
16%
22%
25%
25%
5.3%
7%
7%
5%
4%
3%
金融収益
金融費用
純営業収益
14.8%
38%
31%
22%
14%
15%
9.5%
30%
24%
17%
10%
11%
27650億円
21294
34628
38271
43036
28757
11
深見泰孝「我が国のPTSの現状と課題について」『証券レポート』2010年8月
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③外資系証券会社
• グローバルな組織を生かしたトレーディング・資産運用
→自己売買業務
• デリバティブ・証券化等での金融技術の強み
• 日本でも投資銀行業務を強化
– M&A、不良債権・企業再生ビジネス
• 株式市場での外国人投資家の取引増大
→外資系証券会社による委託売買の増大
・日系証券会社との合弁という形もある
・日興シティ、モルガン・スタンレーと三菱UFJ
・日系会社の顧客基盤が狙い
・
– メリルリンチ:山一買収による本格進出→縮小
– GSの個人向け夜間株式取引市場PTS→撤退
– 富裕層向けプライベートバンキング業務は強化
13
・株式引受ランキング:日本
Thomson Reuters
・株式引受手数料率:4.03%
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○日本企業関連M&Aアドバイザリーランキング
・M&A仲介手数料率:1.28%
Thomson Reuters
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・証券発行引受・M&A アドバイザリーのシェア
:証券会社タイプ別
株式
M&A
1案件当り株 社債
式引受金額
独立証券 38.5% 286百万ドル 37.1% 20.3%
17.4
322
40.1
15.1
銀行系
42.2
873
1
45.5
外資系
・外資系:
1件当りM&A
金額
494百万ドル
305
1066
・M&Aシェアは手数料
ベースで計算
・独立証券:
・銀行系:
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○取引所での株式売買状況2009
年:部門別
•
•
•
•
•
•
•
•
個人: 21.5% ( 29.3 %):保有比率20%
銀行: 0.1
(0.2) :
6.8%
事業法人: 1.2 (1.6)
:
24.3%
保険: 0.4
(0.5) :
7.3%
投資信託: 2.4 (3.3)
:
4.6%
外国人: 39
(53) :
24.9%
証券会社の自己売買:26.5 :
1%
( )内は証券会社自己売買を除く割合
17
2007年 2008年 2009年
外国人
54.2%
63.4
53
個人
32.4
22.8
29.3
東京証券取引所「投資部門別株式売買状況」
注:上記シェアは委託売買中(証券会社の自己売買を除く)のシェア
日経05.07.01.
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