学校薬剤師の仕事と 学校環境衛生検査の 結果報告

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Transcript 学校薬剤師の仕事と 学校環境衛生検査の 結果報告

学校薬剤師の仕事と
学校環境衛生検査の
結果報告について
宮崎市郡東諸県郡薬剤師会
学校薬剤師委員会 鈴木啓子・高山日出美
学校薬剤師とは?
学校保健安全法で設置が決められている
幼稚園・小学校・中学校・高等学校・盲学校・
養護学校等、大学を除く国立・公立・私立学校に設置
公立学校:地方公務員 特別職
国立学校:非常勤国家公務員 一般職
宮崎市郡東諸県郡薬剤師会所属の
学校薬剤師:56名(平成22年度)
宮崎市郡東諸県郡内の担当学校
宮崎市立
幼稚園:2校 小学校:48校 中学校:25校
国富町立 小学校:4校 中学校:3校
綾町立
小学校:1校 中学校:1校
国立
幼稚園、小・中学校:各1校
県立
高校:11校 支援学校:5校
私立
高校:3校
全106校
学校薬剤師って…?
幼稚園、小学校、中学校、高等学校には、学校医、学校歯
科医と共に、学校薬剤師を必ず置くことになっています。
(学校保健法第16条)
学校薬剤師の仕事は、学校の環境衛生について検査をした
り、児童・生徒の快適な学校環境をつくるために、色々と
指導、助言を行っています。
学校保健委員会に参加
学校環境検査
便所の管理
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学校便所の3K(くさい・きたない・こわい)は、もう過去のことでしょう。
いまは、水洗化率も高くなり、すてきな便所がだんだんと増えつつあります。
しかし、清潔で快適な学校生活を確保するためには便所の管理は重要です。
便所の検査は定期的に行い、定められた検査項目(施設・設備・清潔・採
光・照明・換気・ハエ・臭気)などについて基準に合っているかを点検しま
す。
学校環境検査
ネズミ・衛生害虫の駆除
• 学校で、ネズミやハエ・カ・ダニ・ゴキブリなどの衛生害虫
がいると、病原体を媒介したり、児童・生徒に不快感を与え
たり、学習能率の低下を来すことがあります。有効で効果的
な方法により駆除し、あるいは、校舎内への侵入を防ぐこと
が大切です。学校薬剤師は殺そ剤の使用や、衛生害虫用殺虫
剤の適正使用について指導、助言を行っています。
学校環境検査
机、いすの整備
• 机、いすが児童・生徒の体に合わないと、学習能率を
低下させるだけでなく、背柱の湾曲や近視などの誘因
となるおそれがあります。また、破損や清潔などの面
からも考えなければなりません。
• 児童・生徒が長時間使用する机、いすの整備は、それ
ぞれの児童、生徒に対しての適合状況はどうかの管理
を適切に行うことが大切であります。
飲料水の検査
• 水道法により、学校の水道施設、設備の点検や清掃は定期的
に行われておりますが、学校では、衛生的な水を使用するた
めに、使用水の日常点検と定期点検を行っております。
• 日常点検は、外観、臭気、味などと、基準どおりの残留塩素
が保持されているかを、生徒や教職員が毎日点検しておりま
す。定期点検は、学校薬剤師により、化学検査のほか、一般
細菌、大腸菌群などについて水道法に基づいた検査を行いま
す。
• このように衛生的で安全な水を毎日児童・生徒が使用できる
ようにと、検査が行われているのです。
学校給食の衛生管理
• 学校給食は健康教育の一環として実施されております。学校給食で
食中毒の発生があると、大勢の患者が出るのが特徴です。食中毒菌
は、サルモネラ菌、大腸菌、O-157など色々です。そこで、学校給
食による事故の発生がないよう衛生的な管理が必要です。
• 学校薬剤師は給食設備や取扱いが衛生的かどうか使用水、調理機械、
器具、食器類、冷蔵庫、温度計などに問題はないかを、定期的に検
査をしています。
学校プールの検査
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学校の水泳指導は、上手におよげるようになることと、心身の発達を促し、
体力の向上を目的としています。いまは、ほとんどの学校で設置されており、
効果を上げております。しかしプールは入泳者の体の汚れ、汗などにより、
いつも汚染されております。
適正に管理がされていないと、プール熱やハヤリ目などの感染がおこります。
そこで、プール水の消毒は基準どおりか、有機物などの汚れの具合や一般細
菌、大腸菌群などの検査を行っております。
ホルムアルデヒド測定
教室のホルムアルデヒドを測定しています。
ダニ・ダニアレルゲン検査
保健室に、ダニがいないかどうかの検査をしています。
保健室及び理科室の薬品点検
保健室の薬品についての使用上の注意や保管上の注意などについて指
導、助言を行います。また、理科室の毒・劇物薬品や引火物などは適正
に保管されているか、地震などの災害時の対応はどうか、また、不用薬
品の廃棄については適切に処理するよう指導しています。
窓を開けて換気をしよう!
• 冬期は、暖房などで教室内の空気が汚れます。
そこで、教室内の環境検査を行っています。
検査項目としては、温度、湿度、炭酸ガス濃
度、浮遊粉じん、落下細菌などを調べます。
教室などの明るさの検査
• 児童・生徒が能率よく快適に学習が行えるように、教室な
どの照度及び照明環境を定期的に検査をします。
• 検査は、教室などの照度及びまぶしさを定められた方法に
より測定し、基準に合わない場合は改善を提案します。
• また、黒板の管理についても、色彩の明度と彩度や黒板面
の摩滅の程度を調べます。
学校薬剤師による薬物乱用防止活動
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麻薬、覚せい剤などの薬物乱用は、今や世界各国の深刻な問題であります。
わが国でも、覚せい剤をはじめ、シンナーなどの乱用は、増加の傾向にあり、近年はマリ
ファナ、コカイン、LSDなどの薬物の検挙者も急増しており、それも青少年などの低年齢
化がみられます。
学校薬剤師は、覚せい剤等乱用防止推進委員に任命されたり、児童・生徒に対しては、酒、
タバコの害について、また、シンナー・覚せい剤の害についての講和を行っております。
定期検査年間スケジュール
5月上旬~6月上旬
学校環境検査
学校給食衛生管理検査
飲料水検査
6月~7月
プール水検査
7月下旬~8月上旬
夏休みプール水検査(宮崎市立小学校のみ)
7月~8月
ホルムアルデヒド検査
ダニ・ダニアレルゲン検査
備蓄薬品保管・管理状況調査
12月~1月
照度検査、空気検査
各検査の流れ
①教育委員会や学校長宛に検査実施の案内
薬剤師会から案内文書を郵送
検査内容について
検査期間について:検査日程表
検査に必要な準備について
学校平面図(環境)
給排水図面、浄化槽保守点検記録(飲料水)
上皿はかり(薬品管理)
②検査日程の調整
学校薬剤師と養護教諭の間で電話等により調整
現場担当者との調整が必要な検査
プール管理者(プール水)
理科担当者(薬品管理)
教室の窓等の開放・閉鎖(ホルムアルデヒド)
実施時間が限定される検査
飲料水・プール水:検査センターへの持込時間
ホルムアルデヒド:午前11時~午後3時
給食室:調理・片付け作業時間
③検査の実施
学校薬剤師が検査を実施
★可能な限り養護教諭等検査担当者も一緒に
検査表に検査結果を記入
検査結果・改善が必要な点について
学校長、養護教諭、検査担当者に対して説明
検査表のコピーを学校に渡す
「学校薬剤師執務記録簿(保健日誌)」に
検査日時・項目等について記入
④学校環境衛生の維持、改善
検査表の指導・助言に基づいて、問題点を改善
記録簿の整備(環境、薬品管理)
換気回数を増やす(空気、ホルムアルデヒド、ダニ)
設備等の改善(学校給食、照度:照明器具)
学校薬剤師から学校長宛に要望書を提出
設備の改修等に必要な予算を検討
設備のドライ運用(学校給食)
強制換気設備の導入(空気、ホルムアルデヒド)
器具の交換、修理、整備(環境、ダニ、照度)
検査結果報告の流れ
学校薬剤師が検査表を薬剤師会に提出
↓
検査担当者(学校薬剤師委員)が集計
↓
検査の結果と結果一覧表、考察を作成
↓
教育委員会・各学校長宛に郵送
各検査の結果とポイント
環境検査
(5月上旬~6月上旬)
『 記録簿を整備する 』
大掃除が定期的に行われているかどうか
学校日誌等に「清掃方法及びその結果」を記載
汚水槽、雑排水槽及び浄化槽等の施設・設備
保守点検等の記録簿を綴る
机・いすの適合状況
学級日誌等に生徒それぞれの適合状況を記録
センター方式による給食施設:検食記録
『結露の発生状況調査』
目的:結露がどの程度発生しているかを調査
→結露の発生による転倒等の危険性があり
対策が必要
経緯:宮崎市内の学校で結露が発生し、
廊下や床が水浸しになった事例あり
改善策: 例)換気をする
今年度、結露発生に関する調査を実施
学校給食検査
(5月上旬~6月上旬)
調理員・栄養士と学校薬剤師の間で
検査日程・検査時間の調整
給食室の設備等に改善が必要な場合
学校長の判断による予算化が重要
『養護教諭の皆様のご協力をお願いします』
飲料水検査
(5月上旬~6月上旬)
『 残留塩素・pH測定器具の整備 』
昨年度、12校で不備あり
日常点検に支障が出る 早急に確認
『 給排水図面の整備 』
昨年度、38校で不備あり
「学校保健安全法」
→図面・検査結果の保管に万全を期すること
ホルムアルデヒド検査
(7月~8月)
『 検査の準備と除去対策 』
検査実施教室の窓等の開放・閉鎖について
30分以上の開放、5時間以上の閉鎖
検査教室は検査終了まで立ち入り禁止
検査教室の選定や担当教員との日程調整が必要
開放・閉鎖時間の記録
短時間でもこまめな換気を心がける
ダニ・ダニアレルゲン検査
(7月~8月)
『 測定場所について 』
昨年度の保健室の寝具の汚染度
→判定4(非常に汚染されている)が4割
保健室の寝具(マット・敷布団・枕)を必ず測定
→検査導入の経緯を再確認
『 日常的なダニ・ダニアレルゲン除去 』
掃除機で寝具両面を吸引、天日干、部屋の換気
備蓄薬品保管・管理状況調査
(7月~8月)
『 在庫点検の徹底 』
年間計画等により、確実に実施すること
『 不用・不明在庫の処分 』
不用・不明薬品リストを毎年作成
→教育委員会を通じて、業者に回収を依頼
不明薬品になると、処分費用が高額になる
→ラベルの腐食に注意!
空気・照度検査
(12月~1月)
『 換気の徹底 』
昨年度は新型インフルエンザの流行により、
二酸化炭素の検出が低濃度であった
今年度も引き続き、換気の徹底を心がける
『 照明設備の改修について 』
照度不足が続く場合
→照明の清掃、増灯等改修には予算が必要
学校保健委員会
『 基本的な構成 』
学校職員:校長、教頭、保健主事、養護教諭
学校医(各科)、学校歯科医、学校薬剤師
保護者:PTA保健部等委員長
児童・生徒:保健委員会代表
『 委員会での協議内容 』
学校保健安全計画の作成
健康診断等の結果報告
児童・生徒の健康づくりや疾病予防の情報提供
『 開催の計画と実行 』
 学校保健安全計画等により確実に開催
 時期に応じたテーマを企画
 「学校保健だより」等で家庭にも情報伝達
『学校薬剤師への開催案内』
 担当学校薬剤師に委員会開催日等を案内
 専門家の立場から薬品等のテーマで講師依頼
→ 十分な打ち合わせが必要