風車の技術と歴史

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風車の技術と歴史
History and Technology of Windmills
第11回 7/2
風力発電の原理と効率・性能および技
術開発動向
風車見学会/6月27日(日) 報告
東京江東区、若洲海浜公園
IHI納入、ドイツ・ノルディック社(1950kW)
形式:IN-2500、2004年3月設置
参加者14名
定格出力:1950kW 翼直径:80m、タワー・ハブ高さ:60m
手塚おさむのキャラクター
あずまやの屋根には透明の太陽光発電パネル
いろいろのマイクロ風車
(正面) 水平軸風車 (側面)
クロスフロー
S字ロータ
3杯式ロータ
ジャイロミル
講義内容
URL
http://www.eureka.tu.chiba-u.jp
○概要説明
○つづき
○風車の起源と発達
○風車の種類と構造
○イギリス風車とオランダ風車
○産業革命---風車、水車、蒸気機関への変遷
○Millerさんと風車 ○絵画や映画の中の風車
○日本の風車の利用と発展
<今回、青文字部分関連>
○ランドマーク、町興しとしての風車
○発電用風車の原理と構造
○世界のウインドファームと立地
○風力エネルギー導入施策とエネルギー環境ビジネス
○市民風車の胎動
○風力発電の将来WindForce12
○国内外のウインドファームの見学
○イギリス・オランダ・スペイン・アメリカ・デンマーク・ドイツの
風車の旅
○課題の作成
中間所見の内訳
60
50
回答数
40
割合(%)
30
20
10
0
more
negative
negative
normal
positive
more
positive
重要な意見
Positive factors
クリーンなエネルギー
Negative factors
鳥を巻き込む
CO2排出がない
エネルギー密度が低い
外観/外見/景観がよい
稼働率(設備利用率)が低い
資源を他国に依存しない
不安定さ
場所を選ぶ
騒音
コストがかかる
エコエネルギーの意識向上
環境によい
地域興し
世界の風力発電容量の推移
(2003.12 )
国
容量 MW
Total 39,434
ドイツ
12,001 ⇒14,609
アメリカ
4,645 ⇒ 6,352
スペイン
4,830 ⇒ 6,202
デンマーク
2,889 ⇒ 3,115
インド
1,702 ⇒ 2,120
オランダ
686 ⇒ 912
イタリア
785 ⇒ 891
イギリス
552 ⇒ 704
日本
620 ⇒ 644
中国
468 ⇒ 566
オーストリア
139 ⇒ 415
スウェーデン
328 ⇒ 399
風力設備容量の地域分布
0.4% 0.4%
9.1%
北アメリカ
16.9%
アジア・太
平洋
73.1%
2004.3
ヨーロッパ
中南米
中近東・ア
フリカ
19
81
19
82
19
83
19
84
19
85
19
86
19
87
19
88
19
89
19
90
19
91
19
92
19
93
19
94
19
95
19
96
19
97
19
98
19
99
20
00
20
01
20
02
20
03
風力設備容量(MW)
45000
世界の総風力設備容量
40000
35000
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
西暦年
2010年度まで
国内の風力設備容量
風力導入累計量
3000MW
700
700
600
風力設備容量(MW)
風力設備容量(MW)
600
500
400
300
200
500
400
300
200
100
100
0
1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
0
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
西暦年
1998
西暦年
1999
2000
2001
2002
2003
2004
風力発電量の伸びは、何故?
地球温暖化への取り組みは、先進国の責務である。
地球人口の増加、エネルギー需用の益々の伸び
は、18世紀末から始まった産業革命による温室効
果ガス(CO2、CH4、N2O、HFC、PFC、SF6)、とくに、
CO2の排出削減が要求されている。
このため、再生可能エネルギーの利用、とりわけ太
陽光・風力が有力である。
風力発電の利用は、デンマークはじめ、欧米で風
車開発が進められ、設置・運転の実績が認められ、
環境面への配慮から、飛躍的に進化している。
地球温暖化
映画 「大津波」 /
「デイ・アフター・トゥモ
ロー」
電源別炭素排出量
発電方式
燃料分
石炭火力
石油火力
246
188
138
0
0
0
0
0
0
LNG火力
原子力
水力
太陽光
風力
波力
地熱
(出所)関西電力調べ他
建設・運用分 全体での炭素排出量
24
12
40
6
5
22
10
25
6
270
200
178
6
5
22
10
25
6
単位:(g-C/kWh)
風力発電の貢献
[環境保全]
・温室効果ガス削減
・SOx,NOx削減
[エネルギーセキュリティー]
・エネルギー多様化
・国産エネルギー
[経済効果]
・雇用創出
・地域経済の活性化
風速の3乗に比例する
風力エネルギー
運動エネルギー
風力エネルギー=
風車
×
回転エネルギー
2
=0.625πR2V3
×
風力エネルギー
3
大型化
*風速 6m/s において
設置コスト
\30万/kW
発電コスト
\20/kWh
\11~15万/kW
\7~9/kWh
\13~20万/kW
\9~11/kWh
小型 約100kW
中型 約500kW
大型 約1000kW~
風車の構造
(水平軸、アップウインド、増速機
=デンマークコンセプト)
風車の種類
風車
水平軸風車
○構造が比較的簡単
○効率が高く、大型化が容易
●風向の依存性がある
●重量物をタワー上部に設置
○風向の依存性がない
○重量物はタワーの
下部に設置
●効率が低く、設置面積大
●起動時に大きなトルク必要
垂直軸風車 ●回転軸に曲げモーメント
が加わる
風車① (水平軸)
オランダ型 1
オランダ型 2
セイルウィング型
風車② (水平軸)
アップウィンド
リボン型
プロペラ型
多翼型
風車型
ダウンウィンド
風車③ (水平軸ープロペラ型)
一枚翼
二枚翼
三枚翼
風車④ (垂直軸 - 抗力型)
パドル型
サボニウス1 サボニウス2 S型ロータ
風車⑤ (垂直軸 - 抗力型)
クロスフロー型 1 クロスフロー型 2 クロスフロー型 3
風車⑥ (垂直軸 - 揚力型)
ジャイロミル型
ダリウス型 1
ダリウス型 2
発電風車の種類(その他の風車)
出力係数(パワー係数)
風力発電の原理
風力発電システム
風力発電システム構成機器
風力発電の運転特性
風速分布
f(V)=(k/c)(V/c)k-1exp{-(V/c)k}
ヒストグラムとワイブル分布による風速分布の表示
0.25
頻度分布
0.2
0.15
0.1
0.05
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
風速 m/s
10
11
12
13
14
15
風速(m/s)
30m 20m 日平均風速
30m ave
20m ave
16
14
12
10
8
6
4
2
0
5/1
5/6
5/11
5/16
2004年/5月
5/21
5/26
5/31
技術開発の動向:――
風力発電機の開発と進歩、コスト低下
増速機なし(ギアレス)多極発電機の使用
可変ピッチ翼(風速変動に合わせる)
低速回転・低騒音化
電力品位の向上(電圧、周波数)
タワーの新型化(景観、美観、心理)
大型化の限界、ほか
風車の発電機
風力発電導入検討の進め方①
←立地調査
←風況精査
←基本設計
風力発電導入検討の進め方②
←実施設計
←関係機関等
手続き
←建設工事
←運転・保守
風力発電有望地域の抽出
風力発電導入の可能性評価
風車の建設単価
700
建設単価(千円/kW)
600
500
400
300
200
100
0
0
200
400
600
800
1000
発電機出力(kW)
1200
1400
1600
風力発電の工事計画①
風力発電の工事計画②
風力発電の課題
性能評価
(1)風速の予実比較、風況予測
(2)風車の性能特性
(3)トラブル
環境影響評価
(1)騒音障害
環境基準(住宅地、45dB)
(2)電波障害
(3)生態系に関する影響
(4)景観に関する影響
時 刻
0:00
22:00
20:00
18:00
16:00
14:00
12:00
10:00
8:00
6:00
4:00
2:00
0:00
10分平均出力
(白丸:kW)
250
200
150
100
50
0
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
10分平均ナセル風速
(太線:m/s)
風車運転データ(FTデータより)
(稚内市2000年1月7日)
風車設備利用率(2000年実績)
(FTデータより)
予想設備利用率
実績設備利用率
40.0
35.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
北谷町
北方町
五和町
小長井町
大東町
石川県
能生町
アルコ・ニチメン
群馬県
深浦町
上ノ国町
0.0
稚内市
設備利用率(%)
30.0
風力発電の電源としての特徴
風況や日射量(参考)
と言った自然条件の
変動に伴ってその出
力が変動する。
(参考)太陽光発電は
市街地でも設置可能
であり、同一配電線に
多数台連系されること
が想定される。
風力発電
太陽光発電
(参考)
系統連系における要配慮点
周波数変動(需給アンバランス)
・需要:電動機回転ムラによる製品への影響など
・系統:発電機の安定運転への影響など
電圧変動(潮流変動)
・需要:モータ焼損、家庭機器の停止など
・系統:発電機の安定運転への影響など
保護協調
・保安管理、機器の損傷など
その他の電力品質
・フリッカー、ノイズ、高調波等による電磁誘導、ノイズ
等
分散電源としての問題
・通常運転
分散電源の運転、停止による系統電圧の変動
・単独運転(配電停止後も分散型電源が運転を継続し 配電線
を充電する状態)
○分散電源の電圧、周波数は保証されず電気機器の
故障につながる
○保守要員安全が確保できない
○再閉路時の異常電圧による電気機器の故障
蓄電池併設風力発電システム
風車
コントローラ
システム
Transformer
AC
DC
Transformer
~
インバータ
負荷
蓄電池
蓄電池による平滑化(調査データより)
まとめ
以上のように、風力発電は、実用的な新エネルギー
である。
解決すべき課題はあるが、
・環境保全
・エネルギーセキュリティ
・経済効果
の面で、貢献できる
再生可能エネルギー
である。
課題については次週に、目標はその翌週に述べる。