太陽光発電システム - TOK2.com

Download Report

Transcript 太陽光発電システム - TOK2.com

太陽光発電システム付き
集合住宅の供給促進策
明治大学 大森正之ゼミナール 13期
朝賀美月 李仁揆
甲斐美咲 渡邉雄太
1
目次
はじめに
第1章
太陽光発電システム付き集合住宅の現状と
その導入方式
第2章
各連系方式の環境性および経済性の比較
第3章
太陽光発電システム付き 集合住宅の供給促進条件
第4章
太陽光発電システム付き集合住宅の供給促進策の提案
おわりに
【調査協力企業・団体】
【参考文献・資料】
【参考URL】
2
はじめに①~テーマ設定の背景~
2011.3.11
福島第一原発
事故
化石燃料
調達費用
の増加
2012年9月
電気料金
の値上がり
2012年7月
再生可能エネルギー賦課金
不安
2012年10月
環境税の導入
地球温暖化
化石燃料に依存しすぎている
現在の体制を改める必要がある
再
生太
可陽
能光
エ発
ネ電
ルを
ギは
ーじ
のめ
需と
要す
増る
大
3
はじめに②~テーマ設定の背景~
太陽光発電を搭載した住宅の2030年までの導入推移想定
出典:一般社団法人太陽光発電協会(2012)「図3-1-3 住宅用太陽光発電の市場規模(導入容量)」
『JPEA PV OUTLOOK 2030 (2012年8月改訂版)』
太陽光発電システム付き集合住宅を
より普及させるために補助政策が必要
4
はじめに③ ~価値判断の基準とあらかじめの結論~
理想的な太陽光発電システム付き集合住宅の条件
居住者による自発的な節電行動がある
太陽光発電システムによる電力の自産自消が実現している
我々の考える課題
・ 太陽光発電システムの導入コストが高く、販売価格が上昇
するため、一般集合住宅よりも居住者に選好されにくい
・ 太陽光付き集合住宅を優遇する補助政策が不十分
あらかじめの結論
太陽光発電システム付き集合住宅を普及させるための補助政策
住宅ローンの認定基準に、太陽光発電システム
付き集合住宅が優遇されるような基準を加える
5
第1章 太陽光発電システム付き
集合住宅の現状とその導入方式
太陽光パネル
自
家
消
費
発電
買電
売電
電力会社
太陽光発電システム
付き集合住宅
6
太陽光発電システム付き集合住宅の現状
太陽光発電システム付き集合住宅の主な販売企業
・株式会社タカラレーベン
・野村不動産株式会社
・双日株式会社
・東京急行電鉄株式会社
・伊藤忠都市開発株式会社
・フジ都市開発株式会社
・オリックス不動産株式会社
・株式会社大京
・阪急不動産株式会社
・リスト株式会社
・東京建物株式会社
・芝浦特機株式会社
・日本土地建物販売株式会社 ・株式会社フクダ不動産
・大和ハウス工業株式会社
・大成有楽不動産株式会社
・三井不動産レジデンシャル株式会社
など
太陽光発電システム付き集合住宅の供給経緯
太陽光発電システム付き集合住宅(賃貸)を日本で初めて販売
「ニューガイア」シリーズ (福岡県北九州市)
売主:芝浦特機株式会社
2010年9月
首都圏初、各戸に配電できる太陽光発電システム導入マンション販売開始
「レーベンハイム光が丘公園」(埼玉県和光市)
売主:株式会社タカラレーベン
2012年12月 太陽光発電システム付き集合住宅の供給数は100棟以上(首都圏)
2005年2月
しかし
太陽光発電による電力を自家消費できる方式の
集合住宅の普及は進んでいない
7
各連系方式の調査物件
レーベンリヴァーレ
横濱鶴ヶ峰ヒルズ
パークシティ国分寺
レーベンリヴァーレ
町田ルージアタワー
所在地
神奈川県横浜市旭区
東京都国分寺市
神奈川県
相模原市南区
太陽光パネル
設置容量
一戸あたりの
パネル容量
124.74kW
44kW
32.76kW
1.26kW
-
0.28kW
総戸数
105戸
331戸
116戸
階数
地上5階地下1階建
地上8階地下1階建
地上15階
建築面積
2543.63㎡
7262.56㎡
817.79㎡
売主
株式会社タカラレーベン
三井不動産レジデン
シャル株式会社
株式会社タカラレーベン
訪問日
2012年4月23日
2012年5月3日 2012年4月17日
戸別
連系方式
共用部
連系方式
高圧一括
受電方式
8
1-1 戸別連系方式の概要
パワコン
パワコン
パワコン
A号室
B号室
C号室
受変電設備
電力会社
※パワコン(パワーコンディショナー)
太陽光パネルで発電した直流の
電力を家庭で使用可能な交流に
変換するもの
配電先
売電収入を
得る主体
階数
各住戸
居住者
3~5階
各住戸に太陽光パネルと
パワーコンディショナーが
設置されている
各住戸において太陽光発
電による電力を直接消費し、
余剰電力は売電すること
ができる
9
1‐2 共用部連系方式の概要
A
号
室
B
号
室
パワコン
共用部
受変電設備
電力会社
エレベーターや廊下・
ホールの照明、駐車場など
太陽光発電による電力は
共用部においてのみ消費される
売電収入を得る主体は管理組合
で、居住者が直接得ることはない
1-3 高圧一括受電方式の概要
パワコン
A号室
メ
ー積
タ算
ー
B号室
メ
ー積
タ算
ー
受変電設備
電力会社
PPS事業者
電力会社の送
電網を借りて
居住者に電力
を供給する
電気事業者
電力単価の安い、高圧一括契約に
より電気料金は5~10%削減可能
全量売電による売電収入は、居住
面積に応じて居住者に配分される
10
第2章 各連系方式の環境性および経済性の比較
環境性
:CO2をどれだけ削減できるか=低環境負荷性
①太陽光発電による発電量
太陽光による電力の発電量=化石燃料による電力の消費削減量
太陽光エネルギーによる電力をどれだけ生産できるか
節電行動
②節電インセンティブの強弱
節電インセンティブが働くことで節電行動が促進され、
化石燃料による電力の消費量がより削減される
経済性
・こまめな消灯
・冷暖房の設定温度
を調節する
・コンセントを抜く 等
:太陽光パネルを付けたことによる損失と利益
①初期費用の高さ
各連系方式を導入する際にかかる費用
②電気代の削減
電力会社からの買電量削減による電気代の削減
契約方式による電気代の削減
③売電収入の有無
余剰電力の売電収入を居住者が得ることはできるか
11
2-1 環境性の比較
①太陽光発電による年間発電量
太陽光発電による電力により、化石燃料による電力を代替できる
=年間発電量が多いほうがCO2排出量をより削減できる
124,740(kWh) × 0.69(kg) = 86,070(kg)
年間発電量
1kWhあたりの化石燃料による CO2排出削減量
火力発電全体の二酸化炭素排出量
*参考資料Ⅰ
参照
年間発電量・CO2排出削減量が最も大きいのは戸別連系方式である
②節電インセンティブの強弱
居住者による節電行動で電力消費量が削減されることにより、
CO2排出量は削減される
戸別連系方式→居住者は売電収入を直接得ることができる
節電量と売電量は正の相関関係である
太陽光で発電した電力を各住戸で消費可能である
共用部・高圧一括受電方式→居住者は売電収入を直接得ることはできない
節電インセンティブが最も強いのは戸別連系方式である
12
2-2 経済性の比較
①初期費用の高さ
初期費用=機器の価格+工事費用
戸別連系方式→最も太陽光パネルの枚数が多く、各戸にパワコンと太陽光発電
モニターを設置、また、太陽光パネルは各戸に配電されている
最も初期費用が高いのは戸別連系方式である 供給が進んでいない
②電気代の削減
太陽光発電による電力を消費することで、
電力会社からの買電量が削減されるため、電気代の削減につながる
太陽光による電力を直接各戸において消費できるのは戸別連系方式のみ
電気代の削減額が最も高いのは戸別連系方式である
③売電収入の有無
売電収入を直接居住者が得られるのは戸別連系方式のみ
680.4(kWh) × 42(円) = 28,577(円)
売電収入額が最も高いのは戸別連系方式である
*参考資料Ⅴ
参照
13
2-3 居住者からみた諸類型のプライオリティ
戸別
環
境
性
経
済
性
*独自に作成
太陽光発電による
☆☆☆
年間発電量
共用部
高圧
☆
☆
☆☆☆
-
☆
☆
☆☆
☆☆
電気代削減
☆☆☆
-
-
売電収入
☆☆☆
-
☆
節電
インセンティブ
初期費用
1位
3位
2位
戸別連系方式が最も普及させたい方式である
14
第3章 太陽光発電システム付き集合住宅の供給促進条件
3-1 居住者が太陽光発電システム付き集合住宅を選好する条件
太陽光発電システム付き集合住宅
一般集合住宅
C + E + R - S ≧ C+ΔC + E-En-Es + R-R’
購入
費用
電気
代
停電
リスク
住宅
ローン
電気
代
購入
費用
増加
ΔC: 太陽光発電システム導入に伴う
販売価格の増加額
En : 節電による電気代の削減
停電リスク
の軽減
- (S+S’)
住宅
ローン
でも…
Es : 売電収入
R’ : 停電リスクの軽減(非常用電源として活用)
S’ : 住宅ローン制度の優遇措置
購入費用が増加したとしても、購入費用の増加分を
選好の
⇒
上回るような利得を居住者が得られること
条件
15
3-2 事業者が太陽光発電システム付き集合住宅を供給する条件
供給促進
の条件
⇒
一般集合住宅よりも太陽光発電システム付き集合住
宅を販売する方が事業者の利潤総額が大きいこと
一般集合住宅
集合住宅販売の収入
太陽光発電システム付き集合住宅
支出
販売価格
入居率
1+利潤率 総事業費
𝑛1
× (1+α) × NC
𝑁
集合住宅販売の収入
入居率
総事業費
- NC ≦
支出
販売価格
1+利潤率
総事業費
総事業費
𝑛2
× (1+β) × N(C+ΔC) - N(C+ΔC)
𝑁
*N:全戸数 n:入居数 β≦α
我々の想定
・太陽光発電付き集合住宅は一般集合住宅と同程度の利潤率で販売する
・総事業費が高いため、販売価格は必然的に高くなり、入居率が下がる
→しかし実際は高い入居率を維持している(タカラレーベンの物件の例)
入居率100%を目指して値下げを実施しているのではないか?
16
3-3 事業者の利潤および居住者の利得状況の3パターン
居住希望者の需要(価格弾力性)の強弱のパターン
Ⅲ(需要弱)
Ⅱ(需要中) Ⅰ(需要強)
居住者の
利得
事業者の 値下げの程度に
利潤額 応じて、事業者
一般集合 の利潤および居
住者の利得の量
住宅の
利潤額の は変化する
水準
※機会損失
利潤
0
入居率
100%
機会損失※の水準
利潤率
太陽光発電を導入
するために追加的
に費用を払ったこと
で、国債等を購入
すれば得られてい
たであろう利得
80%
前
提
①事業者は太陽光パネルの普及による社会的貢献(CO2削減)を目標とし
ているので、入居率が100%を超えるであろう利潤率で販売する
②太陽光付き集合住宅に対する需要の大きさによって、どの利潤率で販
売できるかが決まる(停電リスクを大きく評価するなら高い利潤率で販 17
売できる)
3-3-1 Ⅰ居住希望者の需要が強く、若干の値下げで済む場合
居住者の
利得
Ⅲ
Ⅱ
Ⅰ
①
事業者の
利潤額
④
入居率が100%とな
るよう値下げする
一般集合
住宅の 事業者が値下げした
利潤額の 分だけ居住者の利得
は大きくなる(①=②)
水準
利潤
0
利潤率
機会損失の水準
100%
②
④:事業者の利潤額 (一般集合住宅
の利潤額の水準よりも上回った額)
入居率
80%
両者がそれぞれ社会貢献
(CO2排出量の削減)
を目指しているから
③
しかし居住者の利得
は機会損失を下回る
(③= 機会損失+②)
事業者→最大利潤額ではなく、入居率100%を目指す
居住者→機会損失の一部を甘受する
想定される居住者像: グリーンコンシューマー もしくは 停電リスクの軽減を高く評価する居住希望者
よってこのパターンの蓋然性は低い
18
3-3-2
Ⅱ居住希望者の需要が比較的強く、ある程度の値下げで済む場合
Ⅲ
居住者の
利得
Ⅱ
Ⅰ 事業者の
利潤額
①
④
利潤
0
③
機会損失の水準
100%
入居率
80%
②
入居率が100%とな
るよう値下げする
一般集合 事業者が値下げした
住宅の 分だけ居住者の利得
利潤額の は大きくなる(①=②)
水準
機会損失をすべて相
殺でき、追加的な利
利潤率 得を得られる
(③=機会損失+②)
④:事業者の利潤額 (一般集合住宅
の利潤額の水準よりも上回った額)
事業者→一般集合住宅よりも若干多くの利潤を得ている
居住者→機会損失よりも多くの利得を得ている
=補助政策は不要である
19
3-3-3Ⅲ居住希望者の需要が弱く、大幅に値下げせねばならない場合
(一般集合住宅の利潤額よりも低い水準まで利潤率を引き下げなければ、
入居率が100%とならない場合)
Ⅲ
居住者の
利得
Ⅱ
⑤
一般集合
住宅の
利潤額の
水準
④
100%
②
機会損失の水準
事業者の
利潤額
①
③
利潤
0
Ⅰ
事業者が値下げした
分だけ居住者の利得
は大きくなる(①=②)
利潤額が一般集合住
宅の水準よりも
下がってしまう(③)
補助政策を適用する
利潤率 ことにより、③と同額
の補助金(④)を居住
者に与える
入居率
80%
事業者→一般集合住宅の利潤額の水準を下回ってしまう
居住者→大幅な値下げによって、Ⅱより多くの利得がある
補助金による追加的
利得があるので、事業
者は⑤の分だけ値下
げすればよい
20
補助政策が必要である→パターンⅡへ移行するまで補助金を支給する
第4章 太陽光発電システム付き集合住宅の供給促進策の提案
4-1 補助金の具体的な支給方法
事業者向け 集合住宅向け太陽光発電システム導入補助金の創設
→制度設計が難しい
もしくは
居住者向け 住宅ローン制度の拡充によるローン負担の軽減
→既存制度の拡張により対応可
どちらも同等の
施策効果が
得られる
住宅ローン制度
・住宅ローン減税制度による所得税控除
・長期固定金利住宅ローンによる貸出金利引き下げ(フラット35S)
住宅ローン減税
• 国の予算上限がある
• 補助金の性格が強い
• 国の補助金ではない
長期固定金利住宅
ローン(フラット35S) • 投資家の資金を原資
に証券化を行う
政府予算を原資とする
ローン減税制度は助成
額に上限がある
→金融機関が投資家か
ら調達した資金を利用
することが望ましい
長期固定金利住宅ローンの認定基準に、太陽光発電システ
ム付き集合住宅が優遇されるような基準を加える
21
4-2 長期固定金利住宅ローンの認定基準の再構築
=
フラット35Sの
認定基準*
・長期優良住宅であること
・省エネルギー対策等級4、かつ、耐震等級3を取得していること
・省エネルギー対策等級4、かつ、高齢者等配慮対策等級4を取得していること
*フラット35Sエコ(金利Aタイプ)の場合
従来の認定基準だと…
・認定基準が厳しい
・太陽光発電システムの有無が認定基準に含まれていない
フラット35Sの認定基準に太陽光発電システムの有無を追加する
省エネ(創エネ)性に特化した認定低炭素住宅制度を利用する
認定低炭素住宅の認定基準
外壁の断熱、複層ガラスなどの
断熱性
+ 太陽光発電システム、エネファームなどの
創エネ設備
2012年12月4日に認定低炭素住宅が
フラット35Sの基準に追加されました
22
出典:住宅金融支援機構 フラット35S制度概要
23
4-3
認定基準の再構築による太陽光発電システム付き
集合住宅の供給プロセス
認定低炭素住宅がフラット35Sの認定基準に追加された
太陽光発電システム付き集合住宅の居住者は
フラット35Sを利用できる
太陽光発電システム付き集合住宅の居住者の
住宅ローン負担が軽減される
太陽光発電システム付き集合住宅が
居住希望者に選好されやすくなる
太陽光発電システム付き集合住宅の供給が促進される
24
おわりに① ~本研究により発見したこと~
太陽光発電付き集合住宅の市場には、
社会貢献(CO2排出量削減)を達成するために
・値下げをしてでも販売することで入居率100%を目指す事業者
・場合によっては機会損失を被っても良いと考える居住者
が存在している(偶発的に協力関係が成立している)
太陽光発電付き集合住宅を供給するときの
事業者の利潤および居住者の利得状況の3つのパターン
Ⅰ居住希望者の需要が強く、若干の値下げで済む場合→補助政策不要
Ⅱ居住希望者の需要が比較的強く、ある程度の値下げで済む場合→補助政策不要
Ⅲ居住希望者の需要が弱く、大幅に値下げせねばならない場合→補助政策必要
パターンⅢにおいて…
太陽光発電システムを導入していることで認定される
低炭素住宅を長期固定金利住宅ローンの認定基準に追加
2012年12月4日に実現
25
おわりに②
~太陽光発電システム付き集合住宅の供給促進のために~
フラット35Sの認定基準に認定低炭素住宅制度が追加された*
*平成24年12月4日に追加
(住宅金融支援機構HPより)
環境性・経済性共に優れている
戸別連系方式の居住者が最も優遇される
最終的に達成するべき目標
化石燃料に依存しないエネルギーの自産自消が
実現できる戸別連系方式の集合住宅が増えること
戸別連系方式の普及、すなわち分散型エネルギーの普及に
より、太陽光エネルギーをはじめとする再生可能エネルギー
が将来的に一般化していくことが望ましい
26
残された課題
蓄電池の効果
太陽光発電システム付き集合住宅には、震災など緊急時の電源確保のため
蓄電池が搭載されていることが多い。停電リスク回避の確実性を上げるため
に蓄電池が必要であるが、本研究においてはその効果の測定が不十分で
あった。
制度上の障害
太陽光発電システム付き集合住宅を普及させるにあたって、屋上緑化、容積
率規制など制度上の障害が多数存在する。本研究の新たな課題として、こ
れらの法律、規制を検討することが挙げられる。
維持費用の問題
太陽光発電システム付き集合住宅には、太陽光パネルが大量に必要になる
ためそれに伴うメンテナンス費用、維持管理費が必要となる。ライフサイクル
コストを考慮に入れたうえで、太陽光発電システム付き集合住宅の供給促進
策を提言していくことが今後求められる。
27
参考資料Ⅰ 各連系方式の環境性:①太陽光発電による年間発電量
太陽光による電力の発電量=化石燃料による電力の消費削減量
戸別※1
太陽光パネルの
設置容量(kW)
共用※2
124.74
年間発電量(kWh)
124,740
44.00
44,000
高圧※3
32.76
32,760
1番
CO2排出削減量(kg)
86,070 30,360 22,604
年間発電量
690g-CO2*4
1kWの太陽光
パネルで年間
1000kWh発電
※1 レーベンリヴァーレ横濱
鶴ヶ峰ヒルズ
※2 パークシティ国分寺
※3 レーベンリヴァーレ町田
ルージアタワー
CO2削減量
0.69(kg)
1kWhあたりの化石燃料による火力
発電全体の二酸化炭素排出量:
各連系方式の
モデル物件の
屋根に搭載さ
れているパネ
ルの総出力
*4
中央環境審議会地球環境部会
目標達成シナリオ小委員会中間とりまとめ(2001)
最もCO2排出量が削減されるのは戸別連系方式である
27
参考資料Ⅱ 各連系方式の環境性:②節電インセンティブの強弱
居住者による
節電行動
電力消費量
削減
化石燃料による
電力の消費量削減
CO2
排出量削減
居住者が直接売電収入を得ることができるか
戸別
売電収入
節電量と
売電量の関係
節電
インセンティブ
共用
高圧
居住者が
居住者は 居住者は直接
直接享受できる 享受できない 享受できない
正の相関
節電すればするほど
売電量は増える
☆☆☆
-
関係しない
居住面積に応じて
配分される
☆
戸別連系方式において最もCO2の削減が期待される
28
参考資料Ⅲ 各連系方式の経済性:①初期費用の高さ
初期費用
パネル
の枚数
機器の価格:太陽光パネルの価格、周辺機器の価格
工事費用:機器の設置費用、配電するのにかかる費用
戸別※1
共用※2
高圧※3
594枚
209枚
156枚
各戸にパワコン、
パワコン1台
共用部に
周辺機器 太陽光発電モニター
各戸に
パワコン設置
積算メーター設置
を設置
配電先
各戸
共用部
受変電設備
(エレベーターや
(PPS事業者)
廊下の照明)
戸別連系方式が最も初期費用が高い
※1 レーベンリヴァーレ
横濱鶴ヶ峰ヒルズ
※2 パークシティ国分寺
※3 レーベンリヴァーレ
町田ルージアタワー
29
参考資料Ⅳ 各連系方式の経済性:②電気代の削減
太陽光発電による
電力の消費量
電力会社からの
買電削減量
戸別※1
太陽光発電
による電力を 住戸において
各住戸において 消費できる
消費できるか
一戸当たりの
パネル容量(kW)
年間発電量
(kWh)
自家消費量
(kWh)
年間電気代金
削減額(円)
1.26
共用※2
住戸では
消費できない
高圧※3
住戸では
消費できない
共用部でのみ
消費できるため
全量売電のため
-
-
1260
-
-
579.6
-
-
16,808
-
-
自家消費量:売電量=46:54
㈶新エネルギー財団HPより
電気代の削減
自家消費量
29円
ただし高圧一
括で受電契
約を結ぶこと
により、電気
代は5~10%
削減可能
1kWの太陽光
パネルで年間
1000kWh発電
※1 レーベンリヴァーレ
横濱鶴ヶ峰ヒルズ
※2 パークシティ国分寺
※3 レーベンリヴァーレ
町田ルージアタワー
電気代の削減額
東京電力の従量電灯Bの第3段階料金参照(2012年10月現在)
電気代の削減額が最も高いのは戸別連系方式である
30
参考資料Ⅴ 各連系方式の経済性:③売電収入の有無
売電量×42円=売電収入額
※1 レーベンリヴァーレ横濱鶴ヶ峰ヒルズ
※2 パークシティ国分寺
※3 レーベンリヴァーレ町田ルージアタワー
固定価格買取制度:買取価格→42円
買取期間→10年 (2012年現在)
売電収入の有無
戸別※1
共用※2
高圧※3
有り
無し
有り
一戸当たりの
パネル容量(kW)
1.26
-
年間発電量(kWh)
1,260
-
280
売電量(kWh)
680.4
-
280
年間売電
収入額(円)
(売電:54%)
28,577
-
0.28
(均等配分の場合)
(売電:100%)
11,760
売電収入額が最も高いのは戸別連系方式である
31
参考資料Ⅵ フラット35S利用時の利潤総額および返済額のシミュレーション
パターンⅠ
一般集合住宅
10%
4.2%
3.1%
8.8%
販売価格
3000万円
3200万円
3032万円
3000万円
3165万円
3032万円
値下げ額
-
-
168万円
200万円
35万円
168万円
95%
100%
100%
100%
100%
100%
1億2273万円
2億9091万円
1億2291万円
9091万円
2億5591万円
1億2290万円
-
1億6818万円
18万円
-3182万円
1億3318万円
18万円
2%
(1-35年)
2%
(1-35年)
2%
(1-35年)
2%
(1-35年)
1.3%(1-5年)
1.7%(6-20年)
2%(21-35年)
1.7%(1-5年)
2%(6-35年)
ローン-電気代削減
-売電収入(月額)
99,379円
102,223円
96,658円
97,299円
90,055円
(1-5年)
92,053円
(1-5年)
支払総額-電気代削減
-売電収入
4174万円
4365万円
4131万円
4087万円
4086万円
4082万円
入居率
利潤総額
一般集合住宅との
利潤総額の差
借入金利
(基準金利2%)
値下げなし
ある程度の値下げ
大幅な値下げ
フラット35Sエコ
(金利Aタイプ)
補助政策②
10%
利潤率
居
住
者
太陽光発電付き集合住宅
補助政策①
フラット35S
ベーシック
(金利Bタイプ)
4.2%
値下げなし
事
業
者
パターンⅢ
(補助政策なし)
パターンⅡ
一般集合住宅との
―
191万円
-43万円
-87万円
-88万円
-92万円
差額 (機会損失)
*元利均等方式, 基準金利2%, 融資期間35年間, 頭金0円, 総戸数100, 電気代削減額1400円(月額), 売電収入額2381円(月額,10年間)の場合
フラット35Sを利用することにより、居住者の利得を維持したまま、値下げ額を
低く抑えることができる →より高い販売価格で入居率100%を達成できる
事業者、居住者ともに一般集合住宅よりも利潤・利得が大きくなる32
調査協力企業・団体
・株式会社タカラレーベン
(訪問日 2012年4月17日, 23日, 11月15日)
(質問状への回答 2012年5月18日)
・三井不動産レジデンシャル株式会社
(訪問日 2012年5月3日)
・ミサワホーム株式会社
(質問状への回答 2012年7月3日)
・積水ハウス株式会社
(質問状への回答 2012年7月24日)
・大和ハウス株式会社
(質問状への回答 2012年8月10日)
34
参考文献・資料
1. 加藤敏春(2012)『スマートグリッド「プランB」―電力大
改革へのメッセージ』NTT出版
2. 環境ビジネス編集部(2012)「大特集 新電力PPSの
実力」『環境ビジネス』Vol.120(2012年6月号)p.30-59
3. 住宅産業新聞社(2011)『住宅経済データ集2011』
4. 依田浩敏・宮田麻衣(2009)「全世帯太陽光発電付き
集合住宅におけるエネルギー消費量と居住者意識
に関する調査研究(その2)居住者意識とエネルギー
消費実態との関係」日本建築学会九州支部研究報
告、第48号、p.373-376
5. 小野寺範男(2011)『絶対に失敗しないマンションの
買い方』成美堂出版
6. 一般社団法人太陽光発電協会(2012)『太陽光発電
システムの設計と施工』オーム社
35
参考URL
1. 一般社団法人住宅性能評価・表示協会
http://www.hyoukakyoukai.or.jp/
2. 株式会社タカラレーベン
http://www.leben.co.jp/
3. 三井不動産レジデンシャル株式会社
http://www.mfr.co.jp/
4. 株式会社大京
http://www.daikyo.co.jp/
5. 住宅金融支援機構
http://www.jhf.go.jp/
6. 新エネルギー財団
http://www.nef.or.jp/
7. SUUMO
http://suumo.jp/
8. JPEA一般社団法人太陽光発電協会
http://www.jpea.gr.jp/
9. J-PEC太陽光発電普及拡大センター
http://www.j-pec.or.jp/
10.中央環境審議会地球環境部会
http://www.env.go.jp/council/06earth/yos
hi06.html
11.経済産業省
http://www.meti.go.jp/
12.不動産経済研究所
http://www.fudousankeizai.co.jp/
36
37