Transcript 自由化後
電気事業の規制緩和について
平成13年1月12日
関西電力株式会社
企画室企画グループ
1
1.はじめに
2
人類とエネルギー
(出典:「トリレンマへの挑戦」[(財)電力中央研究所 地球問題研究会作成資料])
化石燃料時代
人
類
の
出
現
原子力・自然エネルギー
石油
火
の
使
用
開
始
天然ガス
石
炭
の
枯
渇
石炭
石炭使用の
本格化
250万年前
50万年前
2000
1000
人類の出現から現在までを一日とした時間軸
0:00
19時12分
(西暦年) 3000
7秒
8秒
23時59分53秒 24時
24時00分8秒
3
化石燃料のポテンシャル
231年
リサイクルにより利用年
数を伸ばすことが可能
62年
43年
72年
144兆m3
1兆316億トン
(高品位炭)
436万トン
1兆195億バレル
石 油
天然ガス
1998年1月現在
1998年1月現在
石
炭
ウラン
1993年末
1997年1月
(出典:原子力2000)
新エネルギーの評価と見通し
項目
太陽光発電
風力発電
燃料電池(リン酸型)
•クリーン
•枯渇の恐れがない
•クリーン
•枯渇の恐れがない
•分散設置が可能
•廃熱を利用できる
•エネルギー密度が
低い。
デメリット
•自然条件に左右さ
評価
れるなど不安定。
•エネルギー密度が
低い。
•自然条件に左右さ
れるなど不安定。
•電池の長寿命化が
必要。
メリット
•経済性が改善され
実用分野 れば小規模電源と
して有望。
導入の実績と
目標
①実績:9.1万kW
②目標:2010年
500万kW
(注)実績は1997年度暫定値である
•信頼性、経済性が
•経済性が改善され
改善されれば、熱需
れば離島等の電源と
要の見込めるところ
して有望。
に適用可能。
①実績:2.1万kW
①実績:1.2万kW
②目標:2010年
②目標:2010年
30万kW
220万kW
(出典:通産資料(1999年7月)他)
4
美浜原子力発電所(166.6万kW)を
太陽光発電で賄おうとすると
美浜発電所の発電電力量
約132億kWh(平成10年度)
滋賀県全体の年間
需要量にほぼ匹敵
これをすべて太陽光発電で賄おうとした場合
必要となる土地=約250k㎡
大阪市と吹田市全体に太陽光パネ
ルを敷き詰めることが必要になる。
5
6
グリーンファンド
一般消費者向けのグリーン電力制度の枠組み
売
電
購入料金
者
成
(
出
助
当
該
地
域
分
)
加
拠
(
参
(
電
力
会電
社力
も会
拠社
出
)
(
グ各
リ地
運ー域
用ンご
主電と
体力に
制設
度置
)
風
力
・
太
陽
光
)
全
風 国
運
力 用
分
グリーンラベル
7
2.電気事業規制緩和の背景
電気事業規制の歴史①
8
~わが国電気事業の競争時代~
わが国電力事業の競争時代
わが国の電力事業は、第二次大戦前の国家統制期までは競争
時代だった。
明治~一次大戦 電気事業黎明期。需要増に伴い多数の事
業者が参入。
一次大戦後
不況のために合併が進み、5大電力会社
が支配的地位を確立。
5大電力間の市場獲得のための過当競争により、不経済な設備
の重複、資産内容の悪化、原価無視の不合理 な値下げが行わ
れ、その後の経営悪化は需要家に高い料金、劣悪なサービスとし
て転嫁された。
9
公益事業規制の歴史②
①事業全体に亘る規模の経済性
②過当競争時代の市場の失敗
等から
1947年 電気事業は自然独占性があるとして、独禁法21条
(適用除外規定)により同法の適用除外とされた。
同時に供給義務、原価主義等の規制
今般の自由化の進展により
2000年 電気事業の、独禁法21条の同法適用除外が廃止
となった。
しかし、非自由化分野についての規制は残っている
電気事業をめぐる規制緩和の背景
規制緩和の背景
○技術革新
小容量ガスタービン発電機の開発などにより、従来自然
独占とされていた分野への参入可能性が高まった。
○国際化
国際的な相互依存関係が進展し、諸外国から規制分野の
市場開放を求められるようになった。電気事業について
は、諸外国において自由化が進展。
○産業政策
「行政主導」から「規制緩和による民間活力の活用」へ
の産業政策の転換。(小さな政府)
90年代に入り、主に欧米で電力市場の自由化が進展。我
が国でも、高コスト構造の是正、電気料金の内外価格差縮
小のために規制緩和に対する検討が開始された。
10
11
内外価格差(諸外国との料金比較)
(円/kWh)
25
単純為替レートによる比較
購買力平価による比較
30
22.37
18.83
20
(円/kWh)
25
14.30
15
14.93
26.61
22.37
20
18.82
19.53
15
10
100
84
64
67
10
5
5
0
0
日本(当社)
アメリカ
イギリス
フランス
(モデル)家庭用 (280kWh/月)
日本は2000年10月料金改定反映後
為替レートは1999年平均
1US$=113.91円、1£=216.83円、
1FFr=22.19円
100
119
84
87
日本(当社)
アメリカ
イギリス
フランス
(モデル)家庭用
1999年OECD購買力平価
1US$=161円、1Stg£=242.47円、
1FFr=24.21円
内外価格差の要因
○為替レートの変動
○日本の需給構造問題
•負荷率の低さ
•需要の増加が高いための設備投資水準の高さ
(設備の若さ)
○人件費の高さ
○環境基準の厳しさ
•良質な燃料の使用
•環境投資額の高さ
○土地制約
•土地代など土地関連コストの高さ
•送電線ルートの確保の困難さ 、送電線の長距離化
12
電気事業における競争形態(イメージ)
13
発送配一貫電力会社
発電機能
発電会社B
発電会社A
卸売市場
送配電(独占)
送電・系統運用等のサービスは卸売・小売
市場への参入者に非差別的に提供。
販売機能
販売会社
小売市場
需要家
販売会社が電気
を市場から調達
し需要家に販売
需要家と直接
契約し販売
14
電気事業の自由化モデル
任意プール
発電
強制プール
IPP
発電
プール
小売
需要家
・北欧(Nord Pool)
・ニュージーランド
・英国(改革後)
IPP
送電
送電
託
送
配電
小売
発電
プール
送電
託
送
IPP
第三者アクセス
(託送)
託
送
配電
配電
小売
需要家
小売
小売
需要家
・英国(現行)
・日本
・オーストラリア
・ドイツ
・米国/加州(大手3社) ・フランス
小売
15
英国における電力自由化の背景
(背
景)
○非効率な国営事業の民営化(サッチャー政権)
○厳しい財務状況を踏まえ、国内炭保護政策を転換
○北海油田等により、石油・ガスとも豊富に産出し、
エネルギー・セキュリティ上の不安がない
・自給率114.9%(1995年)
(ねらい)
○国営事業の効率化(民営化)による電気料金の
引き下げ
英国(イングランド・ウェールズ)の自由化前の体制
[発
電]
[送電]
中央発電局
(独占)
[配電]
16
[小売供給]
各地区配電局
(地域独占)
需
要
家
スコットランドの発電局
フランス電力公社
英国の自由化後の体制(90年~)
[発
電]
[送電]
ナショナル・パワー社(NP)
強制
プール
[配電]
17
[小売供給]
[一般供給事業者]
各地区配電会社
パワー・ジェン社(PJ)
入札
ニュークリア・エレクトリック社(NE)
ナショナル・
グリッド社
区域外配電会社
ナショナル・パワー社
IPPs(新規参入者)
インター・
コネクター
フランス電力公社
インター・
コネクター
要
家
パワージェン社
スコットランドの発電会社
需
IPPs
[第2種供給事業者]
18
英国プールの価格決定方式
~(売り注文)積み上げ方式~
ペンス
/kWh
落札した各発電所に2.5
ペンス/kWh(SMP)+0.5
ペンス(CE)を支払い
ある時間帯の電力需要量=450万kW
3
CE=0.5
2
SMP=2.5
1
A発電所
B発電所
1
C発電所
2
3
D発電所
E発電所
4
F発電所
5
6
百万kW
*SMP=System Marginal Price(系統限界価格)
*CE=Capacity Element (設備要素)=電源建設のインセンティブを確保す
るために導入しされたプレミア。供給力が逼迫するピーク時に大きく
なり、供給力に余裕のある夜間は0となる。
英国の自由化後の問題点
19
英国(イングランド・ウェールズ)では、1990年4月に強制プールが導入さ
れて以来約10年が経過したが、その間様々な問題点が指摘され
てきた。
英国の強制プール・モデルの問題点
①入札価格がコストを反映していないこと
②プール価格が発電コストの低下を反映していないこと
③市場支配力の存在
④プール価格計算の複雑さ
1998年7月 OFFER(電力規制庁)
「電力取引に関する取決めのレビュー:提案」
NETAの概要
英国では、問題が多い現行の強制プールが廃止され、2000
年冬から、相対取引を中心とした新しい電力取引制度
(NETA)の導入が予定されている。
概
要
①先渡・先物市場(forwards and futures market)
②短期契約市場(short-term bilateral market)
③需給調整市場(balancing market)
④インバランス決済
(settlement process for imbalances)
※公設の電力取引市場は開設されないが、私設での開設は可。
現時点で、多数の私設の電力取引市場が開設予定。
20
米国(加州)における電力自由化の背景
(背
景)
[米国全体]
○州間の料金格差の存在
→最高/最低州:2.9倍(日本の場合1.2倍)
○石油・天然ガス等多様で豊富なエネルギー資源を
産出
・自給率79.7%(1995年)
[カリフォルニア州]
○全米平均よりかなり高い電気料金(1998年)
→加州:9.9¢/kWh、全米:6.74¢/kWh(1.5倍)
(ねらい)
○州の壁を撤廃して、州外の安い電気を導入
21
22
カリフォルニア州の自由化前の体制
自由化の背景:高い電気料金(9.9c/kWh、全米平均6.74c/kWh)
→州外の安い電力を購入して、電気料金の低減を図る
[発
電]
[送電]
[配電]
[小売供給]
SCE(サザン・カリフォルニア・エジソン)
PG&E(パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック)
需
SDG&E(サンディエゴ・ガス・アンド・エレクトリック)
要
家
QF、IPP
カリフォルニア州の自由化後の体制
(98年~)
[発
電]
SCE
PG&E
SDG&E
IPP
IPP
[送電]
PX
卸
電
力
プ
ー
ル
[
系
用統
]運
I
S
O
(
直接取引 中
立
機
関
直接取引
)
[
所
有
]
23
[配電] [小売供給]
SCE
PG&E
SDG&E
需
小 売
事業者
要
家
24
カリフォルニアPXの価格決定方式
ドル/MWh
60
~需要供給曲線方式~
50
40
需要
供給
30
落札価格
20
10
0
200 400 600 800 1,000 1,200 1,400
MWh
落札取引量
*このようなグラフを時間帯別に作成
米国の自由化後の問題点①
25
~カリフォルニアでの卸電力価格の高騰~
カリフォルニアでの卸電力価格
[セント/kWh] CALPX
100
Price Spike
Day-Ahead Price (2000/6 ~8)
Price Spike
7月1日
75→50セント/kWh
8月7日
50→25セント/kWh
75
Price Spike
50
Price Cap
(上限価格)
25
0
6月
7月
1999年平均価格
2.8セント/kWh
8月
(出典:CAISOホームページ)
26
米国の自由化後の問題点②
~SDG&Eの小売電力料金が2倍に~
セント/kWh
00
20
99
19
98
19
97
19
96
19
95
19
94
19
93
19
92
19
19
90
19
19
89
17
16
15
14
13
12
11
10
9
91
SDG&Eの家庭需要家向けの電気料金(7月)
Source: Tariff Sheets
(出典:CPUC 2000.8.2報告書)
調達コストの高騰を料金に転嫁できたSDG&E社に対し、
競争移行期間中で調達コストを料金に転嫁できなかった電力会
社PG&E社、SCE社は、合計約40億$もの損害を蒙ったとされる。
米国の自由化後の問題点③
27
~カリフォルニアにおける緊急宣言(輪番停電)~
カリフォルニアISOの需要状況(2000年)
[万kW]
5000
6/14
輪番停電
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1500
(出典 CAISOホームページより)
1000
6月
7月
8月
28
米国の自由化後の問題点④
~カリフォルニアにおける緊急宣言(輪番停電)~
緊急宣言の発動回数
凡例
緊急宣言の
段階
緊急宣言の
発動基準
ステージ1
7%以下
ステージ2
5%以下
ステージ3
1.5%以下
電力会社に求められる対策
需要家への節電の呼びかけ
今夏の発動回数
21回
供給遮断可能需要家の供給遮断
による需給逼迫の回避
輪番停電の実施による需給逼迫
の回避
13回
(6/14に1回)
ステージ2発動による供給遮断の実例
6月28日
7月31日
8月 2日
8月14日
供給遮断が行われた需要家数
供給遮断の規模
127,000軒
26,500軒
127,000軒
125,000軒
119万kW
245万kW
240万kW
74万kW
※上記以外の供給遮断件数、規模は不明
米国の自由化後の問題点⑤
29
~今冬における需給逼迫と電力会社の経営危機~
今冬の需給逼迫
カリフォルニア州においては今冬に入り、再び需給逼迫が起こっている。
原因:①延期されていた発電所定期点検の実施
②市場価格の高騰による発電用天然ガスの不足
③州外からの融通電力の減少
④窒素酸化物排出枠の消化
などの要因が重なり、供給力が著しく不足したこと。
12月4日~7日 4日連続で「ステージ2」発動。
12月7日夕方 初の「ステージ3」発動。輪番停電。
電力大手2社(SCE社、PG&E社)の経営危機
需給逼迫を背景に卸売料金の高騰が続き、小売料金を規制されている大手電力のう
ち2社が経営危機に陥っている。現在、2社が逆ざやで回収できなかった費用は約110
億$(約1兆2,000億円)とされている。
1/4 カリフォルニア公益事業委員会が2社の小売料金値上げ(7%~15%)を承認。
(2社の要求は25%~30%であり、それとはほど遠い内容。)
1/4、1/5 S&P、ムーディーズが2社の格付け投資適格の最低級に引下げ。
加州公益事業委員会(CPUC)報告書①
○CPUCは、6月14日に発生した輪番停電や、SDG&Eの需要家
の電気料金上昇を受けて報告書を発表。
カリフォルニア州の電力需給が逼迫した理由
①需要の増加に供給力の増加が追いついていない。
②既存の発電所の経年劣化(運開後30年以上経過した発
電所が55%)
③送電線制約(特にサンフランシスコ、サンディエゴ)
④好景気とIT産業の増加による電力需要の増加
30
加州公益事業委員会(CPUC)報告書②
カリフォルニア州で発電所の建設が進まなかった理由
①1990年代に州政府は、長期電源計画の策定を廃止
→発電所の建設を市場原理に委ねたが、投資家はリス
クの大きい新規発電所建設への投資を敬遠。
②1990年代前半の不景気
→需要が増加せず、発電所建設のインセンティブを阻
害
③電気事業再編過程における規制動向の不透明さ
④発電所建設認可に対して厳しい環境規制
31
自由化によるストランデッドコストの発生
32
ストランデッドコスト(回収不能費用)とは?
電力市場への競争導入の結果生ずる減額不可能で正当化
しうる未回収のコスト。
ストランデッドコストの回収
ストランデッドコストについては自由化が導入された多くの国
でその回収が認められている。
例:米国の場合・・・予想額 1,350億$(約14兆円:ムーディーズの試算)
カリフォルニア州では、自然エネルギー発電等(QF)からの買い取り義務により
発生する損失等について、競争移行料金(CTC:competition transition
charge)のという形で電気料金に上乗せしての徴収が認められている。
例:英国の場合・・・化石燃料課徴金徴収額 80億£(約1.6兆円)
回収が見込めなくなった原子力のバックエンド費用(廃炉費用等、)につい
て、化石燃料課徴金という形で、電気料金に上乗せしての徴収された。
電気事業法改正(H7.12施行)の概要
Ⅰ.電気事業への参入規制の緩和 ~競争原理の導入~
○卸発電事業への参入自由化
○入札制度の導入
○卸託送の活性化
○特定電気事業の創設
Ⅱ.料金規制の見直し ~事業者の自主的努力による課題解決~
○負荷平準化に資する料金の届出制への移行
○ヤードスティック査定の導入
Ⅲ.電気設備の保安に係る規制の緩和 ~保安規制の合理化~
○国の直接関与のあり方の見直し
33
平成7年電事法改正による
電力供給体制の変化
法改正後のシステム
従来のシステム
A
電
力
会
社
他電力
会社
融
通
34
A
電
力
会
社
の
お
客
さ
ま
:電気の流れ
A
電
力
会
社
他電力
( 会社
参
入
自 IPP
由
)
(
参 C特定
入
許 電気
可 事業者
必
要
)
卸供給
(入札)
融
通
A社管内
競
争
関
係
A
電
力
会
社
の
お
客
さ
ま
A社管外卸託送
C社の
お客さま
35
3.電力小売部分自由化の概要
さらなる規制緩和への流れ
36
日本経済の閉塞感
経済構造改革プログラム
○橋本首相の6大改革の一つとして
位置づけ
○「経済構造の変革と創造のための
プログラム」発表 (H8.12)
○同プログラムの行動計画公表(H9.5)
改正電気事業法施行後の状況
○入札の実施
○特定電気事業
小売分野での競争化は、事例も
少なく限られた状況
さらなる規制緩和への圧力
○世界的な電力市場自由化の流れ
・英国での電気事業民営化 ('90)
→EU指令成立 ('96)
・米国加州での電気事業再編 ('98)
○行政改革委員会規制緩和小委の
論点公開 (H8.12)
○公正取引委員会研究会の報告書
(H9.5)
電気事業審議会
○基本政策部会および3小委を設
置し、更なる規制緩和について
審議を開始 (H9.7~)
わが国の電力自由化における主な論点
37
電力市場自由化の進展
電力供給システム
のさらなる効率化
公益性の確保
どう両立
させるか
ユニバーサル・サービス
供給信頼度
エネルギー・セキュリティ
環 境
38
「部分自由化」への帰着
部分自由化
全面自由化
プール市場
問 題 多 い
エネルギー
公 セキュリティ
益
環境
的
課
題 供給信頼度
へ
の
影
響 ユニバーサル
サービス
現
状
に
お
い
て
現
実
性
高
い
•原子力開発の困難化
•エネルギー輸入依存度の上昇
•地球環境問題への影響
•系統運用の困難化
•地域毎に電気料金格差が発生
•供給事業者の撤退等による需
要家への不利益発生
39
自由化の制度設計
(関電管内)(他電力管内)
関西電力
IPP・
自家発
他電力、IPP
送配電
ネットワーク
規制対象のお客さま
(規制料金)
自由化対象のお客さま
(自由料金)
行政に届け出る
接続供給約款に
より公平に運用
40
自由化対象顧客の規模
自
由
化
部
門
産業用
業務用
(販売電力量)
業
務
用
電
力
特別高圧電力
2,000kW
高圧電力B
500kW
非
自
由
化
部
門
関西電力管内における規模
2万V
30%
70%
特別高圧
その他
高圧電力A
(収入)
50kW
6,000V
低
圧
電
力
21%
200V
従
従
量
量
電
電
灯
灯
B
A
200~
100V
特別高圧
その他
79%
自由化制度「3年後の検証」
H.11.1.21 電気事業審議会「基本答申」
制度開始後概ね3年後を目途に自由化の範囲及び自由化に関連す
る制度内容などについて検証した上で、部分自由化の範囲拡大、全
面自由化及びプール市場の創設の是非について検討すべきである。
主たる検証の視点
(1) 部分自由化の実績
(2) 海外の自由化の状況
(3) 系統安定等に関する技術の状況
(4) 公益的課題への影響の有無
改正電気事業法付則12条
政府は、この法律の施行後3年を経過した場合においてこの法律
の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて、必要な措
置を加えるものとする。
41
部分自由化前後の新規参入者の動向
電力小売り
42
電力取引市場
○H11/10/13 イーパワー設立 オリックス+米エンロン
○3/2 ダイヤモンドパワー設立 三菱商事
3/21
部
分
自
由
化
開
始
○4/19 JPX社設立(米APX、伊藤忠)計画発表
5月
○5/12 エンロン・ジャパン設立、米エンロン
6月
○6/8 e-REX設立を発表
7月
8月
○6/10 ダイヤモンドパワー、PPS届出第一号
○6/20 大口需要家協議会設立計画発表
○7/7 エネット設立、NTT、東・大ガス連合
○7/19 丸紅、水力発電買収
○8/1 自由化後、初の離脱
ダイヤモンドパワー、三菱系ビルへ供給開始
○7/28 日本向け天候デリバティブ取引開始
発表 エンロン・オンライン社
○8/9 丸紅、PPS開始届出(全国2番目)
○8/31 ダイヤモンドパワー、通産省に供給開始
9月 ○9/20 旭硝子、PPS届出(3番目)
10月 ○11/1 ダイヤモンドパワー、ダイエー、日産等4社
に電力供給開始。
~
○8/4 大手銀行、天候デリバティブを販売
主な新規参入者の動向
凡例
既存PPS 新設予定 自家発
水力
石炭
サニックス(苫小牧)
石油
7.4万kW/廃プラ/2002年
ガス
その他
発電所名(地点名他)
発電規模/燃料/運開or供給開始年
丸紅(三峰川)
3.22万kW/水力
イーパワー(六ヶ所)
200万kW/LNG/2007年
エネサーブ(舞鶴or滋賀)
1.5万kW/ディーゼル/2004年
エネット(大ガス・日本製紙都島)
1.5万kW/都市ガス/2001年
旭硝子(北九州)
4.09万kW/重油
呉羽化学工業(いわき)
5~10万kW/石油コークス/-
ダイアモンド・パワー(鹿島北)
3.5万kW/副生ガス
サニックス(伊万里)
エネット(東ガス・千葉)
5万kW/廃プラ/2002年
10万kW/LNG/2002年
イーパワー(大牟田)
50万kW/石炭/-
旭化成(日向)
10万kW/石炭/-
トクヤマ(トクヤマ・自家発増設)
14.5万kW/石炭/-
イーパワー(宇部)
100~150万kW/石炭/2006年
ダイアモンド・パワー(NKK・京浜)
2万kW/高炉ガス
43
部分自由化に関する最近の状況
入札
44
電力会社の対応
○2/28 通産省、電力入札説明会
部 分 自
3/21
4月
5月
7月 ○7/18 静岡県、全国初の電力入札実施
由
化
開
始
○4/1 電力3社新料金メニュー実施
入札は、中部電力一社のみ
8月
9月
10月
~
○8/10 通産省、電力入札実施
ダイヤモンドパワーが落札
○7/27 大阪府、電力入札実施決定
○9/8
大阪府電力入札実施
○8/10 通産省、電力入札実施
入札は、当社一社のみ
ダイヤモンドパワーが、落札
○9/27 福岡競艇場電力入札実施
九州電力が単独入札
○10/2 トヨタ電力調達に見積もり方式導入を
決定。
○8/29 関西電力米国電力事業へ
の参入を表明。
○10/1 電力10社電気料金引き下げ
を実施。
10社平均の値下げ幅は5.42%
○10/11 東京電力が、米APXに出資
電力パラダイムの転換
45
経済の市場化・流動化
○消費者資本主義
○既存のバリューチェーン解体
○生き残りのための合従連衡
○e-Economy化
・電力単一商品?
・垂直統合事業?
電力パラダイム
の転換
構造リスクを抱えた中で
本格化するエネルギー間競合
○構造的需要低迷+技術革新
○市場自由化、事業規制緩和
→新たな市場成立、市場毎の
競争者、国際圧力
・設備産業?
・地域産業?
自由化に関する通信と電力の違い
電力
託送されるもの
商品
事故・需給逼迫時
技術革新
電気通信
電力:
送電網の中では完全
に無差別となる。
情報:
他の情報との混合なし。
電力
ネットワークそのもの
ネットワーク外部性 小さい
相互接続コスト
46
大きい
相互接続に関するコス 接続に係る(traffic
トのみを抽出する事は sensitive)コストのみを
困難。
抽出可能。
事故や需給逼迫は、シ 事故・一部不通は、迂
ステム全体に影響。
回などにより対応可能。
ほとんど起こっていな
い。
急速に進展している。
自由化の中での原子力の課題と役割①
~短期的な課題~
電気事業の自由化に伴い問題となりうる原子力の特徴
○初期投資が大きい。
○キャッシュのイン・フローとアウト・フローの時間
的ラグが大きい。
[短期的には]
自由化による不確実性の増大により、長期的に運転して初
めてメリットの出る原子力発電のメリットが活かしにくい。
→資本費回収済みの既設プラントは、優れて安価な電
源となるが、発電所新規建設のインセンティブは失われ
る恐れがあり、何らかの施策が必要。
47
自由化の中で原子力の果たす役割②
~長期的観点から見た役割~
[長期的には]
地球全体の環境問題の永続的解決を目指しつつ、各国が
エネルギー安全保障を確保するには、原子力を将来とも重
要な選択肢として堅持する必要性。
→①経済性と安全性の更なる向上。
②放射性廃棄物の最終処分問題の解決。
③核不拡散問題への一層の取組
を果たすことが、原子力を将来ともに重要な選択肢
として確保し、更にその技術開発によって途上国な
どの新しい市場への導入が可能となる。
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