局部銀河群内の メタノールメーザー源探査

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Transcript 局部銀河群内の メタノールメーザー源探査

局部銀河群内の
メタノールメーザ源探査
澤田-佐藤聡子
(山口大学)
1.
2.
3.
4.
系外メタノールメーザとその重要性
探査観測諸元
観測結果
考察および今後の予定
系外メタノールメーザ
大マゼラン雲内の3天体
HII領域x2, IRAS源x1
(Sinclair et al. 1992, Elingsen et al. 1994a, Beasley et al. 1996)
メガメーザ未発見
(Elingsen et al. 1994b, Phillips et al. 1998, Darling et al. 2003)
大マゼラン雲以外の局部銀河群では未検出
c.f. 局部銀河群の水メーザは
M33 2個、IC10 2個、SMC 2個、LMC 7個
(Brunthaler et al. 2006)
北天に系外メタノールメーザはナシ
系外メタノール探査の世界情勢
オーストラリアグループ先行
マゼラン雲内の検出、メガメーザ探査共に
イギリスジョドレルバンクのラベル望遠鏡
アメリカNRAO アレシボ
5
M33の大質量HII領域(≥4x10 Msolar)14箇所
(Goldsmith et al. 2007 astro-ph/arXiv:0710.1677v1)
ネガティブ結果: 1mJy@3σ
探査する HII 領域の選択が非常に重要
局部銀河群メーザの利用法
局部銀河群内の銀河の
測距、3次元運動
(M33:Brunthaler et al. 2005,
IC10:Brunthaler et al.2007)
局部銀河群といえども
固有運動導出には時間
がかかる
M33の水メーザ: 30±8μas/yr
数年レベルで安定なプローブの必要性
=> 局部銀河群のメタノールメーザ探査
メタノールメーザ探査対象
局部銀河群
M33, IC10, M31…..
M33: 100以上あるHII領域のうち、
水メーザ検出報告がある4箇所
V013, V028(IC133), V033(M33/19), V077
(Viallefond et al. 1986)
Ultra Dense HII (UDHII) 領域14箇所
(Johnson et al. 2001)
大質量星形成の最も若い時期
探査観測諸元
観測装置:
山口32m望遠鏡
観測日時:
2007年8月の16日間
観測周波数: 6.7 GHz
観測天体:
M33の HII 領域
オンソース時間:各領域で約5時間
速度分解能:0.044 km/s (4MHz 4096点)
ビームサイズ:〜5分角
感度:
〜0.3Jy rms @1ch
-6
M33の距離で 4x10 Lsolar
系内の典型的なメタノールメーザ源と同じ
観測対象 HII 領域リスト
天体名
赤経
赤緯
天体名
赤経
赤緯
ud01
01:33:02.4 +30:46:42.9
ud10
01:34:02.2 +30:38:40.7
ud02
01:33:16.0 +30:56:45.9
ud11
01:34:06.4 +30:41:45.6
ud03
01:33:16.5 +30:52:50.3
ud12
01:34:13.7 +30:34:51.4
ud04
01 33:37.5 +30:47:19.3
ud13
01 34:17.3 +30:33:43.3
ud05
01:33:39.2 +30:38:06.9
ud14
01:34:38.9 +30:43:59.7
ud06
01:33:43.6 +30:39:07.1
v013
01:30:07.7 +30:23:30.0
ud07
01:33:48.2 +30:39:17.8
v028
01:30:27.2 +30:37:30.0
ud08
01:33:59.8 +30:32:45.3
v033
01:33:59.8 +30:32:45.3
ud09
01:34:00.2 +30:40:47.7
v077
01:31:11.0 +30:25:23.0
観測結果
ネガティブ結果
天体名
rms (Jy)
結果
天体名
rms (Jy)
結果
ud01
0.32
Negative
ud10
0.32
Negative
ud02
0.30
Negative
ud11
0.27
Negative
ud03
0.27
Negative
ud12
0.30
Negative
ud04
0.31
Negative
ud13
0.30
Negative
ud05
0.28
Negative
ud14
0.30
Negative
ud06
0.30
Negative
v013
0.56
Negative
ud07
0.30
Negative
v028
0.48
Negative
ud08
0.35
Negative
v033
0.38
Negative
ud09
0.33
Negative
v077
0.38
Negative
考察 〜ネガティブ結果の訳
可能性その1:
感度が検出レベルに達していなかった?
可能性その2:
探査対象の HII 領域の選択がハズレた?
考察 〜観測検出レベル
-6
観測の1σ:0.3 Jy => 4x10 Lsolar@M33
系内のメタノールメーザとして典型的
c.f. LMC のメタノールメーザ (距離45kpc)
-6
 MC18 (HII):
0.3Jy => 2.1x10 Lsolar
 MC28 (HII):
0.2Jy => 4.8x10-7 Lsolar
 IRAS 05011-6815: 4Jy => 9.6x10-6 Lsolar
明るいメーザ天体検出限界ぎりぎり?
もっと高感度ならMC18レベルが検出出来た?
考察 〜HII領域選択は適切?
系内メタノールメーザと HII 領域の関係
UCHII領域に付随 (Ellingsen et al. 1998)
年齢数万年 (van der Walt 2005) 星誕生前のHII領域?
LMC のメタノールメーザの HII 領域は?
LMC の
Type I
Type II
Type III
HII 領域の進化 (Fukui et al. 2007)
大質量形成を伴わない
HII 領域のみ
HII 領域に若いクラスター (年齢数百万年)
MC18も MC23も Type III HII 領域
まとめと今後の予定
山口32m望遠鏡で、M33のHII領域を対象にメタ
ノールメーザ源の探査を実施
Ultra Dense HII 領域
水メーザ検出報告のあるHII領域
ネガティブ結果 (1σ: 0.3Jy)
系内の明るい天体検出ぎりぎりの感度
今後は…
探査対象再検討
M33 いっそのこと山口のビーム6x7個で網羅?
M31 注意深く対象を選択
感度を上げる。観測時間を長くとる。