会計学総論B_09

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会計学総論B
第9回、第10回
業務執行的意思決定
2
意思決定のための会計
 業務執行的意思決定
経営構造の変革を伴わない日常的、反復的に
実施される意思決定
 戦略的意思決定
経営構造の変革を伴う随時的に実施される意
思決定
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業務執行的意思決定
 業務執行的意思決定(operating
decision)
経営の基本構造の変更を伴わない意思決定



主として短期の意思決定で、時間的価値を考慮す
る必要なし
ミドルないしロワー・マネジメントが行う
部品の自製か購入かの決定問題、特別注文、売却
か追加加工か、製品系列の廃棄、製品組み合わせ
問題など
意思決定会計論B
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特殊原価概念
 経営意思決定のために有用な原価概念
 原価計算制度外の原価概念
異なる目的には異なる原価を
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関連原価
 関連原価(relevant
cost)
意思決定の結果変化する原価
 未来増分原価
 意思決定のための原価概念の総称
関連原価 未来差額原価
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差額原価
 差額原価(differential
cost)
意思決定の結果変化する原価
 増分原価
減分原価
 多くは変動費
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機会原価
 機会原価(opportunity
cost)
いくつかの代替案の中から1つを採用して他を
断念したために失われる他の代替案から得ら
れるであろう利益
失われる利益がいくつかある場合には、最大逸
失利益
 支出原価の対概念
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埋没原価
 埋没原価(sunk
cost)
一定の状況のもとでは回収できない歴史
的原価
意思決定のためには関係しない原価
意思決定の結果変化しない原価
 無関連原価
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現金支出原価
 現金支出原価(out
of pocket cost)
経営者の行なう一定の意思決定の結果、現金
支出を生ぜしめるような原価
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回避可能原価
 回避可能原価(avoidable
cost)
意思決定の結果として、その発生を回避できる
原価
 回避不能原価(unavoidable
cost)
意思決定の結果として、その発生を回避できな
い原価
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延期可能原価
 延期可能原価(postponable
cost)
現在の経営活動の能率にはほとんどまたは全
く影響を及ぼさないで、将来に延期できる原価
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付加原価
 付加原価(imputed
cost)
現金支出をともなわず、そのため制度としての
会計・原価計算上では認識・測定されないが、
特定の活動あるいは代替案の真の価値を評価
するために計算上算入すべき原価
 帰属原価、計算原価
 機会原価と同義に扱うこともある
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№13
貢献差益分析
 contribution
margin analysis
 原材料、労働力、生産設備などの生産に必要
な資源の制約(希少資源)が存在するとき、この
希少資源単位当たりの貢献差益に注目して、
貢献差益が最大になるような代替案
 希少資源単位当たりの貢献差益が高いものか
ら順に選択する
 希少資源が複数の場合は、リニア・プログラミン
グが利用される
意思決定会計論B
№14
関連原価分析
 relevant
cost analysis
 関連原価によって代替案の採否を決定する
方法
 差額原価分析(differential
cost analysis)が代表
的方法
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自製か、外注か
 部品を自製するか、購入(外注)するかの決定問
題
 原価を比較して、小さい方を有利な代替案とし
て選択する
 手余りの状態と手不足の状態で方法が違う
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例題1
 資料
Y部品1個当たりの製造原価
直接材料費
2,000円
直接労務費
1,000円
変動製造間接費
400円
固定製造間接費
800円
合計
4,200円
Y部品だけの製造設備の原価
 外部購入原価
4,000円
300円
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例題1 解答
 固定製造間接費のうち300円は埋没原価
 自製の場合の差額原価は3,900円
 外部購入4,000円
 よって、自製の方が100円安いので、
自製すべき
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特別注文を引き受けるか否か
 生産能力に余裕がある場合に特別に注文を受
け、それを受けるべきか断るべきかという決定
問題
 生産能力に余裕がある場合には、固定製造間
接費の多くは埋没原価になる
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例題2
 資料
製品Zの製造・販売データ
販売価格
10,000円/個
直接材料費
3,000円/個
直接労務費
1,000円/個
変動製造間接費
1,000円/個
固定製造間接費
2,000円/個
変動販売費・一般管理費 1,500円/個
固定販売費・一般管理費
500円/個
 6,000円/個 200個引き合い
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例題2 解答
売上高
変動売上原価
直接材料費
直接労務費
変動製造間接費
変動製造マージン
変動販管費
貢献利益
固定費
固定製造間接費
固定販管費
営業利益
総額法
注文拒否
8,000,000円
注文受諾
9,200,000円
差 額
1,200,000円
2,400,000
800,000
800,000
4,000,000円
1,200,000
2,800,000円
3,000,000
1,000,000
1,000,000
4,200,000円
1,200,000
3,000,000円
600,000
200,000
200,000
200,000円
0
200,000円
1,600,000
400,000
800,000円
1,600,000
400,000
1,000,000円
0
0
200,000円
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例題2 解答
増分収益
増分原価
直接材料費
直接労務費
変動製造間接費
増分利益
増分法
6,000円×200個
1,200,000円
3,000円×200個
1,000円×200個
1,000円×200個
600,000
200,000
200,000
200,000円
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製品系列の廃棄の問題
 既存の製品が財務会計上の損益計算書で常に
赤字が計上されているような場合、その製品を
廃棄して他の製品だけを製造・販売するか否か
いう決定問題
 製造間接費の配賦額を埋没原価とし、廃棄する
ことによって発生しなくなる原価(回避可能原価
)を関連原価とする
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例題3
 資料
製品別損益計算書
X製品 Y製品 Z製品 合 計
売上高
1,600 1,400 1,000 4,000
変動費
960
770
600 2,330
貢献利益 640
630
400 1,670
固定費
700
450
350 1,500
営業利益 -60
180
50
170
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例題3 解答
 X製品を廃棄すると、340万円の増分利益が
失われるので、販売を中止すべきではない
1,600
1,000×
4,000
1,400
1,000
1,000×
1,000×
4,000
4,000
製品別損益計算書
X製品
Y製品
Z製品
合 計
売上高
1,600
1,400
1,000
4,000
変動費
960
770
600
2,330
限界利益
640
630
400
1,670
個別固定費
300
100
100
500
貢献利益
340
530
300
1,170
共通固定費
400
350
250
1,000
営業利益
-60
180
50
170
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最適プロダクト・ミックスの問題
 製品の製造・販売でボトルネックが存在すると
き、製品をどのように組み合わせて製造・販売
するかという問題
 ボトルネック
製造量や販売量に制約を加える要因
 ボトルネックがひとつの場合は、貢献差益分析
2つ以上の場合はリニア・プログラミング
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例題4
 資料
製品X
製品Y
固定費
販売価格 変 動 費 作業時間
1,000円/個 700円/個 2時間/個
800円/個 600円/個 1時間/個
500,000円
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例題4 解答
問1
総需要量の数量がボトルネックなので、製
品1個当たりの貢献利益を求める
製品X 1,000円/個-700円/個=300円/個
製品Y 800円/個-600円/個=200円/個
営業利益
300円/個×3,000個-500,000円=400,000円
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例題4 解答
問2
作業時間がボトルネックなので、作業時間
1時間当たりの貢献利益を求める
製品X 300円/個÷2時間/個=150円/時間
製品Y 200円/個÷1時間/個=200円/時間
営業利益
200円/個×5,000個-500,000円=500,000円
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例題5
 資料
製品X
製品Y
固定費
A機械
B機械
販売価格 変 動 費 作業時間
1,000円/個 700円/個 2時間/個
800円/個 600円/個 1時間/個
500,000円
製品X 製品Y 利用可能時間
90分
30分
3,000時間
30分
30分
2,000時間
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例題5 解答
目的関数
300x+200y ⇒ max
制約条件
1.5x+0.5y≦3,000
0.5x+0.5y≦2,000
非負条件
x≧0
y≧0
y
6,000
4,000 A
1.5x+0.5y=3,000
B(1000,3000)
0.5x+0.5y=2,000
O
C
2,000
4,000
x
製品X1,000個、製品Y3,000個で営業利益400,000円
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