IRMの原点を振り返る

Download Report

Transcript IRMの原点を振り返る

IRM-zero
情報資源管理の原点を振り返る
中西昌武
名古屋経済大学
2003年5月30日 東海IRM研究会
資源とは
活用によって価値を生み出すことのできるもの
事物的であるかどうかは問わない。
価値=主体にとって望ましいとされるもの
活用とは?
主体とは?
望ましいとは?
主体を決めるのは誰だ?
情報資源とは?
「情報の生成や活用に
必要なため
経営管理すべき資源」
情報の生成や活用とは?
必要とはどういうことか?
経営管理とは?
データとは
事物・事象を表す「記号」
視認
記号は紙の上にも、
画面の上にも、
脳のなかにも存在する。
事物・事象
思考
イマジ
ネーショ
ン
表示
受注
生産
融資
移動履歴
品定め
バナークリック
情報とは
主体によって
認識され、意味づけられた
内容をともなう「記号」
外部データの助けを借りることなく、
情報はかってに生成しうる。
これを「想像」という。
行動を引き起こすのは情報である
やるなら
今だ!
意思決定
行動
事実・事象
情報は、行動を起こす主体の
頭の中にしか存在しない。
たとえ事実と切れていても!
情報は管理できるのか?
①データという記号の
②外部からの提供によって(データ統制)
③頭の中の記号に
④望ましい変化を
引き起こさせる。(情報管理)
→⑤望ましい経営行動
望ましさがわかっているなら幸せだが。
データ統制による情報の管理
①「在庫発注点の通過」を
②在庫監視プログラムが報告し
(データ統制)
③発注管理担当者は、
〔②’発注ガイダンスをもとに、〕
④現場状況を加味した量を決め
→⑤間に合うように発注する。
(情報管理)
データ統制による情報の管理
いつもうまくゆくとは限らない。
◆データ
うまく表わせない。
表したとき、事実・事象はすでにない。
◆情報
データから、事実・事象が描けない。
起こってから知っても対処できない。
何を知りたいのかがわからない!?
人間の頭の中の問題
情報は、頭の中にある。
事実・事象
(人間が)
→データ表現
(人間が)
→情報把握・理解
(人間が)
→意思決定・行動
3文字の裏の渇望を振り返ると?
MIS (Management Information System)
SIS (Strategic use of Information System)
DSS (Decision Support System)
CIM (Computer Integrated Manufacturing)
BPR (Business Process Reengineering)
SCM (Supply Chain Management)
DOA (Data Oriented Approach)
IRM (Information Resource Management)
…「情報を上手に活用した経営資源の運営」
これが欲しい
現場の生のデータがほしかった
MISブーム
(日本では1967~
1968年)
訪米MIS使節団
(戦後のIT遣唐使)
しかし…
オンラインのデータ収集は難しかった。
データ分析も処理し切れなかった。
管理者のデータ利用も未熟だった。
ただし、
業務別のシステム化の道は
拓かれた。
迫りくるシステム統合の「危機」
R. Nolan,
1979
わが社はこの辺にあるという焦り
▲
I.開始 → II.拡張 → III.統制 → IV.統合 → V.データ管理→VI.成熟
メンテナンス地獄の苦しみ
◆増える一方の管理対象
データ項目、ファイル、プログラム
◆見えなくなる一方のインタフェース
◆納期優先のユーザ要求
→
→
→
→
→
→
メンテ覚悟のカットオーバ
終わりなきメンテナンスの山
仕様書なき成果物の山
影響がこわくて手が出せないプログラム
システム部門への不信頼
目の前の仕事に追われる日々
苦しみから逃れたい
良い手法はないか?
良いツールはないか?
データモデリングという救世主
Codd(1970) 関係データベースの提案
→ One Fact in One Place の理念のうしろだて
→ RDBの性能向上による基幹系への適用
Chen(1976) ERモデルの提案
→ ビジネス管理対象の視覚化
リポジトリツール
PRIDE-IRM, Datamanager, DatacomDB,…
情報資源管理への甘い夢
正規化したデータベースの構築と、
成果物のリポジトリ登録をしてみたが、
→
→
→
→
→
→
→
「安定」したデータベースの構築?
メンテナンスの激減?
ソフトウェア生産性の向上?
ユーザ不満の削減?
「戦略情報システム」の構築?
RADの実現?
情報生産プラント?
◆プロダクト・アウト(作り手側)の発想になっていないか?
利用者は何を与えたら満足するのか
利用者は「データ」がほしかったのか?
利用者は「情報」を欲していたのではなかったか?
データから情報を生み出すのは人間だったはず
渡されるのは
「データ」
にすぎない
人間の情報活用は、どこにある?
必要なデータは利用者が見つけ
利用者が自ら活動する世界
必要なデータを与えて
利用者を意図どおりに動かす世界
今までの仕事は、
本丸はこっち
お客の欲しい商品を知りたい
こちらの世界の
魅力的な売り場を作りたい
「あくせく」 を
今お客が何を考えているかを知りたい
減らしただけ?
お客の不満を知りたい
ビジネスプロセスの仕様化が容易
データベースの仕様化が容易
<人間のマニュアル化>
ビジネスプロセスの仕様化が困難
データベースの仕様化が困難
<人間のインテリジェンス化>
悩み(ケース1)
現場担当レベル
取引の自動化が進み、
取引相手の「かお」や「こえ」が消え、
肉感できる解釈情報が消えた。
年を重ねてもノウハウがたまらない。
◆何かあってから事実を知り始める。
◆誰も事実を解釈できない。
かつては帳票の向こうに顧客の顔が見えたのだが
悩み(ケース2)
管理者レベル
分析の母体そのものの変化が激しく、
有効な管理てだてが短命化した
通常の統計管理手法の無力化。
KKDにも限界。
Product Portfolio自体への疑念
◆とりあえず、とりあえず、の連続。
◆バーチャル時代の「見える化」は何か?
ウィルスのごとく、どんどん姿を変える相手?
悩み(ケース3)
経営者は
経営判断に必要な情報が、
あざやかに画面に表示される日を、
今日もまちのぞむ。
しかし、
そういう経営者自身が、
何が必要な情報なのか、
わかっていない。
EIS で例外管理+Drill Downすればよい、なんていうけれど
突破のみちは?
事実・事象から「脳」へ
事実・事象と「脳」のあいだに<介在>が多すぎるのでは?
事実・事象を
そのままの形で
直接とらえ、
究極の理想から
まずは
捉えてみると
情報を利用するものの脳に、
送り込む。
突破のみちは?
経営資源の直接管理
事実・事象を脳にとどける
究極の理想
から
事実・事象の
最適の写し絵を
記号として作り、
制約
現実的な
選択肢へ
脳に近い場所に、
送り込む。
できるだけ何も介在させない
時間も空間も媒体も
資源の
調達と動員で
どこまで排除可能か
検討
突破のみちは?
経営資源の状態把握
たとえば、サイバーAIDMA
顧客の
現場の行動を
逐一、記号にとり、
D
A
顧客
顧客
フロアマップに
AIDMAマークを
表示する
顧客
顧客
I
M
▲
店員
Attension
Interest
Desire
Memory
Action
どうやって?
サイバー店舗ならClick event
市中店舗なら何が可能?
できるだけ何も介在させない
時間も空間も媒体も
ナビ的
店舗支援
突破のみちは?
経営資源への接近
サイバーAIDMAにおけるオペレーション改革
商品に足をつけて、顧客に近づかせ、
尻尾を振らせる。
商品
例) Amazon.com/co.jp
◆「この本を買った方は、
次の本も買っています。」
(A,I フェーズ)
◆買い物籠に入れると、
お勧め商品が並べられる。
(D,M フェーズ)
D
顧客
A
顧客
顧客
顧客
I
M
▲
店員
Attension
Interest
Desire
Memory
Action
Actionフェーズへ「誘導」
One-click誘導で、
お客に「考えさせない」のが狙い
脳の<行動レベル>に働きかける。
ほしい情報を、
知りたい事実・事象と直結させよ!
そのために必要な資源を見抜け。
資源の調達と動員の方法を探れ。
★これらの活動がもっとも効果的効率的になるように、
人・組織・もの・金・ルール・情報パイプを運営せよ。