Transcript 生命と水
4. 生命を支える水 生物はなぜ水を必要とするのか? 自然界における水 森・川 草・雨 Spreewaldにて 水稲/水田 西沢渓谷/自然の清流 生命をはぐくむ海 身体の中に 約4.5 L 生命を支えている水 http://youshou.cside.com/k_h10970/kanrishi_j/hidaka-smina/mizu-kenkou.files/image13.jpg 生物はなぜ水を必要とするのか? Q: 人は一日どの位の水を必要とするのか? (補給量=排出量)? 約4.5 L 2 - 2.5 L 生命活動に必要な量 はその100倍。体内を 循環し、リサイクルされ ている。 体験的事実: ノドが渇く → 水を飲む → 落ち着く ●2%の水不足で猛烈に喉の渇きを感じる ●5%失うと幻覚を起こす ●12%失うと死ぬ Q:生命活動の維持にその約100倍もの水を必要と している。 どのように賄っているのか?: 腎臓は水のリサイクル装置 (ろ過、再生、循環。過剰水分を 尿、汗として出す)。 身体は水の部屋(細胞、組織)の間が 水の流れる輸送管(血管)で結ばれた 一大生命維持装置 腎臓は優れた水分(リサイクル)調節装置! ●老廃物1gを尿中に排泄するのに 少なくとも15mLの水が必要 老廃物 30-40g/day, 成人 → 450-600mLの水が最低限必要 ●腎臓は老廃物の排泄装置: 体内の物質濃度を一定に保つ働き ・腎臓は100mL(血液)/min.の速度でろ過する → 1日当たりでは100x60x24=144000mL/day (144 L/day) ・尿として排泄される速度は 1mL/min.(一日当たりでは1.44L/day)。 即ち、その差99mL(99%)は再吸収され(reuse)、 再利用される(recycle)。 数値データ 水補給 200x7=1400 mL 生物体内における水の役割は? ● 表面張力・大きい ・植物: 毛細管(セルロースの導管) により水を移動 (高い樹木の頂きにまで至る): 酸素、栄養物を運搬 ・動物:毛細管現象により身体の末端まで 血液、体液を行き渡らせる。 樹木への 導管を通じて 幹を上昇 (表面張力) 気孔から (蒸散 ) 根からの水吸収 ● 溶解性が大きい ・植物:土壌からの栄養分を水分と共に吸収、 移動して葉や茎へ運ぶ。 ・動物:血液、体液として生体物質、栄養分を運ぶ。 ● 生体反応と水は不可分の関係にある: 水は、生体物質を溶かし、運搬し、 生体内反応によって食物を栄養素に 加水分解する。 同時に生体反応の場を提供している。 物質変換(メタボリズム)は水の中で行われている。 酵素タンパク質が機能 を発揮するためには、 一定の立体構造を保持し、 かつ、 部分的にflexibleな構造が とれなければならない →タンパク質の水和 (結合水、弾力水、自由水) によって可能となる。 生体反応/生命活動と水は不可分 (復習) 1.全ての生体内物資変換(メタボリズム)は水を含む細胞中で行われてい る。(生命活動に必要な水環境を提供している) 2. 血液として栄養分、酸素を溶かし、身体の隅々まで運搬している。 (大きな溶解力と表面張力) 3.食物(タンパク質、炭水化物、脂肪)を栄養分に加水分解し、生命物質を つくり、動くためのエネルギーに変換している。 4.生命活動の大部分は、水によって一定の構造を保った酵素タンパク質、 核酸 (RNA, DNA)の働きによって営まれている。(大きな分子間力/ 水素結合) 5.水に溶けたイオン性物質の浸透圧の差を利用して細胞内外の物質吸収、 排出を調節している。 6.大きな熱伝導率、蒸発熱、比熱により体温の急変を防ぎ、発汗によって 体温を調節している。 7. 水が乾燥を防ぎ、柔軟性、運動性を支えている。 光合成の意味? 緑色植物は、太陽エネルギーを使って 水と二酸化炭素からブドウ糖(生体物質)と 酸素を合成する。 太陽光 6 H2O + 6 CO2 二酸化炭素 クロロフィル C6H12O6 + 6 O2 ブドウ糖 (生体物質) H2O とCO2 は、燃焼、呼吸により生じる“燃えかす” エネルギー的には利用価値なし。 光合成(太陽エネルギー)により有効資源へと再生 酸 素 生体内での物質変換(メタボリズム) H2O + CO2 +太陽エネルギー 光合成 細胞内 内呼吸 ぶどう糖 核 酸 (RNA, DNA) アミノ酸 エネルギー セルロース (植物構造体) アセチルCoA タンパク質 呼吸・燃焼 脂質 エネルギー (ATP) ステロイド ゴ ム H2O + CO2(燃えかす)