イオントラップに蓄積されるイオンの観測と パルスビームの質量分析

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イオントラップに蓄積されるイオンの観測
とパルスビームの質量分析
(環境計測研究室)
杉立 卓治
研究概要
イオントラップ
分子の振動励起状態を振動基底状態に冷却
特徴
・小型
→ 全長 500 mm
・静電型 → 同エネルギーなら同じ動作パラメータ
でトラップ可能
目的のイオン以外も区別されずトラップ
研究の目的
・質量分析を行い、分子イオンを蓄積
・トラップ内での電子捕獲断面積を見積もる
実験装置
on
実験Ⅰ 質量分析 ー time of flight
イオンの飛行時間差を利用
イオン源
v
2E
m
E:運動(加速)エネルギー
m:イオンの質量
v:イオンの速度
フラグメントイオン、残留ガス
によるイオンを含む
90°デフレク
ター
軽いイオン
重いイオン
MCP
検出器、および計測系
検出器 ・・・・ マイクロチャンネルプレート(MCP)
Trap
MCP
Amp..
Discriminator.
MCS.
CO +の飛行時間
CO+
( パルス幅 2.9msec )
C+ O+ H2O+
C
+
O+
H2O+
CO+
CO2+の飛行時間
( パルス幅
2.9msec )
CO2+
H2O+
CO+
H2O+
CO+
CO2+
実験Ⅱ 蓄積イオンの寿命測定
分離されたパルスをトラップに蓄積
中性粒子
CO+
H2O+
Trap
MCP
スイッチングのタイミングをマイコン制御で一括制御
MCS
パルスビームの幅を決定
Deflector
Trap
パルスビームがトラップに
達する時間
蓄積イオンの寿命
トラップ内での弾性散乱は考慮せず
電子捕獲衝突のみが起こると仮定する
蓄積されているイオン数の減少は・・・
 dI ( t )   nvIdt
I ( t )  I 0 exp  nvt

I ( t ) : 蓄積開始から t 秒後にトラップされて いるイオン数
I : 蓄積開始直後にトラッ プされているイオン数
0
σ : 蓄積さてれいるイオン の電子捕獲断面積
v : 蓄積さてれいるイオン の速度
n : トラップ内の残留ガス の原子数密度
蓄積イオン数が1/eになる時間(τ)
が蓄積されているイオンの寿命
 
1
 nv
CO+ 、CO2+の寿命
不安定軌道
安定軌道
電子捕獲断面積の見積もり
• 残留ガスとの電子捕獲断面積の見積もり
v : 蓄積さてれいるイオン の平均速度
 
1
vn 
n : トラップ内の残留ガス 原子数密度
τ: 蓄積さてれいるイオン の寿命
がイオンの速度に依存しないと仮定すると
 CO=2.3×10-15 cm2
 CO2=2.2×10-15 cm2
CO の電子捕獲断面積の比較
+
まとめ
• CO+ 、CO2+の蓄積に成功
• 低エネルギー領域での分子イオンの
電子捕獲断面積を見積もることができた
 CO=2.3×10-15 cm2
 CO2=2.2×10-15 cm2
目次
1. 研究概要
2. 実験装置図
3. 実験Ⅰ ~質量分析~
4. 検出器、計測系
5. 測定結果 ~イオンの飛行時間~
6. 実験Ⅱ ~イオンの蓄積~
7. 蓄積イオンの寿命
8. 測定結果 ~CO、CO2の寿命~
9. 電子捕獲断面積の見積もり
10. 断面積の比較
今後の展望
真空をよくすれば、寿命も真空の逆数に比例して延びると期待される。
Field free regionでのイオンのエネルギー、運動の方向性は非常によく揃っている
のでトラップからこの領域で実験を行うことが可能
A.振動基底状態の解離反応の反応確率の測定
B.振動基底状態に冷却し、その後一定の振動状態に励起させた分子イオンの反応確率を
測定
蒸着させる!!!