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絶滅危惧植物マメナシの更新
を考慮した公園の在り方
21117037 斉藤 篤志
目次
背景・目的
調査対象
調査場所
仮説
方法
結果
考察
湿地管理における提案
背景・目的
マメナシが果実を生産しているのは確認
近年, マメナシの実生が見られない
原因は?
調査対象
マメナシ
(Pyrus calleryana Decne. )
愛知県のマメナシは絶滅寸前(CR)に指定されてい
る
 東海丘陵要素の1種である
 自家不和合性を有する
 生態学的知見が不足している

調査場所
愛知県小牧市の大草のマメナシ自生地
 愛知県の天然記念物に指定されている

仮説
マメナシ近年発芽しない原因は?
種子が生産されていない
 種子が死んでいる
 種子が発芽する条件が満たされていない

これらを確かめる調査・実験を行う
方法
1
種子の生産を確認する
全27個体の枝1本分の果実から種子を取り出し, 種
子数をカウント
果実から取り出した
マメナシの種子
方法
2
種子が生きているか確認する
種子を1%TTC溶液に24時間, 30℃の暗所で
染色し, 赤く発色している種子数をカウント
発色した種子
方法
3
種子が発芽する条件を調べる
10℃/10hr-20℃/14hr(4月上旬), 15℃/10hr-25℃/14hr(4
月下旬),20℃/10hr-30℃/14hr(5月)の3条件に播種し
た土を入れ, 発芽数を毎日カウントする
発芽したマメナシ
結果1) 種子を生産しているのか

個体ごとの種子生産量
種子生産量
160
140
生
産
し
た
種
子
数
120
100
80
60
(
個 40
)
20
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27
個体No.
全27個体中, 17個体で種子の生産が確認できた
果実は生産していても, 種子を生産していない個体がある
結果2) 種子が生きているのか

個体ごとの種子の生存率
生存率
90
80
70
(
60
生
存 50
率
40
%
30
)
20
10
0
1
2
3
5
6
7
13
14
15
17
18
20
21
23
24
26
27
個体No.
種子を生産していた17個体の内, 12個体で種子の生存が確
認できた
種子の生存率(平均36%)が全体的に低いことが示された
結果3) 種子の発芽する条件は

各条件下における発芽率
10℃/10hr-20℃/14hr
発
芽
率
(
)
%
14
12
10
8
6
4
2
0
15℃/10hr-25℃/14hr
14
12
10℃-20℃
0
5
10
15
20
25
発
芽
率
(
%
)
30
10
8
6
15℃-25℃
4
2
0
0
時間(day)
10℃/10hr-20℃/14hrが他の条件
に比べて, 発芽率が良かった
5
10
15
20
25
30
時間(day)
20℃/10hr-30℃/14hr
発
芽
率
(
%
)
14
12
10
8
6
4
2
0
20℃-30℃
0
5
10
15
20
時間(day)
25
30
考察1) 種子の生産, 生存について
果実の生産がみられるが, 種子を生産していない個体
自家不和合性
種子は生存しているが, 発芽率が低い個体
自家不和合性の崩壊
遺伝子型を増やしていくべき
考察2) 種子の発芽率と発芽温度の関係
マメナシ全27個体の内, 発芽した8個体において,
最も発芽率がよかった温度をカウントすると,
最適温度の個体数
6
5
4
個
体 3
数
2
1
0
10℃/10hr-20℃/14hr
15℃/10hr-25℃/14hr
20℃/10hr-30℃/14hr
各条件
最適温度にばらつき
変温が必要!
土壌の乾燥
湿地管理における提案①

ポリネーターの復活
・ 今後, 生息範囲を広げるのに不可欠
・ 他家受粉を促進し, 遺伝的多様性を維持する
しかし, 現在マメナシのポリネーターは確認されていない
マメナシにおいて,
種子は鳥が果実を食べることで拡散し,
花粉は昆虫が運ぶことで他家受粉が成立 (Swearingen 2002)
ポリネーターの呼び戻しが必要
湿地管理における提案②
生存する種子を生産しているのは, 27個体中12個体
では現在, 種子を生産できなくなった個体が存在の可能性
土壌シードバンクの活用
遺伝的多様性の復元
例)20年ぶりに発芽した名古屋城外堀のオニバス
土壌の水分によって種子が発芽しない
今後, 種子を季節ごとに乾かす試み
御静聴ありがとうございました
自家不和合性・自家不和合性の崩壊
自家不和合性とは
繁殖力を持つ雌雄同体の種子植物が自家受精して
も, 接合子をつくり出さない, 近親交配を妨げる性質
自家不和合性の崩壊とは
柱頭に同タイプの花粉と異なったタイプの花粉が
付着することで, 自家不和合性がなくなること
土壌シードバンク
過去に果実が土の上に落下し, 発芽せず
に残っている種子のこと
ポリネーター
花粉を運んで受粉させ, 花粉の雄性配偶
子と花の胚珠を受精させる昆虫や鳥な
どのこと.