暗黒物質の探索 - 東京大学宇宙線研究所

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CaF2 (Eu)を用いた
暗黒物質探索実験
東京大学大学院 理学系研究科
物理学専攻 蓑輪研究室
菅沼 亘
清水 雄輝、蓑輪 眞
井上 慶純
目的
暗黒物質の候補に
WIMP(Weakly Interacting Massive Particle)がある
ニュートラリーノ(SUSYからの予言)
 χN  
SI

SD
Spin Independentな反応と
Spin Dependentな反応がある
通常の物質と極めて低確率で弾性散乱する
低バックグラウンド環境で測定する必要がある
バックグラウンドを最も低減できる検出器の構成をめざす
ニュートラリーノと強くスピン相互作用する物質
をターゲットとして、バックグラウンド源の特定
をするためのSimulationと、神岡地下実験室
で環境を少しずつ変えて測定を行った
ニュートラリーノのスピン相互作用
対になったスピンは相殺してしまい、不対核子のみが散乱に寄与

  J ( J  1)
SD
2

λ: Lande factor
J : 原子核の全スピン
SD

 a p S pN   an S nN 

2
J 1
J
ap: 陽子とのカップリング
an : 中性子とのカップリング
〈Sp(N)〉:陽子のSpin期待値
〈Sn(N)〉:中性子のSpin期待値
Isotope
unpaired
Abundance
λ2J(J+1)
〈Sp(N)〉 〈Sn(N)〉
1H
P
100%
0.750
0.5
0
19 F
P
100%
0.647
0.441
-0.109
23Na
P
100%
0.041
0.248
0.020
127I
P
100%
0.023
0.309
0.075
129Xe
N
26.4%
0.124
0.028
0.359
動作がわかりやすいシンチレーターの
CaF2を使う
検出器
応用光研製 CaF2(Eu) (CANDLES
実験に使用されているCaF2の粉末に
Euをドープして作製)
発光量:NaI(Tl)の50%
減衰時間:940ns
2”Φ×2”
質量300g
パッシブライトガイド
信越石英製 溶融石英
低バックグラウンドPMT R8778
(XMASSより)
配置
シールド
ポリエチレン
鉛
無酸素銅
EVOHシート
20cm
15cm
10cm
2層
ラドン除去のために
EVOHシートの中に
ラドンフリーエアー
or蒸発窒素を入れる
環境中性子のSimulation
ポリエチレンシールド20cmがある場合とない場合の
シミュレーションをGEANT4で行なった
環境中性子Flux 6.6×10-6count ・cm-2・s-1
中性子のcount rateは一桁落ち
ることが期待される
シールド内の主なBG源のSimulation
放射性不純物量は質量分析、
Ge検出器のデータを使用
GEANT4 + DECAY4を利用
主なBG源
238U
232Th
無酸素銅
<1.2mBq/kg 2.6mBq/kg
鉛
7.2mBq/kg
6.2mBq/kg
R8778
18mBq
96mBq
CaF2
38μBq/kg
92μBq/kg
•結晶内部からの寄与は少ない
•シールドとしての銅が影響大?
数十keV以下で
無酸素銅 ~5counts/keV/day/kg
PMT ~2counts/keV/day/kg
現在使用されている銅より放射性不純物
の少ないシールドを使う必要がある?
BG測定
RUN1
ラドンフリーエアー、 PMT2個
RUN2
同上、再セット
中性子の影響の
RUN3
確認
RUN4
PMTの影響の
RUN5
確認
再現性の
確認
ラドンフリーエアー、ポリエチレンシー
ルド、PMT2個
ラドンの影響の
蒸発窒素、ポリエチレンシールド、 確認
PMT2個
ラドンフリーエアー、ポリエチレン、
PMT1個
※すべてのRUNにCaF2、石英ライトガイド、無酸素銅シールド、
鉛シールドを使用
DAQ
•DAQ内のノイズを減らすため極力シンプルな構成
•二つのPMTのCoincidenceでTriggerをかける
•オシロスコープの波形データのみ取得
チェレンコフイベントカット
total
partial
total :波形データ中にあるすべてのphoton
の波高を積分
partial:最初のphotonが検出されてから
200ns以内に検出されたphotonの
波高を積分
チェレンコフ光
大量の光子を瞬時に
発生するため
partialの割合が大きくなる
シンチレーションイベント
数keVのシンチレーションイベントは
57Coのコンプトン散乱によって判断
測定結果
RUN1とRUN2の比較
スペクトルの再現性がみられた
RUN2とRUN3の比較
5keV以下では中性子シールド
によるバックグラウンドの低減が
見られる
RUN3とRUN4の比較
ラドンフリーエアー(0.02Bq/m3)、
蒸発窒素(0.12Bq/m3)の影響は
小さいことが確認された。
RUN3とRUN5の比較
•数keVのイベントはafter pulse
の影響でイベントが多くなってしまった
•60keVにピークが現れてしまった(210Pb?)
•その他のエネルギー領域はイベントに変化
がみられない
PMTの影響は
少ない
まとめ
測定結果より、ラドンフリーエアー、中性子、
PMTのバックグラウンドはdominantではな
かった
Simulationより、銅シールドの不純物が
dominantの可能性がある
現在、高純度銅シールドを用いて測定中
上限値(preliminary)
RUN3から上限値を導出
カウントレート(3-10kev)
~20counts/keV/day/kg
γ線に対する原子核の
シンチレーション効率~0.1
ボロメーター実験よりも
約6倍よい上限値
ap-an平面

SD
m=30GeVc-2

 a p S pN   an S nN 

2
J 1
J
m=100GeVc-2
m = 30 GeVc-2