g-2/EDM実験の紹介

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Transcript g-2/EDM実験の紹介

私の経歴概要
時期
内容
1995年4月~ 修士課程
•
直接検出実験に参加
1997年4月~2002年7月
技術者
•
フォーミュラカーの走行軌跡及び運動性能の計測装置を開発
• 特許 特開平11-118499
新人研修で陽子加速器用超電導空洞の設計
•
2002年8月~2003年4月
研究生(京大)
2003年4月~2006年7月
博士課程+(3年半)
2006年8月~2008年6月
BNLポスドク(1年8ヶ月)
•
•
STAR実験/22m2の鉛ガラス壁カロリメータ建設
2008年7月~
研究員(科学研究)
博士研究員(2年7ヶ月)
•
新g-2/EDM実験準備にゼロから取り組む
2011年4月~
KEK加速器研究施設4系
•
RHIC陽子ビーム偏極度計の開発と実用化
・RHIC-AGS Thesis Award Competition 2007 第1位(10人中)
・第4回(2010年)日本物理学会若手奨励賞受賞(実験核物理領域)
•
•
引き続き (非公式に) g-2/EDM実験作業
•
(2012年9月~2013年3月
まで産休・育休を取得)
•
•
陽電子検出器の概念設計
らせん軌道ビーム入射の概念設計
3次元らせん軌道ビーム入射のためのパルス状磁場発生装
置の開発 (若手B:2011年4月~2014年3月)
ソレノイド型蓄積磁石への3次元らせん軌道によるビーム入射
の実証試験 (基盤B:2014年4月~2018年3月)
SuperKEKB加速器建設(電磁石グループ)2016年2月~ビーム運
1
転開始予定
自己PR項目
 博士論文研究の、陽子ビーム偏極度計の開発・運用化は全てのRHIC SPIN物理実験が実験結果としての物
理量を算出する際に必ず参照する「ビームの絶対偏極度」の値を出す、という責任の大きい仕事でした。
 J-PARC -2/EDM実験は、物理インパクトの大きい実験です。全く新しい手法で世界一の精密測定を実現するた
めに、ビームラインの着想から始め、概要設計をTechnical Design Reportにまとめ、テスト実験までこぎつけま
した。私が担当する箇所は、EDM測定感度を左右する重要な技術開発に直結しています。
 高エネ研加速器研究施設は、様々な経験をもった人材・(再利用できる)資材が豊富にあります。科研費研究
は高エネの財産をフル活用し、私自身が経験者の知恵を学びながら新しいビームラインの開発に挑戦してい
ます。技術的困難があっても、経験者に相談しながら乗り越えられるように援軍ネットワークを構築してます。
 J-PARC MLF H-Lineは研究活動が今後活発になります。私が取り組むg-2/EDM実験は最下流に位置します
が、上流2つの実験 (DeeMe, Mu HFS) の準備も進んでいます。これらの実験グループとも密な協力関係にあ
ります。今は立場上、参加していませんが、ポジションを得れば参加したいと考えています。
 先人の経験から学ぶだけでなく、トライ&エラーしながら自ら考え、答えを導く過程も大事と考えます。若い世
代の先入観のない発想を取り入れ、新しい実験技術を開発していきたいと考えます。
 教育関係
•
2015年10月より、国費留学生枠を勝ち取り、受け入れを予定しています。(担当教官です。)
•
大学院講義(電磁石) 前期(日本語)、後期(英語)、1日ずつ
•
KEK素核研の齊藤研の所属する学生(総研大・東大学際理学)を部分的に指導
•
学生の物理に対する敷居を低くする活動(春・夏休みに集中)も積極的に参加しています:
•
春の理系女子キャンプ、高校生の夏合宿や、職場体験(1日)の高校生受け入れ、など。
2
3
g-2/EDM実験の紹介
g-2/EDM実験
• もっとも高精度な測定は、周波数測定
• ミューオンスピン歳差運動の周期を超
精密測定し、時間反転対称性の破れ
を探る実験
 世界初のミューオン顕微鏡の開発に
つながる
Mu HFS実験、DeeMe実験の研究者
たちと良い協力関係にある。
高エネ・物構研、
高エネ・低温センター
東京大学、理研、大阪大、
ICU、Univ. of
Massachusetts、・・・
ポジションを得たら、これらの実験に
参加も視野に入れられると思います。
4
スピン歳差運動の精密測量で時間対称性の破れが見える?
スピン、運動量は時間反転で符号を変える
磁気モーメント

g  e
s  
2  m

 
q
SPIN
  SPIN
1 a
Bz
SPIN 
 C
m 
e
  q a B
C  mBz
m


s


 
B , SPIN
電気モーメント EDM

 e 
s
d   EDM 
m c
  

SPIN
電荷分布は時間反転しない。
左右のミューオンは別物!?
目標 10E-21 [e.cm]
過去の実験 EDM< 10E-19 [cm]
ミューオンが水分子のように分極?
内部構造?

 
 2c
e

a B 
 EDM   B
m


B

1mrad
(0.006度)
傾く
(C)
g-2/EDM実験の紹介
(2)
Hライン関係の新しい技術開発
A) 極冷偏極ミュオンビーム生成
B) ミューオンビーム加速器
C) MRI技術を応用した精密磁場調
整(<0.1ppm)
D) 直径66cm小型蓄積リングへの
入射ビーム軌道制御
(A)
(B)
(D)
g-2/EDM実験の紹介(3)
先行実験(BNL/E821)との違い:蓄積リングをコンパクトにし、磁場制御の精度向上
半径7m, =29.3, B=1.45[T]
貯蔵リングは12分割構造
BNL E821実験
半径0.33m, =3, B=3[T]
一体型貯蔵リング構造
0.66m
+
BNL/E821実験
0.54ppmで計測、標準理論と3のズレ
a
 0.46ppm
a
a
 0.1ppm
a
A)
B)
q g 2 
a 
B
m 2

極冷偏極ミュオンビーム生成
ミューオンビーム加速器
C)
J-PARC新実験
精密磁場体積はE821実験の
B
 0.17 ppm
460分の1!
B
超精密磁場を乱さずに、どう
B
 0.1ppm
やって直径66cm小型貯蔵リ
B
MRI技術を応用した精密磁場
調整(<0.1ppm)
ングにビームを入射するか?
g-2/EDM実験の紹介(4)
3次元らせん軌道入射の開発
66cm
コンパクト強磁場リングへの水平入射は技術的に難しい:
•
3[T] 磁石のフリンジフィールドをキャンセル
•
1ターン以内に水平キック(~ 60 mrad)
7.4nsec
貯蔵空間の磁場に
影響なし!
らせん軌道入射
インフレクター

F
+

BR
ソレノイド径方向磁場
で垂直運動量を水平
方向に変える
EDM測定のため、
0.1mrad以内で軌
道平面制御
2次元軌道
貯蔵リング平面
•
•
科研費サ
ポートで •
独自研究
垂直方向キック
貯蔵リング平面

B
概念設計をTechnical Design Reportにまとめ、2015年5月にJ-PARC PAC提出
3次元らせん軌道ビーム入射のためのパルス状磁場発生装置の開発
(若手B:2011年4月~2014年3月)
ソレノイド型蓄積磁石への3次元らせん軌道によるビーム入射の実証試験
8
(基盤B:2014年4月~2018年3月)
私の担当:ソレノイド型蓄積磁石への3次元らせん軌道によるビーム入射の実証試験
ミューオンではなく、100keV電子銃ビームを使用
Example shot
in Argon gas.
蓄積槽の中の
イメージ
(OPERA計算)
beam
Bend
magnet
3次元らせん軌道入射手法の実
証実験は挑戦しがいのある
テーマ!
本番実験とテスト実験の比較、テスト実験の予定
original
Test
experiment
Center magnetic field [T]
Beam particle
Momentum [MeV/c]
Beam size [rad-m]
X-Y coupling
3
Positive 
300
1.5×10-6
yes
0.0102
electron
0.112
3×10-7
non
Cyclotron period [nsec]
7.4
2.4
Radius [m]
0.33
0.115
テスト実験の特徴
1. 1/3 スケールだが、弱収束シス
テム、垂直キッカーシステムを持
ち、本番同様の制御試験が可能
2. 蓄積槽は乾燥窒素を入れ、電子
ビームがガスを電離しながら入
射する様子を直接見れる!
3. 電子ビームはミューオンより長生
きなので扱いやすい
2015
•
蓄積槽直前までのビームラインで試
運転中
•
秋口には、蓄積槽まで入射予定
•
弱収束磁場を変えて蓄積を試みる
2014/11/7
2016
• 垂直キッカーのインストール
• 弱収束磁場とキッカーパラメータ調整
• ビームのバンチ化
2017
• 入射効率のスタディー
2018…..
10
テストベンチ組み立ての様子
2014Oct.
After field measurement, mini
solenoid magnet was installed!
2014Oct.
Beam line components
are installed
2015Apr.
2014Dec.
E-gun HV
commissioning is done.
Stable operation at
115kV for several
hours!
コラボレーター紹介
ビーム輸
送専門家
BNL/g-2実験
の主メンバー
真空専門家
電子銃専
門家
日立研究所と共同研究
2015年10月より国費留学
生(パキスタン人)を受け入
れます。
電磁石メーカ
SLACから見学者
精密磁場調整(シム)
13
どうやってaとEDMを分離するか?
example
 

EDM    B
動径方向電場に対
する陽電子の放出
角度の時間変動に
現れる。
EDM測定のキモは、
ミューオンビーム軌道
制御!!
14
スピンで離散対称性を探る
ネーターの定理「対称性があれば保存則がある。」
運動量とエネルギー保存則空間と時間の等質性、
角運動量の保存空間回転対称性
連続変換対称性について成り立つ。
素粒子の世界(量子化)では離散対称性:成り立たない。
反物質
1. 空間反転対称性P
•
弱崩壊
右巻きと
左巻きを区別
•
•
3. CP対称性

0
K L0
C= 1
P= -1
CP= 1

0
弱い相互作用
で破れている。

 弱崩壊


2. 荷電共役対称性C
質量は同じで電
荷が逆符号
電子と陽電子、陽
子と反陽子
右巻きと左巻きの
入れ替え(spin)
L
C=1
P=1
CP=1
C
R
CP対称性が保たれていれば、右
の崩壊は起こらない。しかし、
2/1000の割合で起こることが実
験で発見された!(1964)
• 弱い相互作用のCP対称性の破れ
クォーク3世代あれば説明がつく。
(小林・益川理論、KEK-B factory)
CP対称性の破れ時間対称性(T)の破れ

K L0
L
P
P
R
•
C

RHICスピンプログラム
•
1
1
proton spin : = S z = ΔΣ + ΔG + Lz
2
2
•
物理動機
– 核子の静的構造は3つのクォークでうまく説明
– スピンに関してはクォークが20-30%しか担ってい
ない(スピンクライシス、スピンパズル)
– 残りのスピン成分はグルーオンが担っている?
私のやったこと
– 絶対偏極度計の開発、運用の実用化
• 全ての物理結果は、ビーム偏極度で規格化
しないと物理量にならない。
ALL PT  
絶対偏極度
 検出器 PT 
Polビーム
Phys. Rev. Lett. 103,012003 (2009)
16
水素ガスジェット偏極度計
衝突点から左右に80cm離れた地点にシリコン検出器
を設置し0.7~20MeV反跳陽子を検出する。7MeV以
上は突き抜けてしまう!(解析で苦労した。)
•
高さ:3.5 m、重さ:3トン
•
ガス標的速度 156060 m/sec
•
ガス標的サイズ
•
ガス標的偏極度 92.4 1.8%
~ 2.9mm (RHICビームサイズ  ~1mm)
 標的
ビーム
0
反跳陽子の反跳角
度Rと エネルギーTR
とToFを計測
ビーム
 標的
反跳陽子
Polビーム 
ビーム
 Pol標的  0.39217
 0.020
 標的