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NPOの支援は、なぜ、
どのように行われるべきか?
NPO支援の意義と機能を再確認する
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]
代表者 川北 秀人
http://blog.canpan.info/iihoe/
IIHOEって?

組織目的: 地球上のすべての生命にとって、
(1994年) 調和的で民主的な発展のために

社会事業家(課題・理想に挑むNPO・企業)の支援
隔月刊誌「NPOマネジメント」発行
 育成・支援のための講座・研修

 地域で活動する団体のマネジメント講座(年100件)
 行政と市民団体がいっしょに協働を学ぶ研修(年60県市)

企業の社会責任(CSR)の戦略デザイン
ビジネスと市民生活を通じた環境問題の解決
2020年の地球への行動計画立案

専従3名+客員1名、東京(新川)、約3900万円


助成機関などとの関係では、
・セブン・イレブンみどりの基金 最終審査員(05年~)
・トヨタ環境基金 一次選考担当(07年~)
・PanasonicNPOサポートファンド 環境委員(04年~)委員長(06-11年)
・(独)科学技術振興機構 社会技術研究開発センター実装支援プログラム
・経産省ソーシャル/コミュニティ・ビジネス支援事業 審査委員
・「エコポイント」アドバイザー委員
・庭野平和財団 助成委員
・かめのり財団 公募助成・かめのり賞 選考委員
・全日本社会貢献団体機構 幹事
・ETIC.社会起業塾イニシアティブ 塾長(02-11年)
(旧・NEC社会起業塾、10年からNEC・横浜市・花王)
・ETIC.×ブラザー工業 東海若手起業塾(08年~) などなど
崎枝さんからいただいたお題
①人材育成:地域に根ざした活動を行う人材と、国際化
に対応した活動を行う人材の両方の育成に対応した
手法やアイデア。
②連携・協働:NPOが他組織(他団体、企業、行政など)
と連携・協働を行うにあたり、その必要性や方向性、
成功・失敗事例や見解。
③基金のブランド化:現在、環境保全活動を行う【活動
助成】を行っているが、その対象について、ニッチを
目指すかオールラウンド対応を目指すか議論中。
人件費も活動助成に関連すれば前向きに検討できる。
今後求められるドナーのあり方。
特定非営利活動法人制度の15年間
NPOを支援する基盤?
制度
◎特定非営利活動促進法・認定制度:抜本改正!
◎新非営利(財団・社団)法人法:公益認定続々
△協働:しくみも、担い手も、進め方も、ほとんどダメ
×緊急雇用・新しい公共:完全に誤用(基盤にならず)
施設
△支援センター:もはや400か所以上!(機能は??)
人材
△ボランティア:志望者は増えているが、継続しない
△有給職員:低賃金+重労働+早期退職の理由は?
資金
○助成制度・寄付:拡充基調→狩人が増えただけ!
「年間事業(目標)額」と「活動開始後の年数」で見ると
年間事業
(目標)額
5000万円
社会の「変革推進」力:
(他セクターと連携して)社会を変える戦略、
メディアによる社会啓発、生態系(コミュニティ)づくり、・・
社会の「しくみづくり」力:
社会と事業の中期戦略、
政策提言、他団体の育成、・・
1000万円
300万円
事業の「継続」力:
自主財源拡充、開示、育成、労務、
他団体・企業・行政との協働、・・
事業・組織の
「見直し・建て直し」力:
理事会、
事業&組織評価、
他団体との統合、
・・
事業・団体の「最低限の運営」力(義務のレベル):
業務品質管理、ボランティア・マネジメント、広報、会議、
会計、・・
3年
10年
開始後の年数
→団体の目標と現状との差(=課題)に応えているか?
そもそも団体が「社会における役割」を意識しているか?
NPOは「1歩先の視野・半歩先のプログラム」
中間支援は「2歩先の視野・1歩先のプログラム」
支援者・協力者
受益者・利用者
(市民・企業・行政)
(ひと・動植物・自然環境)
「課題解決や理想実現を
支援・協力したい!」という意思と
資源(人材、資金、物資、施設、
情報、権限、・・・)
過去・現在・近未来の
ニーズ
ニーズに効果を生む
合理的なプログラム
現場の過去・現在・未来の
ニーズを見据えた、
効果を生む事業と
組織づくりの支援
中間支援機関
受益者・利用者の
過去→現在→近未来の
ニーズに、効果を生む
合理的なプログラム
効果を生む
事業&組織づくり
事業系NPO
「事業」とは?
 目標を合理的に実現するプロセス
目標は明確か?
対価性の3つのパターン
(1)対価収入で継続可能
(2)対価も取れるが、補助が不可欠
(3)対価が取れない「基本的人権保障」
→(2)(3)は「社会制度化」も事業!
「自分はやらない」もプロデュース
事業の自立性?→対価と事業がめざす運営形態
必要な資金の負担
例
目指す運営形態
受益者・利用者からの
対価収入により、
収益が見込める。
(対価自立事業)
スポーツ・芸術文化活動
主婦・障碍者の起業
環境配慮製品・サービス
受益者・利用者から
対価も取れるが、
継続には外部からの
補助が必要。
(補助継続事業)
フリースクール
伝統文化財の維持・継承
里山保全
難アクセス地の公共交通
介護保険事業
市民による
事業経営の効率化を
進めつつ、行政からの
補助は続ける。
→補助の制度化必須!
基本的人権の保障上、
不可欠な事業であり、
受益者・利用者からの
対価による継続は困難。
(基本的人権保障事業)
ホームレスの緊急救援
子どもの電話相談
途上国への開発協力
DV被害者の支援
医療情報の翻訳・通訳
社会的な課題解決の
先駆者として市民が
先行しており、行政
サービスとして法制化
する必要あり。
→事業の制度化必須!
市民による
自主・単独事業へ
→立ち上げ期のみ支援
(リサイクル、有機農業など)
NPOのマネジメントへの新たな10の質問
①理念、社会的役割と期限付き ⑥資金を集める前に、人材・設備/
の目標は、明確で、共有されてい 物資・情報・目的・ネットワーク
るか?
を最大活用できているか?
②感情やウォンツではなく、事実や ⑦他の団体・企業・行政の動き
ニーズに基づいて判断・行動し を把握し、原則として単独ではなく、
ているか?
協働しているか?
③1歩先の視野を持ち、半歩先 ⑧有償・無償にかかわらず、プロフ
のプログラムを提供しているか? ェッショナルとして判断・発言・行
④顧客を知って、応えているか? 動しているか?
(顧客に期待される品質や価値を ⑨現場を記録し、ふりかえり、次
提供できているか?)
の機会に申し送っているか?
⑤活動の継続・拡大ではなく、原因
⑩活動・事業の内容も、組織体制
の解消や、基盤となるしくみづくり
や会計の実績や見通しも、詳細
をめざしているか?
かつ正確に開示しているか?
(民主主義の当事者としての)市民による社会運営
⑥ 社会制度化(民・官ともに担い手)
⑤ 代替案の試行or救済策の実施
(やってみたら、こうなりました)
④ 代替案or救済策の提示
(こうしたらいいんじゃないか?)
③ 原因と背景の把握
(なぜだろう、このままだとどうなるんだろう?)
② 課題の指摘
(「こんなことが起きてますよ!」)
→ 告発・糾弾
(けしからん!)
① 課題の発見
(こんなことが起きてる!こんな状態!)
支援センター = 病院
教える・場を与えるのではなく、
課題を解決し、理想を実現する
 求められる基本的な機能は

 緊急救命(ER)
 治療
 予後(+健康増進)
 予防:予防研究、予防広報、予防行動
身近にかかりつけの診療所、広域で総合病院
 来訪者だけが利用者ではなく、
本当に必要な人のもとに「往診」する!

「支援」とは
(支援センターが持つべき7つのチカラ)
 相談対応力
 調査・情報収集力
 編集・発信力
 コーディネート/ネットワーキング力
 資源提供力(人材、物品、資金)
 内部の人材育成力(スタッフ、理事)
 政策提言力
支援者として責任と役割を果たすには
「誰を、なぜ、どう支援するか」を定め、
相手のビジネスモデルを確認したうえで、
相談対応:質問に答えるだけでなく、予測して発信する
+ 質問と答えを一般化し、研修・機関誌などで共有する
調査・情報収集:団体の代わりに情報を収集・提供する
+ 住民・企業・行政を動かすために情報収集・提供する
編集・発信:分析し、相手にもメディアにも役立つ整理を
コーディネート/ネットワーキング:互いに役立つ接点を
資源提供(人材、物品、資金):ボランティアや助成金より
インターン、貸出・中古譲渡・割引、寄付付き販促(CRM)
内部の人材育成(スタッフ、理事):広く通用する専門性を
政策提言:自他ともに総合評価+影響を予測して提案する
中間支援系 共通のアジェンダ
(= IIHOEの中期重点課題)

事業系NPO/社会事業家の事業経営力向上!


自主財源率を高める工夫を促す!


特に、情報開示と物品販売の基盤強化!!
地域における、まっとうな協働の促進!


「ハート+ガッツ+スキル」を備えた人材の育成
基盤となる制度整備+官・民双方の継続的な育成
分野別ネットワーク・センターの機能?

特に、社協ボラセンって、どうするの??
NPO間の連携・協働・合併を促す!
 「ちゃんと機能する理事」を育てる!

社会貢献における戦略?
『価値を創造する助成へ』(M.ポーターら著、00年)より
 「価値を創出する義務」
直接寄付ではなく、財団経由という間接的な手法
→ 財団には価値を実現する義務がある
 他組織を通じた価値の創出
1.最良の助成先を選ぶ
2.他の財団にシグナルを送る
3.助成先の事業成果を改善する
4.知識と技術の水準を高める
「財団には戦略が必要」
 「戦略とは選択」
1.目的は、特定の分野における、より高い事業成果
2.戦略は、独特のポジショニングによって決まる
3.戦略は、独特の活動に始まる
4.活動領域の特定には、トレード・オフが必要
 しかし現実は?
「分散」と「配分」 → 明確な成果を意図した投資ではない
評価 → アウトプットのみ、助成先からの報告のみ、
個別の案件単位
 では、企業の社会貢献活動は?
慈善的な配分から、戦略的な投資と協働へ
企業とNPOとの協働の領域(博報堂・IIHOE)
本業(business oriented)
(営業・生産部門が担当)
本業に関係する、単発的な社会貢献
例:売上の一部を寄付
周年記念事業
医薬品メーカーの保健啓発広告
運輸業界の交通安全キャンペーン
本業に直結する、継続的な社会参画
(cause-related marketing)
例:NPOへの無償提供・割引販売
NPOとの協働商品開発
NPOとの協働販売促進
IT企業によるIT技術・製品支援
←単発的(content oriented)
本業に関係がうすい、単発的な社会貢献
継続的(context oriented) →
本業に関係がうすい、継続的な社会貢献
(慈善型の協賛:charitable sponsorship)
(strategic philanthropy)
例:災害など突発的事態への対処
チャリティー・コンサートへの協賛
社員に対する、地域活動の案内
例:障碍者の芸術活動支援
継続的な清掃活動
環境や文化に関する連続講座
地域の子どもたちへの就業体験協力
非本業(philanthropy oriented)
(広報・社会貢献部門が担当)
投資か、配分か?
 「その資金で実現したい社会」、
「その資金で得たい(社会からの)評価」
という意思=目標はあるか?
(毎年1000万円でも、10年間で1億円に)
→ 目標がないから、評価できない
 目標(意思)-現状=課題を明らかにした
上で、手法を選んでいるか?
→ 課題が明確でないから、戦略が設計できない
→ 成果が見えにくいのではなく、目標が抽象的
理念から、目標を設計する
 理念や基本方針に盛り込まれた要素を、
「目標」として細分化し、実現するため
に必要な手法を選択する。
 評価とは、視点、配点、採点、改善点と
いう4つの点から構成される。



視点→「何について評価すべきか」=目標
配点→複数の視点の重み付け
採点→プラス要因・マイナス要因、それらの原因、改善策


「事後だけでなく、事前も途中も」
改善点→減点が最も大きかった項目にどう取り組むか?
評価に期待する効果は?
成果の可視化
取り組むテーマの緊急性・重大性
得られた成果の大きさ
社会的な成果
社外から自社への評価(+社内の評価)
課題の可視化
 設計上の課題:テーマ、施策、規模
 実施上の課題:相手先、時期、技術支援
崎枝さんからいただいたお題
①人材育成:地域に根ざした活動を行う人材と、国際化
に対応した活動を行う人材の両方の育成に対応した
手法やアイデア。
②連携・協働:NPOが他組織(他団体、企業、行政など)
と連携・協働を行うにあたり、その必要性や方向性、
成功・失敗事例や見解。
③基金のブランド化:現在、環境保全活動を行う【活動
助成】を行っているが、その対象について、ニッチを
目指すかオールラウンド対応を目指すか議論中。
人件費も活動助成に関連すれば前向きに検討できる。
今後求められるドナーのあり方。
資金提供者は何を期待しているか?
状況の緩和・改善
→ ニーズに対する効き目
原因の解消
→ 再発の抑制・防止
基盤の整備
→ 団体内でも、社会にも
担い手の成長
→ 特に、自主財源率の改善