Transcript 公共経済学
<公共経済学(前期)の各章のフローチャート> <市場メカニズムの機能> 1章 2章 <公共財と政治プロセス> 3章 4章 5章 6章 7章 <費用便益分析> 8章 9章 10章 11章 12章 1 【各章間の関連性】 第 1 章から第 24 章までの議論は次の流れ図のように関連している。なお、第 1 学期は 第 1 章から第 12 章まで、第 2 学期は第 13 章から第 24 章までを講義する。 社会保障 公共財の供給 外部性 6 5 17 16 13 7 4 3 15 14 補償原理 1 2 地方財政 租税 9 24 18 10 8 20 23 11 22 21 19 市場メカニズ ム 12 費用便益分析 8.消費者余剰と等価変分・ 補償変分 状態変化の個人的評価 7章 無差別曲線 序数的 以前 効用関数 状態変化の社会的評価 パレート基準 全員一致 8章 以降 3 8.消費者余剰と等価変分・ 補償変分 状態変化の個人的評価 7章 無差別曲線 序数的 以前 効用関数 8章 以降 状態変化の社会的評価 パレート基準 全員一致 補償変分 基数的 等価変分 消費者余剰の増分 4 8.消費者余剰と等価変分・ 補償変分 状態変化の個人的評価 7章 無差別曲線 序数的 以前 効用関数 8章 以降 状態変化の社会的評価 パレート基準 全員一致 補償変分 基数的 等価変分 消費者余剰の増分 潜在的パレート改善 (仮説的)補償原理 集計的消費者余剰の増分 5 8.消費者余剰と等価変分・ 補償変分 状態変化の個人的評価 7章 無差別曲線 序数的 以前 効用関数 8章 以降 状態変化の社会的評価 パレート基準 全員一致 補償変分 基数的 等価変分 消費者余剰の増分 生産者余剰の増分 潜在的パレート改善 (仮説的)補償原理 集計的消費者余剰の増分 集計的生産者余剰の増分 6 8.1 支出最小化問題と補償需要関数 8.2 補償変分と等価変分 8.3 補償需要関数と補償変分・ 等価変分 8.4 (マー シャルの)需要関数と補償需要関数 8.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分 7 8.1 支出最小化問題と補償需要関数 p =財 x の価格 財 y の価格=1 E =支出額(expenditure) E px y :支出額 (8-1) I :無差別曲線 8 <支出最小化問題> 無差別曲線 I 上の消費量の組 ( x, y ) のなかで支出額 E px y を * * 最小にする消費量の組 ( x , y ) を求める問題である。 x * =財 x の補償需要量 y * =財 y の補償需要量 Compensated Demand Function x * x dC ( p, I ) :財 x の補償需要関数 y * y dC ( p, I ) :財 y の補償需要関数 (8-2) (8-3) E ( p, I ) =支出最小化問題で求められる支出額 E ( p, I ) p x dC ( p, I ) y dC ( p, I ) :補償所得 Compensating Income (8-4) 9 (問題 8-1) 下の図に等支出線を描き加えることで、 I と p が 与えられてもとでの x * , y * と E ( p, I ) を図示しなさい。 10 y E ( p, I ) px * y * p xdC ( p, I ) ydC ( p, I ) E ( p, I ) y E px y * y dC ( p, I ) I p x * x dC ( p, I ) x 11 8.2 補償変分と等価変分 所得を m とすれば予算制約式は px y m (8-5) である。 状態1と状態2における所得は 簡単化のため同一であるとする。 価格 p が p (状態1)から p (状態 2)に低下したとする。 1 2 ( x j , y j ) =状態 j における個人の最適消費量の組 I j =「 ( x j , y j ) を通る無差別曲線」 12 CV =補償変分(compensating valuation) EV =等価変分(equivalent valuation) 効用の増加を所得の変化分としてとらえる概念 「変化後の効用」を「変化後の価格」 のもとで補償するために必要な所得 CV E ( p 2 , I 2 ) E ( p 2 , I 1 ) (8-6) 「変化前の効用」を「変化後の価格」 のもとで補償するために必要な所得 EV E ( p1 , I 2 ) E ( p1 , I 1 ) (8-7) 「変化後の効用」を「変化前の価格」 のもとで補償するために必要な所得 13 (問題 8-2) ① E ( p 2 , I 1 ) と E ( p1 , I 2 ) を図示しなさい。 ② E ( p1 , I 1 ) m E ( p 2 , I 2 ) であることを確認しなさい。 1 2 ③ 価格が p から p に低下したときの CV と EV がどの線 分の長さとして捉えられるかを図示しなさい。 14 y E ( p1 , I 2 ) = E ( p1 , I 1 ) E ( p 2 , I 2 ) m E( p 2 , I 1 ) y1 y I1 2 p x1 1 p 1 p x2 2 I2 x 15 CV =補償変分(compensating valuation) EV =等価変分(equivalent valuation) 効用の増加を所得の変化分としてとらえる概念 「変化後の効用」を「変化後の価格」 = のもとで補償するために必要な所得 m 2 1 m E ( p , I ) CV E ( p , I ) E ( p , I ) 2 2 2 1 (8-6) 「変化前の効用」を「変化後の価格」 のもとで補償するために必要な所得 EV E ( p1 , I 2 ) E ( p1 , I 1 ) E ( p1 , I 2 ) m (8-7) 「変化後の効用」を「変化前の価格」 のもとで補償するために必要な所得 16 (問題 8-2) ① E ( p 2 , I 1 ) と E ( p1 , I 2 ) を図示しなさい。 ② E ( p1 , I 1 ) m E ( p 2 , I 2 ) であることを確認しなさい。 1 2 ③ 価格が p から p に低下したときの CV と EV がどの線 分の長さとして捉えられるかを図示しなさい。 17 CV m E ( p 2 , I 1 ) y EV E ( p1 , I 2 ) m EV E ( p1 , I 2 ) CV m E( p 2 , I 1 ) y1 y I1 2 p x1 1 p x2 2 I2 x 18 8.3 補償需要関数と補償変分・ 等価変分 無差別曲線が部分的に直線になっている特殊ケー スを想定 ⇒ CV と EV が補償需要曲線を用いて捉えることができる。 MRS k = x k 1 から xk の範囲の限界代替率 ( k 1, 2, 3 かつ xˆ0 0 ) 19 y 部分的に直線の無差別曲線 Marginal Rate of Substitution MRS1 MRS 2 I MRS 3 x̂0 x̂1 x̂2 x̂3 x 20 y MRS 1 I M R S2 p1 p2 MRS 3 x p 補償需要曲線 MRS 1 p1 MRS 2 Ⅰ Ⅱ p2 MRS 3 Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅰ x̂1 x̂2 x 21 (問題 8-3) ① 下段の図のⅠ+Ⅱが上段の図のどの線分の 長さと等しいかを示しなさい。 ② Ⅰ+Ⅱが CV となるのは、無差別曲線 I が I 1 のときであろうか I 2 のときであろうか。 ③ Ⅰ+Ⅱが EV となるのは、無差別曲線 I が I 1 のときであろうか I 2 のときであろうか。 22 (Ⅰ+Ⅲ)+(Ⅱ + Ⅳ)-(Ⅲ + Ⅳ)=Ⅰ+Ⅱ y p 補償需要曲線 MRS 1 Ⅰ+Ⅲ = p 1 p1 x̂1 MRS 2 p MRS 3 MRS 1 p 2 x̂2 = Ⅲ+Ⅳ Ⅰ Ⅱ 2 Ⅰ Ⅳ Ⅲ Ⅰ x̂1 x̂2 x MRS 2 ( xˆ 2 xˆ1 ) = Ⅱ+Ⅳ I MRS 2 p1 x̂1 p2 x̂2 MRS 3 x 23 (問題 8-3) ① 下段の図のⅠ+Ⅱが上段の図のどの線分の 長さと等しいかを示しなさい。 ② Ⅰ+Ⅱが CV となるのは、無差別曲線 I が I 1 のときであろうか I 2 のときであろうか。 ③ Ⅰ+Ⅱが EV となるのは、無差別曲線 I が I 1 のときであろうか I 2 のときであろうか。 24 y EV CV I2 I1 p2 p1 x1 x2 x 25 y EV CV I2 I1 p1 x1 p2 p2 x2 x 26 y EV CV I2 1 p p2 x x2 27 CV m E ( p 2 , I 1 ) y EV E ( p1 , I 2 ) m m=E(p1, I1) Ⅰ+Ⅱ I I 1 Ⅰ+Ⅱ=CV I I 2 Ⅰ+Ⅱ=EV MRS 1 m=E(p2, I2) 2 1 I MRS 2 p1 x̂1 p2 x̂2 MRS 3 x 28 階段状の補償需要曲線 2つの価格線、補償需要曲線、 縦軸で囲まれる図形の面積 p I I 1 Ⅰ+Ⅱ=CV I が与えられたもとでの 補償需要曲線 I I 2 Ⅰ+Ⅱ=EV MRS 1 p1 MRS 2 Ⅰ 2 Ⅱ MRS 3 Ⅰ Ⅳ p Ⅲ Ⅰ x̂1 x̂2 x 29 曲線の補償需要曲線 2つの価格線、補償需要曲線、 縦軸で囲まれる図形の面積 p x x dC ( p, I ) I I 1 Ⅰ+Ⅱ=CV I I 2 Ⅰ+Ⅱ=EV MRS 1 p1 MRS 2 Ⅰ 2 p MRS 3 Ⅲ Ⅱ Ⅰ Ⅳ Ⅰ xdC ( p1 , I ) xdC ( p 2 , I ) x 30 8.4 (マー シャルの)需要関数と補償需要関数 px y m :予算制約式 ( x * , y * ) =予算制約のもとでの最適な消費量の組 x * =財 x の(マー シャルの)需要量 x xd ( p) :(マー シャルの)需要関数 (8-8) 31 y px y m m y* I p x * x d ( p) x 32 (マー シャルの)需要関数と補償需要関数の関係? x j xd ( p j ) ( j 1, 2 ) x ij x dC ( p i , I j ) ⇒ ( i, j 1, 2 ) x x ( j 1, 2 )。 jj j (問題 8-4) 1 2 12 21 ① x 、 x 、 x 、 x を記入しなさい。 C j ② x xd ( p) と x x d ( p, I ) を描き加えなさい。 33 y m I2 I1 p1 p2 x p p1 p2 x 34 y x j xd ( p j ) x ij x dC ( p i , I j ) m I2 I1 p1 x11 x1 x12 x 21 x 2 x 22 p2 x 代替効果 所得効果 35 p x x dC ( p, I 2 ) p1 ● <財xが上級財のケース> ● x x d ( p) p2 ● ● x x dC ( p, I 1 ) x11 x1 x12 代替効果 x 21 x 2 x 22 x 所得効果 36 8.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分 財 x が上級財(所得効果がプラス) ⇒ p 2 p p1 の範囲で x dC ( p, I 1 ) < x d ( p ) < x dC ( p, I 2 ) である。 37 I I1 x x dC ( p, I 1 ) = CV p I I2 x x dC ( p, I 2 ) = EV p1 Ⅲ Ⅰ p 2 CV=Ⅰ x x d ( p) Ⅱ Ⅱ Ⅰ Ⅰ EV=Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ 定義 ΔCS= Ⅰ+Ⅱ 所得効果が大きいケース x1 x2 所得効果 x CV<ΔCS<EV38 x x dC ( p, I 1 ) p CV=Ⅰ x x dC ( p, I 2 ) p1 ΔCS=Ⅰ+Ⅱ Ⅲ Ⅱ Ⅰ p EV=Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ 2 Ⅰ x x d ( p) 所得効果が小さいケース Ⅱ Ⅰ CV≒ΔCS≒EV x1 x2 所得効果 x 39 無差別曲線を用いた分析 ⇒ 需要曲線を用いた分析 ⇒ CV あるいは EV を用いた分析 CS を用いて分析 財 x の所得効果が小さい ⇒ x dC ( p, I 1 ) ≒ x d ( p ) ≒ x dC ( p, I 2 ) ⇒ CV ≒ CS ≒ EV ⇒ 「無差別曲線を用いた分析 ≒ 需要曲線を用いた分析」 40 (問題 8-5)効用関数が u y v(x) で与えられているとする( v ( x) 0, v ( x) 0 )。 そのとき、財 x の所得効果がゼロ(財 x は中級財)であることを示しなさい。 41 y m y v ( x ) u 2 I2 v(xˆ ) p1 I1 p2 x x̂ y v( x) u1 v(xˆ ) 42 x (問題 8-5)効用関数が u y 4 x x 2 で与えられているとする。また、 予算制約式は px y m であるとする。そのとき、財 x の所得効果がゼロ (財 x は中級財)であることを示しなさい。また、価格 p が 3 から 2 に低 下するときに生じる消費者余剰の増分 CS を求めなさい。 y x2 4x u dy 2x 4 dx 4 2 xd ( p ) p 1 1 3 CS 1 2 2 4 p 4 3 xd ( p ) 1 p2 2 財 x は中級財 2 1/ 2 1 2 x 43 8.1 支出最小化問題と補償需要関数 8.2 補償変分と等価変分 8.3 補償需要関数と補償変分・ 等価変分 8.4 (マー シャルの)需要関数と補償需要関数 8.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分 44