PowerPointファイル

Download Report

Transcript PowerPointファイル

8.消費者余剰と等価変分・ 補償変分
第 9 章では社会的な厚生水準を評価する方法について検討する。本章ではその準備として、
個人の効用(あるいは満足度)の変化を金銭的に捉える方法について検討する。
8.1 支出最小化問題と補償需要関数
8.2 補償需要曲線と無差別曲線との関係
8.3 補償変分と等価変分
8.4 (マー シャルの)需要関数と補償需要関数
8.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分
8.6 補論**:無差別曲線が滑らかな曲線のときの(8-5)の導出
1
8.1 支出最小化問題と補償需要関数
ある個人の状態の変化がその個人にとってどれだけ望ましくなったかを金銭的(基数的)
に評価するための準備をしよう。
p =財 x の価格
財 y の価格=1
E =支出額(expenditure)
E  p  x  y :支出額
(8-1)
I :無差別曲線 (あるいは y  I (x) )
2
<支出最小化問題>
無差別曲線 I 上の消費量の組 ( x, y ) のなかで支出額 E  p  x  y を
*
*
最小にする消費量の組 ( x , y ) を求める問題である。
なお、無差別曲線は厳密に右下がりである(すなわち水平や垂直な部分は存在しない)と
仮定する。
そして、無差別曲線 I が与えられたもとで、価格 p とそれに対応する(上付き記号*を省
略した)補償需要量 x の組 ( x, p ) の集合を x p 平面に図示した曲線が「財 x の補償需要曲線」
である。また、
「財 y の補償需要曲線」も同様に定義することができる。
さらに、支出最小化問題で求められる支出額を E ( p, I ) と表し、補償所得(compensating
income あるいは最小支出)と呼ぶことにする。
3
特に、無差別曲線 I と価格 p に対応する財 x の補償需要量が一意的に定まる場合は、財 x の
補償需要量の値を xdC ( p, I ) と表すことにする。
また同様に、財 y の補償需要量を ydC ( p, I ) と表すことにする
任意の p に関して財 x (財 y )の補償需要量が一意的に定まる場合は、財 x (財 y )の補
償需要関数:
Compensated Demand Function
x  xdC ( p, I ) :財 x の補償需要関数
y  ydC ( p, I ) :財 y の補償需要関数
(8-2)
(8-3)
補償需要関数が定義できるときは、補償所得 E ( p, I ) を、
E ( p, I )  p  x dC ( p, I )  y dC ( p, I )
(8-4)
と表すことができる。
4
(問題 8-1)無差別曲線 I と価格が p j が与えられたもとでの補償需要量 x dC ( p j , I ) 、y dC ( p j , I ) 、
補償所得 E( p j , I ) を図示しなさい( j  0,1 )
。また、補償需要曲線 x  xdC ( p, I ) を図
示しなさい。
E( p0 , I )
y
E ( p, I )  p  x dC ( p, I )  y dC ( p, I )
E( p1 , I )
ydC ( p0 , I )
ydC ( p1 , I )
I または y  I (x)
p0
p1
x
xdC ( p0 , I ) xdC ( p1 , I )
p
p0
p1
・
・
xdC ( p0 , I ) xdC ( p1 , I )
x  xdC ( p, I )
x
5
問題 8-1 の図より、無差別曲線 I が滑らかな曲線( I ( x)  0 かつ I ( x )  0 )であるとすれ
ば、補償需要量 x と価格 p は次のような関係を満たすことになる。すなわち、 y  I (x ) と
価格 p が与えられたもとで、点 ( x, I ( x)) における無差別曲線の傾き  I (x ) が、価格 p と一
致する。すなわち、補償需要量 x は、
p   I (x)
(8-5)
を満たすことになる。そしてこの場合は、 I ( x )  0 より、(8-5)を満たす x の値は一意的に
定まるので、(8-5)を x について解いた式が x  xdC ( p, I ) である((8-2)参照)。
(問題 8-1)無差別曲線 I と価格が p j が与えられたもとでの補償需要量 x dC ( p j , I ) 、y dC ( p j , I ) 、
補償所得 E( p j , I ) を図示しなさい( j  0,1 )。また、補償需要曲線 x  xdC ( p, I ) を図
示しなさい。
y
x0 : xdC ( p0 , I )
ydC ( p0 , I )
I または y  I (x)
 I ( x 0 )  p0
xdC ( p0 , I )
x
6
(問題 8-2) I ( x)    ( x   ) 2   のときに、(8-5)を用いて xdC ( p, I ) と ydC ( p, I ) を求めな
さい(  ,  ,   0 )
。なお、 x   の範囲に限定して議論しなさい。
I ( x)  2  ( x   )
p  2  ( x   )
xdC ( p, I )  

p   I (x)
(8-5)
p

2
p2
y ( p, I ) 

4
C
d
7
8.2 補償需要曲線と無差別曲線との関係
問題 8-1 で描いた下段の図のなかに、次の図のようにⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳを描き加えることにす
る。そして、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳでそれらが入っている図形の面積を表すことにする。
p
x  xdC ( p, I )
p0
Ⅰ
p1
Ⅲ
Ⅱ
Ⅳ
xdC ( p0 , I ) xdC ( p1 , I )
x
8
S1 ( p 0 , p1 , I ) =
「補償需要曲線、直線 x  xdC ( p 0 , I ) 、直線 x  xdC ( p1 , I ) 、 x 軸で囲まれる部分の面積」
S 2 ( p 0 , p1 , I ) =
「補償需要曲線、直線 p  p 0 、直線 p  p1 、 p 軸で囲まれる部分の面積」
(問題 8-3) S1 ( p 0 , p1 , I ) と S 2 ( p 0 , p1 , I ) をⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの幾つかの和で表しなさい。
p
S1 ( p , p , I ) = Ⅱ+Ⅳ
0
x  xdC ( p, I )
1
S2 ( p0 , p1 , I ) =Ⅰ+Ⅱ
p0
Ⅰ
p
1
Ⅲ
Ⅱ
Ⅳ
xdC ( p0 , I ) xdC ( p1 , I )
x
9
面積 S1 ( p 0 , p1 , I ) は、財 y の補償需要量 y dC ( p j , I ) を用いて( j  0,1 )、
S1 ( p 0 , p1 , I )  y dC ( p 0 , I )  y dC ( p1 , I )
(8-6)
と表すことができる。
最初に、無差別曲線が部分的に直線になっているケー スについて、(8-6)が成立することを
示そう。そのために、無差別曲線 I は、次のペー ジの図の上段の図のように、 x が xˆ k 1 から
x̂ k の範囲の限界代替率が MRS k で一定であるとする( k  1, 2, 3 かつ xˆ 0  0 )。そして、簡
単化のために
MRS 1  p 0  MRS 2  p1  MRS 3
(8-7)
を仮定する。そのとき、 x dC ( p j , I )  xˆ j 1 かつ y dC ( p j , I )  I ( xˆ j 1 ) が成立する( j  0,1 )。
(問題 8-4)次のペー ジの図に S1 ( p 0 , p1 , I ) 、 y dC ( p 0 , I ) 、 ydC ( p1 , I ) を図示し、(8-6)が成
立することを示しなさい。
10
(問題 8-4)次のペー ジの図に S1 ( p 0 , p1 , I ) 、 y dC ( p 0 , I ) 、 ydC ( p1 , I ) を図示し、(8-6)が成
立することを示しなさい。
y
I または y  I (x )
S1 ( p1 , p 2 , I )  MRS 2  ( xˆ2  xˆ1 )  ydC ( p0 , I )  ydC ( p1 , I )
ydC ( p0 , I )
MRS 1
ydC ( p1 , I )
MRS 2
MRS 3
p0
x̂1
p1
x
x̂3
x̂ 2
p
補償需要曲線
MRS 1
p0
MRS 2
p1
MRS 3
S1 ( p 0 , p1 , I )
x̂1
x̂ 2
x
11
次に、無差別曲線が滑らかな曲線である(すなわち関数 y  I (x ) が微分可能な)ケー スで
も(8-6)が成立するかどうかを検討しよう。なお、一般的なケー スで(8-6)が成立することは
「8.6 補論」で議論することとして、ここでは、 y  I (x ) が 2 次関数の場合に(8-6)が成立
することを次の問題で確認しよう。
(問題 8-1)無差別曲線 I と価格が p j が与えられたもとでの補償需要量 x dC ( p j , I ) 、y dC ( p j , I ) 、
補償所得 E( p j , I ) を図示しなさい( j  0,1 )。また、補償需要曲線 x  xdC ( p, I ) を図
示しなさい。
y
x0  xdC ( p0 , I )
ydC ( p0 , I )
I または y  I (x)
 I ( x 0 )  p0
xdC ( p0 , I )
x
12
(問題 8-5) I ( x)    ( x   ) 2   のときに、問題 8-2 の結果を用いて(8-6)が成立するこ
とを示しなさい(  ,  ,   0 )。
S1 ( p 0 , p1 , I )  y dC ( p 0 , I )  y dC ( p1 , I )
(8-6)
I ( x)  2  ( x   )
p  2  ( x   )
xdC ( p, I )  
p

2
( p 0  p1 )( p 0  p1 )
S1 ( p , p , I ) 
4
0
1
p2
y ( p, I ) 

4
C
d
( p 0 ) 2 ( p1 ) 2
y (p , I)  y (p , I) 

4
4
C
d
0
C
d
1
(8  6)
13
そして(8-4)と(8-6)より、無差別曲線 y  I (x ) が部分的に直線のケー スでも、滑らかな曲線
のケー スでも、面積 S 2 ( p 0 , p1 , I ) は
S 2 ( p 0 , p1 , I )  E ( p 0 , I )  E ( p1 , I )
(8-8)
と表すことができる。
(問題 8-6)問題 8-1 の下段の図を用いて、 S 2 ( p 0 , p1 , I )  S1 ( p 0 , p1 , I ) を p 0 、 p1 、
xdC ( p 0 , I ) 、 xdC ( p1 , I ) のどのような式として表せるかを説明しなさい。また、上
の下段の図を用いても同じ関係式を導くことができることを確認しなさい。そし
て、その関係式に、(8-4)と(8-6)を考慮することで、 (8-8)を導出しなさい。
S 2 ( p 0 , p1 , I ) が問題 8-1 の上段の図、および上の上段の図のどの線分の長さに一
致するかを説明しなさい。
14
(問題 8-6)問題 8-1 の下段の図を用いて、 S 2 ( p 0 , p1 , I )  S1 ( p 0 , p1 , I ) を p 0 、 p1 、
xdC ( p 0 , I ) 、 xdC ( p1 , I ) のどのような式として表せるかを説明しなさい。また、上
の下段の図を用いても同じ関係式を導くことができることを確認しなさい。そし
て、その関係式に、(8-4)と(8-6)を考慮することで、 (8-8)を導出しなさい。
S 2 ( p 0 , p1 , I ) が問題 8-1 の上段の図、および上の上段の図のどの線分の長さに一
致するかを説明しなさい。
S1 ( p 0 , p1 , I )  Ⅱ+Ⅳ
p
x  xdC ( p, I )
S2 ( p0 , p1, I ) Ⅰ+Ⅱ
p0
p x ( p , I )  Ⅰ+Ⅲ
p1
0 C
d
0
p x ( p , I )  Ⅲ+Ⅳ
1 C
d
Ⅰ
Ⅲ
Ⅱ
Ⅳ
1
x
xdC ( p0 , I ) xdC ( p1 , I )
S2 ( p0 , p1, I )  S1 ( p0 , p1, I ) (Ⅰ+Ⅱ)

(Ⅱ+Ⅳ)
 Ⅰ Ⅳ
p0 xdC ( p0 , I )  p1xdC ( p1, I )  (Ⅰ+Ⅲ)

(Ⅲ+Ⅳ)
 Ⅰ Ⅳ
S2 ( p0 , p1, I )  S1 ( p0 , p1, I )  p0 xdC ( p0 , I )  p1 xdC ( p1, I )
(#)
15
E ( p, I )  p  x dC ( p, I )  y dC ( p, I )
S1 ( p0 , p1 , I )  ydC ( p0 , I )  ydC ( p1 , I )
S2 ( p0 , p1, I )  S1 ( p0 , p1, I )  p0 xdC ( p0 , I )  p1 xdC ( p1, I )
(8-4)
(8-6)
(#)
S2 ( p0 , p1, I )  p0 xdC ( p0 , I )  p1xdC ( p1, I )  S1 ( p0 , p1 , I )
 p0 xdC ( p0 , I )  p1xdC ( p1, I )  ydC ( p0 , I )  ydC ( p1, I )
← (8-6)
  p0 xdC ( p0 , I )  ydC ( p0 , I )   p1xdC ( p1, I )  ydC ( p1, I )
 E( p0 , I )  E( p1, I )
← (8-4)
16
E ( p, I )  p  x dC ( p, I )  y dC ( p, I )
(8-4)
S2 ( p0 , p1 , I )
y
E( p0 , I )
(8-4)
C
d
0
y ( p , I)
E( p1 , I )
S 2 ( p 0 , p1 , I )  E ( p 0 , I )  E ( p1 , I )
(8-8)
ydC ( p1 , I )
I
p0
p1
xdC ( p0 , I ) xdC ( p1 , I )
x
17
8.3 補償変分と等価変分
所得を m とすれば予算制約式は
p x  y  m
(8-9)
である。そして、価格 p が p 0 (状態 0)から p1 (状態 1)に低下したとする( p 0 > p1 )。
なお、単純化のため、状態が変化しても所得 m は変化しないとする。そして、状態 j にお
ける個人の最適消費量の組を c j  ( x j , y j ) と表すことにする( j  0,1 )。また、最適消費
j
点 c j を通る無差別曲線を I と表すことにする。
補償変分 CV (compensating valuation)と等価変分 EV (equivalent valuation)とは、
次のように価格低下により生じる効用(満足度)の増加を所得の変化分としてとらえる概
念であり、補償所得 E ( p, I ) を用いて次のように定義される。
(8-10)
CV  E( p1 , I 1 )  E( p1 , I 0 )
(8-11)
EV  E( p 0 , I 1 )  E( p 0 , I 0 )
補償変分 CV と等価変分 EV の相違は、 CV は変化後の価格 p1 を用いて評価しているのに
対して、 EV は変化前の価格 p 0 を用いて評価している点である。
18
CV =補償変分(compensating valuation)
EV =等価変分(equivalent valuation)
効用の増加を所得の変化分としてとらえる概念
「変化後の効用」を「変化後の価格」
のもとで補償するために必要な所得
CV  E( p1, I 1 )  E( p1, I 0 )
(8-10)
「変化前の効用」を「変化後の価格」
のもとで補償するために必要な所得
EV  E( p0 , I 1 )  E( p0 , I 0 )
(8-11)
「変化後の効用」を「変化前の価格」
のもとで補償するために必要な所得
19
また、次の関係が成立する。
E ( p 0 , I 0 )  m  E ( p1 , I 1 )
(8-12)
(問題 8-7)
①
E( p1 , I 0 ) と E( p0 , I 1 ) を図示しなさい。
② (8-12)が成立することを確認しなさい。
③ 価格が p 0 から p1 に低下したときの CV と EV がどの線
分の長さとして捉えられるかを図示しなさい。
20
y
E( p0 , I 1 )
=
E( p 0 , I 0 )
E( p1 , I 1 )  m
E( p1 , I 0 )
y0
I0
y1
p0
x0
pp10
p1
x1
I1
x
21
(問題 8-7)
①
E( p1 , I 0 ) と E( p0 , I 1 ) を図示しなさい。
② (8-12)であることを確認しなさい。
③ 価格が p 0 から p1 に低下したときの CV と EV がどの線
分の長さとして捉えられるかを図示しなさい。
22
CV  m  E( p1 , I 0 )
EV  E( p0 , I 1 )  m
y
EV
E( p0 , I 1 )
CV
m
E( p1 , I 0 )
y0
y
I0
1
p
x0
0
p
x1
1
I1
x
23
(問題 8-7*)予算制約式(8-9)のもとで、効用関数が u  x  y のときに、価格が p j のもとで
の最適な消費点 c j  ( x j , y j ) を求めなさい( j  0,1 )
。また、財 x の価格が p 0 か
ら p1 に低下するときの補償変分 CV 、等価変分 EV を求めなさい。
24
そして、(8-8)、(8-10)、(8-11)、(8-12)より、次の関係が成立する。
CV  E( p 0 , I 0 )  E( p1 , I 0 )  S 2 ( p 0 , p1 , I 0 )
EV  E( p 0 , I 1 )  E( p1 , I 1 )  S 2 ( p 0 , p1 , I 1 )
(8-13)
(8-14)
p
x  xdC ( p, I )
p0
S2 ( p0 , p1, I ) Ⅰ+Ⅱ
Ⅰ
p1
Ⅲ
Ⅱ
Ⅳ
x
xdC ( p0 , I ) xdC ( p1 , I )
CV  E( p1, I 1 )  E( p1, I 0 )
(8-10)
 E( p0 , I 0 )  E( p1 , I 0 )
E( p0 , I 0 )  m  E( p1, I 1 ) (8 -12)
 S2 ( p0 , p1 , I 0 )
S2 ( p0 , p1 , I )  E( p0 , I )  E( p1 , I )
EV  E( p0 , I 1 )  E( p0 , I 0 )
(8-8)
(8-11)
 E( p0 , I 1 )  E( p1 , I 1 )
E( p0 , I 0 )  m  E( p1, I 1 ) (8 -12)
 S2 ( p0 , p1 , I 1 )
S2 ( p0 , p1 , I )  E( p0 , I )  E( p1 , I )
(8-8)
25
8.4 (マー シャルの)需要関数と補償需要関数
p  x  y  m :予算制約式
( x * , y * ) =予算制約のもとでの最適な消費量の組
そして、任意の価格 p に対応する需要量 x * は一意的に定まるとして、価格 p にその需要量
を対応させる関数を(需要量の上付き記号*を省略して)
、
x  x d ( p)
(8-15)
と表し、(マー シャルの)需要関数と呼ぶ。
26
y
p x  y  m
m
y*
I
p
x *  x d ( p)
x
27
(マー シャルの)需要関数と補償需要関数の関係?
x j : xd ( p j ) ( j  0,1 )
xij : xdC ( pi , I j ) ( i, j  0,1 )
⇒
x  x ( j  0,1 )。
jj
j
(問題 8-9)
① x 0 、 x1 、 x 01 、 x10 を記入しなさい。
C
j
② x  xd ( p) と x  x d ( p, I ) を描き加えなさい。
28
y
m
I1
I0
p0
p1
x
p
p0
p1
x
29
y
x j : xd ( p j )
xij : xdC ( pi , I j )
m
I1
I0
p0
x 00  x 0 x 01 x10
p1
x1  x11
x
代替効果 所得効果
30
p
x  xdC ( p, I 1 )
p0
●
<財xが上級財のケース>
●
x  x d ( p)
p1
●
●
x  xdC ( p, I 0 )
x 00  x 0 x 01
代替効果
x10
x1  x11
x
所得効果
31
8.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分
財 x が上級財(所得効果がプラス)
⇒
p1  p  p 0 の範囲で
xdC ( p, I 0 ) < x d ( p ) < xdC ( p, I 1 )
である。
32
財xが上級財
y
xdC ( p 2 , I 0 )  xd ( p 2 )  xdC ( p 2 , I 1 )
m
I1
I2
I0
p0
p2
p1
x
p
p 0  p 2  p1
p0
p2
p1
C
d
2
0
x (p ,I )
12/04/19
xd ( p 2 )
xdC ( p 2 , I 1 )
x
33
x  xdC ( p, I 0 )
p
x  x ( p, I )
C
d
1
CV  S2 ( p 0 , p1 , I 0 )
EV  S 2 ( p 0 , p1 , I 1 )
(8-13)
(8-14)
p0
③
①
p
1
CV= ①
x  x d ( p)
②
EV= ①+②+③
定義
Ⅰ
ΔCS= ①+②
所得効果が大きいケース
x0
x1
所得効果
x
CV<ΔCS<EV
34
x  xdC ( p, I 0 )
p
CV=①
x  xdC ( p, I 1 )
EV=①+②+③
p0
ΔCS=①+②
③
Ⅱ
①
p
1
Ⅰ
x  x d ( p)
所得効果が小さいケース
②
Ⅰ
CV≒ΔCS≒EV
x0
x1
所得効果
x
35
無差別曲線を用いた分析
⇒
需要曲線を用いた分析 ⇒
CV あるいは EV を用いた分析
CS を用いて分析
財 x の所得効果が小さい
⇒
xdC ( p, I 0 ) ≒ x d ( p ) ≒ xdC ( p, I 1 )
⇒
CV ≒ CS ≒ EV
⇒
「無差別曲線を用いた分析 ≒ 需要曲線を用いた分析」
36
(問題 8-10)効用関数が u  y  v(x) で与えられているとする( v ( x)  0, v ( x)  0 )。
そのとき、財 x の所得効果がゼロ(財 x は中級財)であることを示しなさい。
y
m
y  v( x)  u1
I1
v(xˆ )  p 0
I0
p1
x
x̂
y  v( x)  u 0
v(xˆ )
37
(問題 8-11)効用関数が u  y  4 x  x 2 であるとする。そのとき、予算制約 p  x  y  m の
もとで、価格 p が p 0 から p1 に低下するときの補償変分 CV 、等価変分 EV 、消
費者余剰の増分 CS を求めなさい( p1  p 0  4, m  2 )。
38
8.6 補論**:無差別曲線が滑らかな曲線のときの(8-5)の導出
無差別曲線ば滑らかな曲線、すなわち関数 y  I (x ) が微分可能なケー スにおいては、 (8-6)
は「微分積分学の基本定理」から導かれることになる。なお、「微分積分学の基本定理」と
は、微分可能な関数 f (x ) に関して、 a  x  b の範囲で f (x ) が「連続」であれば、
 f (x) dx  f (b)  f (a)
b
(8-20)
a
が成立することである。また、 a  x  b の範囲で f ( x)  0 であれば、(8-20)の左辺
 f (x) dx
b
(8-21)
a
は「 x p 平面における曲線 p  f (x ) 、直線 x  a 、直線 x  b 、 x 軸(すなわち直線 p  0 )
で囲まれる図形の面積」であり、「定積分」と呼ばれる。なお、関数 g (x ) が「 x  x におい
て連続」であるとは、
lim g ( x  h)  g ( x )
h 0
の関係が成立することである。
39
無差別曲線 y  I (x ) が微分可能で I ( x)  0 かつ I ( x )  0 である場合は、 y  I (x ) と価格
p が与えられたもとでの補償需要量を x とすれば、(8-5)が成立する。そして、(8-5)を x に
ついて解いた式が補償需要関数
x  xdC ( p, I )
(8-22)
である。(8-5)と(8-22)より、補償需要曲線は x  xdC ( p, I ) あるいは p   I (x) と表すこと
ができる。したがって、8.2 節の定義より、 S1 ( p 0 , p1 , I ) は「補償需要曲線 p   I (x) 、直
線 x  xdC ( p 0 , I ) 、直線 x  xdC ( p1 , I ) 、x 軸(すなわち直線 p  0 )で囲まれる部分の面積」
である。したがって、(8-22)を用いて x j : xdC ( p j , I ) とおけば、 S1 ( p 0 , p1 , I ) は定積分を用
いて、次のように表すことができる。
x1
S1 ( p , p , I )   0 ( I ( x)) dx
0
1
x
(8-23)
また(8-20)において、 f ( x)   I ( x) 、 a  x 0 、 b  x1 とおけば、

x1
x0
( I ( x)) dx  I ( x 0 )  I ( x1 )
(8-24)
である。そして、 ydC ( p, I )  I ( xdC ( p, I )) より、
I ( x j )  I ( xdC ( p j , I ))  ydC ( p j , I )
(8-25)
である。以上の(8-23)、(8-24)、(8-25)より、次の関係が導かれる。
S1 ( p 0 , p1 , I )  y dC ( p 0 , I )  y dC ( p1 , I )
(8-6)
40
8.1 支出最小化問題と補償需要関数
8.2 補償需要曲線と無差別曲線との関係
8.3 補償変分と等価変分
8.4 (マー シャルの)需要関数と補償需要関数
8.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分
8.6 補論**:無差別曲線が滑らかな曲線のときの(8-5)の導出
41
<公共経済学(前期)の各章のフローチャート>
<市場メカニズムの機能>
1章
2章
<公共財と政治プロセス>
3章
4章
5章
6章
7章
<費用便益分析>
8章
9章
10章
11章
12章
42
7
5
17
16
13
6
4
3
15
14
補償原理
1
2
地方財政
租税
9
24
18
10
8
20
23
11
22
21
19
市場メカニズ
ム
12
費用便益分析
43
状態変化の個人的評価
7章 無差別曲線
以前 効用関数
序数的
状態変化の社会的評価
パレート基準
全員一致
8章
以降
44
状態変化の個人的評価
7章 無差別曲線
序数的
以前 効用関数
補償変分
基数的
等価変分
8章 消費者余剰の増分
以降
状態変化の社会的評価
パレート基準
全員一致
45
状態変化の個人的評価
7章 無差別曲線
序数的
以前 効用関数
補償変分
基数的
等価変分
8章 消費者余剰の増分
以降
状態変化の社会的評価
パレート基準
全員一致
潜在的パレート改善
(仮説的)補償原理
集計的消費者余剰の増分
46
状態変化の個人的評価
7章 無差別曲線
序数的
以前 効用関数
補償変分
基数的
等価変分
8章 消費者余剰の増分
以降
生産者余剰の増分
状態変化の社会的評価
パレート基準
全員一致
潜在的パレート改善
(仮説的)補償原理
集計的消費者余剰の増分
集計的生産者余剰の増分
47