公共経済学

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2章 CBAのミクロ経済学的基礎
消費者余剰
と
補償変分・等価変分
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1
<2章と3章における議論の流れ>
状態 1 から状態 2 に移行することで生じる変化に着目する。
 CS i =個人 i の消費者余剰の増分
 m i =個人 i の配当所得の増分
 PS j =個人 j の生産者余剰の増分
CV i =個人 i の補償変分
EV i =個人 i の等価変分

i

CV i ≦   CS i +   m i ≦  EV i
i
j
 PS
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j

i

i
mi
CV i  0 は「カルド
ア補償原理」の必要条件
CV i ≦  CS i +  m i ≦ EV i

i
i

i

i
EV i  0 は「ヒック
ス補償原理」の十分条件
CV i ≦   CS i +  j  PS j ≦  EV i
i
i
2
2.1 支出最小化問題と補償需要関数
2.2 補償需要曲線と無差別曲線との関係
2.3 補償変分と等価変分
2.4 (マーシャルの)需要関数と補償需要関数
2.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分
2.6 補論**:無差別曲線が滑らかな曲線のときの(8-5)の導出
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3
2.1 支出最小化問題と補償需要関数
p =財 x の価格
財 y の価格=1
E =支出額(expenditure)
E  p  x  y :支出額
(2-1)
I または y  I ( x ) :無差別曲線
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4
<支出最小化問題>
無差別曲線 I 上の消費量の組 ( x , y ) のなかで支出額 E  p  x  y を
最小にする消費量の組 ( x * , y * ) を求める問題である。
*
x =財 x の補償需要量
*
y =財 y の補償需要量
Compensated Demand Function
x  x d ( p , I ) :財 x の補償需要関数
(2-2)
y  y d ( p , I ) :財 y の補償需要関数
(2-3)
*
*
C
C
E ( p , I ) =支出最小化問題で求められる支出額
E ( p , I )  p  x d ( p , I )  y d ( p , I ) :補償所得
C
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C
Compensating Income
(2-4)
5
(問題 2-1)無差別曲線 I と価格が p j が与えられたもとでの補償需要量 x dC ( p j , I ) 、
。また、補償需要曲線
y dC ( p j , I ) 、補償所得 E ( p j , I ) を図示しなさい( j  0 , 1 )
C
x  x d ( p , I ) を図示しなさい。
y
0
E( p , I)
1
E( p , I)
C
0
C
1
yd ( p , I )
I または y  I ( x )
yd ( p , I )
p0
p
1
x
p
p0
・
p1
x  x dC ( p , I )
・
C
0
x d ( p , I ) x dC ( p 1 , I )
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x
6
2.2 補償需要曲線と無差別曲線との関係
問題 2-1 で描いた下段の図のなかに、次の図のようにⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳを描き加えることにす
る。そして、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳでそれらが入っている図形の面積を表すことにする。
p
x  x dC ( p , I )
p0
S1 ( p , p , I )  Ⅱ  Ⅳ
0
Ⅰ
p
1
Ⅲ
Ⅱ
1
S 2 ( p , p , I ) Ⅰ Ⅱ
0
1
Ⅳ
x dC ( p 0 , I )
x dC ( p 1 , I )
x
「補償需要曲線 x  x dC ( p , I ) 、直線 x  x dC ( p 0 , I ) 、直線 x  x dC ( p 1 , I ) 、 x 軸(すなわち
直 線 p  0 ) で 囲ま れる 部分の 面 積」 を S 1 ( p 0 , p 1 , I ) と 表す 。また 、「補 償需 要 曲線
x  x dC ( p , I ) 、直線 p  p 0 、直線 p  p 1 、 p 軸(すなわち直線 x  0 )で囲まれる部分の
面積」を S 2 ( p 0 , p 1 , I ) と表すことにする。
(問題 2-2) S 1 ( p 0 , p 1 , I ) と S 2 ( p 0 , p 1 , I ) をⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの幾つかの和で表しなさい。
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7
面積 S 1 ( p 0 , p 1 , I ) は、財 y の補償需要量 y dC ( p j , I ) を用いて( j  0 , 1 )、
S 1 ( p 0 , p 1 , I )  y dC ( p 0 , I )  y dC ( p 1 , I )
(2-5)
と表すことができる。
最初に、無差別曲線が部分的に直線になっているケースについて、(8-5)が成立することを示
そう。そのために、無差別曲線 I は、下図の上段の図のように、 x が xˆ k 1 から xˆ k の範囲の
限界代替率が MRS
MRS
1
k
で一定であるとする( k  1, 2 , 3 かつ xˆ 0  0 )。そして、簡単化のために
 p 0  MRS
2
 p 1  MRS
3
(2-6)
を仮定する。そのとき、 x dC ( p j , I )  xˆ j 1 かつ y dC ( p j , I )  I ( xˆ j 1 ) が成立する( j  0 , 1 )。
(問題 2-3)下図に S 1 ( p 0 , p 1 , I ) を図示し、(2-5)が成立することを示しなさい。
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8
y
I または y  I ( x )
C
0
yd ( p , I )
MRS
2
MRS
1
 ( xˆ 2  xˆ1 )
C
MRS
1
yd ( p , I )
S 1 ( p 0 , p 1 , I )  y dC ( p 0 , I )  y dC ( p 1 , I )
2
MRS
p0
xˆ 1
(2-5)
3
p1
xˆ 3
xˆ 2
x
p
補償需要曲線
MRS
p
MRS
1
0
S 1 ( p , p , I )  MRS
0
1
2
 ( xˆ 2  xˆ1 )
2
p1
MRS
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3
xˆ 1
xˆ 2
x
9
また「2.6 補論」より、無差別曲線が滑らかな曲線である(すなわち関数 y  I ( x ) が微分可
能な)ケースでも(8-5)が成立するが、ここでは y  I ( x ) が 2 次関数の場合に(2-5)が成立す
ることを、次の問題で確認しよう。
( 問 題 2-4 ) I ( x )    ( x   ) 2   の と き に 、 (2-5) が 成 立 す る こ と を 示 し な さ い
。
( ,  ,   0 )
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10
2.6 補論**:無差別曲線が滑らかな曲線のときの(8-5)の導出
無差別曲線ば滑らかな曲線、すなわち関数 y  I ( x ) が微分可能なケースにおいては、 (2-5)
は「微分積分学の基本定理」から導かれることになる。なお、
「微分積分学の基本定理」と
は、微分可能な関数 f ( x ) に関して、 a  x  b の範囲で f  ( x ) が「連続」であれば、
b
 f ( x ) dx 
f (b )  f ( a )
(2-18)
a
が成立することである。また、 a  x  b の範囲で f ( x )  0 であれば、(2-18)の左辺
b
 f ( x ) dx
(2-19)
a
は「 x p 平面における曲線 p  f ( x ) 、直線 x  a 、直線 x  b 、 x 軸(すなわち直線 p  0 )
で囲まれる図形の面積」であり、
「定積分」と呼ばれる。なお、関数 g ( x ) が「 x  x におい
て連続」であるとは、次の関係が成立することである。
lim g ( x  h )  g ( x )
h 0
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無差別曲線を表す関数 y  I ( x ) が微分可能である場合は、 y  I ( x ) と価格 p が与えられた
もとでの補償需要量を x とすれば、点 ( x , I ( x )) における無差別曲線の傾き  I  ( x ) が、価格
。すなわち、補償需要量 x は、
p と一致する(問題 2-1 参照)
p   I ( x )
(2-20)
を満たすことになる。そして、(2-20)を x について解いた式が補償需要関数
(2-21)
x  x dC ( p , I )
である。
(2-20)と(2-21)より、補償需要曲線は x  x dC ( p , I ) あるいは p   I ( x ) と表すことができる。
し た が っ て 、 2.2 節 の 定 義 よ り 、 S 1 ( p 0 , p 1 , I ) は 「 補 償 需 要 曲 線 p   I ( x ) 、 直 線
x  x dC ( p 0 , I ) 、直線 x  x dC ( p 1 , I ) 、 x 軸(すなわち直線 p  0 )で囲まれる部分の面積」
である。
したがって、(2-21)を用いて x j  x dC ( p j , I ) とおけば、 S 1 ( p 0 , p 1 , I ) は定積分を用いて、次
のように表すことができる。
S1 ( p , p , I ) 
0
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1

x1
x0
(  I ( x )) dx
(2-22)
12
b
 f ( x ) dx 
f (b )  f ( a )
(2-18)
a
また(2-18)において、 f ( x )   I ( x ) 、 a  x 0 、 b  x 1 とおけば、

x1
x0
(  I ( x )) dx  I ( x 0 )  I ( x 1 )
(2-23)
である。
そして、 y dC ( p , I )  I ( x dC ( p , I )) より、
I ( x j )  I ( x dC ( p j , I ))  y dC ( p j , I )
(2-24)
である。
以上の(2-22)、(2-23)、(2-24)より、次の関係が導かれる。
S 1 ( p 0 , p 1 , I )  y dC ( p 0 , I )  y dC ( p 1 , I )
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(2-5)
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そして(2-5)より、無差別曲線 y  I ( x ) が部分的に直線のケースでも、滑らかな曲線のケー
スでも、面積 S 2 ( p 0 , p 1 , I ) は財 x の補償需要量 x dC ( p j , I ) を用いて( j  0 , 1 )
、
S 2 ( p 0 , p 1 , I )  p 0 x dC ( p 0 , I )  p 1 x dC ( p 1 , I )  S 1 ( p 0 , p 1 , I )
(2-7)
と表すことができる。
(問題 2-5)問題 2-1 の下段の図を用いて(2-7)が成立することを示しなさい。また、(2-5)
と(2-7)より、S 2 ( p 0 , p 1 , I ) が問題 2-1 の上段の図のどの線分の長さに一致するか
を説明しなさい。次に、上図の下段の図を用いて(2-7)が成立することを示しなさ
い。また、(2-5)と(2-7)より、S 2 ( p 0 , p 1 , I ) が上図の上段の図のどの線分の長さに
一致するかを説明しなさい。
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(問題 2-1)無差別曲線 I と価格が p j が与えられたもとでの補償需要量 x dC ( p j , I ) 、
。また、補償需要曲線
y dC ( p j , I ) 、補償所得 E ( p j , I ) を図示しなさい( j  0 , 1 )
C
x  x d ( p , I ) を図示しなさい。
y
0
E( p , I)
1
E( p , I)
C
0
C
1
yd ( p , I )
I または y  I ( x )
yd ( p , I )
p0
p
1
x
p
p0
・
p1
x  x dC ( p , I )
・
C
0
x d ( p , I ) x dC ( p 1 , I )
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x
15
0
1
(Ⅱ  Ⅳ) 
(Ⅲ  Ⅳ)  p x d ( p , I )  S 1 ( p , p , I )  p x d ( p , I )
S 2 ( p , p , I ) Ⅰ Ⅱ (Ⅰ  Ⅲ) 
0
C
0
0
1
1
C
1
(2-7)
y
0
E( p , I)
S1 ( p , p , I )  Ⅱ  Ⅳ
0
1
1
E( p , I)
C
d
0
C
1
S 2 ( p , p , I ) Ⅰ Ⅱ
0
1
y (p ,I)
yd ( p , I )
I または y  I ( x )
p0
p
1
x
p
p0
p1
・
x  x dC ( p , I )
Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
・
Ⅳ
C
0
C
1
x
xd ( p , I ) xd ( p , I )
E ( p , I )  E ( p , I )  yd ( p , I )  p xd ( p , I )   yd ( p , I )  p xd ( p , I ) 
0
1
C
0
0
C
0
C
1
1
C
1
 S1 ( p , p , I )  p xd ( p , I )  p xd ( p , I )
0
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1
0
C
 S 2 ( p , p , I ) Ⅰ Ⅱ
0
1
0
1
C
1
16
2.3 補償変分と等価変分
所得を m とすれば予算制約式は
(2-8)
である。そして、価格 p が p (状態 0)から p (状態 1)に低下したとする( p > p 1 )。
なお、単純化のため、状態が変化しても所得 m は変化しないとする。そして、状態 j にお
ける個人の最適消費量の組を c j  ( x j , y j ) と表すことにする( j  0 , 1 )。また、最適消費
点 c j を通る無差別曲線を I j と表すことにする。
px y  m
0
1
0
補償変分 CV (compensating valuation)と等価変分 EV (equivalent valuation)とは、
次のように価格低下により生じる効用(満足度)の増加を所得の変化分としてとらえる概
念であり、補償所得 E ( p , I ) を用いて次のように定義される。
CV  E ( p 1 , I 1 )  E ( p 1 , I 0 )
(2-9)
EV  E ( p 0 , I 1 )  E ( p 0 , I 0 )
(2-10)
補償変分 CV と等価変分 EV の相違は、 CV は変化後の価格 p 1 を用いて評価しているのに
対して、 EV は変化前の価格 p 0 を用いて評価している点である。
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CV =補償変分(compensating valuation)
EV =等価変分(equivalent valuation)
効用の増加を所得の変化分としてとらえる概念
「変化後の効用」を「変化後の価格」
=
のもとで補償するために必要な所得
CV  E ( p , I )  E ( p , I )  m  E ( p , I )
2
2
2
1
2
1
m
(2-6)
「変化前の効用」を「変化後の価格」
のもとで補償するために必要な所得
EV  E ( p , I )  E ( p , I )  E ( p , I )  m
1
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2
1
1
1
2
(2-7)
「変化後の効用」を「変化前の価格」
のもとで補償するために必要な所得
18
(問題 2-6)下図に E ( p 1 , I 0 ) と E ( p 0 , I 1 ) を図示するとともに、E ( p 0 , I 0 )  m  E ( p 1 , I 1 )
であることを確認しなさい。さらに、価格が p 0 から p 1 に低下したときの CV と
EV がのどの線分の長さとして捉えられるかを図示しなさい。
y
m
I1
I0
p0
p1
x
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(問題 2-7*)予算制約式(2-8)のもとで、効用関数が u  x  y のときに、価格が p j のもとで
の最適な消費点 c j  ( x j , y j ) を求めなさい( j  0 , 1 )。また、財 x の価格が p 0 か
ら p 1 に低下するときの補償変分 CV 、等価変分 EV を求めなさい。
そして、問題 2-5 と問題 2-6 より、次の関係が成立する。
CV  S 2 ( p 0 , p 1 , I 0 )
EV  S 2 ( p 0 , p 1 , I 1 )
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(2-11)
(2-12)
20
2.4 (マーシャルの)需要関数と補償需要関数
予算制約式 p  x  y  m のもとでの最適な(効用を最大化する)消費量の組が ( x * , y * ) であ
るとき、消費量 x * は財 x の(マーシャルの)需要量である。
所与の p に対して需要量を対応させる関数を(需要量の上付き記号*を省略して)、
(2-13)
x  xd ( p)
と表し、(マーシャルの)需要関数と呼ぶ。
(マーシャルの)需要関数と補償需要関数の関係を検討しよう。なお、 x j  x d ( p j ) 、
x ij  x dC ( p i , I j ) と置けば、定義より x
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jj
。
 x j が成り立つ( i , j  0 , 1 )
21
(問題 2-8)下段の図に x 0 、 x 1 、 x 01 、 x 10 を記入しなさい。また、需要関数 x  x d ( p ) と
補償需要関数 x  x dC ( p , I j ) を描き加えなさい( j  0 , 1 )。
y
m
I1
I0
p0
p1
x
p
p0
p1
x
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財 x が上級財(所得効果がプラス)であれば x 0 < x 01 、 x 10 < x 1 であり、財 x が中級財(所
得効果がゼロ)であれば x 0 = x 01 、 x 10 = x 1 である。
22
(マーシャルの)需要関数と補償需要関数の関係?
x  xd ( p )
j
x
ij
⇒
( j  0,1 )
j

C
xd
x
i
j
。
( p , I ) ( i, j  0,1 )
jj
j
。
 x ( j  0,1 )
(問題 2-8)
0
1
01
10
① x 、 x 、 x 、 x を記入しなさい。
② x  x d ( p ) と x  x d ( p , I ) を描き加えなさい。
C
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j
23
y
m
I
I
p
0
1
0
p
1
x
p
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p
0
p
1
x
24
y
x
x
m
I
I
p
x
0
x
0
01
10
x
1
ij
 xd ( p )
j
C
i
j
 xd ( p , I )
1
0
p
x
j
1
x
代替効果 所得効果
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25
x
p
x
x  xd ( p, I )
C
p
0
●
j
ij
 xd ( p )
j
C
i
j
 xd ( p , I )
1
<財xが上級財のケース>
●
x  xd ( p)
p
1
●
●
x  xd ( p, I )
C
x
00
 x0
x
01
代替効果
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x
10
x
1
 x
11
0
x
所得効果
26
2.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分
財 x が上級財(所得効果がプラス)
⇒
1
0
p  p  p の範囲で
C
0
C
1
xd ( p, I ) < x d ( p ) < xd ( p , I )
である。
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27
財xが上級財
y
x dC ( p 2 , I 0 )  x d ( p 2 ) 
x dC ( p 2 , I 1 )
m
I1
I2
I0
p0
p2
p1
x
p
p 0  p 2  p1
p0
p2
p1
C
d
2
0
x (p ,I )
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xd ( p 2 )
x dC ( p 2 , I 1 )
x
28
2.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分
財 x が上級財(所得効果がプラス)の場合は、問題 2-6 より需要関数 x  x d ( p ) と補償需要
関数 x  x dC ( p , I j ) は下の図のような位置関係になる( j  0 , 1 )。すなわち、 p 1  p  p 0
の範囲で x dC ( p , I 0 ) < x d ( p ) < x dC ( p , I 1 ) である。
下の図における①、②、③でそれぞれの数字が入っている図形の面積を表すことにする。
そのとき、消費者余剰(consumer’s surplus)の増分を  CS と表すことにすれば、
 CS =①+②
(2-14)
である。また、(8-11)と(8-12)より補償変分 CV と等価変分 EV は
CV  S 2 ( p 0 , p 1 , I 0 ) =①
(2-15)
EV  S 2 ( p 0 , p 1 , I 1 ) =①+②+③
(2-16)
と表すことができる。
以上より、財 x が上級財の場合は
CV <  CS < EV
(2-17)
という関係が成立する。
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29
x  x dC ( p , I 0 )
p
x  x dC ( p , I 1 )
p0
③
①
p1
②
x  xd ( p)
Ⅲ
Ⅱ
Ⅰ
x0
x1
x
無差別曲線を用いた分析においては、補償変分 CV あるいは等価変分 EV を用いた分析を
行うことになる。それに対して、需要曲線を用いた分析においては消費者余剰の増分  CS
を用いて分析を行うことが多い。ところで、財 x の所得効果がゼロのときは、 x dC ( p , I 0 ) =
、 CV =  CS = EV である。すなわち、無差別
x d ( p ) = x dC ( p , I 1 ) なので(2-4 節を参照)
曲線を用いた分析と需要曲線を用いた分析を代替的に用いることができることになる。
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30
I  I0 
x  x dC ( p , I 0 )
= CV
p
I  I1 
x  x ( p, I )
C
d
1
= EV
p0
③
①
p
1
Ⅰ
CV=①
x  xd ( p)
Ⅱ
②
Ⅰ
Ⅰ
EV=①+②+③
定義
ΔCS= ①+②
所得効果が大きいケース
x0
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x1
所得効果
x
CV<ΔCS<EV
31
x  x dC ( p , I 0 )
p
CV=①
x  x dC ( p , I 1 )
EV=①+②+③
p0
①
p
1
ΔCS=①+②
③
ち
Ⅱ
Ⅰ
x  xd ( p)
所得効果が小さいケース
②
Ⅰ
CV≒ΔCS≒EV
x0
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x1
所得効果
x
32
無差別曲線を用いた分析
⇒
需要曲線を用いた分析 ⇒
CV あるいは EV を用いた分析
 CS を用いて分析
財 x の所得効果が小さい
⇒
x dC ( p , I 0 ) ≒ x d ( p ) ≒ x dC ( p , I 1 )
⇒
CV ≒  CS ≒ EV
⇒
「無差別曲線を用いた分析 ≒ 需要曲線を用いた分析」
12/04/19
33
(問題 2-9)効用関数が u  y  v ( x ) であるとする( v ( x )  0 , v ( x )  0 )。そのとき、財 x の
所得効果がゼロ(財 x は中級財)であることを示しなさい。
(問題 2-10)効用関数が u  y  4 x  x 2 であるとする。そのとき、予算制約 p  x  y  m の
もとで、価格 p が p 0 から p 1 に低下するときの補償変分 CV 、等価変分 EV 、消
費者余剰の増分  CS を求めなさい( p 1  p 0  4 , m  2 )。
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2.1 支出最小化問題と補償需要関数
2.2 補償変分と等価変分
2.3 補償需要関数と補償変分・等価変分
2.4 (マーシャルの)需要関数と補償需要関数
2.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分
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y
m
y  v( x)  u
I
v  ( xˆ )  p
1
I
1
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2
p
2
x
xˆ
y  v( x)  u
2
1
v  ( xˆ )
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x
(問題 2-6)効用関数が u  y  4 x  x 2 で与えられているとする。また、
予算制約式は px  y  m であるとする。そのとき、財 x の所得
効果がゼロ(財 x は中級財)であることを示しなさい。また、
価格 p が 3 から 2 に低下するときに生じる消費者余剰の増分
 CS を求めなさい。
y  x  4x  u
2
dy
 CS 
1
1 3
1



2
2 4
 2x  4
dx
p
4  2 xd ( p )  p
4
3
xd ( p )  
1
p2
2
財 x は中級財
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2
1/ 2
1
2
x
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