公共経済学

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19. 消費者余剰と等価変分・補償変分
無差別曲線を用いた分析
⇒ 個別消費税や利子所得税の課税による超過負担 EB
需要曲線と供給曲線を用いた分析
⇒ 個別消費税を課すことが超過負担 EB
これらの2つのアプローチによる分析の関連性は?
財 x と財 y に関する個人の消費選択モデル
⇒
『需要曲線を用いた消費者余剰の概念
vs.
無差別曲線を用いた等価変分・補償変分との概念』
x2
18章における無差別曲線を用いた分析
m
p 1 x1  x 2
1
*
*
T1
*
x2
p 1 x1  x 2
1
**
**
TC
EB
**
x2
2
1
p1
p1
*
x1
**
x1
x1
需要曲線・供給曲線を用いた超過負担の分析
消費者価格
p
<本章の目的>
1年生以来いつもお世話になっている分析方法
どのような条件
の面積 ≒
の長さ
超過負担EB
EB
課税後均衡
消費者価格
S
S
課税前均衡価格
課税後の供給曲線
課税前の供給曲線
=
税率
課税後均衡
生産者価格
D
課税後均
衡取引量
課税前均
衡取引量
需要曲線
x
19.1 支出最小化問題
p =財 x の価格
財 y の価格=1
E =支出額(expenditure)
E  px  y :支出額
y  I ( x ) (あるいは I )
:無差別曲線
(19-1)
<等支出(額)線>
「 ( x , y  )のときの支出額」=
E =「 ( x , y  )のときの支出額」
y
E
y 
E  px  y
y
p
x 
x
x
無差別曲線上の消費量の組
に対応する支出額
y
E 
y 
消費量の組 ( x , y  )  支出額 E 
・
消費量の組 ( x , y  )  支出額 E 
E
E   px  y
E   E 
E   px  y
y
・
p
x 
x
p
I
x
<支出最小化問題>
無差別曲線 I 上の消費量の組 ( x , y ) のなかで支出額 E  px  y を
*
*
最小にする消費量の組 ( x , y ) を求める問題である。
*
x =財 x の補償需要量
*
y =財 y の補償需要量
x  x d ( p , I ) :財 x の補償需要関数
(19-2)
y  y ( p , I ) :財 y の補償需要関数
(19-3)
*
*
C
C
d
E ( p , I ) =支出最小化問題で求められる支出額
E ( p , I )  p  x d ( p , I )  y d ( p , I ) :補償所得
C
C
(19-4)
(問題 19-1)
下の図に等支出線を描き加えることで、
*
*
I と p が与えられてもとでの x , y と
E ( p , I ) を図示しなさい。
y
E ( p , I )  px  y
*
E ( p, I )
*
または
E ( p, I )  p  xd ( p, I )  y d ( p, I )
C
y
C
*
C
y d ( p, I )
I
p
*
x  x dC ( p , I )
x
19.2 補償変分と等価変分
所得を m とすれば予算制約式は
px  y  m
(19-5)
である。
価格 p が p 1 (状態1)から p 2 (状態 2)に低下したとする。
( x i , y i ) =状態 i における個人の最適消費量の組
i
I =「 ( x i , y i ) を通る無差別曲線」
CV =補償変分(compensating valuation)
EV =等価変分(equivalent valuation)
効用の増加を所得の変化分としてとらえる概念
変化前の効用を変化前の価格の
=
もとで補償するために必要な所得
CV  m  E ( p 2 , I )
1
1
E ( p1 , I )
(19-6)
変化前の効用を変化後の価格の
もとで補償するために必要な所得
EV  E ( p 1 , I )  m
2
(19-7)
(問題 19-2)
①
1
2
E ( p 2 , I ) と E ( p 1 , I ) を図示しなさい。
② 価格が p 1 から p 2 に低下したときの CV と EV が
どの線分の長さとして捉えられるかを図示しなさ
い。
CV  m  E ( p 2 , I )
1
y
EV  E ( p 1 , I )  m
2
EV
2
E ( p1 ,?
I )
CV
m
1
E ( p 2 ,?
I )
y1
I
y2
p1
x1
1
p2
p1
x2
I
x
2
19.3 補償需要関数と補償変分・等価変分
無差別曲線が部分的に直線になっている特殊ケースを想定
⇒ CV と EV が補償需要曲線を用いて捉えることができる。
MRS i = x i 1 から x i の範囲の限界代替率
( i  1, 2 , 3 かつ x 0  0 )
y
部分的に直線の無差別曲線
MRS
Marginal Rate of Substitution
1
MRS
I
2
MRS
x0
x1
x2
3
x3
x
y
MRS
1
MRS
I
2
p2
p1
MRS
3
x
p
x  xd ( p, I )
C
MRS
補償需要曲線
1
p1
MRS
2
Ⅰ
Ⅱ
p2
MRS
3
Ⅰ
Ⅳ
Ⅲ
Ⅰ
x1
x2
x
(問題 19-3)
① 下段の図のⅠ+Ⅱが上段の図のどの線分の
長さと等しいかを示しなさい。
② Ⅰ+Ⅱが CV となるのは、無差別曲線 I が
1
2
I のときであろうか I のときであろうか。
③ Ⅰ+Ⅱが EV となるのは、無差別曲線 I が
1
2
I のときであろうか I のときであろうか。
CV  m  E ( p 2 , I )
1
EV  E ( p 1 , I )  m
2
y
m
Ⅰ+Ⅱ
I  I  Ⅰ+Ⅱ=CV
1
Ⅰ+Ⅲ = p 1 x 1
I  I
MRS
1
p 2 x 2 = Ⅲ+Ⅳ
m
MRS
2
 Ⅰ+Ⅱ=EV
2
( x 2  x1 )
=
Ⅱ+Ⅳ
MRS
I
2
p2
p1
x1
x2
MRS
2
1
3
x
階段状の補償需要曲線
2つの価格線、補償需要曲線、
縦軸で囲まれる図形の面積
p
I  I  Ⅰ+Ⅱ=CV
1
x  xd ( p, I )
C
MRS
I  I
2
 Ⅰ+Ⅱ=EV
1
p1
MRS
2
Ⅰ
Ⅱ
p2
MRS
3
Ⅰ
Ⅳ
Ⅲ
Ⅰ
x1
x2
x
曲線の補償需要曲線
2つの価格線、補償需要曲線、
縦軸で囲まれる図形の面積
p
I  I  Ⅰ+Ⅱ=CV
1
x  xd ( p, I )
C
MRS
I  I
2
 Ⅰ+Ⅱ=EV
1
p1
MRS
2
Ⅰ
Ⅱ
p2
MRS
3
Ⅰ
Ⅳ
Ⅲ
Ⅰ
x1
x2
x
19.4 (マーシャルの)需要関数と補償需要関数
px  y  m :予算制約式
*
*
( x , y ) =予算制約のもとでの最適な消費量の組
*
x =財 x の(マーシャルの)需要量
x  x d ( p ) :(マーシャルの)需要関数
(19-8)
y
m
y
*
I
p
x  xd ( p)
*
x
(マーシャルの)需要関数と補償需要関数の関係?
xi  xd ( pi )
( i  1, 2 )
xi  xd ( pi , I )
j
⇒
C
( i  1, 2 、 j  1, 2 )
j
x i  x i ( i  1, 2 )
。
i
(問題 19-4)
1
2
① x i 、 x i 、 x i を記入しなさい。
② x  x d ( p ) と x  x d ( p , I ) を描き加えなさい。
C
j
y
m
I
I
p1
2
1
p2
x
p
p1
p2
x
xi  xd ( pi )
y
xi  xd ( pi , I )
j
C
j
m
I
I
1
2
x1 x 2
x2
=
=
1
x1
1
p2
p1
?
x1
2
2
x2
x
p
x  xd ( p, I )
C
2
<財xが上級財のケース>
p1
●
●
x  xd ( p)
p2
●
●
x  xd ( p, I )
C
2
x1
1
x1
代替効果
1
x2
x2
=
=
x1
2
x2
所得効果
1
x
19.5 補償変分、等価変分、消費者余剰の増分
財 x が上級財(所得効果がプラス)
⇒
p 2  p  p 1 の範囲で
C
1
C
2
xd ( p, I ) < xd ( p) < xd ( p, I )
である。
I  I 
1
x  xd ( p, I )
1
C
= CV
p
I  I
x  xd ( p, I )
C
2

2
= EV
p1
Ⅲ
Ⅰ
p2
CV=Ⅰ
x  xd ( p)
Ⅱ
Ⅱ
Ⅰ
Ⅰ
EV=Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ
定義
ΔCS= Ⅰ+Ⅱ
所得効果が大きいケース
x1
x2
所得効果
x
CV<ΔCS<EV
x  xd ( p, I )
C
1
p
CV=Ⅰ
x  xd ( p, I )
C
p1
2
EV=Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ
ΔCS=Ⅰ+Ⅱ
Ⅲ
Ⅱ
Ⅰ
p2
Ⅰ
x  xd ( p)
所得効果が小さいケース
Ⅱ
Ⅰ
CV≒ΔCS≒EV
x1
x2
所得効果
x
無差別曲線を用いた分析 ⇒
需要曲線を用いた分析 ⇒
CV あるいは EV を用いた分析
 CS を用いて分析
財 x の所得効果が小さい
⇒
C
1
C
2
xd ( p, I ) ≒ xd ( p) ≒ xd ( p, I )
⇒
CV ≒  CS ≒ EV
⇒
「無差別曲線を用いた分析 ≒ 需要曲線を用いた分析」
(問題 19-5)
18 章で求めた EB は、 CV と EV の
どちらの概念に対応しているか。
(問題 19-6)
無 差 別 曲 線 が x 2  ( x1 )  4 x1  u
2
のとき、財 x は中級財であることを
示しなさい。