教員研修 - 日本技術士会

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「国際協力講演会」事業評価のあり方
技術協力事業の評価
2006年3月
国際協力機構(JICA)
企画調整部事業評価グループ長
三輪徳子
内容
1.JICAにおける事業評価の概要
2.事業評価の実際(事例とともに)
ODAの体系とJICA事業
ODA大綱
ODA中期政策
途上国
開発計画
国別援助計画
分野別イニシアチブ
国別事業実施計画
国別・課題別協力プログラム
開
発
調
査
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
専
門
家
派
遣
国際開発
戦略・目標
MDGs
PRSP等
1-2.
JICA事業評価の概要(1)
●目的
 事業運営管理・改善*
 説明責任
●種類
 プロジェクト・レベル:個別プロジェクト評価
 プログラム・レベル:国別・テーマ別評価
●時期
 プロジェクト・レベル:事前、中間、終了時、
事後*
 プログラム・レベル:事後
JICAの事業サイクルと評価の位置付け
《計画》
フィードバック
国別事業実施計画
の策定
大きい事業サイクル
事後評価
課題別指針、課題
別協力プログラム
策定
《計画》
(特定テーマ、国別)
フィードバック
小さい事業サイクル
(個別のプロジェクトのサイクル)
事前評価
事後評価
フィードバック
フィードバック
モニタリング
終了時評価
中間評価
モニタリング
<アカウンタビリティ>
国
民
JICA事業評価の概要(2)
●主体
 プロジェクト・レベル
事業実施部門(+外部コンサルタント等)
*
対象途上国実施機関との合同評価*
 プログラム・レベル
評価専門部署(同上)または外部機関委託
テーマにより合同評価(他ドナー、対象途
上国)

JICAが実施主体の評価(内部評価)に対
する
第三者外部有識者による2次評価実
事業評価の実際:プロジェクトの評価
●特徴
プロジェクト・サイクル・マネジメントの
一環⇒計画に照らした評価、継続的なモニタリ
ングと各段階の評価、評価結果のフィード
バック
●評価の枠組み
 プロジェクトの現状把握と検証(実績、実施
プロセス、因果関係)
 DAC評価5項目による総合的な価値判断
 提言策定、教訓抽出、フィードバック
プロジェクトの計画
初等教育分野協力の例
上位目標
プロジェクト
目標
児童の
学力向上
授業の質
の改善
アウトプット
教材整備
活動
教員指導力
向上
教員の増員
カリキュラム
改善
選択した
教員研修
アプローチ
プロジェクト・デザイン・マトリックス(PDM)
プロジェクトの要約
指標
指標の入手手段
外部条件
[上位目標]
間接的・長期的な効果、対
象社会へのインパクト
上位目標の達成度 左記指標の情報
を測る指標と目標 源
値
プロジェクトによる効果が
持続していくための条件
[プロジェクト目標]
ターゲット・グループや対象
社会への直接的な効果
プロジェクト目標の
達成度を測る指標
と目標値
左記指標の情報
源
上位目標に貢献するため
に満たされる必要がある条
件
[成果(アウトプット)]
活動を行うことによって、産
出される財・サービス
アウトプットの達成
度を測る指標と目
標値
左記指標の情報
源
プロジェクト目標を達成す
るうえで満たされる必要が
ある条件
[活動]
[投入(日本側および相手国側) ]
アウトプットを産出するため
の活動
活動に必要な資源(人材、資金、資機
材など)
アウトプットを出すうえで満
たされる必要がある条件
[前提条件]
活動を始める前にクリアす
る条件
(例)H国算数指導力向上プロジェクト
上位目標
対象県の児童の
学力向上
指標
算数の成績向上
入手手段
学力テスト
プロジェクト目標
対象県の教員の
指導力向上
教科に関する知
識
教授法理解・実践
児童の関心
テスト
授業観察、インタ
ビュー、質問票調
査
活動・アウトプット
教材開発
教員研修
研修指導者育成
アウトプット
教材:教師用指導書・児童用教材を完成
(1-6年生算数の全単元、H国定カリキュラム準拠)
教員研修:5県約230名の現職教員が研修終了
プロジェクト目標
(対象県の教員指導力向上)
正答率(%)
プラスの評価項目(%)
100
100
80
80
60
60
40
40
20
20
0
0
2002
2005
A?o
教員の学力テスト結果
(2002/2005)
対象教員
同地区の非対象教員
授業分析 (グイノペ地区2005)
■プロジェクトの教材を使い、研修を受けた教員は、
授業分析結果(2005年)
 以前に比べ、正しく教科内容を理解
 他教員に比べ、「子どもひとりひとりが確実に、楽しく
学べる」授業を実践
上位目標
(対象県の児童の学力向上)
テスト結果
(点)
80
60
40
20
0
2002
2005
児童の学力テスト(グイノペ地区)
児童の学力向上に貢献(特に複式学級)
インパクト発現条件:教員学力、適切な教材使用
評価5項目による価値判断
妥当性
有効性
効率性
プロジェクトの計画内容は、被援助国側の開発政策
や日本側援助政策、受益者のニーズと照らして、また、
対象分野・セクターの問題や課題の解決策として適切
かなどを問う。
プロジェクトの実施により、本当に受益者もしくは社会
への便益がもたらされているか(=プロジェクト目標は
達成されたか)を問う。
主にプロジェクトのコストとアウトプットの関係に着目し、
資源は有効に活用されているかを問う。
インパクト プロジェクトの実施によりもたらされる、より長期的、
間接的効果や波及効果を確認(=上位目標は達成さ
れたか)。予期していなかった正・負のインパクトも含
む。
自立発展 援助が終了しても、プロジェクトで発現した効果が持
性
続しているかを問う。
プログラムとプロジェクト
JICA
プログラム
JICA
プロジェクトB
JICA
プロジェクト
A
H国初等教育に対するJICAの協力戦略
退学率が下がる
留年率が下がる
保護者の意識が
変わる
家庭経済の
改善
C-4
C-4
子どもの学力が
向上する
家庭経済の
改善
授業が改善され
る
補習授業の実
施
C-4
保護者の意識が
変わる
C-5B
就学前教育の
改善
C-4
教員の指導能力
の向上
衛生教育の
実施
C-5C
C-5A
地区教育委員会を通
した監督・指導の改善
教員の労同意欲
の向上
C-2
C-2
教員再研修
の実施
実情に即した
教材の開発
C-1
C-1
複式学級へ
の支援
C-3
H国「基礎教育強化プログラム」
 「算数指導力向上プロジェクト」
教材作成、教員研修、研修指導者育成
カウンターパート能力強化
 「基礎教育地域総合支援プロジェクト」(モデ
ル)
学級運営改善、保護者意識向上、就学前教
育の質向上、保健衛生教育等に関するモデル
活動
 「政策アドバイザー専門家」
教育省に対する技術的助言、援助調整
H国 Education for All-Fast Truck Initiative
EFA-FTI(2002)
 目標
量:2015年までに1-6学年の教育課程を全ての子供が修
了
質:国語、算数の学力向上(算数=中米最下位)
 主要数値目標
終了率
75%(2005) →10
0% (2015)
内部効率性
32%(2005) → 85%
(2015)
算数、西学力向上
45%(2005) → 70%
(2015)
 コンポーネント
①教育効率の向上、②教員の資質・能力向上
③就学前教育強化、④特殊教育、多言語教育
⑤地方教育ネットワーク強化
H国EFA-FTIに対するドナーの協力
コンポーネ
ント
主要活動
関係ドナー
教育効率
学習標準
米国
教材
日本、カナダ、スウエーデン
現職教員研修
日本、スペイン、世銀
新規教員
ドイツ、世銀
視学官研修
アメリカ
就学前教
育
地域住民啓蒙、教材
世銀、UNICEF、日本
多言語
異文化二言語教育
世銀、UNICEF
地方教育
ネットワーク、学校給食
ドイツ、世銀、WFP
その他
教育省能力支援
ドイツ、カナダ、世銀
教員
学校外要因の改善
児童の理解向上
PROMETAM
モデルプロジェクト
経済問題の解消
アクセス改善
現職教員研修
教員配置
新規教員養成
進級システム改善
教材・指導法改善
カリキュラム改善
教員研修
教材改善
,5
主にコンポーネント3 主にコンポーネント1主にコンポーネント2 主にコンポーネント4
保健衛生状況の改善
保護者の理解向上
出席率向上
授業の質向上
(就学前教育の拡充)
(農村部、多文化二言語)
取り組みの遅れて
いる課題
カバレージ拡大
学校運営管理能力
地方への権限委譲
取り組み中の課題
基礎学力の拡充
教育行政能力の強化
教育財政の改善
凡例
修了率向上
EFA-FTIの目標達成に
至るまでの道筋
帰属:変化と特定の介入の因果関係を立証可能な形で検証
experimental/quasi-experimentalによるインパクト評価
貢献:変化と特定の介入の因果関係の可能性の高さ
(plausibility)に注目(援助協調等を視点に盛り込み評価)
中間アウトカム
最終アウトカ
ム(開発アウト (開発アウトカ
カム)
ム)
アウトプット
(組織アウトカ
ム)
H国初等教育 児童の学力向上 カリキュラム
終了率の向上
5県の児童の学
力向上
保護者理解
H国
教員指導力向
上
ドナーB
教材
ドナーC
5県の教員指導 日本
力向上
ドナーD
プログラム評価の試行
対象国開発戦略
における協力の位置付け
(優先度、戦略性、
他ドナーとの連携等)
JICAプログラムの一貫性
シナリオの適切性
JICAプログラムの成果
開発の進展
開発の進展
に対する
プログラムの
「貢献」の評価
最後に:評価結果の活用
●フィードバックへの体系的な取り組み
 仕組みの構築
(事前評価、課題別指針)
 評価情報へのアクセス改善
(電子情報化)
 評価の質の向上、活用しやすい情報提供
(2次評価、教訓データベース化、課題別総
合分析)
 認識・意識改善
(研修、グッド・プラクティス収集・共有)
フィードバックの現状
●アンケート調査(評価結果活用)
46%(2003年)→62%(2004
年)
●多様なレベルでの事業改善への活用
 個別プロジェクトの計画・運営・評価
 課題別事業実施方針策定
 事業実施制度改善
(例:アフガニスタン平和構築支援評価レ
ビュー
→「ファスト・トラック制度」導入
等)
●フィードバック推進の核としての課題別タス