最近の地域保健の動向

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Transcript 最近の地域保健の動向

情勢分析
「最近の地域保健の動向」
厚生労働省大臣官房参事官
岡 本 浩 二
本日のテーマ
①国民健康栄養調査の結果から
②特定健診・保健指導について
③介護保険と高齢者医療について
④新型インフルエンザ対策について
⑤医療をとりまく議論と今後の方向性について
国民健康栄養調査
の結果から
国民健康・栄養調査とは
調査目的
健康増進法(平成14年法律第103号)に基づき実施するものであり、国民の身体の状況、栄養摂取量及び
生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得るために実施。
調査客体
平成18年国民生活基礎調査により設定された単位区から無作為抽出した
300単位区内の世帯(約6,000世帯)及び当該世帯の1歳以上の世帯員(約18,000人)
調査時期
毎年11月
調査項目
1.身体状況調査
1)身長、体重(満1歳以上)
2)腹囲(満6歳以上)
3)血圧(満15歳以上)
4)血液検査(満20歳以上)
5)1日の運動量:歩行数(満15歳以上)
6)問診:服薬状況、運動(満20歳以上)
7)開眼片足立ち(満40歳以上)
2.栄養摂取状況調査
食品摂取量、栄養素等摂取量、食事状況(欠食、外食等)
3.生活習慣調査
食生活、身体活動・運動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する生活習慣全般
生活習慣病の有病者・予備群の現状
生活習慣の変化や高齢者の増加等によって・・・
→ 生活習慣病の有病者・予備群が増加
◎生活習慣病の現状 (粗い推計)
・糖尿病 :強く疑われる者 820万人
可能性が否定できない者 1050万人
例えば、糖尿病が強く疑われる人は9年間で130万人
(約19%)増加、可能性が否定できない人を加えると5
00万人(約36%)増加している。
< 糖尿病有病者数 >
万人
2,100
1870
(平成18年調査結果)
・高血圧症:有病者 3970万人
正常高値血圧者 2000万人
(平成18年調査結果)
・脂質異常症:3000万人
1,800
1,500
1,370
1,200
900
・脳卒中 :死亡者数 13万人/年
・心筋梗塞:死亡者数 5万人/年
・がん :がん死亡者数 31万人/年
(例:胃5万人、大腸4万人、肺6万人)
1,620
1050
820
740
690
880
680
H 9(1997)
H14(2002)
H18(2006)
600
300
0
参考)糖尿病実態調査、国民健康・栄養調査
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者・予備群の状況
40~74歳については、男性の2人に1人、女性の5人に1人が、メタボリックシンドロー
ム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者(該当者)又は予備群と考えられる者であり、
該当者数 約960万人 予備群者数 約980万人
併せて 約1,940万人 と推定される。
男性
[%]
100
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予備群と考えられる者(腹囲≧85cm+項目1つ該当)
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者(腹囲≧85cm+項目2つ以上該当)
[%]
100
80
80
60
60
40
27.1
27.6
23.5
24.3
27.1
女性
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予備群と考えられる者(腹囲≧90cm+項目1つ該当)
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者(腹囲≧90cm+項目2つ以上該当)
40
25.7
20
20
22.0
21.2
8.8
0
総数
20-29歳
2.6
5.7
30-39歳
25.1
26.3
28.6
0
50-59歳
60-69歳
70歳以上
(再掲)40-74歳
11.3
7.1
24.4
14.1
40-49歳
9.8
10.5
1.2
総数
20-29歳
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者
腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、3つの項目(血中脂質、血圧、血糖)のうち2つ以上の項目に該当する者
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予備群と考えられる者
腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、3つの項目(血中脂質、血圧、血糖)のうち1つに該当する者
2.4
30-39歳
0.5
2.2
3.1
40-49歳
8.6
50-59歳
(厚生労働省
16.3
60-69歳
8.7
8.2
21.3
70歳以上
12.1
(再掲)40-74歳
•
平成18年国民健康・栄養調査結果)
4
肥満の出現率の推移(20歳以上、性・年齢階級別)
男性は、いずれの年齢階級においても、
肥満者の割合が20年前(昭和61年)、10年前(平成8年)と比べ増加。
男性
(%)
100
9.4
9.9
9.5
4.4
3.4
3.7
2.6
3.9
2.4
4.2
4.3
3.9
4.3
7.7
3.7
11.5
17.0
6.6
80
60
77.5
76.6
70.9
76.3
72.6
62.3
73.0
68.9
63.9
71.6
67.6
63.6
63.3
70.6
70.3
75.7
70.8
70.5
40
20
13.1
13.5
①
②
19.6
19.3
24.0
③
①
②
34.0
24.4
27.2
33.7
24.2
28.1
32.5
33.0
25.1
16.6
12.5
17.7
23.1
②
③
0
20-29歳
女性
100
③
①
30-39歳
②
③
①
40-49歳
②
③
①
②
③
①
60-69歳
50-59歳
70歳以上
(%)
8.6
19.6
22.2
3.9
13.9
5.2
13.3
8.0
4.8
5.4
4.4
5.6
8.5
6.1
14.0
11.3
8.4
60.5
65.0
28.2
26.6
②
③
21.7
80
60
72.6
79.1
40
73.9
71.1
65.3
74.3
70.8
69.9
63.2
61.1
75.0
74.1
61.9
12.3
11.1
12.6
①
②
③
70.6
20
0
6.5
6.7
7.7
①
②
③
20-29歳
65.7
75.6
30-39歳
29.3
23.5
20.5
①
②
24.4
25.7
②
③
30.4
31.2
28.2
①
②
③
16.4
③
40-49歳
①
50-59歳
①20年前(昭和61年) ②10年前(平成8年) ③平成18年
①
70歳以上
60-69歳
肥満者
24.1
普通体重
低体重(やせ)
(BMI≧25)(18.5≦BMI<25)(BMI<18.5)
参考)平成18年国民健康・栄養調査
やせの出現率の推移(20歳以上、性・年齢階級別)
女性は男性に比べ、やせの割合が高い。
年次推移では、20歳代~40歳代において増加傾向。
男性
女性
(%)
40
40
30
30
20
20
17.0
(%)
22.2 21.7
19.6
13.9 13.3
10
14.0
11.3
11.5
9.4 9.9 9.5
4.4
3.4 3.7
2.6
3.9
2.4
8.6
10
7.7
8.0
6.6
4.2 4.3 3.9
4.3 3.7
50-59歳
60-69歳
8.4
8.5
5.2
5.4 4.8
4.4
5.6 6.1
40-49歳
50-59歳
60-69歳
3.9
0
0
20-29歳
30-39歳
40-49歳
70歳以上
20-29歳
30-39歳
20年前(昭和61年)
10年前(平成8年)
70歳以上
平成18年
低体重(やせ):BMI<18.5
参考)平成18年国民健康・栄養調査
運動に関する意識について
男性の20~39歳及び70歳以上と女性の15~29歳及び70歳以上では、
「実行していないし、実行しようとも考えていない」者が3割以上
男性
100
80
女性
(%)
100
(%)
16.9
14.5
10.0
10.1
40.4
14.5
16.4
12.3
12.8
9.5
6.5
15.4
18.1
13.3
12.7
27.4
9.8
35.0
32.6
29.4
28.9
18.4
17.4
10.0
10.7
8.1
7.1
8.9
29.1
33.2
30.6
27.6
29.3
13.5
14.1
8.8
16.5
21.2
20.5
8.4
15.9
実行していて、十分
に習慣化している
21.4
20.6
34.4
35.7
15.6
37.2
27.8
34.0
31.6
26.1
22.4
18.3
18.0
総数
15-19歳
20-29歳
30-39歳
40-49歳
50-59歳
60-69歳
70歳以上
総数
15-19歳
20-29歳
30-39歳
40-49歳
50-59歳
60-69歳
実行していないが、
実行しようと考えて
いる
実行していないし、
実行しようとも考え
ていない
0
0
実行しているが、ま
だ習慣化していな
い
実行しようと努力し
ているが、十分に実
行できていない
28.6
45.1
20
21.3
11.7
19.2
32.8
34.9
16.9
20.9
11.6
60
40
9.3
28.0
10.2
20
10.5
19.7
18.7
32.3
10.6
25.1
80
15.1
10.6
27.7
12.9
18.7
9.7
60
40
19.3
70歳以上
参考)平成18年国民健康・栄養調査
日常で体を動かすことに関する意識について
日常で体を動かすような生活をすることを「実行していない」者は、
男性の20~50歳代、女性の20~40歳代で4割を超えている
※「実行していない」者とは「実行していないし、実行しようとも考えていない」及び
「実行していないが、実行しようと考えている」の回答した者
男性
女性
(%)
100
(%)
100
80
26.6
31.1
10.4
12.8
15.3
17.7
40
21.0
25.5
8.6
9.3
18.6
19.7
37.4
18.3
19.1
総数
15-19歳
80
23.0
29.1
28.9
25.3
17.8
16.8
16.3
24.7
19.4
19.4
18.1
16.8
10.0
19.2
11.6
60
13.5
30-39歳
40-49歳
50-59歳
60-69歳
70歳以上
22.6
20.9
9.3
21.9
9.3
20
20.9
14.3
28.1
27.6
20.4
28.4
28.0
31.0
13.9
18.7
23.3
20.1
29.6
12.1
20.0
13.4
17.9
15-19歳
20-29歳
実行していて、十分に習慣化
している
実行している が、まだ習慣化
していない
実行しよ うと努力している が、
十分に実行できていない
実行していないが、実行しよ う
と考えている
22.5
12.0
11.7
8.9
8.0
30-39歳
40-49歳
50-59歳
60-69歳
0
総数
38.1
16.3
20.5
15.3
29.1
10.2
40
15.0
0
20-29歳
22.8
34.9
9.1
22.8
8.5
17.3
28.5
12.8
9.8
11.1
20
22.7
39.0
51.5
60
24.3
24.2
実行していないし、実行しよ う
とも考えていない
70歳以上
参考)平成18年国民健康・栄養調査
朝食欠食率について
朝食欠食率を年次推移でみると、男女共に高くなる傾向
男性
50
(%)
40
30.6
28.4
26.2
30
22.8
20.1
20
10
8.5
20.9
15.4 14.6
13.1
10.8
7.6
7.1
2.1
1.7 1.8
13.1
12.1
10.1
7.3
6.3
6.1
3.5
5.8
4.6
3.3 2.2
50-59歳
60-69歳
2.5 2.3 2.3
0
総数
女性
50
1- 6歳
7-14歳
15-19歳
20-29歳
30-39歳
40-49歳
70歳以上
(%)
40
30
22.5
20
10
15.4
13.2 13.5
8.5
8.6 7.8
7.1
5.5 5.4
1.9 2.1
13.9
6.1
2.5 1.9 3.4
8.1
10.9
6.3 4.8
4.6 3.2
7.6
3.3 1.9 4.6 2.5 1.8 2.2
0
総数
1- 6歳
7-14歳
15-19歳 20-29歳
30-39歳 40-49歳 50-59歳 60-69歳
20年前(昭和61年)
10年前(平成8年)
70歳以上
平成18年
参考)平成18年国民健康・栄養調査
夕食の開始時刻について
夕食の開始時刻は、男女共に20~60歳代において、
午後9時以降に食べる者の割合が増加
男性
100
(%)
0.5
0.2
2.5
3.4
14.0
0.7
5.5
15.5
21.3
80
60
28.5
0.8
3.6
23.6
0.3
0.0
7.6
3.7
0.2
7.1
0.4
1.2
17.8
26.4
53.8
53.8
40
48.8
47.7
18.6
17.5
23.3
14.4
1.1
0.1
0.4
0.0
4.6
4.8
36.1
33.3
58.7
60.7
1.1
0.2
0.2 1.4
0.1
28.7
24.6
69.6
73.9
0.0
1.4
50.1
51.8
44.9
45.4
40.8
36.5
12.8
0.4
27.6
40.1
46.6
20
0.3
6.0
26.4
21.0
31.8
33.9
19.7
0
(%)
100
女性
①
②
総数
①
②
20-29歳
0.4
0.3
0.6 6.2
0.3
6.5 0.9 2.2
13.8
0.0
①
②
30-39歳
0.4
3.3 0.7 8.1
0.3
10.0
①
②
40-49歳
①
②
50-59歳
0.4
0.9
1.6 0.2 5.8
0.3
6.3 0.70.6 5.6
0.1
5.9 0.7
①
②
60-69歳
0.4
0.2 2.7
0.1
0.0
2.8 0.4 1.2
19.5
36.6 32.9
80
48.9
41.0
50.8 43.6
60
61.4
52.2
58.1 57.9
①
②
70歳以上
0.2
31.6
43.8
0.0
1.6
23.8
46.3
54.2
40
20
0.5
51.3
40.0 44.6
40.7
35.5 34.9
60.1 63.7
67.0
①
②
60-69歳
①
74.1
46.9
22.3 23.0
0
①
②
総数
①
②
20-29歳
①
②
30-39歳
午後7時前
①平成9年
①
②
40-49歳
①
②
50-59歳
午後7~8時台
午後9~10時台
②平成18年
午後11時以降
②
70歳以上
食べない
参考)平成18年国民健康・栄養調査
現状のまとめ
• 平成18年度国民健康栄養調査の結果によれば、
糖尿病が強く疑われる又は可能性が否定できな
い人はあわせて1,870万人(推定)
• 70~74歳のメタボリックシンドロームの該当者・
予備群はあわせて1,940万人(推定)
• 身体活動・運動に関する意識は若年で低く、また、
朝食欠食率、夕食開始時刻など食事に関しても
改善に向けてさらなる取り組みが必要
特定健診・保健指導について
平成19年度
第3回特定保健指導のアウトソーシング先等実態調査について
目的
平成20年度から特定健康診査及び特定保健指導の
アウトソーシング先となる可能性のある事業者の実態把握
調査方法
○国立保健医療科学院HP上の「特定健康診査・特定保健指導機関データベース」へ事業者情報を入力頂きデータ集計。
○調査依頼を自治体、関係団体を通じて事業者へ配布・周知。
○第1回調査のアンケート協力事業者には、個別に調査依頼を送付。
○厚生労働省HPにも調査依頼を掲載しPR。
○検索機能開始時期に合わせ、H20年3月4日を集計日とし、結果を厚生労働省ホームページにて報告。
第 1 回
調査期間
平成19年7月23日~19年 9月14日
有効回答数
特定健康診査機関 1,597件
特定保健指導機関
第 2 回
第 3 回
993件
調査期間 平成19年7月23日~19年12月25日
調査期間
平成19年7月23日~20年 3月 4日
第2回調査と比較して
特定健康診査機関は約2倍
特定保健指導機関は約1.5倍
有効回答数
特定健康診査機関 4,196件
特定保健指導機関 1,851件
有効回答数
特定健康審診査機関 7,995件
特定保健指導機関 2,956件
都道府県名
特定健診
特定保健指導
都道府県名
特定健診
特定保健指導
北海道
421
128
滋賀
13
10
青森
60
19
京都
59
50
岩手
35
19
大阪
179
125
宮城
37
29
兵庫
210
98
秋田
23
23
奈良
54
33
山形
45
19
和歌山
47
27
福島
61
36
鳥取
22
15
茨城
45
24
島根
36
21
栃木
130
21
岡山
398
220
群馬
226
72
広島
754
92
埼玉
101
61
山口
217
33
千葉
211
57
徳島
214
104
東京
424
238
香川
36
22
神奈川
272
171
愛媛
64
36
新潟
66
44
高知
16
15
富山
496
249
福岡
189
125
石川
28
24
佐賀
87
31
福井
27
15
長崎
313
31
山梨
15
13
熊本
110
46
長野
182
49
大分
98
36
岐阜
893
89
宮崎
64
29
静岡
54
32
鹿児島
593
169
愛知
156
116
沖縄
168
19
三重
46
21
総計
7995
2956
都
道
府
県
ご
と
の
特
定
健
康
診
査
機
関
・
特
定
保
健
指
導
機
関
数
医師・保健師・管理栄養士スタッフの勤務形態別人数と研修修了者数
研修修了者(再掲)
勤務形態
人数
人数
6000
割合
人数
研修修了者(再掲)人数
5000
医師
常勤
5284
986
18.7%
非常勤
2910
277
9.5%
184
54
29.3%
2537
1032
40.7%
協力業者
常勤
4000
3000
2000
保健師
非常勤
1905
181
9.5%
1000
管理栄養士
協力業者
2301
131
5.7%
常勤
2709
1107
40.9%
非常勤
2244
572
25.5%
協力業者
1363
691
50.7%
0
常
勤
非
常
勤
医師
協
力
業
者
常
勤
非
常
勤
保健師
協
力
業
者
常
勤
非
常
勤
協
力
業
者
管理栄養士
看護師等スタッフの勤務形態別人数と研修修了者数
研修修了者(再掲)
人数
人数
看護師
6000
割合
常勤
4900
877
17.9%
非常勤
4859
207
4.3%
人数
研修修了者(再掲) 人数
5000
4000
協力業者
THP
取得者
3297
42
1.3%
常勤
784
190
24.2%
非常勤
109
35
32.1%
55
15
27.3%
常勤
894
247
27.6%
非常勤
461
102
22.1%
協力業者
489
278
56.9%
協力業者
健康運動
指導士
事務職員
常勤
9355
436
4.7%
非常勤
1999
42
2.1%
339
60
17.7%
協力業者
3000
2000
1000
0
常
勤
非
常
勤
看護師
協
力
業
者
常
勤
非
常
勤
協
力
業
者
常
勤
非
常
勤
協
力
業
者
THP取得者 健康運動指導士
常
勤
非
常
勤
協
力
業
者
事務職員
平成20年度特定健診・特定保健指導の実施に伴う交付税措置(市町村)
平成20年度交付税措置
特定健診・保健指導に従事する保健師等の確保
事務職員からの振替
約1,400人
全国:約4,300人
老人保健事業からの振替
約2,900人
健康増進事業等に従事する保健師
全国:約16,900人
全国計:約21,200人
老人保健法の改正内容
- 生活習慣病健診・保健指導を医療保険者に義務化、他の各種健診や保健事業も引き続き漏れなく実施 -
<現行>
老人保健法
高齢者に対する医療給付
老人拠出金制度等
市町村による健診等の
保健事業
老人保健法の
目的や趣旨を
踏襲しつつ、
それを発展させ
るものとして、
「高齢者の医療
の確保に関する
法律」へと改正
<改正後(平成20年度より)>
高齢者の医療の確保に関する法律
高齢者に対する医療給付
後期高齢者医療制度
前期高齢者医療財政調整
医療費適正化の推進
市町村等医療保険者による生活
習慣病健診・保健指導の義務化
※健保被扶養者も対象
公費による助成
公費による助成
法的に連携を担保
国民の健康増進に関する
基本方針等の作成
市町村による生活習慣相
談等の実施
健康増進法等
現在実施されて
いる各種事業を
健康増進法等に
より漏れなく継続
して実施
国民の健康増進に関する
基本方針等の作成
市町村による生活習慣相
談や生活習慣病以外の
健診等の実施
健康増進法等
連
携
を
と
っ
て
総
合
的
に
健
康
増
進
を
推
進
がん対策基本法
がん対策を総合的かつ計画的に推進
国
が
ん
対
策
推
進
協
議
会
厚生労働大臣
がん予防及び早期発見の推進
○ がん予防の推進
○ がん検診の質の向上等
がん対策推進基本計画案の作成
がん医療の均てん化の促進等
○ 専門的な知識及び技能を有する医師
がん対策推進基本計画
閣議決定・国会報告
その他の医療従事者の育成
○ 医療機関の整備等
○ がん患者の療養生活の質の維持向上
連携
○ がん医療に関する情報の収集提供
体制の整備等
地方公共団体
都道府県
都道府県がん対策推進計画
がん医療の提供の状況等を
踏まえ策定
研究の推進等
○ がんに関する研究の促進
○ 研究成果の活用
○ 医薬品及び医療機器の早期承認に
資する治験の促進
○ 臨床研究に係る環境整備
民国
がん対策推進基本計画
全ての患者・家族の安心
がんによる死亡者の減少
(20%減)
全てのがん患者・家族の
苦痛の軽減・療養生活の質の向上
重点的に取り組むべき事項
がんの
早期発見
受診率
50%
がんの
予 防
未成年者
の喫煙率
0%
放射線療法・化学療法の推進、
これらを専門的に行う医師等の育成
治療の初期段階からの
緩和ケアの実施
すべての拠点病院で
「放射線療法・外来化学療法」
を実施
すべてのがん診療に携わる医師に
緩和ケアの基本的な研修を実施
がん登録の推進
院内がん登録を行う医療機関数の増加
医療機関の整備等
原則、すべての2次医療圏に拠点病院を設置し、
5大がんの地域連携クリティカルパスを整備
が ん 研 究
がん医療
に関する
相談支援・
情報提供
すべての
2次医療圏に
相談支援センター
を設置し、研修を
修了した相談員
を配置
都道府県がん対策推進計画について
(平成20年4月14日現在)
1.都道府県がん対策計画策定状況
策定済 40自治体
未策定 7自治体(青森県、新潟県、三重県、滋賀県、奈良県、岡山県、大阪府)
未策定の7府県については、20年度中に策定する予定
2.国のがん対策推進基本計画を上回る目標を設置した主な事例
○がんによる死亡者の減少の目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3自治体
~国は10年間でがんの年齢調整死亡率20%削減~
①兵庫県(25%削減)、②和歌山県(25%削減)、
③島根県(男性26% 削減:女性20%削減)
○がんの早期発見の目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3自治体
~国は5年間でがん検診の受診率の50%以上~
①宮城県(70%以上)、②山形県(胃がん、大腸がん、乳がん60%以上)、
③兵庫県(大腸がん、乳がん60%以上)
健やか生活習慣国民運動について
1
趣
旨
○ 健康寿命の延伸を図り、「明るく活力ある社会」を構築するため、疾病の発症を予防する
「一次予防」に重点を置いた健康づくりを国民運動として展開することとする。
○ 特に、死亡原因の約6割、国民医療費の約3割を占める生活習慣病に着目し、日常生活の中
での適度な運動、健全な食生活、禁煙を柱とした「健やかな生活習慣」を国民が実感することに
より、国民の行動変容を促すことを目的とする。
○ また、「健やかな生活習慣」が地域・職域に浸透し、国民の生活文化として定着していくことを
目指して、国民運動の趣旨に共感し具体的に行動する団体の参画を得て「健やか生活習慣国民
運動全国協議会」(仮称)を設置する。
○ さらに、食育を始めとする他の国民運動とも連携をしながら、家庭、地域社会、学校、職場など
様々な場において、子どもの頃からの正しい食習慣の育成を始めとした生活習慣病予防のため
の普及啓発及び実践活動を促進する。
2
今後の進め方
平成19年度
国民運動準備会議の設置
・地域と連携した国民運動推進体制の構築
・国民運動啓発プレイベントの開催
(平成20年3月池袋サンシャイン)
平成20年度
国民運動スタート
・全国協議会の設置
・中央行事等の啓発事業の実施
・全国協議会構成団体等による主体的取組の促進
・食育の国民運動等との密接な連携
・産業界との連携、民間企業の参画
漸
次
、
参
画
団
体
拡
大
介護保険と
高齢者医療について
要介護度別認定者数の推移
(単位:万人)
349
303
489
504
5
69%
525
547
566
4
61%
652
686
3
106%
756
788
2
96%
258
381
424
218
341
394
431
290
365
394
339
358
317
479
709
291
320
H12.4末
H13.4末
要支援
要介護3
560
527
492
614
595
1
571
891
398
H14.4末
651
要
介
護
641
490
394
551
497
414
1070
1332
1252
505
601
674
H15.4末
H16.4末
H17.4末
要支援1
要介護4
要支援2
要介護5
102%
465
465
455
計
435
411
387
451
441
経過的
1387
655
45
59
H18.4末
要介護1
876
799
10
40
521
606
527
549
H19.4末
経過的
要介護
要
支
援
H19.11末
133%
2
1
H12.4とH19.4の比較
要介護2
(出典:介護保険事業状況報告 他)
介護保険財政の動向
○
総費用の伸び
介護保険の総費用は、年10%を超える伸び
3.6
兆円
4.6
兆円
5.2
兆円
5.7
兆円
6.2
兆円
6.4
兆円
H12年度実績 H13年度実績 H14年度実績 H15年度実績 H16年度実績 H17年度実績
6.9
兆円
6.9
兆円
H18年度予算 H19年度予算 H20年度予算
※補正後
※補正後
○ 1号保険料〔加重平均〕
1号保険料も第1期(H12~14)から第3期(H18~20)で約40%増
第1期(H12~14年度)
2,911円
第2期(H15~17年度)
3,293円
(+13%)
7.4
兆円
第3期(H18~20年度)
4,090円
(+24%)
要介護度別の原因割合
要介護高齢者の状態像
100%
認知症
80%
廃用症候群
→
要支援、要介護1等の
軽度者に多い
60%
40%
軽度者に対するサービスを、
廃用症候群の予防、改善を
図る観点から見直す
20%
0%
要支援者
脳卒中
要介護1
要介護2
脳血管疾患(脳卒中など) 骨折・転倒
高齢による衰弱
認知症
その他
要介護3
要介護4
要介護5
関節疾患(リウマチ等)
パーキンソン病
(資料:厚生労働省「国民生活基礎調査(2001年)」から厚生労働省老健局老人保健課において特別集計(調査対象者:4,534人))
世代別に見た高齢者人口の推移
高齢者人口(千人)
40,000
明治以前生まれ
35,000
実績値
推計値
大正生まれ
昭和ヒトケタ生まれ
30,000
昭和10年~終戦生まれ
終戦~1950年生まれ
25,000
20,000
15,000
1951年以降生まれ
2005年
昭和ヒトケタ~終戦
生まれが高齢者の中心
2015年
10,000
第1次ベビーブーム
世代が高齢者に
5,000
0
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050
資料:2000年までは総務省統計局「国勢調査」、2005年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(
平成14年1月推計)」
「介護」モデル→「介護+予防」モデル、個別ケアの推進
認知症高齢者の増加
○ 要介護者のうち1/2は、認知症(痴呆)の影響が認められ、
今後、認知症高齢者は急速に増加する。
認定申請時の所在(再掲)単位:万人
要介護者の認知症
老人自立度
(2002.9末現在)
要介護者
要支援者
居宅
特別養護老
人ホーム
老人保健
施設
介護療養型
医療施設
その他の
施設
総数
314
210
32
25
12
34
認知症自立度
Ⅱ以上
149
73
27
20
10
19
認知症自立度
Ⅲ以上
79
(25)
28
(15)
20
(4)
13
(4)
8
(1)
11
(2)
再
掲
将来推計
2002
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040
2045
認知症
自立度
Ⅱ以上
149
169
208
250
289
323
353
376
385
378
6.3
6.7
7.2
7.6
8.4
9.3
10.2
10.7
10.6
10.4
認知症
自立度
Ⅲ以上
79
90
111
135
157
176
192
205
212
208
3.4
3.6
3.9
4.1
4.5
5.1
5.5
5.8
5.8
5.7
※ 下段は、65歳以上人口比(%)
(平成15年6月
高齢者介護研究会報告書より)
高齢者の世帯形態の将来推計
(万世帯)
2005年
2001年
2015年
2020年
2025年
4,904 万世帯
5,014
5,048
5,027
4,964
1,338 万世帯
1,541
1,762
1,847
1,843
単独
(比率)
386万世帯
28.9%
471
30.6%
566
32.2%
635
34.4%
680
36.9%
夫婦のみ
(比率)
470万世帯
35.1%
542
35.2%
614
34.8%
631
34.2%
609
33.1%
一般世帯
世帯主が65歳以上
(注)比率は、世帯主が65歳以上の世帯に占める割合
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計-平成15年10月推計-」
「家族同居」モデル→「同居+独居」モデル
今後急速に高齢化が進む都市部
○ 今後急速に高齢化が進むのは、首都圏をはじめとする「都市部」。
都市部においては、高齢期の「住まい」などが大きな課題となる。
都道府県別の高齢者(65歳以上)人口の推移
2005年時点の
高齢者人口(万人)
2015年時点の
高齢者人口(万人)
増加数
増加率
順位
埼玉県
116
179
63
+55%
1
千葉県
106
160
53
+50%
2
神奈川県
149
218
70
+47%
3
愛知県
125
177
52
+42%
4
大阪府
165
232
68
+41%
5
(東京都)
233
316
83
+36%
(7)
岩手県
34
39
5
+15%
43
島根県
20
22
2
+11%
44
秋田県
31
34
4
+11%
45
山形県
31
34
3
+10%
46
鹿児島県
44
48
4
+10
47
2,576
3,378
802
+31%
全国
「日本の都道府県別将来推計人口(平成19年5月推計)について」(国立社会保障・人口問題研究所)
今後の看取りの場所
人
1 ,8 0 0 ,0 0 0
2006年 死亡者数 1,084千人
65歳以上 896千人
1 ,6 0 0 ,0 0 0
実績
推計
1 ,4 0 0 ,0 0 0
○将来推計(2030年時点)の仮定
医療機関
医療機関:病床数の増加なし
介護施設:現在の2倍を整備
自宅死亡:1.5倍に増加
1 ,2 0 0 ,0 0 0
1 ,0 0 0 ,0 0 0
約89万人
8 0 0 ,0 0 0
6 0 0 ,0 0 0
その他
約47万人
4 0 0 ,0 0 0
介護施設
2 0 0 ,0 0 0
約9万人
自
0
宅
約20万人
1
9
7
5
1
9
8
0
1
9
8
5
1
9
9
0
1
9
9
5
2
0
0
0
2
0
0
5
2
0
1
0
【資料】
2006年(平成18年)までの実績は厚生労働省「人口動態統計」
2007年(平成19年)以降の推計は国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2006年度版)」から推定
2
0
1
5
2
0
2
0
2
0
2
5
2
0
3
0年
※介護施設は老健、老人ホーム
新型インフルエンザ対策
について
【背景】
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の
一部を改正する法律の概要
○ 近年、東南アジアを中心に鳥インフルエンザ(H5N1)が鳥から人に感染する事例が増加。
この鳥インフルエンザ(H5N1)が人から人へ感染する形に変異し、新型インフルエンザとして世
界的に大流行することが危惧されている。
○ 新型インフルエンザが発生した場合の被害を最小限に食い止めるために、発生前後に必要な対策を迅
速かつ確実に実施するための法整備が求められている。
【改正の概要】
① 感染症法上、鳥インフルエンザ(H5N1)を二類感染症に位置づけ、鳥インフルエンザ(H5N
1)に対する入院措置等の法的根拠を整備。
(注)現行法では、2年間に限り、政令で指定する感染症について、特例措置として入院措置等が可能
(2年経過後も継続して対応が必要な場合には、法定化が必須)
インフルエンザ(H5N1)は、平成18年6月12日よりこの特例措置の対象
② 発生直後から対策を実施できるよう、新型インフルエンザを感染症法及び検疫法に位置づけ、検疫
措置、入院措置等の規定を整備。(注)H5N1型以外の新型インフルエンザが発生した場合にも対応が可能
③ 併せて、感染したおそれのある者に対する健康状態の報告要請や、外出自粛の要請規定の創設、停留
先施設に医療機関以外の施設を追加する等、まん延防止策を拡充。
【施行期日】
○ 第169回国会において成立
○ 5月2日公布、5月12日施行
大流行時の自治体・事業所・一般家庭における対策
■ 新型インフルエンザの被害の特徴
○ 広範囲な被害 → 社会活動全体の停滞
○ 被害が長期化 → 1年以上にわたる対応が必要
○ 多数の従業員が同時に欠勤する等、人的影響が甚大
事前の啓発、準備が重要
自治体
事業所
発生前
○情報収集・提供
○独居高齢者等の把握
○食料等の供給体制整備
発生前
○各企業の業務運営体制の検討
○社会機能維持に関わる事業所
における業務継続計画の策定
発生後
○情報収集・提供
○食料等の確保
○休校、集会自粛要請
○相談窓口の設置 等
発生後
○不要不急の事業活動の休止・
在宅勤務等
○社会機能維持に関わる事業所
における業務継続
一般家庭
発生前
○対策についての啓発
○食料等の備蓄
発生後
○感染拡大防止への協力
○不要不急の外出自粛
与党PTの提言
○大流行時における高齢者や障害者等の要介護者や社会的弱者に対する生活支援体制を整備する。
○社会機能維持に関わる企業において、事業継続計画を策定する。
○個人・家庭における食料やマスク等の備蓄を周知する。
○学校の休校等の意思決定方法などについて明確化する。
今後の主な検討事項
① ワクチン・抗インフルエンザウイルス薬の研究開発、製造、備蓄
の工程表作成
② ワクチン接種の対象者・優先順位の明確化
・ 医療従事者・社会機能維持に関わる業種・職種の範囲・
優先順位
・ 一般国民(小児、若者、高齢者、重症化ハイリスク者)に
おける優先順位
③ 水際対策の現場レベルでの具体化(停留場所の確保、関係機関
の連携強化等)
④ 自治体の取組体制の強化、地域医療体制の整備
⑤ 企業や政府における事業継続計画の策定など、社会機能
維持のための条件整備
⑥ 国民に対する広報・啓発
医療をとりまく議論と
今後の方向性について
安心と希望の医療確保ビジョンの策定
1.趣 旨
昨年の医療制度改革において、医療法や健康保険法の改正等を行ったが、その後、医師不足や
混合診療、病院の再編や在宅医療の推進等、医療の確保に関する様々な問題が指摘されている。
こうした問題に対し、将来を見据えた改革が必要であるため、人材、施設、医療サービス等における
医療アクセスの改善を図るよう、あるべき医療の姿を示す「安心と希望の医療確保ビジョン」の策定
を進める。
2.検討項目
(1)総論:歴史的・文化的・国際的位置付けも踏まえた我が国の医療の在り方について
(2)各論: ①医療を支える人材について
②医療機関の在り方について
③医療サービスの内容について
3.構 成 員
厚生労働大臣の下に、副大臣、大臣政務官及び有識者によるアドバイザリーボードを設置。
4.スケジュール
平成20年1月7日(月)に第1回を開催。
その後、1ヶ月に1~2回程度開催し、平成20年6月に取りまとめ
「安心と希望の医療確保」のための3本柱
1.医療従事者等の数と役割
(1)医師数の増加
医師養成数の増加
コメディカル雇用数の増加
総合的な診療能力を持つ医師の養成
臨床研修制度の見直し
歯科医師の養成
(2)医師の勤務環境の改善
女性医師の離職防止・復職支援
医師の多様な勤務形態
(3)診療科のバランスの改善等
(4)職種間の協働・チーム医療の充実
医師と看護職との協働の充実
医師と歯科医師・薬剤師等との協働の充実
医師とコメディカルとの協働の充実
医師・看護職と看護補助者・メディカルクラーク等
との協働の充実
2.地域で支える医療の推進
(1)救急医療の改善策の推進
救急医療の充実
夜間・救急利用の適正化
(2)「地域完結型医療」の推進
(3)在宅医療の推進
(4)地域医療の充実・遠隔医療の推進
3.医療従事者と患者・家族の協働の推進
(1)相互理解の必要性
(2)医療の公共性に関する認識
(3)患者や家族の医療に関する理解の支援
2地域で支える医療の推進
(2)地域完結型医療の推進
地域医療に限らず、地域の限られた医療資源を有効活用するためには、個別医療機
関がそれぞれで全ての医療ニーズに対応する「医療機関完結型医療」ではなく、医療機
関がそれぞれの得意分野を生かし地域全体で完結する「地域完結型医療」が求められ
る。その際には医療計画等に基づき、自らの地域における役割を検討し、地域連携クリ
ティカルパス等を利用した情報の共有化やネットワークの構築に努める。また、居住系
施設や介護施設においても医療機関との連携に努める。
一方で行政は、各都道府県の医療計画において定められた、がん、脳卒中、救急医療
など4疾病5事業に係る医療連携体制を推進するとともに、住民のニーズを調査・把握し
各医療機関が地域のニーズに応じた役割を果たすことができるよう、医療機関に対する
情報提供を行う。十分な情報開示を行うことによって地域住民がネットワークを踏まえて
行動するよう普及啓発を進める。あわせて、そうした「地域完結型医療」の普及に向けモ
デルとなる成功例を示す。また、診療所において地域のニーズを把握した上で、例えば
複数の医師等がグループで診療を行う体制とし、地域の他の医療機関との連携を確保
した上で、夜間・休日等も含め一定の初期救急も担うなど、機能を強化するとともに、地
域住民の利用に資するため、診療所についても十分な情報の開示を進める。
(3) 在宅医療の推進(一部抜粋)
患者・家族の生活の質を確保する観点から、医療の提供の場として、医療機関だけ
ではなく住まいを念頭に置く発想も必要であり、退院前・退院後ケアカンファレンス等を
通じた切れ目のない医療連携の確保とともに、介護との連携を図る。国及び地方公共
団体は、地域で暮らす者の視点に立ち、個々の地域毎に住民のニーズを把握した上
で、医療サービスと介護サービスの連携、ボランティア等の活動との連携を進めるとと
もに、医療、介護、福祉に関する情報を住民に開示する。その際には、予防や社会資
源の開発・連携体制の構築等についての医療・介護・福祉の現場における保健師の
専門性活用を推進する。さらに、訪問看護ステーションの規模の拡大等を図り、訪問
看護の更なる普及を目指すとともに、訪問看護ステーションや在宅医療を提供する医
療機関については、地域の多様な在宅医療ニーズに的確に対応することに加え、例え
ば末期がんや精神・神経疾患等の専門性の高い分野にも対応できるよう、専門性の
深化に努める。また、居住系施設における医療ニーズを満たすことを進める。
社会保障国民会議
• 社会保障のあるべき姿について、国民に分かり
やすく議論を行うことを目的として、平成20年1月
25日に閣議決定により開催が決定
• 3つの分科会(年金・雇用を議論する「所得確保・
保障分科会」、医療・介護・福祉を議論する「サー
ビス保障分科会」、少子化・仕事と生活の調和を
議論する「持続可能な社会の構築分科会」)を設
置し議論
第二分科会(医療・介護・福祉)中間とりまとめ
• 3 何に着目したか
(1)未曽有の高齢化とサービスの需要の大幅な増大
・75歳以上高齢者の増加
・高齢者一人ぐらし世帯の増加
・団塊の世代
・医療技術の進歩により、サービス提供水準は高度化する
(2)高い水準にはない現状の社会保障給付
第二分科会(医療・介護・福祉)中間とりまとめ
• 3 何に着目したか
(3)不十分・非効率なサービス供給体制
・配置を厚くし、ミスを犯しにくいシステム
・連携・機能分担(ネットワークの構築)
・経営能力(マネジメント能力)
(4)医療・介護を求める側と提供する側との関係
・信頼関係
・情報格差
・「協働」作業
改革の方向性
現下の緊急課題への対応
(1)医療分野における課題とその対応
①医師不足対策(医師養成数の見直し、女性医師の就労継続・職場
復帰支援、臨床研修指定病院の機能強化等)
②医師の負担軽減対策(職種間の機能・役割分担の見直し、チーム
医療の推進等)
③地域医療の確保対策(医療機関相互の役割分担・ネットワーク化等)
④救急医療の更なる量的・質的充実、地域全体で適切な医療機関に
円滑な搬送が確保されるための情報共有・体制整備
⑤医療機関経営の近代化支援
同時に現存する人的・物的資源の効果的・効率的活用の対策の強化
が必要
改革の方向性
現下の緊急課題への対応
(2)介護・福祉分野における課題とその対応
• 将来の介護分野における人材確保のため、労働環境や処遇の在
り方を含めた総合的な人材確保対策を早急に実施することが必
要
• 要介護者(特に中重度の要介護者)の増大に対応した一定量の
施設整備は必要だが、より整備の遅れているケア付き住宅など居
住系サービスの充実や在宅サービスの拡充に重点的に力をいれ
ることが必要
改革の方向性
これからの課題への対応
(1)サービス需要の増大への対応
• サービス提供体制の効率化の努力を継続しつつ、質・量両面での
安定的なサービスを保障するための体制整備を進めることが必要
であり、そのための安定的な財源の確保が必要
• 「自立・自助」を基本に置き、次に個人の様々なリスクを社会的な
相互扶助(=共助)の仕組みでカバーし、それでもカバーできない
場合には直接的な公による扶助(=公助)で支えるという「自立と
共生」の考え方に立った制度の構築が必要
• 社会保険のような「制度化された仕組み」のみならず、地域社会の
中での支え合いやNPO・住民参加型相互扶助組織のような「自律
的・インフォーマルな相互扶助(共助)の仕組み」を活用し、共に支
え合って生きていくことを実感できるような地域社会づくりが重要
改革の方向性
これからの課題への対応
(2)サービス提供体制の構造改革
①病院機能の効率化と高度化
②地域における医療機能のネットワーク化
③地域における医療・介護・福祉の一体的提供(地域包括ケア)
の実現
④医療・介護を通じた専門職種間の役割分担の見直しと「協働体
制」(情報の共有と連携)の構築
(3)サービスを支える人的・物的資源の計画的整備
①人的資源の確保
②インフラ(物的資源)の整備
(4)改革を支える制度面での改革
診療報酬体系・介護報酬体系のあり方についても見直しを行う
必要がある
改革の方向性
医療・介護・福祉サービスを円滑に推進するための制度
面・運用面での改善策
• 高額療養費(介護費)制度
高額療養費自己負担限度額を超えた場合には、その時点でそれ以降の一部
負担は負担しなくてもよいことを原則にするなど、制度本来の趣旨に沿う形で
改善する必要がある。
• 低所得者特例措置
制度ごとに行われている低所得者対策を見直し、本来の趣旨である「低所得
者の負担能力に配慮し、家計に過重な負担をかけないようにする」という原点
に立ち戻って、低所得者対策をより簡素で公平かつ分かりやすいものとするよ
う制度横断的な改革が必要
• 保険免責制など
保険免責制の導入、混合診療、民間保険の活用など今後さらに具体的議論
を深めることが必要
• IT化の推進
IT化の推進や社会保障番号制の導入検討、レセプトオンライン請求化、レセ
プトデータのデータベース化
医療計画作成指針の内容
局長通知
(記載事項の追加)
・4疾病、5事業の数値目標
・4疾病、5事業の医療体制
・医療機能に関する情報提供
・居宅等における医療の確保
・医療の安全の確保
(作成について)
・平成20年4月からの適用を目指す
・PDCAサイクルの仕組み
・医療連携体制構築に係る適切な協議
・二次医療圏に拘らない医療体制
・医療提供施設の開設者等の協力
(その他)
・大臣報告の緩和
課長通知
(全く新規に作成)
・脳卒中
・急性心筋梗塞
(他の計画、通知等と整合)
・がん
・糖尿病
・周産期医療
(既存の計画あり)
・救急医療 (今後検討を視野)
・災害時の医療
・へき地医療 (平成18年へき地保健医療計画)
・小児医療 (小児科学会提案をモデル)