今地域で起きていること ~ なぜ好景気下で不景気

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Transcript 今地域で起きていること ~ なぜ好景気下で不景気

1
人口成熟時代のまちづくり
2006年12月12日
日本政策投資銀行
も た に
地域企画部 参事役 藻谷浩介
E-mail: [email protected]
2
1. 小売商業に
起きている異
変
3
正しいのはどれとどれ?
・東京圏や名古屋圏では景気が回復し、
小売販売額も増加に転じている
・ 郊外に大型店を増やせば、地域全体の売上
は伸び、雇用も増える。たとえば大村では、
商店街は寂れたが、市全体の売上は年々
増え、小売従業者数も増加している。
・トヨタ自動車(ダイハツなどグループ企業含む)
は、昨年度の世界販売台数がフォードを
抜いて2位、今年度は1位になりそうだ。
国内でも販売台数は堅調に増えている。
増加してきた島原+南島原の商業床
4
ところが減少し始めた売上
住民の所得は下がっているのに、商
業施設だけが増え続けているのだか
ら、当然売上は上がらないしどこか
に必ず無理が出てくる
5
減少し始めた商業での雇用
施設を増やしたのに売上は伸びない
ので、お店は従業員を減らしてコス
トダウンに走る
6
以上を一枚にまとめてみると
7
諫早でも5年遅く同様の事態が
限度を超えた大型店立地で と
うとう売上は減少に転じた
8
大村では逆に5年早く事態が進展
イオン一つでやめておけば
いいものを、どんどん蛇足
のような商業施設が増え、
販売額は年々減少
9
長崎周辺の状況はもっと深刻
アミュプラザと夢彩都の立地で、逆に都
市圏の総売上は急減少を始めた
10
首都圏でも減り続けるモノ消費
店が増えただけで、
売上は減る一方だし
雇用も減っている!
11
名古屋絶好調説も誤り
12
大阪はもちろん不調
店が増えただけで、
売上は減る一方だし
雇用も減っている!
13
福岡でも面積と売上が乖離
14
15
定価販売のコンビニは成長していた
売上で明暗を分けるコンビニと一般小売業
指数(1997=H9=100)
140
130
120
デフレというのは消費者に金がな
く、高いものが売れないこと
今起きているのが本当に 「
デフレ」なのだったら、な
ぜ定価販売のコンビニの売
上が減らないのか?
販売額(コンビニエンスストア)
店舗数(コンビニエンスストア)
売場面積(全小売商業)
110
店舗当たり売上(コンビニエンスストア)
100
販売額(全小売商業)
90
坪効率(全小売商業)
80
1997
1998
1999
2000
2001 2002
2003
2004
※ 全商業データは商業統計より、コンビエンスストアデータは日本フランチャイズチェーン協会統計より作成
※ 商業統計では、 97→99年の間に調査対象店舗が増強され、また99年は中間年の簡易調査、02年は本調査
なので、データはこの間連続していない(対象が2回拡大)。にもかかわらず販売額は減少した。
16
なぜ小売販売額は伸びないのか
× 長期不況による「デフレ」が原因だ。デフレさえ
克服すれば小売販売額は回復する。
← ではなぜコンビニの売上は、最近まで落ちなかったのか?
← コンビニの売上が、景気回復が鮮明になった昨年から落ち込み始めた理由は?
← そもそも、日本が稼ぐ外貨はバブル期の3倍に増えたのに、それでも不況か?
○: 96年をピークに退職者>新卒就職者となった
ために、消費者の所得が落ち始めた。
○ 地域の所得が増えないのに店を増やしすぎたた
め、過当競争で値崩れが起きている。
○ 市街地の解体で高度な消費を誘発できる空間
が失われ、所得がますます消費に回らない。
17
2. 現役世代減少
で低下する
個人所得
18
福岡~長崎の主要な都市圏
以下での都市圏: 中心市+郊外市町村 (中心市の10%通勤通学圏)
- 2005.10.1基準 ← 島原半島では合併前
・福岡
人口246万人 福岡+24市町村(宗像以西・基山以北)
・長崎
人口 67万人
長崎+諫早+時津+長与
・久留米 人口 56万人
久留米+八女+筑後+小郡+うきは+4町
・佐賀
佐賀+多久+小城+12町村
人口 41万人
・佐世保 人口 31万人
佐世保+川棚+波佐見+江迎+鹿町+佐々
・大村
人口 10万人
大村+東彼杵
・島原
人口 8万人
(旧) 島原+国見+有明+布津+深江+有江
1996年あたりが日本の分水嶺
19
ここでの都市圏: 中心市+郊外市町村 (中心市の10%通勤通学圏)
-2005.10.1基準 ← 島原半島では合併前 : 島原都市圏 = (旧) 島原+国見+有明+布津+深江+有江
個人所得とモノ消費 (1990-1996増減)
人口10万人以上の158都市圏
個人所得とモノ消費 (1996-2003増減)
人口10万人以上の157都市圏
20%
20%
10%
島原
福岡
小売販売額(年度)
小売販売額(年度)
30%
※ 小売販 売 札幌
額は93-96年
10%
名古屋
長崎
0%
-10%
0%
佐世保
東京
大阪
札幌
佐世保
0%
長崎
福岡
-10%
大阪
東京
島原
名古屋
-20%
10%
20%
30%
40%
50%
個人所得(歴年)
個人所得: 課税対象所得額 / 小売販売額: 商業統計
都市圏: 2000年国勢調査に基づく10%通勤通学圏
-30%
-20% -15% -10% -5%
0%
5%
10%
個人所得(歴年)
資料: 同左
市町村合併の関係で、左図より都市圏数が一つ少ない
石油ショックの頃の日本人の年齢
20-59歳
6,358万人
70歳以上
542万人
20
安定成長の頃の日本人の年齢
20-59歳
6,610万人
70歳以上
668万人
21
プラザ合意の頃の日本人の年齢
20-59歳
6,812万人
70歳以上
827万人
22
23
バブルの頃の日本人の年齢
20-59歳
6,915万人
70歳以上
979万人
阪神震災の頃の日本人の年齢
20-59歳
7,113万人
70歳以上
1,186万人
24
2000年問題の頃の日本人の年齢
20-59歳
7,100万人
70歳以上
1,490万人
25
26
今の日本人の年齢
20-59歳
6,898万人
70歳以上
1,824万人
27
5年後の日本人の年齢
20-59歳
6,531万人
70歳以上
2,111万人
28
10年後の日本人の年齢
20-59歳
6,226万人
70歳以上
2,245万人
29
15年後の日本人の年齢
20-59歳
6,043万人
70歳以上
2,541万人
高齢者増・現役減の島原都市圏
30
ここでの島原都市圏:
(旧) 島原+国見+有明+布津+深江+有
江
働いて税金や年金を払い、旺盛に消
費する現役世代は年々減少
30年前から少子化の影響で、
若者の数は年々減少
高齢者は年々増加して行く
高齢者増・現役減の長崎都市圏
ここでの長崎都市圏:
長崎+諫早+時津+長与
31
東京大都市圏も15年遅れで縮小
ここでの東京大都市圏:
特別区+横浜・千葉・さいたまを含む
5都県111市町村
32
33
高齢者が増え現役は増えぬ福岡
ここでの福岡都市圏:
福岡+前原以東・宗像以西・
基山小郡以北の市町村
34
構造的な20-59歳人口減少の帰結
・ 少なくとも今後半世紀、わが国の20-59歳人口は構造的に
減少を続ける。就業者数もこれに連動して減少していく。
・20-59歳人口減少は10年で700万人というようなペースであ
り、これを移民受入れやいまさらの出生者数増加努力で補う
のは不可能
・ 就業者数減少は、人手不足→失業率低下/機械化・情報化
投資増加と、生産性向上→企業収益向上をもたらすので、
数字上の「景気」を年々改善させる
・しかし就業者数の減少=可処分所得の減少であり、多くの商
品の消費は年々冷え込む → 小売販売額低下は止まらない
・ 主として20-59歳にしか消費されない商品の需要も減少を続
ける (戸建住宅・ファミリーカー・オフィス・通勤定期・職場旅行・結婚式…)
35
3. 大型店の過剰
立地が売上と
雇用を減らす
商業床面積増加→坪効率低落
ここでの島原都市圏:(旧) 島原+国見+有明+布津+深江+有江
130
東京 人口当り床面積が
増えるほど、坪効
率は落ちる
小売商業坪効率 (万円/㎡)
120
青梅
110
90
80
70
60
50
全
国
平
均
厚木 京都
千歳
鹿児島
札幌
大阪
小売売場面積と坪効率
人口5万人以上の260都市圏・2004年
識者の観察では、
人口当たり小売売場面積は
1㎡/人が飽和水準。
これを超えると坪単価は
どんどんデフレする
御殿場
網走
出雲
神戸
沼
名古屋
成田 金沢
小田原
福岡
津
帯広
高山
岩見沢
仙台
つくば
全国平均
広 津山
秦野 長崎
北見
三次
島
諫
木更津
釧 敦賀
刈谷
佐世保 早
羽生
路
伊東
市 北
新城 和歌山
松本
九
土岐
山形
州
佐 鳥
壱岐市
大村市
米 野柳 栖
対馬市
行田
八幡浜
角田
子
井 富士吉田
島原
御坊
近江八幡
平戸市
石垣
五島市
都城
山鹿
佐久
玉名
沼田
延 久慈
田川
松阪
観 七尾
川大
四国中央
宮古島
岡
喜多方
洲
名護
富
音
(資料) 商業指標: 2004年 商業統計
内
日 小林 本渡
人口: 住民基本台帳
岡
寺
沖縄
美馬
都市圏: 2000年国調10%通勤通学圏
向
出水
松浦市
大川
平塚
100
36
0.8
※佐世保はジャパネッ ト
たかたを除いた試算
0.9
1.0
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
都市圏人口当たりの小売売場面積 (㎡/人)
1.6
1.7
37
商業床面積増加→販売額低落
小売販売額増減率 (1999年→2004年)
ここでの島原都市圏:(旧) 島原+国見+有明+布津+深江+有江
10%
御殿場 21.0%
佐野刈谷
石垣 19.0%
小売店舗面積増減と販売額増減
人口5万人以上の260都市圏
17.9%
名護
売場面積が増えた割には
販売額は増えていない
売場面積が増え
い 霧島
甲
宮
販売額も増加(9%)
わ 熊本
小林
賀
5%
那古
津山 き 北上 水俣
館林 鹿
豊田 覇 島 太
岡崎
諫早市
出水
屋 佐世保 掛川
田
49.1%
名瀬
五島市
0%
都鳥
沖縄
甘木
長崎
郡山
城取
福岡
売場面積が減り
三次
白
千
新居浜
名
販売額も減少(23%) 歳 石
札幌
喜多方
東京 古 大村市
日向
-5%
成
屋仙
長井
富岡
武雄 壱岐市
田
全国平均
平戸市
台
白河
松
大牟田大川 周
新庄
大
長山
北
南
阪広
-10%
岡 富士吉田
九 京都
浜田
本渡
島
八日市場
柳井角
州
島
近江八幡
田 対馬市
神 原松
高
糸魚川
戸
浦 米 知 玉 売場面積が増えているのに
筑西 滝
-15%
販売額は減少(68%)
市 会子
名
川
高 沼
加賀
津
高
姫松 田
平塚
村
若
島
路 行
坂東
全 久松
上 諏訪
豊
田
国 慈
-20%岩見沢
(資料) 商業統計
売場面積が減った以上に 岡
平
都市圏: 2000年国調1 0%通勤通学圏
販売額が減っている
均
-20%
※佐世保はジャパネッ ト
たかたを除いた試算
-10%
0%
10%
20%
30%
小売店舗面積増減率 (1999→2004年)
40%
店を増やしてはいけない理由①
38
– 「いい品をどんどん安く!」が経済を成長させた幸せな時代の成功体験 –
( )
商
業
床
の
坪
効
率
P
0
昔々の日本:商業施設が少なすぎ、既存商店の坪効率
は高いが、坪効率×床面積=売上は増えない状態
(大型店規制や寡占に甘えた商売が成長を阻害)
坪効率低下による売上減
よりも、床面積増加による
売上増加の方が大きい
(価格弾性値>1)
いわゆる
需要曲線
→商業施設が増えると
坪効率は下がるが売上は増える
商業床の供給量(Q)
店を増やしてはいけない理由②
39
– 価格弾力性<1の状況下で新規店舗増設を続ければどうなるか –
( )
商
業
床
の
坪
効
率
P
0
今の日本:商業施設が増えすぎ、坪効率が下がりすぎ
て、坪効率×床面積=売上までもが減っていく状態
(郊外乱開発→経済音痴の過当競争が逆に成長を阻
害)
床面積と坪効率の
値下げによる売上減の方が、販売量増
バランスで、売上
加による売上増よりも大きい
が最大化していた
(価格弾力性<1)
行政の郊外乱開発にフリー
ライドして商店が増加
商業床の供給量(Q)
いわゆる
需要曲線
税収を増やさない郊外開発
市街地商業衰退の激しい佐賀市(人口17万人)での例
郊外での積極的な区画
整理→諸機能の郊外拡
散で、中心市街地では
地価下落が著しい
郊外区画整理地区の地価は、それでも市
街地の1/3程度にしかなっていない
ほぼ開発の終了した郊外区画整理地区だ
が、土地利用が粗放的(平面駐車場多し)
で、建物の密度は高まらない
つまり、区画整理に際した道路上下水道投資+今後の修繕投資
に対する固定資産税収での回収効率が、非常に悪い
40
時代の根底がひっくり返った
戦後の半世紀に
日本人は5千万人・8割増加
→ 土地・建物・道路を増やすこと
こそがまちづくりの至上命題だった
人口が一方的に減る今世紀、
まちづくりも量から質へと
半世紀ぶりの方向転換が
必至の状況
42
43
4. 市街地空洞化
がさらに消費
意欲を損なう
主要都市圏の最新の人口動態
44
人口自然増減率 = (出生者数-死亡者数)÷人口
2005年国勢調査要計表より試算した「足による投票」
ここでの都市圏: 中心市+郊外市町村 (中心市の10%通勤通学圏)
-2005.10.1基準 ← 島原半島では合併前 : 島原都市圏 = (旧) 島原+国見+有明+布津+深江+有江
4%
人口5万人以上260都市圏の人口動態
2000-2005年の人口流出入と出生死亡
ここでの都市圏: 中心市+郊外市町村(10%通勤通学圏) - 2005.10.1基準
資料: 国勢調査、住民基本台帳人口動態表
(社会増減=国勢調査人口増減-自然増減で試算し住民票を移さない移動を把握)
沖縄
自然増加かつ
社会増加
那覇
湖南
中標津
青ヶ島
3.6%
刈谷
豊田 安城
石垣 岡崎
千歳 名 大村市
御殿場
厚 木 つ く ば古
盛岡
福岡
2% 自然増加だが
碧南
仙
台
伊
勢
崎
屋
4.5%
三
沢
四
日
市
富士吉田
社会減少
大阪
熊本
東京
宮古島
浜松 神戸 鳥栖
近江八幡
広
島
名護
京都
△4.2%
八戸
成
網走
軽井沢
札幌
北見
長
諫早市
田 鹿 西掛
西
脇
日立 舞鶴
釧路
野
松本
嶋 尾川
0% △5.3%
長崎
佐世保
都
市圏
屋久
山 口松 山松 阪
越後湯沢
都
市
圏
北
九
州
△4.1%
南砺
加賀
差し引き
旭
松浦市
伊東
八
日
市
場
新
庄
人口増加
島原
△9.5%
草
津
都市圏
馬路
藤原
高島
西
海
市
差し引き
-2%
山鹿
日光
自然減少だが
人口減少
箱根
柳
井
横手
宇
佐
真庭
自然減少かつ
社会増加
栗 原大 仙
△8.2%
南小国
粟
島
浦
社会減少
湯沢
能代
美馬
中土佐
萩
矢祭 館山
海士
△9.7% 高 野
知夫
周防
佐渡
海
南
大島
紀和
-4%
△7.9% 吉 野
-4%
-3%
-2%
-1%
0%
1%
人口社会増減率 = (転入者数-転出者数)÷人口
2%
3%
経済が元気でも死んだ市街地
45
トヨタ系企業の大工場の並ぶ、愛知県刈谷市(商圏人口32万人)
商店も建物も
なく空地だら
けの駅前通り
(15分おきの快
速で名古屋へ
17分、毎時上下
24本の電車が
来るというの
に…!)
日曜朝10時半、
唯一残ったアー
ケード街に人影
なし (正面は昭
和35年竣工の防
災街区)
大型店跡地は商業者の夢=無
料平面駐車場になったが肝
心の商店がもはや存在 せ
ず、車庫と化している
3~40年代には市内随一のアーケ
ード街だった刈谷銀座商店街に、
次々と未舗装の空地が発生
工場労働者に満ち満ちた町なの
に、飲み屋街らしきものはこの
一角くらいしかない???
経済が不振でも生きている町
主産業軒並み不振の佐世保(商圏人口31万人)の中心商店街
1階が切れ目なくつなが
り、人が雑踏を消費しに
集まる、7ブロック・全長
1kmのアーケード
商店街の休日歩行者数が
H12-14の2年間で25%も
増加し、空店舗は2つま
で減少
20分おきに高
速バスが出て
いる福岡とは
厳しく競争
郊外6km先の
ジャスコシティ(2
万8千㎡・無
料駐車場
2,500台)
商店街に8階建の昔ながらのジ
ャスコ (駐車場なし)が健在
商店街に隣接する飲屋街は
土曜日深夜でも元気!
46
都市圏人口当たりの課税対象所得額 (万円/人)
所得が売上に回っていない刈谷
180 所得水準と小売販売額
人口5万人以上の260都市圏
2004年
160
140
120
100
80
60
秦 安城
野
西
平塚 碧南尾
豊田
刈谷
47
東京 刈谷の所得は国内
トップクラス
厚木
名古屋
御殿場
小 岡
田 崎
原 浜
つくば
松 豊 沼津
青梅
神
富士 戸 大 橋 静岡 金沢
湖南
成田
阪
広島
掛川
京都
島田
全国平均
仙
大垣
松本
行田
鹿 台
新城 木更津
網走 敦賀
帯広
福
日立 本庄
高山
大児
岡 札幌
島
分
土岐
羽生
熊本
長崎
阿南
釧路 出雲
北見
伊東
三次
佐賀
坂東
富岡
北
御
佐世保 九 宮崎 滝 津山
坊 那
八幡浜
函
州
古 川旭
角田
川館
玉名
大川 覇
全 川
国
喜多方 延
島原
平
田川 山鹿 岡
水
均
俣
小林
石 沖縄 湯沢
(資料) 小売販売額:商業統計 / 人口:住民基本台帳
五所川原
宮古島 垣
課税対象所得額:日本マーケティング教育センター
都市圏: 2000年国調1 0%通勤通学圏
名護
60
70
80
90
100
110
120
130
140
ト
都市圏人口当たりの小売商業販売額 (万円/人)※佐世保はジャパネッ
たかたを除いた試算
48
5. ではどうすれ
ばいいのか
49
ではどうすればいいのか①
1. 床を増やすしか能のない大手商業者がそろって
ダイエーの後を追うまで、耐えに耐える
首都圏でも名古屋でももう就業者は減少に転じた → 消費不況が深刻化
しかもその原因は景気でも少子化でもなく50代の高齢化なので、防止策はない
→ どのみち郊外の過剰店舗は整理されていき、人口密集地の商業が生き残る
2. 国の規制によってではなく、市の都市計画(地区
計画や都市マス)で、大型店増に歯止めをかける
国全体での大型店規制は期待できない(地域ごとに事情が違いすぎる)
他方で、都市ごとに都市計画で規制をかけることは、市議会さえ動かせれば可能
→ 商業床の総量を定めたNY市のように、市全体で取り組むしかない
3. 大型店と競合しないニッチ市場を抱え込む
とはいっても当面どう食いつなぐかといえば、大型店との競合を避けるしかない
→ 周辺住民を抱え込むか、(通販で)日本中に商品を売り込むか、どちらか
50
ではどうすればいいのか②
・ 同じ品揃えの大型店ばかり増やしても市全体
の売上は上がらない → ユニークなものを売っ
ている小さな店を増やすしかない
・地元産品の改善→取り扱いを増やして、
売上の中で地元に落ちる部分を増やすべし
・ それと同時に地元商業者は、消費者に見捨て
られないように必死に努力しなければならない
・普通の商業だけではどのみちジリ貧 →
観光客相手に純粋地元産品の売上を増やせ
51
戦後ニッポンの常識が逆転する
人口減少時代のまちづくり

需要の裏打ちのない「高度利用」は原則無用!
中高層の建築物への需要は今やマンションくらいしかない (×商業施設)
しかし今後団塊の世代の相続が増えると、特に地方で開発可能地が増える
そこで高度利用をすると、床が過剰供給になり、土地デフレに拍車がかかる
(大都市都心部など潜在需要が強いところは別)
土地利用方策の抜本的な見直しが必要
供給を増やせば増やすほど値段が下がる (←経済的に当たり前) 時代になった
税収増を狙った都計区域増加・容積率引上は、自分の首を絞める禁じ手

唯一のデフレ対策:「市街地の建蔽率の向上」
1階部分に店が切れ目なく連続すれば、歩行者数が増え賃料水準が下げ止まる
土地供給削減=開発面積の縮小+中心部密度の向上、だけが地価暴落を防ぐ手段
数十年越しに、住民と事務系事業所を市街地周辺に誘導していく必要がある
福祉・医療・学習・交流などの公共機能も建替えの際に市街地集中を!
52
生きている中心市街地の共通点
~ 心の中の本来の市街地:まちなか
~「まちなか」の3要素~
•「住む人」と「来る人」の共生
雑踏の中で、人々が場と時間を共有
•「器」の上への「変転」ある「雑居」
まちという器の上に、諸機能・諸事業・諸人が、入れ替わりつつ
雑居
•文化・気風・ブランド
統制者不在にもかかわらず、競争と自由の中から醸成される、
そのまち独自の文化・気風そして魅力
島原の市街地各所は「まちなか」でしょうか???
53
空洞化するまちの共通点
 市全体の人口は増えないのに、
なし崩しの郊外開発が各所で展開される
 皆が「まち=商店街」と思っている (住居、業務、医
療福祉、教育といった他の機能のことは眼中にない)
 市街地の地権者は、「景気回復」や「街路拡幅」
を 待って、空地や空店舗を空いたままにしてい
る
 まちの「中身」ではなく、「足」の話(道路拡幅
や駐車場整備…)ばかりが問題にされる
 個別の再開発や街路整備はあるが、民間投資
54
まちは「花」
「根」
「葉」
「茎」
「花」
=
=
=
=
家
企業の事業所
病院・学校・役所・集会所
お店
 根・葉・茎なくして花咲かず!(造花しかできな
い)
 公共(茎)と商業(花)だけの「切花」は、はかない
 道路や駐車場は「用水路」のようなもの (いく
55
「まちなか=花」を壊すもの

郊外開発→機能拡散→密度低下の弊害無自覚
戦後半世紀の人口8割増=開発地拡大の必要性、がまだ続いているという誤解
とにかく田んぼを埋めたい農地所有者・自治体議員・建設事業者の政治力
道路上下水道初期投資への国庫補助+単年度予算主義=更新投資の忘却
郊外から戻って来たい人や事業者を受け入れら
れない、市街地の地権者の無知・無自覚・無能

経済合理性のない高地価 - 多くの市街地の地価は、誰も払わない水準に高止ま
り

やる気のなさ – 自分が当事者と思わず、物納への道を転げ落ちる多くの地権者

地権者を放置する行政 – 商店街支援に退行する経済産業政策 / 条件反射で言い
値を払ってしまうインフラ整備政策 / 税収減・コスト増に無自覚な自治体政策
56
中心市街地活性化対策の本筋
利害関係者
動機
自らやるべきこと
①事業の継続
②できれば収益拡大
③権利売却可能性の確保
①自分自身の事業の高度化
地権者
①土地建物の保有継続
(相続税原資や建替資金の獲得)
②できれば収益拡大
③権利売却可能性の確保
①自分自身の経営高度化
→ 空店舗の有効活用
→ リーシングノウハウの研鑽
②まちなか居住促進への協力
住民・外野の人
①消費機会の充実(衣・食&遊)
②居住機会の充実(住&遊)
③職業機会の拡大(出店・就職)
①自らが中心市街地にお金を
落とすことで維持に貢献
②まちづくりの側に自ら参加
行政
①住民の生活の質の向上(上記)
②税収増(特に固定資産税)
③中小企業振興
④交流人口増加→経済活性化
①ビジョン提示・事業者支援・
インフラ整備などの既存策
事業者
(商店・サービス)
②中心商業地全体の活性化支援
②郊外開発の規制→抑制
57
地価低下の風を活かした市街地再生
~ いったん下げるだけ下げて、狙うは長期的な上げ
対処すべき
根本原因に対応して
根本原因に対応して
根本原因
住む人を増やす施策
来る人を増やす施策
ユーザーの
単機能指向
まちなかの雑居状態を好む
まちなかでの事業を選ぶ
住民の受け入れ
事業者の受け入れ
雑居を選ぶ客層に向けた
雑居を選ぶ事業者層に向けた
賃貸住宅の供給
賃貸物件の供給
定期借地を活用した
定期借地を活用した
土地を買わぬ住宅開発
土地を買わぬ面開発
高地価
高賃料
地権者の
時代錯誤
「損して得取る」姿勢の地権者の土地だけを、
安い賃料で有効利用 (×家賃補助 ×高額補償)
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市街地再生の4つのステップ
1. 継続的なフォーラム(勉強会)形成
何かをきっかけに、問題意識を持つ人たちの集まりができる
→ 勉強会・視察・議論・交流会などを継続的に行うようになる
→ イベントや提言など、一時的な事業を実施するようになる
2. 散発的に継続的な取り組みはじまる
メンバーの内外から、空店舗利用など新コンテンツ導入の動きが出る
特定の地区で継続的なイベントが実施されるようになる
予算
百万円単位
予算
千万円単位
3. 動きが面的につながる地区ができていく 予算
新コンテンツが導入された建物がつながって、面的な広がりをもつ
億円単位
イベントが、周囲にも飛び火したり、横に拡大したりするようになる
4. 大きな再活性化投資が行われる
予算
数十億円単位
インパクトの大きいプロジェクトが民間主導で(行政支援を受け)実施される