(3月2日、1時間もの):Okamoto302

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Transcript (3月2日、1時間もの):Okamoto302

市民公開講座
もっと知ろう!
プリオン病(狂牛病)
牛海綿状脳症(狂牛病)の正しい知識
小野寺 節(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
「口から入った異常プリオンが脳に達するまでの関所」や、「肉食民族における牛の
食用部位と、日本における食用部位がもたらす感染性の違い」のお話し。
ヒトのプリオン病(ヒト海綿状脳症)について:
◆◆◆
おさめ
牛肉はなぜ安全なのか
◆◆◆
納 光弘(鹿児島大学医学部付属病院長・内科学第三講座教授)
「ヒトのプリオン病(ヤコブ病)の実状」と、「英国・アイルランドで、
かつての騒動から、今や安心して牛肉を食べ始めている現状」のお話し。
主婦の皆様のご来場
をお待ちします
(入場無料)
期日:12月22日(土曜) 14時~16時
場所:鹿児島県医師会館(西駅前ナポリ通り)
主催:鹿児島大学牛海綿状脳症対策プロジェクト
共催:鹿児島県
後援:鹿児島市・鹿児島県獣医師会
西鹿児島駅
ナ
ポ
リ
通
り
医
師
会
館
獣医公衆衛生学 = 獣医学の社会への窓口
1.人畜共通感染症の予防:ヒトと動物が罹患する感染症で共通の病原体によるも
のを人畜共通感染症といいます.たとえば、狂犬病(ウイルス)、オウム病(リケッチ
ア)、炭疽(細菌)、トキソプラズマ(原虫)など.感染源、感染経路、感受性者につい
ての特性を解明し、予防措置について研究します.
2.食品衛生の向上:病原体や化学物質などに汚染された食品による健康被害を防
止し、食品のもつ栄養や風味のみならず健康増進機能などの特性を保持することが
食品衛生の役割です.そのため、生産、加工、流通、消費の各段階において安全性
と品質を確保するための衛生的措置について研究します.
3.環境衛生の向上:種々の化学物質による環境汚染の問題において動物の行動や
生理などを専門としている獣医学の役割は大きく、とりわけ人間社会への影響に先
立って現われる野生生物への影響評価は重要です.さらに、水質汚染、悪臭、害虫
発生などの畜産業による環境負荷を軽減し農村のアメニティーを向上することも重要
課題です.
4.動物福祉への貢献:生命体としての地球が人間活動によって破壊されつつある
中で、動植物が織り成す景観が心の癒しに欠かせないものとされています.家族の
一員としての伴侶動物の別の側面として、不適切な飼育管理による衛生上の問題(
感染症、排泄物、咬傷、放浪・野良など)があります.ヒトと動物の良好な関係を構築
するために「動物の保護及び管理に関する法律」に基づいて活動しています.
狂牛病(牛海綿状脳症、BSE): どの程度危険か?
岡本嘉六のホームページ 2001年9月19日
プリオンとは?
狂牛病の原因は異常プリオンとされていますが、通常の
病原体とは異なり、遺伝情報(核酸:DNA、RNA)を持たないタンパク質です。このこ
とは、以下のことを意味します。
1.自己増殖しない:
遺伝情報を持たないので、プリオンは細菌などのよ
うに、食品や消化管の中で増殖することはありません。異常プリオンが増えるのは
脳に達してからであり、誰もが持っている正常プリオンが異常プリオンを鋳型として
変形することによると考えられています。
2.プリオンは、腸から吸収されない(除く乳児):
タンパク質は
アミノ酸に分解されてから吸収されるので、タンパク質であるプリオンは、一般健康
人においては腸から吸収されて血液に入ることはありません。すなわち、汚染食品
を食べた場合でも、脳に達することはなく、発病の危険はありません。ただし、乳児
では母親からの移行抗体(免疫グロブリンもタンパク質)を受け継ぐために、タンパク
質を腸から吸収する特別の仕組みがありますので、異常プリオンも血中に浸入する
危険性があります。乳児の主食である粉乳および牛乳は牛に由来しますが、異常プ
リオンは脳脊髄にあり、乳汁中には出てこないので、粉乳が感染源となることはあり
ません。
3.英国での牛の流行は、肉骨粉の入った代用乳を子牛に
与えたことによる: イギリスと兄弟国であるアメリカでは狂牛病の発生があ
りません。その理由の一つとして、離乳期に子牛に与える代用乳(本物は人間の口
に入るのですよ、可哀想な子牛!)のタンパク質を補充するため、イギリスでは肉骨
粉を使用していたが、アメリカでは植物蛋白のみを使っていたことが挙げられていま
す。ヒトと同様、牛でも乳児期にはタンパク質がそのまま吸収されるので、汚染され
た肉骨粉の異常プリオンがその際血中に浸入したと考えられます。牛でも健康な成
牛で異常プリオンがそのまま吸収されることは考えられません。
4.プリオンは動かない:
タンパク質からなる異常プリオンは、細菌のよ
うな運動器官(鞭毛)を持っていないので、動きません。「成人でも腸の微少な傷から
血中に浸入する可能性がある」とはいえ、異常プリオンが細菌のようにそこへ移動
することはあり得ないので、微少な傷口に遭遇する機会はきわめて希でしょう。
敵を知り、己を知れば百戦あやうからず。彼を知らず、
己を知らざれば、戦うごとに必ずあやうし(孫子)。
生物の進化は現在も続いており、 1970年以降も、エボラ出血熱など
の感染力と致命率の高い「新興感染症」が10数種類登場している。
BSE の危険性は当初考えたほどではないことが解ってきました。
1.食料自給率
食の安全性とは: BSE を含めて
鹿児島大学農学部 岡本嘉六
2.量が確保されて初めて品質や安全性の向上が可能となる。
3.日常的に食べている食品にも、回避できない若干の危険性がある。
4.安全性とは、日常的に回避できない程度の危険性まで危害を制御
すること = ゼロリスクはあり得ない。
日本でも、「貧乏人の子沢山」と
言われるように、衛生水準が低
かった戦前までは乳児死亡率が
高く、跡継ぎを得るために・・
食糧生産量には限りがあり、米国並の食生活をすれば世界の半数が餓死する。
共存社会とは言うものの、食糧危機を回避するのは、各国の「自己責任」。
「人口爆発による食料危機」ーーーその時日本は???
アメリカ圏
自給率40%とは
5人に3人は餓死
これこそ迫りくる危機
世界の農産物貿易は、生産量に占める輸出量の割合(貿易率)が小さく、しかも少数の国・地域に輸出国
が集中する構造となっていること等から、一部の生産・輸出国の生産変動や政策変化に影響されやすい
などそもそも不安定。 我が国は、84年以降、世界第1位の農産物純輸入国。
2.量が確保されて初めて品質や安全性の向上が可能となる。
食糧難時代には、貨幣の値打ちがなく、貴金属
や高級呉服などを持って、都市から農村に買い
出しに行き、闇行為として処罰された(横浜の
潔癖な裁判官が餓死したことは有名!)。
発癌性が明らかなアフラトキシンでもゼロ規制ではなく「許容濃度」は国により異なる。
3.日常的に食べている食品にも、回避できない若干の危険性がある。
魚
のそ
焼れ
けで
も
こ
げこ
げ
目
の
な
い
サ
ン
マ
を
食
え
る
か
二級アミン + 硝酸塩
魚
野菜
ニトロソ化合物
胃の中で反応
発癌物質→胃癌
硝酸塩は腸で吸収された後に亜硝酸となり、唾液に分泌され、それ
が胃内で二級アミンと反応してニトロソアミン(発癌物質)を形成。
ニトロソアミン
魚+漬け物
アフラトキシン
魚の焼けこげ
突然変異
細胞の死
分化の異常
癌、奇形など
4.安全性とは、日常的に回避できない程度の危険性まで危害を制御
BSE(狂牛病)はどちらのタイプか
Transmission of BSE ( BSEの伝達)
DEFRA BSE information: Last updated: 30 Apr 2001
Infectivity in tissues(各組織の感染性)
The aim of the tissue assays was to identify which, if any, of the tissues that might be
consumed by humans contained detectable quantities of infectivity. This would of
course be of significance in determining the pathogenesis of BSE too. A large number
of tissues were inoculated into mice, usually by a combination of intracerebral and
intraperitoneal routes
各組織を検査する目的は、ヒトが食べた際に感染する量を含んでいる
か否かを確認するためである。このことは、 BSE の発病機序を解明す
る上でも意義がある。
The initial assays identified infectivity only in brain, spinal cord and retina of the
clinically affected cattle. We are aware of no experiments which have detected BSE
infectivity in blood using the mouse bioassay. Transmission studies based on
intracerebral injection into mice of blood from clinical BSE cases have shown no
detectable infectivity.
最初の検査では、発症している牛の脳、脊髄および網膜のみに感染
性が確認された。マウス試験法を用いて血液の感染性を調べる実験
には気が回らなかった。その後、発症牛の血液をマウスの脳内に接種
する伝達試験を実施したが、感染性は認められなかった。
Tissues from clinically affected cattle with no detectable infectivity by
parenteral inoculation of mice
(マウスの脳内接種によって感染性がなかった発症牛の組織)
脳脊髄液、心臓、肺、気管、膵臓、脾臓、腎臓、扁桃腺、皮膚、脂肪
血液:バフィーコート(白血球と血小板)、凝固血、胎児血液、血清
消化管:食道、第一胃、第三胃、第四胃(食道溝、筋柱)、小腸(遠位、近位
遠位
子牛への投与試験で
)、直腸、結腸(遠位、近位)
感染性が確認された
リンパ節:腸管膜リンパ節、大腿、咽頭リンパ節
筋肉:半腱様筋(モモ肉の一部)、横隔膜、最長筋(ロース)、咬筋(頬肉)
神経:馬尾(下半身の脊髄神経根繊維)、末梢神経(座骨神経、内臓神経、頸骨
神経)
生殖器 雄:精巣上体、前立腺、精液、貯精嚢、精巣
雌:乳、 卵巣、 胎盤分葉、 胎水(羊水、尿膜腔液)、乳腺、子宮小丘
BSE に罹った牛の48部位は、マウスの脳内接種によって感染性がな
かった。マウスが発症したのは脳、脊髄および網膜のみであった。
筋肉、心臓、
血液、脂肪
など日本人
が普段食べ
る部位
特定危険部位
回腸末端部 ≪ 眼、脊髄、脳
納先生が紹介したアイゲン
博士とノバック博士によれば
、異常プリオンでは10万個
化学物質や微生物などの危害に関する用量反応曲線
日本では牛において BSE 感染が広がらない理由
★ 過去において汚染飼料を食べた疑いのある、老廃牛の全国一斉処分を急げ ★
鹿児島大学農学部 獣医公衆衛生学研究室 岡本嘉六
牛海綿状脳症(BSE: Bovine Spongiform Encephalopathies、狂牛病)
英国における狂牛病発生頭数
40000
35000
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
85年 4月 初の発生
86年11月 最初の診断
88年 7月 反すう動物
由来肉骨粉の反すう
動物への給与禁止
37,280
潜伏期:約5年
潜伏期:約10年
89年11月 6カ月齢
以上の特定牛臓器(
SBO)の食用禁止
96年3月20日
新型ヤコブ病
(CJD)患者10名
とBSE感染牛と
の関連声明。
2469
442
87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99
1,443
0
英国における狂牛病発生頭数
日本で英国の状態が再現しない根拠
40000
35000
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
37,280
最新の検査方法の開発
に何故長期間を要したか
442
確定頭数:36,680
検査頭数:44,844
1,311
1,870 1,443
除く北アイルランド
87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99
0
牛の脳幹部位の病理組織学的検査
時間がかかるので検査数が限られることや大
部分の牛が発症する前に屠殺されていたので
,多くのBSE感染牛の存在が見逃されていた。
ELISA法
ウエスタンブロット法
免疫組織化学検査
生体には正常プリオンが分布しているので、
プリオンに対する抗体産生が全くない
→ 通常の感染症に用いられる、
抗体検査による診断ができない
1997年 人工的に、プリオンに対する抗体の作成に成功
牛海綿状脳症の臨床症状
初期
中期
後期
精神状態・行動の異常、不安動作、痙攣、音に対する過敏反
応、持続的な鼻なめ、地面を蹴るなど
感覚(音、接触、光、熱)の過敏反応、運動失調(後肢を開く)
攻撃的な行動、後肢に触れると蹴る。歩行障害(揺れ、後肢
の引きずり、震え、転倒)、起立不能
通常の感染症に必発の発熱もなく、身体上の異常も見ら
れないので、神経症状が出てくるまでは診断が難しい.
臨床的にBSEが疑われ、組織学
的にはBSEでなかった牛の病理所
見(英国)
千葉県のBSE症例の延髄組織所見
(延髄神経網の小空胞)
白質における巣状海綿状態、脳幹部に
限局した脳炎(リステリア症)、非化膿性
脳炎/髄膜炎、腫瘍、肉芽腫性脊髄炎/
脳炎/髄膜炎、大脳皮質壊死症/水腫、ミ
エロパシー(脊髄症)、など
チアミン(ビタミンB1)欠乏による
大脳皮質壊死症(CCN)
病理専門家以外は
類症鑑別できない
2歳以下の育成牛に発生が多いが,2歳以上
の乳牛(搾乳牛)にも散発することが知られ,
国内では6歳の搾乳牛にも発生。
CCNの臨床所見:食欲不振、歩様異常、
起立不能、後弓反張。CCNでは,紫外線照射
下で脳の表面や割面に自家蛍光が肉眼で認
められ,瞬時に判定可能である。自家蛍光は
CCNで高率に認められるが、スクレピーなど
では見られずスクリーニングに適している。
千葉県のBSE症例の
延髄組織所見
免疫組織化学染色陽
性:延髄における異常
プリオン蛋白質の沈着(
褐色に染色)
延髄かんぬき部
免疫組織化学染色法は、異常プリオ
ンに対する抗体が作成された90年代
に実用化された。 ELISA法、ウエスタ
ンブロット法、
免疫組織化学染色法により、迅速、確
実、多検体処理が可能となり、これら
の検査術式は、国際的に統一されて
いる。
英国における狂牛病発生頭数
日本で英国の状態が再現しない根拠
40000
35000
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
37,280 検査法の改良と検査体制の確立
受動的監視システム
能動的監視システム
アクティブ・サーベーランス
臨床症状を呈し
た病変形成例
のみ摘発可能
442
・無症状でも異常プリオン
があれば摘発可能
・多検体処理が可能
確定頭数:36,680
検査頭数:44,844
1,311
1,870 1,443
除く北アイルランド
87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99
0
牛の脳幹部位の病理組織学的検査
時間がかかるので検査数が限られることや大
部分の牛が発症する前に屠殺されていたので
,多くのBSE感染牛の存在が見逃されていた。
ELISA法
ウエスタンブロット法
免疫組織化学検査
250
200
150
100
感染症の防圧には
初期対応が最重要
フランス
ポルトガル
スイス
ドイツ
欧州とは異なり、日本で
は初期段階で免疫学的
診断方法が可能であり、
迅速な対応がとられた。
50
0
89 90 91 92
89 90 91 92
フランス
ドイツ
ポルトガル
スイス
0
0
0
0
0
0
1**
2
5
0
1**
8
93
93
94
94
0
1
1** 0
1** 3**
15
29
95
95
96
96
97
97
4
3
3** 0
12 14
64 68
12
0
29
45
6 18 31 161 202
2** 0
0
7 118
30 106 170 163 75
38
14 50 33
30
牛の脳幹部位の病理組織学的検査
98
98
99
0
99 00
1
01
**:輸入症例
187億円
英国からEUへの生体牛の輸出
150億円
120億円
75億円
37億円
英国からの牛の輸出に関する総禁止令は、
EUにおいて1996年3月まで課されなかった.
1988年7月: BSEが確認された群の英国牛のオランダへの輸出禁止(二国間条約)
1989年7月: 同牛の英国からEUへの輸出を禁止 (Decision 89/469/EEC)
1990年2月: BSEの疑いのある母牛から生まれた全ての牛、および6カ月以上の牛
について英国からEUへの輸出禁止 (Decision 90/59/EEC)
英国の肉骨粉の輸出データ
国名
1988
フランス
ドイツ
日本
韓国
台湾
250
200
150
100
出典 :英国税関 データ
単位(トン)
1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996
7,222 15,674 1,148
20
94
156
559
578
14
5
5
5
0
132
62
43 31
64
1 220 1,010 103
200 1,143 2,023 280 87
802 455
23
0
0
1
20
42 823
日本の輸入肉骨粉は?
フランス
ポルトガル
スイス
ドイツ
欧州にBSEを広げた原因
1.肉骨粉のみならず生体
牛もが英国から欧州に輸
出されていた。
2.検査方法が病理組織学
的方法しかなかった。
50
0
89
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
0
1
英国からの肉骨粉の輸入に関する調査について 10 月22 日
生産局畜産部
EU の統計によれば、1990年から1996年までの間に計 333トンの肉骨粉が
英国から我が国に輸出されたとされている件について、農林水産省職員を9月26
日~30 日まで英国環境・食料・農村地域省獣医国際貿易担当他に派遣し詳細な
調査を行った結果、下記のとおり確認された。
記
当初英国から日本に輸入されたとされる肉骨粉 333トンについては、実際に日
本に輸出した可能性のある数量は、計166 トンであることが判明した。なお、数量
が変更された要因は、製品コードの記入ミス、入力ミス等であるとしている。
英国側当初の数量 現地精査後の数量
備考
1990年
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
132 トン
62 トン
43 トン
31 トン
64 トン
-
1 トン
フェザーミール(羽毛粉)
132 トン
-
14 トン ほ乳類以外のもの、例えば家きん
20 トン のミールの可能性がかなり高い
-
-
-
合計
333 トン
166 トン
農場での監視体制
食肉センターでの監視体制
健康な牛
と畜検査員(獣医師)による
生体検査:症状のチェック
解体後検査:肉眼所見
精密検査:組織所見
ELISA法によるスクリーニング
BSE が疑われる牛
その他の病気の牛
家畜衛生保健所(獣医師)
殺処分・検査・消却
陽性
動物衛生研究所
帯広獣医畜産大学
国立感染症研究所
ウエスタンブロット法 + + ー
免疫組織化学検査
+ ー +
牛海綿状脳症の検査
に係る専門家会議
確定診断
+ -
陰性
危険4部位が除去されたこ
とを確認・記録した上で、
食用許可(検印)
ー 健康な牛の特定危険部位
ー を除いた牛肉のみが流通
研究用として許可された
部分以外は全て消却
と畜場法 施行規則の一部を改正する省令
平 成 13年 10月
食品保健部監視安全課
省令の概要
今 般 、 国 内 に お い て 初 め て 牛 海 綿 状 脳 症 (B S E )に 感 染
した 牛 が 発 見 され た ことに 伴 い 、と畜 場 法 施 行 規 則 の 一 部
を 改 正 し 、 す べ て の 牛 の 頭 部 (舌 、 頬 肉 を 除 く )、 脊 髄 及 び
回 腸 (盲 腸 の 接 続 部 分 か ら 2 メ ー ト ル ま で に 限 る )の 焼 却
並 びにこれ らにより食 用 肉 等 が 汚 染 され ることの ないよう
衛生的な処理を義務づけるもの。
※ 施 行 後 1 年 間 は 、 「牛 の 頭 部 (舌 、 頬 肉 を 除 く )」に つ い
て は 「牛 の 脳 、 眼 」 と す る 。
施行日
平 成 13年 10月 18日
牛海綿状脳症検査実施要領
平成13年10月16日
厚生労働省食品保健部長
設置者、管理者、と畜業者、従事者等への指導事項
(1)危険部位は、牛の頭部(舌及び頬肉を除く。)、脊髄及び回腸(
盲腸との接続部分から2メートルまでの部分に限る)については、
処理の過程で除去し、と畜検査員の確認を受け、焼却すること。
(2)BSE検査中のと体等を保管する際に保留用冷却設備が狭隘な場合は、他
のと体等を汚染しないよう、保管用冷蔵庫を仕切るなど現在の施設を有効に活
用して対応すること。
(3) と畜場の使用を制限する必要が生じた場合には、法第7条に規定する「正
当な理由」に該当するものと解される。
また、必要に応じて、処理頭数の見直しを行うこと。
(4) BSE陽性牛が発見された場合は、利用可能な焼却設備を指定しておくこと
。
廃棄を命じたもの等の消毒方法
BSEにり患牛が発見された場合の病原体の不活化法に基づき、消毒措置等
を確実に行うこと。
(1)800℃以上の完全な焼却(と体、ゴム手袋、防護衣服等)
(2)132~134℃、1時間の高圧蒸気滅菌(器具等)
(3)水酸化ナトリウム(1モル濃度以上)、20℃、1時間の処理(施設、汚物等)
(4)次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度が最低2%溶液)で1時間による処
理(施設、汚物等)
筋肉、心臓、
血液、脂肪
など日本人
が普段食べ
る部位
特定危険部位
回腸末端部 ≪ 眼、脊髄、脳
納先生が紹介したアイゲン
博士とノバック博士によれば
、異常プリオンでは10万個
化学物質や微生物などの危害に関する用量反応曲線
日本では牛において BSE 感染が広がらない理由
1.検査法の改良と検査体制の確立
牛の脳幹部位の病理組
織学的検査
受動的監視システム
ELISA法
ウエスタンブロット法
免疫組織化学検査
能動的監視システム
アクティブ・サーベーランス
2.感染症の防圧には、初期対応が最重要
欧州の流行は最新の検査法が確立する前であり、日本では、1頭
が発生した時点で最新の検査法による監視体制が採られた。
3.英国からの輸入量は、欧州と比べて僅少
欧州では英国から大量の肉骨粉のみならず生牛も輸入されていた。
日本では、肉骨粉の輸入量の少なく、生きた牛は輸入されていない。
牛肉から新型ヤコブ病( vCJD )に感染しない理由
1.牛肉には異常プリオンが分布していない
特定危険部位以外は、食べても感染性がない。
2.食文化の違い
日本では特定危険部位(脳、脊髄、眼)を食べる
食習慣がない。
3.牛の全頭検査が実施されている
健康な牛の特定危険部位を除いた牛肉のみが
流通許可されている。
牛エキスなどの加工食品も安全
加工食品については、既に全国調査が終了して
おり、特定危険部位の混入の疑いのある一部の
商品については、回収措置も終わっています。
すなわち、現在店頭に並んでいる商品は、全て、
特定危険部位の混入がないものだけです。
数万点に及ぶ商品を、食品工場に出向いてチェックしたの
は、各県にいる食品衛生監視員です。監視員は、獣医師、
薬剤師、ならびに、農水学部卒業者で公衆衛生学や食品
衛生学などの所定の科目を修得した者であり、国家資格に
基づいて厳格な調査がなされています。
プリオンの不活化措置が採ら
れておれば、危害(感染性)は
ない。
回腸遠位端
加工食品の原材料の記録を残すことがHACCPの原則であるが、未
実施の事業体もある。今後は、原材料提供者も記録を残す必要がある
「製造・加工者毎、加工食品毎の報告内容」のまとめ
危険部位の混入あり 原材料記録なし
不活化措置
不活化措置
品目数
あり
なし
あり
なし
食肉・食肉製品
健康食品
缶詰・レトルト食品
冷凍食品
そうざい類
牛エキス・調味料
菓子類
乳製品
その他
7,447
2,765
3,012
6,443
12,191
14,757
10,956
1, 677
16,384
2
0
0
1
6
1
1
0
0
0
0
1
1
6
1
2
0
10
37
19
14
66
47
27
12
1
31
1
0
0
0
0
0
0
0
0
計
75,632
11
21
264
1
危険部位の混入の疑いのあるもので、不活化措置が採られていないものは、
全て回収が終わっており、現在店頭にある商品の安全性は確保されている。
縦流
割通
り業
行界
政に
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親会社の食中毒事故とは異なり、
今回は商法違反の犯罪である。
商品の表示に対する信頼感を損
なう行為は、断じて許せない。
農家、食肉取扱業者などの誠意
を踏みにじることは鬼の仕業。
農場から食卓までの安全性管理
鶏病研究会鹿児島県支部
・・ 獣医療行政の一元化を目指して ・・
鹿大 岡本嘉六
2002/1/30
硬直した発想を脱却
HACCP=7原則12手順
社会システムとしての理解
BSE問題
農水省のサーベイラ
ンス事業で「検査の
必要性あり」とした
個体が、頭は精密検
査に、胴体は肉骨粉
加工用に化製場へと
送られたことが、全
千葉日報 9月11日: 同省と県農林水産部によると、この牛は八月六日、県内の
食肉処理場でと畜された。牛は出荷前に起立不能など狂牛病を疑わせる症状が
出ていたため、脳を採取し動物衛生研究所(動衛研、茨城県つくば市)で検査。い
ったんは陰性との結果が出たが、県中央家畜保健衛生所病理生化学課(佐倉市)
の検査で脳の組織に空胞が見つかったため、動衛研が再検査したところ、陽性の
反応が確認された。
千葉日報 9月16日: 疑惑牛の処分方法では当初、農水省は肉と骨はともに
焼却処分したと発表したが十四日夜、遠藤武彦副大臣は「本来、肉骨粉の材料に
してはいけないもので、対応につまずきがあった」と不備を認めたうえで、八月六
日に乳牛を解体した食肉処理場から肉骨粉業者がほかの牛のものも含め肉や骨
を引き取り、茨城県内の工場で加工されたことなどを明らかにした。
千葉日報 9月24日: 狂牛病 ◆牛は農水、肉は厚労
武部勤農水相は十八日の会見で、同省の発表訂正が相次いだことを陳謝。理由
を「混乱していて連絡や点検、確認が徹底していなかった」とし、「日本で(狂牛病は
)起こり得ないと思っていたかもしれない」と釈明した。さらに食肉処理場は厚生労
働省の所管であることを挙げ、「縦割り行政の問題も露呈した」と指摘した。 一方
、厚生労働省幹部は北海道などの農場で肉骨粉入り飼料を牛に与えていたことが
相次ぎ発覚したことに「もっときちんと対応してもらわないと、どうしようもない」とあ
からさまに批判。狂牛病対策の二つの省の溝の深さを見せた。県でも牛は農林水
産部、衛生面は健康福祉部の所管だ。
米国では、農務省の中に「獣
医局(VS; Veterinary
Servis)」と「食品・安全検査
局(FSIS; Food Safety and
Inspection Service)」があり、
「農場から食卓まで」の
農場から食卓までの安全性管理
一貫した政策を立案・実施。 ・・ 獣医療行政の一元化 ・・
それでも子羊肉=フランス・パリ
フランス暮らしで「これはおいしい」と思ったのが子羊(アニョー)の肉だ。……
狂牛病騒ぎで、牛肉が敬遠され、レストランから牛肉メニューがかなり姿を消しても、
「子羊さえあれば大丈夫」と気にならなかった。その羊肉までも「狂牛病感染の可能
性が排除できない」と言われ始めた。フランス食品安全局が子羊肉などの監視強化
を政府に勧告し、安全性をめぐり、シラク大統領とジョスパン政権の対立にまで発展
している。
グルメの国フランスでは、鶏、豚、馬、ウサギなど食肉には事欠かない。… 最近は
馬肉の売れ行きが伸びている。でも、やはり、子羊肉の味が忘れられない。「狂牛病
がうつっても仕方がない」と観念している。 (パリ・小野博人) [2001/02/27]
鹿県産牛流通会議が発足/鹿児島市
安全性確保へ一丸
消費者が食肉などの安全性を確認できる体
制づくりを目的とした「鹿児島県産牛流通会議
」の設立総会が29日、鹿児島市であった。生
産、加工、流通、消費者など関係各界からなり
、会員らは「生産から販売まで、理解・安心で
きる過程を消費者に示す努力」を誓い合った。
同会議は、狂牛病(牛海綿状脳症)国内発生
29日、鹿児島市の県農協会館
を機に、県肉用牛経営者会議が県議会畜産振興議員連盟に働きかけ、両者が関係
者や団体に呼びかけて昨年12月から準備。総会までに42団体が加入した。
設立総会には約60人が出席。会議の趣旨を確認し、会則や役員を決めた。県肉
用牛経営者会議の北野賢蔵理事長が会長に選任され、「つくる側、加工する側、売
る側に消費者も加わりスクラムを組めたと感じている。 (1)生産・加工過程の広報
(2)牛の種類や国産、外国産の表示徹底 (3)行政など各界への要請行動-に力
を入れたい」とあいさつした。
鹿児島大学医学部の納光弘教授による「牛海綿状脳症の正しい知識 牛肉はなぜ
安全なのか」と題した記念講演もあり、約350人が聴講。納教授は自身の研究や学
説を紹介しながら「(BSEの原因とされる)異常プリオンは、大変な時間とラッキーな
状況が重ならなければできない」「万が一、感染した牛の精肉を食べたとしても、なか
なか発症しない」と語った。
研究機関
実務機関
大学・試験場
等の専門家
生産団体
流通団体
食材バッシング:
暴露査定ができて
いれば、マスコミの
煽り行為は防げる
行政・研究機関・生産団体
・消費者団体・報道
「100%安全」など地
上に存在しない!
危険性解析は、品質・安全性保証システム( HACCP や ISO )の基本的方法論であ
り、査定、管理、情報交換の三つの独立かつ統合した要素からなる( FAO ) 。
科
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を
得
て
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市民講座
「国産牛肉消費拡大セミナー」
納 光弘(鹿児島大学医学部付属病
院長)
岡本嘉六(鹿児島大学農学部教授)
主催: 鹿児島県食肉事業協同
組合連合会・南日本新聞社
後援: 鹿児島県、鹿児島県教
育委員会、農林水産省生産局
畜産部、農畜産業振興事業団、
全国食肉事業協同組合連合会
場 所:鹿児島県自治会館(鹿児
島市鴨池新町)
日時:3月2日(土)
13:30~16:10
牛海綿状脳症(BSE)と牛肉の安全性
2001/11/10
厚生労働省の食中毒発生状況報告によれば、1年間に38,070名の患者が発生し、
9名の方が死亡している(昭和56年ー平成12年の平均)。これが、現在の日本におけ
る「安全性」の実体であり、決して「ゼロ」ではない。「XXが危ない!」といったタイトル
に代表される「安全か危険か」という二者択一式問いかけは、こうした実体を踏まえ
ていない観念の世界を遊んでいるにすぎない。問題は、こうした健康危害をどうした
ら減らせるのか、新たな危害の発生を防ぐことと既存の危害を防ぐことのバランスを
どうするかについて、対費用効果を踏まえて政策論議することにある。財布の中身
(国家財政)は限られており、一部に完璧な措置を講じても、その分の経費増大によ
り、他の健康危害への措置がおろそかになれば、総体として国民福祉は後退するこ
とになる。これがカイワレ騒動(境市学校給食事故)以降、卵のサルモネラ、葉っぱも
のダイオキシンなどに騒動したあげく、食中毒が減らない現実である。
今回のBSE騒動の特徴は、ヒトでの健康被害が全く生じていない段階で、あたかも
英国の状態が始まるかの如き憶測をすることにある。問題は1頭のBSEに罹った牛
の措置に不手際があったことに始まり、マスメディアが「安全性確保」の問題と「行政
批判」を区別せずに騒いだことにある。「100%安全と言い切れるのですか!」という
ニュースキャスターの絶叫がそれを象徴しており、日本における食中毒の発生状況
を少しでも調べておれば、「100%安全なものなどありはしない」ことが判るはずなの
に、「安全か危険か」という二者択一を迫る彼らの勉強不足には愛想が尽きる。
100万人に1人: 食中毒患者 38070人/1億人= 380人/ 100万人
: 食中毒死者 9人/1億人= 0.09人/ 100万人