(食の安全性と BSE ):Safety2

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1.食料自給率
食品の安全性と環境: BSE を含めて
鹿児島大学農学部 岡本嘉六
2.量が確保されて初めて品質や安全性の向上が可能となる。
3.日常的に食べている食品にも、回避できない若干の危険性がある。
4.安全性とは、日常的に回避できない程度の危険性まで危害を制御
すること = ゼロリスクはあり得ない。
日本でも、「貧乏人の子沢山」と
言われるように、衛生水準が低
かった戦前までは乳児死亡率が
高く、跡継ぎを得るために・・
食糧生産量には限りがあり、米国並の食生活をすれば世界の半数が餓死する。
共存社会とは言うものの、食糧危機を回避するのは、それぞれの「自己責任」。
「人口爆発による食料危機」ーーーその時日本は???
世界の農産物貿易は、生産量に占める輸出量の割合(貿易率)が小さく、しかも少数の国・地域に輸出国
が集中する構造となっていること等から、一部の生産・輸出国の生産変動や政策変化に影響されやすい
などそもそも不安定。 我が国は、84年以降、世界第1位の農産物純輸入国。
食料・農業・農村基本法
(平成11年)
農業の多面的機能
①国土の保全
洪水防止機能、土壌浸食防止機能、土砂崩
壊防止機能、土砂崩壊防止機能
②水源のかん養
③自然環境の保全
有機性廃棄物の処理、物質分解・汚染物浄化、
大気の浄化、多様な生物の保全
食料の安定供給の確保に関する施策
④良好な景観の形成
1.食料消費に関する施策の充実
⑤文化の伝承
(1)食料の安全性の確保と品質の改善を図
⑥保健休養
るとともに消費者の合理的な選択に資する
⑦地域社会の活性化
ため、食品の衛生管理・品質管理の高度化、
⑧食料安全保障
食品の表示の適正化等を推進
食料・農業・農村基本法の骨子 (2)健全な食生活に関する指針の策定、食
料の消費に関する知識の普及及び情報の
提供等を実施
1.食料の安定供給の確保
2.食品産業の健全な発展
2.多面的機能の発揮
3.農産物の輸出入に関する措置
3.農業の持続的な発展
4.不測時における食料安全保障
4.農村の振興
5.国際協力の推進
食料・農業・農村基本計画
(平成12年)
◆農業生産の努力目標
品質や生産性の向上など農業者・関係者が
取り組む課題を品目ごとに明確化。
課題が解決された場合に実現可能な 2010
年度の国内生産水準を「生産努力目標」と
して設定し、それに必要な農地面積、作付
面積、耕地利用率も提示。
地域段階でも生産努力目標の設定を推進。
品目別生産努力目標
生産量(万トン)(品目別自給率,%)
◆基本的考え方
● 食料自給率目標は、国民参加
型の取り組み指針として重要。
● 食料自給率の目標を定め、その
達成に向け平時にも、農地の確保や
担い手の確保・育成、技術の向上な
どに取り組むことは、国内外での不
作など不測の事態が発生した場合
にも国民が最低限必要とする食料の
供給力の確保につながる。
● 基本的には、食料として供給される熱量
の50%以上を国内生産で賄うことを
目指すことが適当。
● ただ、実現可能性を無視した高い目標は、
施策の推進などに悪影響を与えるため、201
0年までを食料自給率の低下傾向に歯止めを
かけ、生産・消費の両面での課題が解決され
た場合に実現可能な水準を目標として設定。
小麦
果実(計)
ミカン
リンゴ
野菜
肉類(計)
牛肉
豚肉
鶏肉
鶏卵
1998年度
2010年
57 ( 9)
80 ( 12)
394 (49)
431 ( 51)
119 (98)
125 (101)
88 (66)
94 ( 65)
1364 (84) 1498 ( 87)
304 (55) 324 ( 61)
53 (35)
63 ( 38)
129 (61) 135 ( 73)
121 (67) 125 ( 73)
253 (96) 247 ( 98)
2.量が確保されて初めて品質や安全性の向上が可能となる。
食糧難時代には、貨幣の値打ちがなく、貴金属
や高級呉服などを持って、都市から農村に買い
出しに行き、闇行為として処罰された(横浜の
潔癖な裁判官が餓死したことは有名!)。
発癌性が明らかなアフラトキシンでもゼロ規制ではなく「許容濃度」は国により異なる。
日本では、奄美以南を除き、アフラトキシン産生菌は分布していない
汚染飼料を食べた乳牛の乳中にアフラトキシンが移行する。飼料に関し、アフラトキ
シンの濃度規制はあるが、飼料に付着して産生菌が浸入するのを防ぐ方法はない。
飼料からアフラトキシン産生菌は分離されたが、日本に土着している
その他の菌が優性であり、飼料中でアフラトキシンを産生しなかった。
乳製品に関しては、国産品のアフラトキシン汚染はない。
3.日常的に食べている食品にも、回避できない若干の危険性がある。
魚
のそ
焼れ
けで
も
こ
げこ
げ
目
の
な
い
サ
ン
マ
を
食
え
る
か
サンマにおろし大根、 「食べ合わせ」の妙 = 伝統的食文化の知恵
二級アミン + 硝酸塩
魚
野菜
ニトロソ化合物
胃の中で反応
発癌物質→胃癌
硝酸塩は腸で吸収された後に亜硝酸となり、唾液に分泌され、それ
が胃内で二級アミンと反応してニトロソアミン(発癌物質)を形成。
日本食で胃癌が多い理由。欧米食では大腸癌が多く、日本もその傾向
ニトロソアミン
魚+漬け物
アフラトキシン
魚の焼けこげ
4.安全性とは、日常的に回避できない程度の危険性まで危害を制御
農民は好んで農薬を散布しているのではない。犠牲は農民が払ってきた。
パラチオンは製造禁止になったが、農民の健康被害は続く。劇毒物に相当する農薬
が身近にあるために起きる自殺・他殺は、農村社会の貧困とも関連していた。
この本は世界的ベストセラーとなり、その収益でレーチェル環境研究所を創った。
環境汚染: 農地から流出した農薬は川から海へ、南極まで到達している。
難分解性の有機塩素剤は、土壌中濃度が半減するのに40年以上かかる。
BHCは水田に汎用されたため、日本人の体内濃度は欧米人より数十倍高い。
母乳汚染: 食物連鎖で各種生物に蓄積した化学物質は、食品となってヒトに入る。
安全性確保: 対象作物および農薬の種類毎に、収穫前の使用禁止期間を規制。
獣医師等による動物実験成績を基礎データとして、安全使用基準が策定されている
食品から体内に入る量は、1日摂取許容量(ADI)より大きく下回る
都市の公園やベランダ菜園でも農薬は使われている(ノンポイント汚染)。公園に毛
虫がいるのは「当たり前」と考えないと、都市部での汚染は止まらない。
食品の安全性と環境: BSE を含めて
鹿児島大学農学部 岡本嘉六
1.食料自給率
2.量が確保されて初めて品質や安全性の向上が可能となる。
3.日常的に食べている食品にも、回避できない若干の危険性がある。
4.安全性とは、日常的に回避できない程度の危険性まで危害を制御
すること = ゼロリスクはあり得ない。
安全・高品質の食料は豊かで快適な生産環境から
食と環境を創る21世紀鹿児島の挑戦
自然に戻す生活環境制御技術のシステム化
第一部終了 第二部 牛肉はなぜ安全なのか