Transcript ETF(上場投資信託)
ETF
2009年11月23日(月)
06f1036 辻 浩史
はじめに
2008年の世界的な金融危機の中、東京証券取引所と大
阪証券取引所において、ETFの売買高が過去最高を記
録したと言われている。(株価の急落を受け、割安感が
あると判断した個人投資家がETFに投資をしていた)
そこで、私はETFとはどのような金融商品なのか気にな
ったので、今回テーマとし調べてみました。
目次
・はじめに
Ⅰ ETFとは何か?
Ⅱ ETFの取引を始める前に
Ⅲ 海外ETFでカンタン海外投資
・終わりに
・参考文献
Ⅰ ETFとは何か?
その前に投資信託とは?
個人では投資が難しい世界中
の様々な商品に投資できる(
小額で分散投資)。
専門家(ファンドマネージャー)
に運用をお任せできる(投資
先の市場や個別銘柄の調査
などまで)。
投資信託
(ファンド)
日本、海外 日本、外国
の株式
の債券
REIT
(不動産
投資信託)
金融商品として透明性が高い
コモディティ (投資対象や運用方針、手数
(商品)
料などの情報が公開されてい
る)。
運用の成果は出した金額に応じて、
個人投資家に配分される
ETFとは?
Exchange Traded
Fund
証券取引所で 取引される 投資信託
ETF
上場投資信託
ETFは、投資運用をファンドマネージャーに任せるという点で投資信託と同じ 。
しかし、投資信託とは異なり、証券取引所に上場されているので、誰でも株券
のように売買できる金融商品。そのため、投資にかかる費用は、投資信託より
も安く、売買しやすい環境が整っている。
また、買いだけでなく売りから投資を始めることもできるため、下落相場でも利
益を出すことが可能。
価格は、TOPIX(東証株価指数)や日経平均などの指数に連動しているので、
シンプルで値動きがわかりやすい。 つ
ま
り
ETFは、投資信託と株式の特徴を兼ね備えた新しいタイプの商品。
ETFの仕組み
④市場で売買できるようになる
個人投資家など
売り!
買い!
買い!
証券取引所(市場)
売り!
売り!
ETF
①ETFを構成している
銘柄の株式を拠出
機関投資家・
証券会社
③証券取引所に上場させる
投資信託会社(運用会社)
②受益証券の受け渡し
日本におけるETF
日本の証券取引所には、79本(銘柄)のETFが上場されている。
しかし、約700本(銘柄)のETFが上場されているアメリカと比較す
ると、まだまだ規模は小さい。
※世界全体では約1400本(銘柄)を超えるETFが上場されている。
①日本国内で設定されたETFでなければ、日本の証券取引所に上場
できないという法律があったため。
※2007年の金融商品取引法の施行によって、海外で発売されてい
るETFを日本の証券取引所に上場することが可能に!
②今まで日本の金融機関は、ETFを過小評価している点があり、あま
り積極的に売買していなかったため。
国内ETFのラインナップ
国内株価指数
TOPIX
日経平均
日経300
TOPIX Core30
TOPIX100
TOPIX Mid400
TOPIX Small
電気機器株価指数
銀行業株価指数
TOPIX-17(業種別)
Russell/Nomura Small Cap Core イン
デックス
S&P日本新興株100
海外株価指数
上証50指数(上海)
CSI300(上海・深セン)
KOSPI200(韓国)
FTSE/JSE Africa Top40指数(南ア
フリカ)
RTS指数(ロシア)
ボベスパ指数(ブラジ
ル)
通貨
ブラジルレアル
ロシアルーブル
インドルピー
コモディティ
金/金価格
S&P GSCI商品指数 トータル・リターン指数
不動産
東証REIT指数
代表的な2つの株価指数
東京証券取引所第一部に上場している銘柄の
うち日本経済新聞社が選定した225銘柄の株
価の動きを指数化したもの。
日経平均株価(日経225) 日経平均株価を連動目標とする代表的なETF
【1320】 ダイワ上場投信-日経225 (大証)
【1321】 日経225連動型上場投資信託 (大証)
【1330】 上場インデックスファンド225 (東証)
東京証券取引所第一部に上場している全銘柄
(約1700)の時価総額を指数化したもの。
東証株価指数(TOPIX)
東証株価指数(TOPIX)を連動目標とする代表
的なETF
【1306】 TOPIX連動型上場投資信託 (東証)
【1308】 上場インデックスファンドTOPIX (東証)
Ⅱ ETFの取引を始める前に
国内ETFと海外ETFの比較
国内ETF(日本の取引所に上場)
海外ETF(海外の取引所に
上場)
レベル
初心者向き
中級者~上級者向き
商品ラインナップ
△
◎ 世界の株式指数、債券
、商品など多種多彩
手数料
○
△ 為替手数料や口座管
理料(対面販売の証券
会社)がかかる
為替リスク
○
△
取引時間
○ 9時~11時、12時30分~15時
○~△ 時差の関係から日
本の夜間になることも
税金(売却益・分配金)
10% 国内上場株式と同様の扱い
10% 国内上場株式と基本
的に同じ
取り扱い金融機関
○ 日本の全ての証券会社と、ご
く一部の銀行
△ 一部の証券会社
情報収集
○
△ 外国語で書かれている
ものが多いため
ETFと投資信託の比較
ETF・・・インターネット取引が一般的
⇒ネット環境があれば、ネット証券や金融機関のインターネットサー
ビスを利用して、東証/大証の取引時間中はいつでも売買可能
⇒相場を見ながらリアルタイムに取引したい人向き
※販売手数料が安く設定されている
投資信託・・・証券会社のほかに銀行、信用中金、郵便局などを
通じて購入が可能
⇒地元の金融機関の窓口に行って、販売員に直接相談しながら銘
柄を選んだり、購入することが可能
⇒1日1回、基準価額(翌日以降に新聞やインターネットに公表)での
取引なので、日中は忙しくて取引を行う時間があまり取れない人
向き
ETFのコスト
ETFにかかるコスト(国内ETF)
購入時
委託手数料
委託手数料
保有期間中
信託報酬
信託報酬
売却時
委託手数料
委託手数料
委託手数料(売買手数料)
ネット取引
安
電話取引
対面取引(証券会社の店舗)
高
高
信託報酬
同じ指数に連動するETFでも、運用会社(銘柄)によって率は様々
銘柄の選び方
ETFは株価指数などと連動するよう運用することが定められている
が、その価格(取引所価格)は株式と同様、売り買いの需給関係
で決定されるため、指数の動きと常に完全に一致するとは限らな
い
⇒割高で買ったり、割安で売ることも!
こういう銘柄を選べば安心
流動性の有無・・・売買代金の大きいもの
残高規模・・・純資産残高が多いもの
わかりやすさ・・・メジャーな株価指数(日経平均、
TOPIX、ダウ工業株、S&P500、ナスダックなど)
コスト・・・信託報酬が相対的に低いもの
買いやすさ・・・取引単位の小さいもの
タイミング重視の成行注文
成行注文・・・値段を指定することなく、時価で売買する
注文方法(どんな値段でもいいから一刻も早く、「買いた
い」or「売りたい」ときに有効)
※いくらになるかわからないので、思わぬ値段で売買するはめになる場合も!
・値段が上昇傾向にある状況で
・値段が下落傾向にある状況で
売り!
値段
買い!
現在
値段
現在
値段重視の指値注文
指値注文・・・ある銘柄について「○○円以下の値段で
買いたい」、「××円以上の値段で売りたい」という形で
、値段を指定して注文を出しておくこと
その銘柄が、指定した値段(指値)に到達した場合に注
文が執行される
売りの場合、8700円で指値をする
買いの場合、8600円で指値をする
8700円
で売り!
値段
8700円
値段
8600円
8600円
で買い!
現在
現在
信用取引
空売り・・・証券会社からETFを借りてきて、売却すること
「売り」からの取引
信用取引口座を開設する
担保として、委託保証金
を預ける(最低30万円)
(円)
14000
8360円で
買い戻し
12000
10000
11560円
で空売り
8000
100万円分のETFを信用
取引で売買(およそ3倍
程度のレバレッジを
かけることが可能)
利益 +3200円
(11560ー8360円)
8
月
1
日
9
月
1
日
1010
月月
1 10
日日
短期売買?長期売買?
株式やFXは、大きなイベントで値段が大きく動く瞬間を
狙って利益を得ようとするもの⇒短期売買向き
ETFは様々な値動きをする銘柄に分散投資されている
ため、株式のような値上がりは期待しにくい。更に、信託
報酬は低いが、頻繁に売買すると手数料がかさむ・レバ
レッジの魅力は薄い(ETFが3倍程度なのに対して、FX
は自己資金の1~数百倍の取引が可能)などから・・・
ETFに適した投資方法は長期投資!
Ⅲ 海外ETFでカンタン海外投資
海外ETFの投資対象は多種多彩
通貨
新興国
日本株式
業種別
先進国
金
海外ETF
債券
不動産
米国
商品
世界
BRICs
特殊分野
(バイオ・原油など)
取り扱い金融機関
海外ETFの取り扱いに積極的なのは主にネット証券
(楽天証券では、米国と香港の取引所に上場する多数の
銘柄を扱っている。同じくネット証券のマネックス証券や
SBI証券も積極的に海外ETFを販売)。
一方、大手証券会社の野村證券や大和証券などでは、
海外ETFは対面販売の扱いとなる。
銘柄数だけでなく、注文受付時間や売買単位、売買手数料、
注文方法(指値のみ可能な会社・指値・成行とも可能な会社)
といった取引にかかる決まりごとも証券会社ごとに異なっている。
海外ETFの取引の流れ
米国ETFの場合
外国証券(株式)取引口座の開設
購入資金を準備(円⇒米ドル)
米国株式の取引画面にログイン
売買の注文
海外ETF取引に必要な知識
①上場市場(米国、香港など)
②銘柄名とティッカーシンボル
(日本でいう証券コード)
③取引時間
④取引単位(1口、10口など)
⑤値段
⑥売り/買いの別
⑦注文方法(指値、成行など)
⑧為替の動向
※なお、取引の際には為替手数料がかかるので注意!
為替変動リスクに注意
購入時
1ドル=94.32円
米国ETF
「スパイダー・トラストシリーズ1」
(SPY)に投資した場合
87.54ドルで10口購入
売却時
投資金額
82568円(94.32×87.54)
91.02ドルで10口売却
(+4%の値上がり)
円高
1ドル=87.24円
値上がりしたの
に、為替差損で
マイナス!
売却金額 79406円
(-3162円の損失)
円安
1ドル=101.4円
売却金額 92294円
(+9726円の儲け)
値上がりに為替差益で、
ダブルのプラス!
終わりに
ETFは、株式と同様に売買できてコストが安い、個別株
式銘柄に比べてリスクが分散されている、値動きがわか
りやすい、など多くのメリットを持つ革新的な金融商品だ
ということが分かった。
しかし、各種手数料の把握や値下がり時の対応など注
意をしなければいけない面もあるため、実際に投資する
際は更に詳しく知る必要があると思った。
参考文献
ETFの買い方・売り方がわかる本
発行所 株式会社 秀和システム
著者 窪田 真美
ETFの基礎知識
分かりやすい証券会社の比較
など、ETFを紹介しているサイトを参考