パワーポイント形式データ(2025kB

Download Report

Transcript パワーポイント形式データ(2025kB

日本や世界の地球温暖化をめぐる最新動向と
MAKE the RULEキャンペーン
2009.5.31
平田仁子
MAKE the RULEキャンペーン 事務局長
気候ネットワーク 東京事務所長
世界で、先進国で、CO2排出は増えている
世界全体のCO2排出
先進国のCO2排出
米国立オークリッジ研究所より気候ネットワーク作成
2
1.中期目標の重要性
[ めざすべき目標 ]
気温上昇は産業革命
前のレベルから2℃未
満に
産業革命前から
2℃の気温上昇ライン
3
これからめざすべきなのは
「低炭素社会」
既に政府も同じベクトルへ向いている(はず)
“福田ビジョン”より (2007年6月)
「 2050年までに、世界全体で、CO2排出量の半減を目指さなければな
りません」
「日本としても、2050年までの長期目標として、現状から60~80%の
削減を掲げて、世界に誇れるような低炭素社会の実現を目指してまい
ります」
4
IPCCの示す先進国の必要削減率
温室効果ガ 産業革命前か 世界の2050年に 先進国の2020
ス濃度
らの気温上昇 お けるCO2排出量 年における排
(ppm)
(℃)
(2000年比)
出量(1990年
比)
Ⅰ 445~490
2.0~2.4
-50~-80%
Ⅱ 490~535
2.4~2.8
-30~-60%
Ⅲ 535~590
2.8~3.2
Ⅳ 590~710
先進国の2050
年における排
出量(1990年
比)
-25〜40%
-80〜-95%
-30~+5%
-10〜-30%
-40〜-90%
3.2~4.0
+10~+60%
0〜-25%
-30〜-80%
Ⅴ 710~855
4.0~4.9
+25~+85%
Ⅵ 855~1130
4.9~6.1
+90~+140%
IPCC第4次報告書と気候変動枠組条約文書より気候ネットワーク作成
5
1.中期目標の重要性
• 「2℃未満」の達成には科学の要請にこたえる削減が必要
• 低炭素社会へ向け、中期にどのような経路を取るかが重要
6
1.中期目標の重要性
• 2009年は、将来への道筋をきめる重要な年
2009年6月
首相が日本の
中期目標を発表
2009年12月
世界の
中期目標を決定
(コペンハーゲン会議)
4月
6月
8月
10月
11月
新しい時代を作るのは「政治」
・世界のリーダーは動いている
・小手先対応から新しい産業構造への質的転換へ
・さて、日本は??
8
欧州で導入が進む炭素税
• 二酸化炭素やエネルギーに対して課税をし、価格効果
を通じて化石燃料利用の抑制をする方法。
– 環境に悪いものに課税を重くする発想に基づくもの。
– 導入国
• 1990年代初め:北欧5カ国(フィンランド、オランダ、ス
ウェーデン、ノルウェー、デンマーク)
• 1990年代末:ドイツ、イタリア、イギリス、スイス
• (日本)環境省を中心に10年来検討はされているが導
入には至らず。
9
先進国で導入が進む排出量取引制度
• 主に大規模事業所に対して、削減義務を課し、それより
も多く削減した事業所に排出枠の販売を、より多く排出
した事業所に購入を認める。第三者の売買も可能。これ
により一定レベルへの削減を実現できる。
– EU全域で導入(2005年より)
• 2005~2007年 第1期、2008~2012年第2期、2013年
~第3期
– オーストラリア、ニュージーランド、カナダも導入予定
– 米国も約半数に上る州政府が導入予定
– (日本)東京都が2010年に導入予定
国全体では、昨年10月より「試行」開始
10
欧州ですすむ家庭の排出削減の方法
• エネルギー効率コミットメント(EEC)の導入(イギ
リス、ベルギー、フランス、イタリア、アイルランド、デンマーク)
– 電気・ガス供給事業者に、家庭部門と小規模の業務用施
設の省エネ目標(エネルギー消費削減量)の達成を義務
付け
– 電気・ガス料金に上乗せする形で需要家から費用を徴収
– 想定技術
電球の取替え(蛍光灯への交換)
既存住宅・建築物の窓(開口部)の断熱強化リフォーム
太陽光発電の設置、太陽熱温水器/ソーラーシステムの設置
省エネ機器の導入(家庭用エアコン、業務用冷凍空調機器等)
バイオマスストーブ・バイオマスボイラーの設置
11
世界で進む家庭の排出削減の方法
• 省エネラベル(諸外国)
・家電製品などの省エネ性能を比較可能とし、省エネ
の製品の選択を促す。
12
中長期を見据えた立法
•
•
•
•
EU:エネルギー・気候変動政策パッケージ
アメリカ:ワクスマン・マーキー法案(下院委員会通過)
イギリス:気候変動法
ドイツ:気候保護法
・いずれも長期に半減以上の大幅削減を視野に、排出量を着
実に減らしていく道筋を描いた法律
・CO2にコストをかける(タダでは排出させない)仕組みが定着
しつつある
・日本は…民主党「地球温暖化対策推進基本法」
自民党「低炭素社会形成推進基本法案」?
13
2.コペンハーゲン合意への日本の貢献とは?
・日本の排出はあまり大きくないから、他国でやるべき、という主張があ
るが…。
14
2.コペンハーゲン合意への日本の貢献とは?
・日本は世界で5番目の排出国
・一人当たり排出量は、途上国に比べて圧倒的に高い
・排出減少が全く進んでいない(1990年レベルから9.0%増)
→先進国としての率先行動がとれていない
0
アメリカ
オーストラ…
カナダ
ロシア
先進国平均
日本
ドイツ
イギリス
EU15カ国
世界平均
中国
2.49
途上国平均
1.28
インド
0.20
後発途上国
5
人口あたりCO2排出量(2005年、t-CO2/人)
10
15
20
19.51
18.15
16.65
10.52
10.26
9.64
9.53
9.06
8.19
4.30
4.26
15
2.コペンハーゲン合意への日本の貢献とは?
 地球温暖化への責任がある国として
 歴史的に豊かさを不均衡に享受してきた国として、
 排出削減を進められていない国として、
気温上昇2℃未満の達成のために、科学に基づく野心的な目
標を掲げ、それを行動に移し、日本としての責任を果たすこと
が必要。
16
3.中期目標の選択肢について
2020年に「+4%」から「-25%」までの目標選択肢を提示。しかし
…、
1.プロセスやとりまとめ方に問題
・一部の研究機関のモデル試算で産業界の意向を大きく反映。それ
が結果に大きく影響。
・誤解を招きかねない記述もあり、結果を故意に誘導しようとしていると
も思われる。
2.アプローチの問題
・“温暖化を防ぐ”という科学の視点が欠如
・コスト面から、他国との比較をすることに最重点
・温暖化対策の経済への悪影響を強調
17
3.中期目標の問題点
①中期目標の削減レベルが低すぎる
・2℃未満に気温を抑えるという、科学の視点がない
・2℃未満に抑えるためには、IPCCの25~40%削減(2020年90年比)
の幅で、日本としての責任を果たすべき。
・温暖化防止の視点から、科学に基づき、責任ある野心的な削減目
標を掲げるべき
・日本としては30%削減を目標に設定すべき(最低でもオプション⑥
の25%削減)
18
19
①
温室効果ガス排出量
基準年=100%
(需給見通し努力継続ケース)
日本4%増(90年比)
②
世界
今後10-15年に
増加から減少へ
(先進国25%減・各国最高コスト均等)
日本1%減〜5%減(90年比)
③
120%
日本
④ (先進国25%減・GDP比対策コスト均等)
日本8%減〜17%減(90年比)
100%
80%
(需給見通し最大導入ケース)
日本7%減(90年比)
⑤ (ストック+フロー対策強化)
日本15%減(90年比)
京都議定書義務
2008-12年
6%削減(90年比)
⑥
60%
日本25%削減(90年比)
世界
2050年50%削減
40%
20%
IPCCの科学的要請
2020年25-40%削減(90年比)
福田ビジョン
日本60-80%削減(現状比)
0%
1990
2000
2010
2020
2030
・25%以上の選択肢がない
・京都議定書の目標程度やそれ以下の選択肢
(①~④)は,国際的にありえない
2040
2050
2100 年
IPCCの科学的要請
2050年80-95%削減(90年比)
3.中期目標の問題点
②経済への影響の示し方はミスリーディングである。
・「-25%」目標は「+4%」目標より、最大120万人の失業者が出て、
「最大77万円の所得の押下げ」になる、というのは本当?
・これは唯一の結果ではない。温暖化対策を積極的に取っていくこと
で、新たな技術や製品を生み出し、低炭素社会にむけた新たな産
業や雇用が生まれる。CO2を大幅に削減しながら、健全な低炭素
経済社会を作るシナリオは十分に可能である。
・ではなぜこんな結果が?
21
★経済への悪影響が大きく出る理由
① 既存のエネルギー大量消費の社会構造の延長が前提
たくさん鉄を作り続け、自動車走行量は今のまま、原発はさら
に9基増設+稼働率80%
② 新たな技術の普及や産業の創出が反映されていない。
③ 温暖化対策への投資回収コストを過小評価している。(本来
は長期にもっと回収できるはずのものが、そう設定されていな
い)
・結果として、現在の社会構造の延長を前提に、それが縮小す
るという、不自然な結果を導き出している。
22
3.中期目標の問題点
③削減の可能性を十分に検討していない。
・削減のほとんどが、家庭・業務・運輸部門で見込まれ、25%削減に
近づくほど、極めて“無理をして”機器・設備更新をするように設定
され、それでも出来ないものは生産規制で対応するとしている。
・一方、発電部門・産業部門の削減はほとんど見込まれていない。
・日本の排出の7割を占める発電部門・産業部門には、実は大きな削
減ポテンシャルがあるが、それを過小評価。
23
実際には、日本の排出の7割は発電所・工場な
ど大口が占める
日本の排出の約半分は、発電
所・巨大工場164事業所で占め
られる。
1990年から2007年の間に、
発電部門で大幅に排出量が増
加
24
産業部門の削減(赤い部分)はほどんど見込まれていない
大口排出源にも、削減余地はあるが、
それが適切に反映されていない
全工場の省エネトップランナー化
20%削減
トップランナー
53%
高効率化
火力発電所の燃料別効率分布
(2003年)
セメント製造工場の効率分布
(2003年)
• 排出量公表制度などで、日本の発電所・工場にも効率
にばらつきがあることがわかっている。
*発電所のトップランナー効率はその後53%に向上したことが明らかになっ
ている。
コスト高の要因
• 投資回収年計算を制約して、対策を小さく見
せ、コストも高く出るようにされている
• 発電所や産業の対策を小さくしている
• その結果、高コストで、削減余地も小さく、そ
のために、生産カットなど経済への悪影響を
過大に評価することになっている
4.中期目標の問題点
④日本に有利な指標で国際比較を行い、日本の削減率
が小さくなるように見せている
・「限界削減費用」という指標で、アメリカやEUと同等の目標レベルに
なるよう比較している。
・「限界削減費用」とはある範囲の中で最も高い値をさす。日本の限界
削減費用は世界に比して最も高いため、この指標では、日本の削
減率は小さくなる。
・しかし、指標はこれのみではない。一人当たりの排出量、GDP当たり
排出量などいろいろ。それらの指標での検討結果は評価・検討さ
れていない。
28
4.中期目標の問題点
⑤地球温暖化によって起こる被害の経済影響などを評
価していない
・すでに世界で、洪水・干ばつなどの異常気象で多くの人・生態系が
被害をこうむっている
・IPCCの最も低い安定化濃度でも、これから大きな被害が出ると予測
(国立環境研究所)。それらによる経済損失は膨大になる恐れ。
・これらによる社会的コスト・経済コストは考慮に入れられず、「限界削
減費用」で対策にどれだけお金がかかるか、だけを検討している。
29
被害と対策コストの比較(スターン・レビュー)
額の比較
備考
地球温暖化の悪 GDPの20%
両大戦や、世界大恐慌の
影響
被害に匹敵
温暖化対策のコ GDPの1%
スト
温室効果ガス550ppm安
定化の場合
IPCC第4次評価報告書
最も高いレベルの削減対策でも、2050年におけるGDPの低下
は5.5%以下
30
5.まとめ
・今回の取りまとめは中立的に選択肢を整理したとは言い難い
・市民に求められるのは、ここに示された内容に惑わされることなく、自
律的・主体的に温暖化問題をとらえ、将来世代に対する責任を果
たすために、意味のある意見を出すこと
・目の前の“コスト”ばかりを論じず、 2℃未満に気温を抑えることを目
指すという課題に対し、予防原則に立って、それを実現する高い目
標を掲げ、その達成に向けた行動を実施し、挑戦することが必要
である。
31
のルールとは
1. 中長期的な削減目標を定めること。
2020年に30%の削減(1990年比)
2050年に80%の削減(1990年比)
2020年に一次エネルギーの20%を再生可能エネルギーに
2. 温室効果ガスを確実に減らすしくみをつくること。
CO2削減にがんばる人がむくわれ、はげまされ、
CO2をたくさん出す人には相応の負担を求める
公平な経済社会をつくる
そして、これらを「気候保護法」として定めること
2020年に30%、2050年に80%削減をめざそう
MR 30%
削減
MR 80%
削減
33
炭素に価格をつける仕組みをつくろう
~CO2はもうタダで出し続けるのはやめよう~
◆世界各国の排出量取引制度や炭素税の動き
NL
排出量取引導入予定
EU制度と連結検討
作成:気候ネットワーク
「低炭素社会・日本」を打ち出しながら、
日本は、いまだ国内策を講じてない国
気候保護法の制定を求める
請願署名
約80589を 第1次提出(2009/3/27)
→第2次提出へ向けさらに活動中
気候保護法の制定を求める
議会決議・意見書
94議会で決議・意見書採択
(2009年4月現在)
今が正念場、一緒にがんばりましょう!
36