Transcript 日本は破綻する。
第７０回 しがくセミナー ～日本のグランドデザイン～ 2010 03Nov Takaaki Mitsuhashi Small and Medium Enterprise Management Consultant [email protected] 1 不思議な不思議なマスメディア 円高⇒輸出依存が高い日本は破綻する 円安⇒外資の日本売りが盛んだ。日本は破綻する。 インフレ⇒物価高で庶民の生活が破壊され、日本は破綻する デフレ⇒不況が深刻化し、日本は破綻する 日本の米国債保有が世界一⇒日本はアメリカの犬だ！ 中国の米国債保有が世界一になった ⇒アメリカに対する中国の影響力が高まり日本破綻 日本は輸出依存⇒日本は海外市場なしで生きていけない！ 海外市場に目を向けろ！ ･･･実は輸出依存じゃなかった ⇒日本は内向き過ぎる！海外市場に目を向けろ！ 2 定義と相対化 輸出依存が高い日本は破綻する ⇒輸出依存って、何だろう？ 高いって、どの程度なんだろう？ 43.64% 45.00% 38.79% 40.00% 33.35% 35.00% 27.70% 30.00% 21.98% 20.00% 15.00% 10.00% 24.55% 24.48% 25.00% 21.05% 20.48% 16.11% 13.63% 13.12% 10.93% 10.71% 9.86% 7.41% 5.00% 0.00% 日本 アメリカ 出典：JETRO、財務省、内閣府 イギリス フランス 輸出依存度 ドイツ 中国 韓国 ロシア 輸入依存度 ※輸出依存度は「財の輸出÷名目GDP」、輸入依存度は「財の輸入÷名目GDP」 3 日本の治安は悪化している？ 3,000,000 2,853,739 2,735,612 35.0% 2,790,136 2,562,767 2,500,000 2,433,470 31.2% 31.5% 31.6% 32.0% 30.0% 28.6% 2,269,293 26.1% 2,000,000 31.7% 23.6% 2,050,850 25.0% 1,908,836 23.2% 1,818,023 1,703,222 19.8% 20.0% 認知件数 1,500,000 検挙件数 15.0% 検挙率 1,000,000 10.0% 500,000 5.0% 0 0.0% 2000 出典：警察庁 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 4 日本はギリシャのように破綻する？ 「日本政府はギリシャのように財政破綻する！だから消費税アップしかない！」 現実：日本とギリシャは経済的なマクロ環境も財政状況も、 似たところがないというほど違います 日本 ギリシャ 経常収支 長年、経常収支黒字 長年、経常収支赤字 対外資産・負債 対外純資産国 対外純負債国 国内の貯蓄 国内が貯蓄過剰 国内が貯蓄不足 国債消化 貯蓄過剰ゆえに、９５％が国内の 金融機関・家計。 貯蓄不足ゆえに、七割以上が外国の 金融機関 国債の通貨 外国人保有分（５％）を含め、 １００％日本円建て ユーロ建て 金利調整 可（現在の長期金利１％） 自国では不可（現在の長期金利１ ３％） 金利調整はＥＣＢのみが可能 消費税率 ５％ ２１％ 5 財務省の意見書 財務省は、2002年に外国格付け機関に以下の意見書を出しています。 【外国格付け会社宛意見書要旨】 http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/p140430.htm １．貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズ を考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。貴社の格付け判定は、従来より 定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、格付けの信頼性にも関わる大きな 問題と考えている。 従って、以下の諸点に関し、貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。 （１）日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何 なる事態を想定しているのか。 （２）格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮 し、総合的に判断されるべきである。 例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。 ・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国 ・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている ・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高 （３）各国間の格付けの整合性に疑問。次のような例はどのように説明されるのか。 ・一人当たりのGDPが日本の1/3でかつ大きな経常赤字国でも、日本より格付けが高い国がある。 ・1976年のポンド危機とIMF借入れの僅か２年後（1978年）に発行された英国の外債や双子の赤字 の持続性が疑問視された1980年代半ばの米国債はAAA格を維持した。 ・日本国債がシングルAに格下げされれば、日本より経済のファンダメンタルズではるかに格差の ある新興市場国と同格付けとなる。 ２．以上の疑問の提示は、日本政府が改革について真剣ではないということでは全くない。政府は 実際、財政構造改革をはじめとする各般の構造改革を真摯に遂行している。同時に、格付けについ 6 て、市場はより客観性・透明性の高い方法論や基準を必要としている 日本国債の所有者（０９年末） 6.9% 2.1% 5.1% 5.1% 民間銀行 37.0% 4.1% 生損保 社会保障基金 日本銀行 年金基金 7.8% 海外 家計 民間非営利団体 その他 11.9% 出典：日本銀行 20.1% 7 日本国家のバランスシート（１０年６月末） 単位：兆円 6,000 481.9 1,001.8 5,000 4,000 政府 2,755.0 金融機関 2,744.4 3,000 非金融法人企業 家計 民間非営利団体 2,000 1,000 847.6 純資産 1,183.7 1,452.8 53.3 0 借方（資産） 373.5 268.1 19.1 貸方（負債・純資産） 出典：日本銀行 日本の純資産＝対外純資産は２６０兆円を超え「世界最大」です。 8 日本経済の真の問題 本 来 の 供 給 能 力 （ 潜 在 Ｇ Ｄ Ｐ ） デフレギャップ ※本来の供給能力を需要が下回り、 ＧＤＰが押さえつけられる現象を デフレギャップと呼ぶ。 2009年の日本の名目GDP（単位：兆円） 現 実 の 需 要 （ Ｇ Ｄ Ｐ ） 13,611 282,645 64,024 20,310 93,611 1,437 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000 450,000 500,000 民間最終 消費支出 民間住宅 民間企業 設備 政府最終 消費支出 公的固定 資本形成 純輸出 9 出典：内閣府 １９９７年という年 出典：警察庁、統計局、国税庁 10 政府の負債対ＧＤＰ比率 （単位：％） 250 200 アメリカ イギリス フランス 150 ドイツ イタリア 100 日本 韓国 ロシア 50 中国 0 2000 出典：ＩＭＦ 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 11 政府の負債残高の推移 (2000年=100) 4.50 4.00 3.50 アメリカ イギリス 3.00 フランス 2.50 ドイツ イタリア 2.00 日本 1.50 韓国 ロシア 1.00 中国 0.50 0.00 2000 出典：ＩＭＦ 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 12 名目ＧＤＰの推移（2000年=100） 3.50 3.00 アメリカ 2.50 イギリス フランス 2.00 ドイツ イタリア 日本 1.50 韓国 中国 1.00 0.50 2000 出典：ＩＭＦ 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 13 日本の名目ＧＤＰ 2009年 （単位：十億円） 民間最終 消費支出 民間住宅 個人消費 0 100,000 200,000 民間投資 300,000 民間企業 設備 政府最終 消費支出 公的固定 資本形成 純輸出 政府支出 400,000 500,000 ※「個人消費」は正しくは「民間最終消費支出」、「公共投資」は正しくは「公的資本形成」 出典：内閣府 14 政府支出の推移 （2001年=100） 4.50 4.00 3.50 アメリカ 3.00 イギリス フランス 2.50 ドイツ 2.00 イタリア 日本 1.50 韓国 中国 1.00 0.50 0.00 2001 出典：ＩＭＦ 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 15 主要国インフレ率 （単位：％） 7 6 5 アメリカ 4 イギリス フランス 3 ドイツ イタリア 2 日本 韓国 1 中国 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 -1 -2 16 主要国人口推移 （2000年=100） 1.10 1.08 アメリカ イギリス 1.06 フランス ドイツ 1.04 イタリア 日本 1.02 韓国 ロシア 中国 1.00 0.98 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 出典：ＩＭＦ 17 主要国経常収支対ＧＤＰ比率（単位％） 20 15 アメリカ イギリス 10 フランス ドイツ イタリア 5 日本 韓国 0 ロシア 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 中国 -5 -10 18 出典：ＩＭＦ 世界経常収支ベスト１０推移 （単位：十億ドル） 1500 1000 500 0 2 0 00 2 0 01 2 0 02 2 0 03 2 0 04 2 0 05 2 0 06 2 0 07 2 0 08 2 0 09 -500 -1000 アメリカ スペイン イタリア フランス オーストラリア カナダ ギリシャ インド ブラジル 英国 シンガポール スイス 韓国 オランダ ロシア ノルウェイ 日本 ドイツ 中国 -1500 台湾 出典：ＩＭＦ 19 日本のＧＤＰと対中貿易（単位：百万ドル） 6,000,000 5,068,060 5,000,000 4,000,000 3,000,000 2,000,000 1,000,000 141,498 123,644 中国・香港への輸出 中国・香港からの輸入 0 出典：JETRO 日本のＧＤＰ 20 中国の輸出額に占める外資系企業の割合の推移 900,000 70.0 800,000 700,000 600,000 500,000 40.7 41.0 44.1 45.5 47.9 50.1 52.2 54.9 57.1 58.3 58.2 57.1 60.0 55.4 50.0 40.0 400,000 30.0 300,000 20.0 200,000 10.0 100,000 0 0.0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 外資輸出額（百万ドル） 内資輸出額（百万ドル） 外資比率（%） 21 日本の公共投資推移 45,000 10.0% 40,000 9.0% 8.0% 35,000 7.0% 30,000 6.0% 25,000 5.0% 20,000 4.0% 15,000 3.0% 10,000 2.0% 公的資本形成 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 1989 1988 1987 1986 1985 1984 1983 0.0% 1982 0 1981 1.0% 1980 5,000 公的固定資本形成対ＧＤＰ比率 22 道路関連比較表 （単位：Ｋｍ） 23 ご清聴ありがとうございました 三橋貴明 24