Transcript chap00

Scilab で学ぶ
わかりやすい
数値計算法
舞鶴高専 電子制御工学科
川田 昌克
本書
で何を学ぶのか?
非線形方程式は解けるのか?
非線形方程式
の解
曲線
軸が交わる点
と
線形方程式(1 次方程式)
直線
解ける!
と
軸が交わる点
解析的に解ける(解析解)
または
厳密に解ける
(厳密解)
非線形方程式(2 次方程式)
曲線
解の公式
と
により
解ける!
軸が交わる点
非線形方程式(3 次方程式)
カルダノの公式
解ける!
により
非線形方程式(4 次方程式)
フェラーリの公式
解ける!
により
非線形方程式(5 次方程式)
残念ながら,5 次以上の場合
解析的 (厳密) には
解けない
アーベル
(19世紀)
•
2 次方程式の解の公式(虚数解を除く):
古代バビロニア(数千年前)
• 3 次方程式の解の公式:
最初に見つけたのは,スキピオーネ・
フェロ(イタリア 1465~1526)だった
といわれているが,フェロの解法は現在
伝わっていない.
当時,数学者同士が難問を出し合う一種の試合が流行し
ており,数学者は見つけた事実をすぐに発表せず,次の試
合に備えて多くの問題を予め解いて,秘密にしておくのが
普通であった.フェロも,解法を秘密にしているうちに死
んでしまったのだと考えられる.
http://www12.plala.or.jp/ksp/algebra/CubicEquation/
現在,カルダノの公式と呼ばれ
ている解法は,フォンタナが発見
したものである.当時の慣習通り,
フォンタナもこの解法を秘密にし
ていたが,カルダノに懇願され,
他には公表しないという約束で,
二コロ・フォンタナ
(イタリア 1506~1557) カルダノに解法を教えた.ところ
が,カルダノは 1545 年に出版し
た書物の中で,まるで自分の手柄
であるかのように,フォンタナの
ジローラモ・カルダノ
(イタリア 1501~1576)
方法を開示してしまったため,以
後,カルダノの方法と呼ばれるよ
うになった.フォンタナは抗議し
たが,後の祭りであった.
• 4 次方程式の解の公式:
カルダノの書物に,自分の手柄のように発表されているが,
発見したのは,弟子のフェラーリであるといわれている.
• 5 次以上の方程式の解の公式:
アーベルにより存在しないことが証明された.
ロドヴィーコ・フェラーリ
(イタリア 1522~1565)
ニールス・アーベル
(ノルウェー 1802 ~1829 )
ほとんどの場合,非線形方程式
は解析的
(厳密) に解くことはできない
計算機(コンピュータ)
を駆使して,数値的 (近似的) に解こう!
本書
で何を学ぶのか?
解析的 (厳密) には解けない数学の問題
を計算機(コンピュータ)を駆使して,
数値的 (近似的) に解くための
手法 (アルゴリズム) を学ぶ
本書
で何を学ぶのか?
• 数値解析
• 数値計算
さらに・・・
Scilab (サイラボ) を利用した
プログラミングを行う
Scilab とは・・・
INRIA (フランス国立コンピュータ科学・制御
研究所) で開発された数値計算用ソフトウェア
フリーウェアでかつ高機能
市販のソフトウェア MATLAB (圧倒的なシェアを
誇るが,高価である) のクローン
グラフを描くのが容易
行列の取り扱いが容易
for, while, if などの制御文も利用可能
インタプリタであるため,コンパイルの必要がない
様々な便利な関数があらかじめ用意されている
Scilab とは・・・
--> x = 0:0.01:10;
--> plot(x,exp(-x).*sin(10*x));
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
それでは,
本書で取り扱う
数学の問題
の概要を説明します
取り扱う数学の問題(その1)
非線形方程式を解く問題
2 分法
ニュートン法
ベアストウ法
アイザック・ニュートン
(イギリス 1642~1727 )
• 運動 3 法則
• 万有引力の法則を確立
取り扱う数学の問題(その2)
連立 1 次方程式を解く問題
の場合,クラーメルの公式を利用して,
計算機で厳密解を求めと,約3,000年の時間を要する
ガウスの消去法
ヤコビ法
ヨハン・カール・
フリードリヒ・ガウス
(ドイツ 1777~1855 )
• 最小二乗法
• ガウスの定理(電磁気)
カール・グスタフ・
ヤコブ・ヤコビ
(ドイツ 1804~1851 )
• ヤコビ行列(ヤコビアン)
取り扱う数学の問題(その3)
データを関数で近似する問題
ラグランジュ補間
スプライン補間
最小二乗法
ジョゼフ・ルイ・ラグランジュ
(イタリア 1736~1813 )
• ラグランジュ力学
取り扱う数学の問題(その4)
定積分を求める問題
台形公式
シンプソンの公式
取り扱う数学の問題(その5)
(非線形)微分方程式を解く問題
オイラー法
ルンゲ・クッタ法
レオンハルト・オイラー
(スイス 1707~1783 )
• オイラーの公式