実体の持分保有者の居住地国を

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Transcript 実体の持分保有者の居住地国を

㊟楠美は関口ゼミです。
目次
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はじめに
1. 租税回避について
・「映画フィルム事件」
2.居住地国の定義
・居住地国の定義
3.源泉地主義 居住地主義
・源泉地主義課税
・居住地主義課税
4.ハイブリットエンティティー
・問題の背景
・ハイブリットエンティティーの定義
・ハイブリットエンティティーの例
5.ハイブリッド事業謡を利用した租税回避スキーム
・実態例1
・実態例2
参考文献
はじめに
・いまだ解明されていない論点
・解釈が文献によって異なる論点
・授業の中で理解が困難であるとされ
ていたハイブリッド・エンティティーにつ
いての考察。
・その論点に付随して出てきたアメリカに
よる居住地国の定義の考察。
租税回避の事例
映画フィルム事件
A
コ
ン
サ
ル
テ
ィ
ン
グ
会
社
C社・D社・E社
C
社
映画フィルムの代金(85億円)
映画フィルムの所有権
提案
E社
映画制作第二次配
給会社
一
時
配
給
権
D社
配給権代金預託
(6,000万ドル)借入
金相当額
減価償却(損金)
支払利息(損金)
4億円
B組合
出資26憶円
出資者(原告X等)
F銀行
一連の取引を金融取引として減価償
却・支払利息の損金算入を否認
G銀行(日本)
返済
税務署長
争点
減価償却費の損金算入
被告の主張
1. 本件映画の減価償却費の計上と銀行に対する借入金
の支払利息の計上によって所得金額を圧縮し、租税負担の
回避という形で利益を享受することができる。
2.原告が、単に映画に係る費用を出資ないし融資した取引
にすぎず、本件によって映画にかかる権利が原告の出資し
たB組合に移転したと解するべきではない。
本件売買契約は不成立ないし無効というべきで
ある。
原告の主張
1.映画に対する契約の存在を認めるべきであり、法
人税法上減価償却が認められることは当然である。
2.事実上売買契約の実態が認められるのだから、
事実上売買契約が認められないことを前提とする被
告人の主張は失当というべき。
事業目的を有している。
最高裁の判決
租税回避のみを目的としている
原告人が本件映画を組合の減価償却資産に当たるとしてその減
価償却を損金に算入したことは相当でない。
法令解釈の誤りである。
つまり…
被告人の勝ち!
居住地国の定義
ピュアエンティティー
所得源泉地国と居住地国が一致してい
る実体。
ハイブリッドエンティティー
所得源泉地国と居住地国のいずれか一方
で課税上透明とされているが、他方で法人
と分類されている実体。
居住地国の定義
アメリカでは居住地国の定義がぶれている。
パートナーシップ
財務省規則
実体の設立地のことを居住地国とする。
実体の持分保有者の居住地国を居住地国とする。
高橋先生の見解
財務省規則の定義に合わせて、実
体の持分保有者の居住地国を、居
住地国としている。
パートナーシップ
‥居住地では不透明‥‥
不透明=法人
(例)カナダでは法人として扱われてい
るカナダの法の下で設立された実体
居住地はカナダ。
実体の設立地が居住地国。
財務省規則
Reg.§894-1(d)(2)(i)第3文
アメリカ連邦税法
比較
持分保有者の管轄上の法
財務省規則
Reg.§894-1(d)(2)(i)第2文
アメリカの源泉
比較
海外持分保有者の利益
財務省規則
Reg.§894-1(d)(1)第2文
所得を受けた事業体に基づく場合
比較
その実体の持分保有者に基づく場合
財務省規則における居住地は
その実体の持分保有者の所在地
パートナーシップ
財務省規則
高名な概説書
アメリカの法律
定義の強制力の観点から
つまり・・・
「実体の持分保有者の居住地国
を居住地国と解する。」
ハイブリッド・エンティティー
問題の背景
非法人制度が各国で異なるため、同じ事業体がある国(納税
者の居住地国)の税法では法人として扱われるが、他の国(所
得の源泉地国)ではパートナーシップなど課税上透明な存在と
して扱われる場合がある。
ハイブリットエンティティー
特にその課税上の取り扱いを明らかにしていない国にお
いて、このような国において課税上の取り扱いが異なる事
業体を利用する租税回避スキームが開発されている。
定義
レギュラー・ハイブリド・エンティティー
源泉地国では課税上透明と扱われるが、居住地国では
不透明(法人)と取り扱われる実体のこと。
リバース・ハイブリッド・エンティティー
源泉地国では法人と取り扱われるが、居住地国では課
税上透明と取り扱われる実体のこと。
ハイブリットエンティティーの例
アメリカの課税上の
取扱い
日本の課税上の
取扱い
法
人
課
税
企業形態
S法人
合資・合名
有限会社
構
成
員
課
税
• 外国事業体を法人または非法人のいずれに
該当するものとして取り扱うかということは明
確になっていない。
ある国が外国事業体に対し
法人課税するか構成員課税
するかを決めるにあたって…
①事業体の組成地の分類に従う方式
②事業体の所得の源泉地に従う方式
③構成員の居住地国の分類に従う方式
どの方式を採用するかを明らかにしな
くては、国際課税上複雑な問題が生じ
る
その代表的問題がハイブリド・エン
ティティーによる租税回避
ハイブリッド・エンティティー
の実例
(実態例1)
配当
「カナダ」
親会社
Canada Co.
利子
100%融資
100%融資
S‘t Pauls Co.
(LLC)
貸付け
法人課税
「カナダ」
Fellow Co.
(子会社)
貸付け
構成員課税
「アメリカ」
(利率 5%)
(実態例2)
出資金 100千円
「日本」
内国法人 立教会社
「アメリカ」
S‘t Pauls Co.(LLC)
貸付け 100千円
法人課税
構成員課税
LLCが受け取った利子は、立教会社の所得算定上、「控除」!!
利子 5千円
パス・スルー!!
※「外国源泉所得非課税」等から、両国において「課税されない状態」
の発生。
つまり・・・
租税回避!!
おわりに
1.租税回避:租税回避スキームの例示。
法律の判断等。
2.居住地国の定義:法の強制力の観点から
「実体の持分所有者の居住地国を、
居住地国と解する。」
3.ハイブリッド・エンティティー:
租税回避を否認する法の整備。
各国における峻別基準の統合。
おわり。