「国際分業と女性』より「主婦化」について

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国際分業とジェンダー
先進~後進国関係の背景
植民地制度による資本経済の中のジェンダー変化・
消費主義の中のジェンダー変化
1. 小規模商業(地域市場)制度から、
国内外市場のための産業制度への変化
2. 土地や自然からの必需品を生産する制度から、
労働の交換による賃金で生活する制度への変化
3. 共同体が求める資源から、工業生産が求める原料への
変化
4. 伝統社会が求める必需品から(先進国の)消費社会が
求める贅沢品の生産への変化
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国際分業とジェンダー:
先進~後進国関係の背景
植民地統治による途上国の分業やジェンダー変化:
1. 現地の結婚や3世代家族構造から、核家族構造へ
2. 女性の外での仕事への従事から、「主婦」仕事へ
(発展途上国の「主婦化」)
3. 農業労働による男女役割区別から、世帯内分担へ
4. 現地の女性も意思決定を持つ社参加型社会から、
ヨーロッパからの統治支配者の下での女性使用人へ
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ジェンダーと開発:所得向上を狙う開発と家庭内分業
西洋・先進国の開発計画における途上国にあわない3つの前提
1.世帯の構造(大人2人、子供2-3人)
2.世帯は経済単位であり、生計・資源をめぐる
世帯内の意思決定は平等であるはず
3.世帯内(分担=)分業:男は生計の担い手、
女は家内労働全般
上記の3つは理想的な世帯構造のみを反映する。
西洋諸国でも日本でも例外的である。
世帯の理想的な構造を支える諸体系~その国の
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法律制度・教育制度・マスメディア・家族計画プログラム
開発計画とジェンダー
地域所得を向上するための先進国型開発計画の問題点:
プランテーションでの余剰生産に従事する世帯のかたちやニーズ
世帯の「理想的な」構造は、先進国の
家庭内ジェンダー役割・分担を自然化していく。
例:男は家の外,女は家の中で働く。
しかし、発展途上国の女性は、家族に主な労働力や
生計への貢献を提供している。このことが以前の開
発計画に認められなかった。
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ジェンダーと開発計画:
先進国の理想的な世帯構成を再作成する計画 I
近代の核家族と女性労働に関する前提~復習
• 核家族構造=2世代+子供2人
• 世帯主=男
• 世帯主でない人の労働は無償であるか、価値の
低い労働として見なされる
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農村部における国際分業とジェンダー
理想論による「家族構造」以外の世帯が多い。
58歳の祖母と16歳の孫。日雇い農村労働に従事する祖母も、一
日30バーツしか稼げない日もある。食料の余分を孫のために
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控え、自分が食べるのは2日間で一回。
国際市場のための生産への変化や
理想論による「家族構造」以外の世帯
小作農の日雇い労働に従事した母。一月で、約15日分の仕事が入手
できる。教育受けていない女性としては、一日に30バーツ(約80円)を
受けた。それに自分以外に、障害者の祖父母や子供二人の生計を担
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おうとした。
事実上の女性世帯主と家族への責任
祖母や女の孫。父による遺棄、母の病気のために知的能力・体力が優
れていない祖母に育てる。
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国際分業、ジェンダー、開発。
裁縫で(右の)二人を支持
ビーズ細工で3人を支持 他家の家事で二人を支持
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ミースによる新国際分業と開発:
多国籍企業と開発機関の戦略
New IDL=新国際分業(脱植民地時から)
1.先進国の工場の閉鎖、同企業の工場の途上国での
設置(+ 同じ先進国のマネジメント付)
↓
2.工業化による途上国の経済変化: 自給持続生産から、
国際市場のための輸出型生産への変化
↓
3.自己消費可能な品の生産・購入制度から、
輸出先の先進国の必需品や贅沢品生産への変化
↓
4.先進国における消費者の要求を満たすため、
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最も安価な生産過程、労働力、物価が優先されてしまう
国際分業とジェンダー:
新国際分業と性別変化 I: 先進国
先進国における女性の「主婦化」
1. 男性は家族の土台としての資本所得役割を大事にする
2. 従って、男性の仕事は家の外、女性の仕事は家の中
3. 家の中の者は「主婦」とされる。先進国では、一つの
主な役割は家族のための消費することとなる。
4. 先進国の市場は商品過剰や商品競争による機能する。
商品市場では、主婦(=消費者)は必需品だけではなく、
多様性のある商品を繰り返して買わなければならない。
(過剰生産は 、品で溢れる、浪費する消費生活を招く)
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国際分業とジェンダー:
新国際分業と性別変化 II: 発展途上国
途上国の女性・男性
労働者階級の女性が果たす三重の役割
1. 再生産労働:労働力(となる人的資源)の再生産と維持
=だんな、老人、子供の世話、食料の準備、看病
2. 生産労働:現金又はそれに相当するものを得るための
労働
3. コミュニティ管理とコミュニティ政策:居住地の社会関係
の管理と支持。
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国際分業とジェンダー:途上国の女性の「主婦化」
新国際分業と性別変化~開発途上中の女性労働
先進国による「男性の所得を補助するはずの女性労働」と
先進国が求めるモノの生産
1.都市部での女性生産労働:
• 大企業・メーカー(電気商品、被服など)
• 工芸品、食品加工、インフォーマル・セクター(内職)
2.農村部での女性生産労働:
• 自分の農地で自分の必需品を生産するのではなく、
アグリビジネスや輸出経済による換金作物生産 ・
プランテーション(モノカルチャー)制度などで働く
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国際分業とジェンダー:
新国際分業と性別の変化II:途上国
先進国による男女役割とその途上国への移転
• 男性は夫、父としての定義づけによる家父長制を強化するが、
低賃金労働に従事するから「生計を担える」家父長とならない
• 男性の仕事は家の外、女性仕事は家の中という理想が移るが、
収入の必要で女性の二重労働(生産労働+家族労働)が登場
• 家父長としての男性の賃金は家族を支持する賃金であるはず
が、低賃金・季節によるだけの賃金の現実との相違が登場
• 「主婦」としての女性賃金は補助賃金であるはずから、
世帯全員に配分する・支持する金額ではない
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国際分業、ジェンダー、開発
まとめ
• 途上国の有償労働者は主に自分の必需品ではなく、 先進国が
購入するものを生産する(自分の低賃金でそのモノを買えない)。
• 途上国の男性賃金労働(有償労働)は主に出稼ぎ、 換金作物、
小規模土木(=インフラ建設)などとなり、これらに従事するために
家族を村に残す。
その結果、
女性だけが家族の支えとなってしまう。
• 女性労働は主な労働力として認められないために、
補助労働として低賃金以下の報酬で生計を担おうとする。
その結果、
世帯、共同体が貧困化して行く。
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開発計画の中の「主婦」の二つの意味
主婦1?
「主婦」2
先進国で消
費する
「主婦」のレッテ
ルが付けられた
「主婦」
途上国で働く人
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モーザーが批判するジェンダーと開発
女性が果たす三重の役割
• 生産労働:現金又はそれに相当するものを得るた
めの労働
• 再生産労働:労働力(夫、子)の再生産と維持
• コミュニティ管理とコミュニティ政策:生産と消費に
関連する居住地の社会関係の管理と支持
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モーザーが批判する 『ジェンダー・開発』
自然な意思決定単位としての世帯:家族と世帯
• NHE=New Household Economics(新しい家計の経済学)
1980年代における経済理論。
世帯は合理的に資源の効用を拡大化するために、
そして必需品を消費するために、全員が協力で合意して、
統一化された意思決定を果たす。
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モーザーが批判する 『ジェンダー・開発』
自然な意思決定単位としての世帯:
家族全員の満足を最大化にすることをめざす世帯
• 消費と生産の基本単位としての世帯
• 効用関数と労働の代替性
• 効用関数・意思決定・資源配分
• 世帯の「代替」モデル
が、
貧しい状態に置かれている世帯は以上のような形態を
満たせない。NHE(新世帯経済)調査は、
改めてミクロレベルで労働者階級や貧しい世帯の収支計算
や、これらの国内経済への影響を明らかにしようとする。
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モーザーが批判するジェンダーと開発
先進国の理想的な世帯構成を再作成する計画II
1.核家族以外(途上国など)の形態:
• 大家族制(3世代など)
2.女性が世帯主である家族が少なくない
1.事実上(多い)。夫が出稼ぎに行くため、又は病気・傷害・
遺棄・遺棄・死亡のために妻が家族を扶養する。
2.【法律上(少なく認められる)。土地、資源の使用権。】
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