レクリエーション(集団活動)の見方

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朝倉介護保険事業者協議会
通所リハビリ・通所介護部会合同研修会
集団活動(レクリエーション)の見方
2009年 8月 26日 (水)
有限会社ケアンドリハ久留米 代表取締役
訪問看護ステーションKou
作業療法士
手島 智康
レクリエーション(レク)って、
何・・・?
「遊び」 「楽しいこと」 「趣味」 「余暇活動」?
 業務中に30分~60分ぐらいで、利用者の
「集団」で何かやっている活動?
 「ゲーム」や「歌うこと」したりすること?

*まっ、もう一回みんなで考えてみましょうか・・・
で、明日からの業務に活かしてみよう!!
レクとは?:①


広辞苑・大辞林からの定義
「仕事・勉強」などにより引き起こされる「疲労」を「回復
し」「新しい力を産み出すこと」を目的として行う「休養・
娯楽」である
福祉の分野から、大石の説論
幸福・自立を達成し、日常生活の快(いきいき生活)を
作り出し、苦情回避、克服し、生涯教育(学習)の土台
となる行為
*どうも高齢者ケアの現場には、なじめない内容では・・・
レクとは?:②
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ラテン語の「recreate」(再創造・再構築等)が語源
主として、余暇に営まれる活動である
自ら進んでその活動に参加している
楽しみ喜びを伴う、自発的活動である
生活を営む上で、必須の活動は含まない
その活動それ自体のために行われる物であって、
他の目的に拘束を受けない
個人生活と社会生活を活性化していく
レクの自己参加度(受動的参
加)
参加度1:感じるレベル
・目が動く ・耳で「聞く」から「聴く」
・発声する ・気配を全身に示す
 参加度2:認知するレベル
・誰かが分かる ・物が分かる ・動きが分かる
・方向性が分かる ・場所が分かる
 参加度3:感激レベル
・微笑む ・歓声 ・手足全身を活発に動かす
 参加度4:感動の蓄積レベル
・「充足感」、「達成感」、「満足感」の蓄積

レクの自己参加度(能動的参
加)


参加度5:自発性のレベル
・意思の発見 ・検索行動
・目的的活動(活動すること自体が目的)
参加度6:自己実現のレベル
・自己価値の認識 ・自己の可能性の発見
・自己啓発
・さらなる発展の意図
レクの目標
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
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個人の生活を明るく楽しく快くする
心も身体も元気になる
個人の自立した余暇生活を目指す
非日常的な事への参加で生活に変化を作る
他者と交流し、社会参加の機会を設ける
レクのポイント
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

「できる」事を前面に、進行はゆっくりと!
明日への希望が持てるように援助する
はじめは見てるだけでもOK
心が動けば、身体も動く
介護者自身が楽しみ、明るく元気に生き生きと!
どんな要介護者をも受容できる豊かな人間性と、
みずみずしい感性をもつ
レクのアセスメント項目
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
基本動作関係
認知・行動関係
精神関係
生活暦
*認定調査項目等参照、関連する項目と説明
①麻痺・拘縮 ②移動 ③コミュニケーション
④問題行動
⑤視力・聴力
1:身体動作関係

手足はどれくらい動くのか?

座位はとれるか?

手足に麻痺があるのか?
2:認知・行動関係

視力はどれくらいか

聴力はどれくらい聞こえているのか

理解力はどうだろうか
3:精神関係

情緒・社会性・知的な面について

認知症症状はあるのか
4:生活暦

過去の遊び

昔、好きだったこと

以前、やりたかったこと
レク実施における考慮点

個人のニーズに応えるプログラム(後述)

レクリエーション活動の環境整備(後述)

楽しさ重視と用具やルールの工夫(後述)

自立援助

事故防止
1:個人のニーズに応えるプログラム

要介護者の心身の状態から日々の変化や
「隠されたニーズ」「心の問題」を見つけ出す
ためにも援助しながら観察することが大切
・機能回復訓練志向=リハビリ的プログラム
・楽しみ志向 = 多様プログラム
・健康づくり志向=個人+集団プログラム
2:レク活動の環境整備


多様なニーズに対応できる多目的ホールが必要
大勢の人たちが集ってゲームができたり、車椅子
で十分に活動ができる空間、個人が知的好奇心
をのばすことができる「学習・芸術空間」、物を作
る「創作空間」を整えることが必要
3:楽しさ重視と用具やルールの工夫


個人の能力や障害を考慮してプログラムを選ぶ
ことがあるが、「その活動を行うための工夫やア
イデア」によって、よりたくさんの要介護者を援助
していく事ができる
個人の能力とは関係なく偶然性のゲーム(サイ
コロやカードめくり、ジャンケン)、簡単なルール
を取り入れたり、雰囲気づくりのためのBGMや
小道具(はちまき、得点表、応援グッズ)を用意
する
Ⅰ:集団レク (身体的活動)
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

レクの目標は「個人の活性化」であるが、集団
の持つ力を活用した集団型のレクが大切
スタッフ自身が心から楽しむ姿は利用者に大き
く影響し、楽しさが膨らむ
スタッフと利用者の関係は、お互いが情報交換
し適切な役割分担を行いながら、双方が満足
できるようにする
Ⅰのチェックポイント実施の具体例
チェックポイント
・手指の粗大運動
・上下肢ROM制限有無
・座位保持能力
・視力、聴力
・簡単な事に対する理解

実施例
・ベンチサッカー
・風船バレー
・玉入れ
・ボーリング
・輪投げ
・物おくりゲーム

Ⅱ:集団レク(知的・偶然性活動)
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

集団の人数は6~7名程の少人数がよい
スタッフは自主性や主体的姿勢や態度を促すよ
うな工夫をする
利用者が遊びに中で考えたり、工夫したり頭を
使う機会を設けることで、少しの緊張感と心地よ
い疲労感が得られる
昔の経験が甦る様な取組みで個人の活性化を
図る
Ⅱのチェックポイント実施の具体例
チェックポイント
・見たり、聴いたりできる

・考えたり、会話できる
・昔の事を語れる
具体例
・カルタ遊び
・カード遊び
・双六
・サイコロビンゴ
・言葉でビンゴ
・みんなで合唱
・ジャンケンゲーム

Ⅲ:個別レク(個人の嗜好で自ら選択実行)



趣味的色合いが強く、生甲斐として取り組
まれることが多い
今までの経験を活かし楽しんで取り組める
ような物を提供する事が大事
音楽やTV・ビデオ鑑賞など静かに過ごす
のも個人の楽しみ方の一つなので大切に
する
Ⅲのチェックポイント実施の具体例
チェックポイント
・過去の経験において何か
趣味を持っている?
・個人の趣味の充実・拡充
・勝負事が好き
・芸術に興味がある
・音楽が好き

具体例
・卓上ゲームの導入
・カラオケの奨励
・園芸への参加
・短歌・俳句の会
・芸術(絵画・書道等)
・クラフト(編み物・手芸・
折り紙・陶芸・皮細工
等)

Ⅳ:外出レク



利用者の状態に応じた外出を計画することで、
昔を懐かしみながらスタッフと共に準備したり
子供の頃を回想したりする機会をつくる
外出する機会により、身だしなみを気にかける
様に仕向ける
文化祭や作品展等、今までの活動を発表する
場の見学に出掛けることで、取組みへの励み
になる
Ⅳのチェックポイント実施の具体例
チェックポイント
・日常生活での変化がないか

・外出の機会がないか
・非日常的な事があるか
具体例
・季節の行事(節分等)
・遊びの延長(お祭り等)
・外出
・外食
・文化祭(作品展示)
・旅行

集団分類の考え方

主に、移動方法からの分類
1:ベッド寝たきり群(居室実施が多い)<臥位>
2:車椅子(全)介助群<椅座位>
3:車椅子自走群<椅座位>
4:歩行介助群 (+車椅子使用群) <椅座位>
5:歩行自立群<座位>
6:移動可否は問わず、認知症群<座位・徘徊>
集団形成の有り方

「個人」の集合体が「集団」になる
集 団
*健常人では、7±2が集団形成の基本
「集団」における「個人」の捉え方

個人各々の能力を把握しておく
リーダーを
担える
集 団
「役割」を持つ事は、「自己価値」を高める
事
例
報
告
屋外でのリハビリテーショントレーニングが
屋外レク参加につながった一例
事例紹介①


60歳代
男性
介護度:要介護5
診断名:脳幹梗塞後遺症 ・ 高血圧
障害名:右片麻痺 ・ 全失語 ・ 意識障害
嚥下障害<食道瘻設置>
既往歴: 平成3年 クモ膜下出血
18年8月11日硬膜下血腫後脳挫傷受傷
事例紹介②

現病歴
平成19年12月23日右不全片麻痺出現により、救
急病院に搬送。20年2月5日リハと全身及び栄養
管理目的にてリハ専門病院へ転院。
7月1日加療継続を目的としてホーム入所となる。
訪問介護・通所介護・福祉用具貸与
訪問看護<リハ>を在宅サービスして利用
評価像①
身長・体重;160cm・45kg
意識レベル ;10/JCS
日常生活自立度;C2
認 知 症 度 ; M
四肢機能; 右側:機能無し
左側:機能充分にて荷重時の膝伸展優
感覚;右上下肢にて鈍麻
意思疎通;発語なく不可
褥創;無し(エアーマット使用)
*妻のリハに対する期待は高い
評価像②

ADL像 <Barthel-Index ; 0/100点>
・摂食;食道瘻による経管栄養状態
・排泄;尿便意無く、終日オムツ使用
・入浴;全介助
・起居;寝返りから、全介助。 座位保持困難
・移乗;ベッドに対するW/Cの位置設定の下に、
左下肢の伸展機能を利用しの一人介助可
・移動;Tilt型or標準型W/C利用にて、全介助
通所介護職員からの要望

H20年10月頃、以下について相談された
「暖かくなったら、送迎車にのせて外に連れ
て行きたいが、Tilt型じゃ車に乗せにくい」
「何か、方法がないでしょうか?」
講師側の見解



頚部の座りが確認され、Tilt型の頭部保持具
の必要はないと、考える
この状態であれば、標準型W/Cで適応可能
ではないか?
その他、屋外活動に対するだけの耐久性が
必要であり、それを確認する作業がいる
ご静聴、ありがとうございました
訪問看護ステーションKou
久留米市東合川新町11-70
TEL:0942 – 41 - 9500
FAX:0942 – 41 - 9501
メール:[email protected]