海洋生命・分子工学課題演習 B24の問題

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海洋生命・分子工学課題演習
B24の問題
B113k018x 池田希未
問題B24
ある動物から単離した cDNA は,アミノ酸配列から転写調節因子(仮に A という名前とす
る)と予想されるタンパク質をコードしていた。そのタンパク質が本当に転写調節因子とし
て機能するかどうかを調べるために,まずゲルシフト解析を行った。その結果が図 1 に
示してある。
1~5 の全サンプルとも,同量のタンパク質を用いた。加えたプローブは放射性同位元素
で標識してある。1~5 の全てのサンプルとも,同量のプローブを用いた。プローブとして
は,2 以外の全ての反応液に転写調節因子 A と結合すると予想される塩基配列の短い
DNA (P)を,2 の反応液には転写調節因子 A と結合しないと予想される配列の短い DNA
(C)を用いた。結合反応液には,この他に,3 の反応液には標識していない DNA (C) を
プローブの 100 倍量加えた。4 の反応液には,標識していない DNA (P) をプローブの 10
倍量,5 の反応液には,標識していない DNA (P) をプローブの 100 倍量加えた。
問 1 ゲルシフト解析の原理を簡単に説明せよ。
ゲルシフト解析とは特定の塩基配列をもつ核酸断片とタンパク質の結合を
調べる実験。転写因子の結合配列の解析に広く用いられる。EMSA とも呼
ばれる。
原理は核酸断片にタンパク質が結合すると核酸断片のみの場合よりも総
体として分子量が大きくなるということで、この結果電気泳動で遅く流れるこ
とを利用して可視化する。DNAのほんの一部に結合があっても検出でき、
DNA結合反応の定量的解析ができる。
P
P
結合
タンパク
P
P
問 2 単離した cDNA を鋳型にしてタンパク質を作るにはどのような
方法があるか、少なくとも二つ、例をあげて解説せよ。
・試験管内でタンパク質を作る
↓
cDNA
①プラスミドに組み込む
②RNApol , 核酸
↓
↓
mRNA
③リボソーム, tRNA,
アミノ酸
タンパク質
・試験管外でタンパク質を作る
cDNA
プラスミド
大腸菌
問 3 この実験の結果を解説し、結果から何がわかるか考察せよ。
タンパク質 X
プローブ
P
X
C
X
X
X
P+100C’ P+10P’ P+100P’
結果
1: タンパク質とプローブが結合して、シフトした。
2: シフトせずに、標識したCが下まで流れている。
3: タンパク質は、Pにしか特異的に結合しない。
4: どちらのPに結合する。しかし、標識していないPの割
合が多いために薄くシフトしている。
5: どちらのPに結合する。しかし、標識していないPの割
合が非常に多いために全く見えていない。
考察
・タンパク質とプローブPとの結合は、特異的である。
・タンパク質は、何のDNAでも結合するわけではなく、
選んで結合している。
問 4 標識していない DNA を反応液に加える目的は何か。
またそこから何がわかるか説明せよ。
32P
5’
3’
3’
5’
32P
A
目的:対照実験
タンパク質の結合が配列特異的ではなく、標識特異的に起こっているとい
う考えがある。
4.5には、濃くシフトされていない。
このような可能性がないということを証明している対照実験である。
⇒タンパク質の結合は、標識特異的ではなく配列特異的である。
問 5 この実験だけではタンパク質 A が転写調節因子として機能す
るかどうか断言できない。それはなぜか、またどういう実験すれば、
それを証明できるか答えよ。
☆この実験から分かること
タンパク質の結合が配列特異的である。
転写調節因子が、結合して転写を活性化させたり、抑制
化させたりする。
⇒この実験だけでは転写調節因子として機能するか分か
らない。
分からないのであれば、分かる実験をする!!!
DNAに突然変異をいれる
↓
32P
3’
5’
5’
3’
32P
A
突然変異を入れて、結合配列だと思われている
箇所を壊して、身体に何らかの異常を起こしてい
ることは、転写調節因子として機能している。
☆質問
エレクトロポレーションとは何か?
細胞膜は、リン脂質二重膜で構成されている。この細胞膜に、0.5~
1Vの短い電気パルスを適用すると、細胞膜には一過性の親水性の微
細な穴が生じる。これを利用した電気パルスより生じた細胞膜の微小
な穴を通じて、薬剤やDNAなどを細胞内部に送り込む方法
+ + + + +
DNA、薬剤→
― ― ― ― ―
☆質問
コンピテントセルとは?
プラスミドDNAを細胞に導入することを形質転換
といい、DNAを取り込み易くなった細胞をコンピ
テントセル。
作成方法例
大腸菌のコンピテントセルは対数増殖期の細胞
を塩化カルシウム溶液で処理することによって得
られる。さらにコンピテントセルをDNA存在下で
熱処理するとDNAの取り込みが促進される。
参考文献
・遺伝子工学の技術
http://www.so.fukuokau.ac.jp/bc1/Biochem/genetech.htm
・核酸の分析技術
http://www.so.fukuokau.ac.jp/bc1/Biochem/genetech.htm
・ヴォート 基礎生化学 第2版
・生化学辞典 第3版
・cDNAの調製
・エレクトロポレーション法
http://www.jove.com/science-education/5060/?language=Japanese
・コンピテントセル作成
http://www.gene.mie-u.ac.jp/Protocol/Original/TransformComp-Cell-Freeze.html