Transcript 1 DNAが遺伝子だ
学習を始めるにあたって この学習ソフトはPower Pointで作成してあります。 マウスの左クリックまたはキーボードの↓キーを、 ゆっくり1回ずつ押して画面を進めながら学習して 下さい。 また、画面を戻したい場合はキーボードの↑キー を押して下さい。 DNAが遺伝子だ 最近はRNAを含める場合もある 親から子に伝わるDNA DNAってなに? まず DNAを抽出してみよう 映像の上を、マウスで左クリックして下さい タマネギ細胞のどの部分にDNAはあるのか? 核 ミトコンドリア 細胞分裂の時 葉緑体 染色体 小胞体 中心体 ゴルジ体 = 遺伝子 DNA 細胞内にはいろいろな細胞内小器官があり、核の中には 遺伝子であるDNAが存在する。核以外にも、ミトコンドリア や葉緑体にも、核とは違う独自のDNAがある。 細胞中の染色体 染色体はDNAから構成される ヒストンを巻きつけ たDNAは折りたた まれスーパーソレ ノイド構造を呈し 染色体を形づくる 二重らせん構造のDNAが ヒストンに巻きつく 生物は種によって細胞中の染色体数が異なる 56 40 44 細胞の増殖 細胞分裂のとき、核は染色体に変化しDNAを各細胞に分配する。 ヒトの細胞は 約60兆個 ・1個の受精卵 ・・・2分裂を44~45回繰り返す。 ・細胞分裂回数は無限ではない。・・・テロメアにより制限 体細胞分裂 成長するときの細胞分裂 (染色体数は変化しない) 細胞分裂 減数分裂 生殖細胞(配偶子)形成のときの細胞分裂 (卵巣・精巣・雄しべ・雌しべ・胞子のう) (染色体数が半減する) 染色体(走査型電子顕微鏡写真) 縦列にそって、染色体が分裂し、2本の娘染色体(染色分体)になる。 Neuroblasts (神経原細胞)の分裂 映像の上を、マウスで左クリックして下さい 細胞分裂のとき、核の中のDNAは凝集して染色体に変化し、 DNAを各細胞に分配する様子を見ることができましたか。 体細胞分裂 と 減数分裂 の比較 (2n=4の場合) 体細胞分裂 (成長のための分裂) 2n=4 2n=4 2n=4 染色体数は 変化せず。 2n=4 相同染色体が赤道面に配列 減数分裂 (配偶子形成のための分裂) 2n=4 n=2 染色体数は 半減。 n=2 第2分裂へ と続く。 2n=4 第1減数分裂、中期で相同染色体が対合して二価染色体となり、赤道面に配列 ヒトの場合生殖細胞1個に23本の染色体が入るが、その組合せは第1染色体につい て2通り、第2染色体も2通り・・・従って223通りの遺伝子の組合せの配偶子ができる。 8,388,608通り 減数分裂の意義 受精による染色体数の倍加を防ぐ ・ ・ ・ 染色体数は生物により一定 親(体細胞) ♂(2n) ♀(2n) 減数分裂 染色体数半減 (n) 配偶子(生殖細胞)(n) 受精(合体) 子 (2n) 染色体数倍加 この他にも遺伝子の乗換えと いう重要なはたらきもあります 各塩基の分子構造 DNAは4種類の ヌクレオチドから つくられる 塩基対 ( Base Pair,BP ) CとG、AとTが塩基対を形成 DNAの複製 5’末端 アデニン グアニン シトシン 5‘の位置にはリン酸基(-PO4) が、3’の位置には水酸基(-OH) が付いている チミン 3’末端 5’から3’の方向に複製 DNAの構造 糖リン酸骨格構造 相補性 塩基対(A-T、G-C)水素結合 塩基対は水素結合しているので、 熱や、他の外的要因により解離や 結合が起きやすい。・・・変異の原因 H T H T A A 遺伝子の性質や形質の発現は、 A、G、C、Tが、どのような順序 で配列するかによって決まる DNAの塩基配列の違いにより多様な形質が出現する 南米に生息するアグリアスは同じ種でありながら バラエティーに富んだ翅の紋様や色違いが見られる ・・・C T A G T T T A C A G C G T A T A C G A G A ・・・ ・・・G A T C A A A T G T C G C A T A T G C T C T ・・・ T TC A A A ・・・C T A G T T T A C A G C G T A T G G C C A G A・・・ ・・・G A T C A A A T G T C G C A T A C G G T C T・・・ 塩基の配列を図のようであったと仮定して、遺伝形質の出現は塩基配列が一部 入れ替わることにより、同じ種でありながら、異なった形質を発現することがある。 DNAの塩基の長さの表示 22bp(base pair)塩基対 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭⑮ ⑯⑰ ⑱ ⑲ ⑳ ㉑ ㉒ 塩基対が22個ならんでいるとすれば22bpという単位で表す。 塩基対が2200個ならんでいる場合は2.2kbpという表し方をする。 DNAの構造 塩基対の大きさ H C 糖へ 50° H G 51° 糖へ結合 1.11nm 糖に結合する、僅かな角度の違いが DNA の 二重らせんを形づくる DNAの構造 タマネギ細胞のどの部分にDNAはあるのか? ミトコンドリア 小胞体 核 細胞分裂の時 中心体 染色体 ゴルジ体 葉緑体 DNA = 遺伝子 細胞には核以外にミトコンドリア、葉緑体にも独自のDNAを持つ ミトコンドリア 葉緑体DNA 約150 kbp の環状 DNA 染色体 ヒト核ゲノムDNA 約30億bp mtDNA ヒトmtDNA 約1万6千bp 核DNAやmtDNA,葉緑体DNAの塩基配列を調べる方法として、 PCR法やシークエンス法があるが、次に、PCR法やシークエンス法 について、次のページから概要を紹介します。 PCR法のしくみ ① 反応液を96℃程度に加熱し、2本鎖DNAを1本鎖に 分かれさせる。 2本鎖DNA→ 1本鎖DNA→ ② 50℃程度(プライマーにより異なる)にまで急速冷却し、 その1本鎖DNAとプライマー(Front & Riverse)をアニーリング させる。 ③ プライマーの分離がおきずDNAポリメラーゼの活性 に必要な温度帯まで、再び加熱しDNAを合成する。 F R 以後、①から③までのサイクルを繰り返して特定の DNA断片を増幅させる。 PCR ( Polymerase Chain Reaction ) ポリメラーゼ連鎖反応 映像の上を、マウスで左クリックして下さい 映像の上を、マウスで左クリックして下さい 制作協力 酪農学園大学家畜遺伝学研究室 上田純治 教授 大学院生 清野孝二 君 PCR ( Polymerase Chain Reaction ) ポリメラーゼ連鎖反応 96℃でDNAの水素 結合をはずし、1本鎖 のDNAにする 50℃にゆっくり冷し増 幅したいDNAの両端 と結合するプライ マーを入れる (アーニリング温度) 60℃に温度を保ち、 DNAポリメラーゼに より、二重らせんの DNAを増殖させる PCR装置は、僅かな量のDNAがあれば、 DNAを爆発的に増殖 させることができ、DNAの塩基配列を特定することが可能となる。 エッペンチューブ内の成分 Template(DNA) ・・・解析しようとするDNA @MgSO4 dNTPs Primer (Front & Reverse)DNA ・・・DNA合成のきっかけとなる塩基配列 DNAポリメラーゼ ・・・DNA合成酵素 Buffer QW PCR 25サイクル目 約3000万倍(理論値) 左クリックで次のシートに移動して下さい PCRによるDNAの増加 サイクル数 DNA量 PCRによるDNA増加量 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 2 4 8 16 32 64 128 256 512 1,024 2,048 4,096 8,192 16,384 32,768 65,536 131,072 262,144 524,288 1,048,576 2,097,152 4,194,304 8,388,608 16,777,216 33,554,432 40,000,000 35,000,000 30,000,000 25,000,000 20,000,000 15,000,000 10,000,000 DNA量 5,000,000 0 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 シークエンサーによる塩基配列の解析 増殖させたDNA断片をシークエンサーにかけ、 DNAの塩基配列を解析する。 PCR反応のときは、両方向(Front & Reverseプライマー使用) への合成反応によりDNAを増やしたが、シークエンス反応 のときは一方向(Front or Reverseプライマー使用)へのDNA合成 反応を行う。 シークエンサーによる塩基配列の解析 蛍光シークエンサーによって解析されたデーターです。 各塩基のピークとともに塩基配列が表示されます。 遺伝子の違いによるのオオムラサキの変異 国蝶オオムラサキの翅の紋様や色の違いも遺伝子によるものです。 核DNAなのか、mtDNAなのか、DNAのどの部分がこのような違いを発現 させるかなど詳しいことはまだわかっていません 親から子へ形質(形や性質)を伝える物質がDNAであることは、ドイツの ミーシャが、白血球の核の中に酸性物質が大量に存在することを発見して、 DNA(核酸)と名付けた。これは、メンデルの実験から4年後の1869年のこ とである。しかしこのときには、まだDNAが遺伝子であることには誰も気づく ことはなかった。 DNAが遺伝子であることを証明したのは、ハーシーとチェイスの二人で、 バクテリオファージのDNAをリンで、タンパク質をイオウで放射線標識して から細菌に感染させ,子ファージをつくらせて分析したところ、子ファージに は、リンで標識されたDNAからしか見い出すことができず、イオウで標識さ れたタンパク質が見つからなかったことから、DNAが遺伝子の本体である ことが証明されたのは1952年のことであり、メンデルの実験からおよそ90 年後のことである。 遺伝子はDNAのごく一部の働きがわかっているだけで、まだ未知の部分 がほとんどである。DNAは構造遺伝子(タンパク質合成の命令が書かれた 領域)、調節領域(遺伝子がはたらく場所、時間、期間を調節する領域)と残 りの大部分はスペーサーと呼ばれ、はたらきがよくわかっていない。最近の 研究ではスペーサー領域でもRNA転写が行われていることがわかってきた。 おわり