心理療法の後期

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Transcript 心理療法の後期

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心理療法の中期:介入
☆治療契約に基づいて,介入を行なっていく時期
→この事例の場合だと,「意思決定」の支援から
Th「この先どうするか,考えようということでした」
「どういう選択肢があるでしょうか」
Cl「会社に戻るが,会社を辞めて他を探すが,ですかね」
Th「どちらを選択するか,メリットとデメリットを挙げて
考える方法があるんですが,試してみますか?」
Cl「はい。やってみたいです」
問題解決療法 意思決定と問題解決を支援するための方法
→認知行動療法の一つとされている
D’Zurrila(1995) ☆抑うつ患者は問題解決と意思決定が苦手
2
会社に戻る
次の会社を探す
メ
リ
ッ
ト
・経済的な安定
・慣れた職場で働ける
・就職活動をしなくて済む
・今の会社を辞められる
・新しいチャレンジができる
・嫌な上司から離れられる
・キャリアアップになる
デ
メ
リ
ッ
ト
・症状に悩まされる
・やりたくない仕事をする
・怒鳴る上司がいる
・働いていて虚しい
・就職活動が必要
・必ず次があるとは限らない
・貯金が減っていく
3
心理療法の中期:意思決定の支援
☆問題解決療法のメリット・デメリット分析
・最も価値を感じる項目を特定する
→働くことの意味,虚しさの有無
・現実的に可能かどうかの見積もり
→既に声をかけてくれている会社はある
Th「さて,いかがでしょうか」
Cl「なんか,気持ちが決まりました。この先,頑張って
復帰するだけの価値を感じないし,新しいチャレン
ジをしてみようと思います」
Cl「今の仕事は辞めようと思います」
→この後,どのような手順で辞めるか検討した。
4
心理療法の中期:抑うつへの介入
・最初の介入が終了。次の課題を検討する。
Th「これで,最初に出てきた3つのうち,1つがクリアになり
ました。次はどうしましょうか」
Cl「頭痛腹痛は今の会社だけの話なので,まぁ今のところは
優先しなくて良いかなと。やる気の問題ですかね」
Th「わかりました。では,次回から始めましょう。次回まで
に,この用紙を使って生活の記録をしてきて下さい」
「どういうふうにすれば,やりやすいでしょうか」
次の問題と目標の共有
ホームワーク:認知行動療法の方法
5
セルフモニタリング
・生活の中で,いつ,どこで,どんな問題があるか,自分で
具体的に記録していくことで,問題を理解していく方法
→認知行動療法における最も重要な方法の一つ
・ここでは,気分と行動の推移を調べてもらった。
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
日曜日
午前
9時起床
うつ20
7時起床
うつ30
二度寝
うつ50
二度寝
うつ60
二度寝
うつ60
7時起床
うつ20
寝坊
うつ40
午後
テレビ
うつ60
外出
うつ20
テレビ
うつ50
テレビ
うつ60
テレビ
うつ70
外出
うつ10
読書
うつ50
夕方
PC
うつ70
自炊
うつ30
読書
うつ40
テレビ
うつ80
自炊
うつ40
外出
うつ10
電話
うつ30
夜間
寝付悪
うつ60
1時就寝
うつ20
1時就寝
うつ40
寝付悪
うつ90
2時就寝
うつ50
1時就寝
うつ10
2時就寝
うつ40
6
セルフモニタリングから何が分かるか
・活動のレパートリー
→テレビ,PC,外出,自炊,読書,寝る
・気分のパターン
→うつ気分が強い日と,低い日がある
・いつ,何をしている時に,うつっぽくなるのか
→外出せず家でテレビやPCを見ている時
遅くまで寝たり,二度寝した時
・逆に,いつ,何をしている時には,うつっぽくないのか
→早起きしたとき
外出したときや,自炊しているとき
うつ病だからといって,常に抑うつ的なわけでない
7
心理療法の中期:抑うつへの介入
・査定の結果見えてきた悪循環も踏まえて,話しあう
→セルフモニタリングの結果から,以下の理解に裏付け
心理教育
うつ病等の心理的問題
やそれらに対する介入
方法に関する一般論を
情報提供する方法。
認知行動療法の一部。
Cl「やる気が出ないというか,何もしない時にうつですね」
Th「そのようですね。実際,意欲は行動より先にあるとは
限らなくて,行動した結果意欲が出る方が一般的です」
「行動活性化という方法を試してみますか?」
「そうですね。それをやってみたいです」
8
行動活性化による抑うつへの介入
☆抑うつ的な悪循環をストップさせるための方法
行動の
不活性
否定的な
考えの反すう
気分の
落ち込み
行動が
最も手早く
変えやすい
☆気分が良くなるような活動をリストアップする
Cl「料理は好きですね。あと,飛行機が好きなので,空港
に写真撮りに行きたいなぁ。あと,ちょっとだけ仕事
に関係あることもやってみたいですね」
Th「では,やりやすい形にアレンジして一つ一つ試してみ
ましょう。役に立つか,やってみないと分かりません」
9
「行動実験」としての行動活性化
☆一般論しての「有効な方法」はあるが,Clに何が有効か
実際にやってみて確かめていく:「協同的実証主義」
☆結果の検討
・飛行機の写真を取りに行く
→朝から出かけるので,早起きして気分も良かった
・少し凝った料理をする
→料理は失敗したが,それから「次はこうしよう」等
考えるようになり,嫌な事を考える回数が減った
・仕事に関係することをしてみる
→すごく面倒だったが,なんとなく社会人風の気分に
・(出来なかったこと,ダメだったものもあるが省略)
10
いくつかの介入と,症状の変化
BDI(うつの指標)の推移
25
問題解決
20
軽度のうつ
15
10
通常の範囲
中等度のうつ
行動活性化
スタート
5
0
初回
3回目
5回目
7回目
9回目
11回目
13回目
15回目
中期の介入を通じて,症状が軽減していった
同時に,次の会社への就職と引っ越しが決まった
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心理療法の後期:再発予防
☆介入から再発予防への移行
→Clと協議し,合意の上で移行する
Th「抑うつの症状はこういうグラフになりましたね」
Cl「確かに自分でも良くなったと思いますね。やる気が出な
い感じも,もうありませんし」
Th「当初の問題はどうなったとお感じでしょうか」
Cl「はい。おおかた片付いたと思います」
Th「私もそう感じています。1か月後にお引越しということ
ですし,そろそろ再発予防に入って行きましょうか」
「同時に,終わりに向けてまとめもしていきましょう」
ニーズと問題の経過に加え,現実的な事情も考慮
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心理療法の後期:再発予防
☆基本的に,どのような心理療法の方法を用いていても
これまでの面接で行なってきたことを振り返っていく
→何が問題を大きくし,何が悪循環を維持させていて
何がそれを理解するヒントとなり,何が役立ったか
☆今後再び,類似の問題に襲われるリスクはあるか
→未解決の問題があれば,それを明確にしておく
予測できるハイリスク状況があれば,備えておく
Cl「やっぱり新しい職場なので,慣れるまではストレスが
かかるかもしれません。自分でどうにも出来なかった
ら,また向こうでもカウンセラーを探します」
13
心理療法の後期:終結
☆終結の時期は,Clとの合意で決定されるのが望ましい
→しかし,良くなったClが勝手に来なくなることも多い
☆最初から最後までをひと通り簡単にまとめ合い,Clに
とってどういう経験だったかを話してもらったりする
☆Thは感慨深くなるが,ほとんどの「解決済み」なClは
わりとアッサリした表情で終結していくことが多い
☆いつ終結するのか
・現実的に,会うことができなくなったとき
・症状や主訴が消失して,やることがなくなったとき
・会う必要が無くなったとき。ClがThを内在化したとき
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3.今日のまとめ
☆心理療法のプロセス
・初期:心理査定と治療契約 ・中期:介入 ・後期:再発予防と終結
☆心理療法の初期
・システムの説明 ・動機付けの確認 ・主訴とニーズの確認
・主訴周辺の情報収集 ・会話の特徴を調べる ・関係づくりを始める
☆治療同盟:①問題の共有
②目標の共有
③情緒的な絆
→心理療法的な関係性。治療同盟の質が,心理療法の効果を左右する。
☆主訴周辺の具体的情報から問題を図式化して共有する
☆心理査定の方法:①面接法 ②観察法 ③検査法
☆心理療法の中期:治療契約に基づいて介入を行う
→Clとの共同作業で進めていく:認知行動療法では「協同的実証主義」
☆心理療法の後期:治療契約と中期の成果から移行を判断
・面接を振り返り,役に立つ情報を残す。リスクに備える。
・いつ終結するか:現実的な制約,主訴消失,ClによるThの内在化
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