パワーポイント(156KB)

Download Report

Transcript パワーポイント(156KB)

第3回 国際貿易論の基礎
Introduction to Theory of International Trade
国際政治経済システム学 2007
1
貿易の利益とは何か?
自国では生産できない財を消費することができる
実際には,自国でも生産できる/かつて生産して
いた財を輸入している.
貿易の利益は存在するのか?
簡単なモデルで考えてみる.
2
リカード・モデル
仮定1 2つの国(日本とフィリピン)によって構成される世界
仮定2 2つの財(テレビと米)のみ生産・消費している
仮定3 どちらの財も労働のみを用いて生産される
仮定4 労働力の存在量は両国で等しい(100人)
3
日本
フィリピン
消費者
労働
農業
米
テレビ
消費者
労働
製造業
労働
農業
米
テレビ
労働
製造業
4
貿易による生産と消費の分離
貿易をしないとき
米
テレビ
貿易をすると
米
テレビ
生産
1500kg
40台
消費
1500kg
40台
500kgの米を輸入
生産
1000kg
60台
消費
1500kg
40台
20台のテレビを輸出
5
貿易を行う場合,国家は
生産と消費を一致させなくともよい
消費できる量を増やすことが可能
貿易の利益(gains from trade)
なぜ? どのようにして?
6
仮定5:生産技術
米100kg・テレビ1台の生産に必要な労働者数
日本
フィリピン
米
テレビ
4人
5人
1人
5人
どちらも,日本のほうがより少ない労働者数で
生産することができる(生産性が高い)
日本は,フィリピンと貿易することで
利益を得ることができるのだろうか?
7
貿易前の消費計画(=生産計画)
米
日本
1500kg(60人)
フィリピン 500kg(50人)
テレビ
40台(40人)
5台(50人)
8
米
テレビ
4人
1人
P 5人
5人
J
国際貿易の例
1 日本が米100kgを犠牲にして,テレビを4台増やす.
日本
米
テレビ
-100kg
+ 4台
3台余る
1台
2 フィリピンが米を100kg増産する.テレビが1台犠牲になる.
100kg
フィリピン
米
テレビ
+ 100kg
- 1台
3 お互いが犠牲にした分を補い合う(交換する)と,
完全に相殺してもなおテレビが3台余る.
仮にこれを1.5台ずつ分け合うと…
9
国際貿易の効果
日本
フィリピン
米
テレビ
1500kg
500kg
40台
41.5台
6.5台
5台
日本がテレビを増産(米を減産)
フィリピンが米を増産(テレビを減産)
米
テレビと米を交換(国際貿易)
J
-100
テレビ
+4
P +100
-1
ともにより多くのテレビを消費できる
なぜ?
10
機会費用
労働者は無限ではない(100人)
テレビをつくる = 米をいくらかあきらめる
米をつくる = テレビをいくらかあきらめる
テレビ(米)を1単位つるくのに
あきらめねばならない米(テレビ)の量
テレビ(米)の機会費用
11
機会費用の計算
日本
フィリピン
米100kg増産
米100kg
4人
5人
テレビ1台
1人
5人
4人がテレビ産業から米産業へ
テレビ生産は4台減少
日本における米100kgの機会費用は
テレビ4台分
12
日本とフィリピンの機会費用
生産技術
日本
フィリピン
米100kg
4人
5人
テレビ1台
1人
5人
機会費用
米100kg
テレビ1台
日本
フィリピン
テレビ4台
テレビ1台
米25kg
米100kg
「日本はテレビの生産に比較優位を持つ」
「フィリピンは米の生産に比較優位を持つ」と言う.
13
比較優位を持つ財を増産し合うと?
日本が米を100kg減らす.
1
フィリピンがテレビを1台減らす.
日本がテレビを1台増やす.
2
フィリピンが米を100kg増やす.
機会費用が相手より低い財について相手の分も余計に
生産し,機会費用の高い財については相手にまかせる.
どちらもより少ない犠牲でつくられているので,
全体としては生産量は増加する.
うまく分け合えばどちらもより多く消費できる.
14
まとめ:国際貿易の利益
貿易によって,生産と消費が分離可能となり,
得意なものの生産に専念できる(分業).
国際貿易の利益=国際分業の利益
相手より少ない犠牲でつくれるものを
お互いに多くつくることによって,世界全体では
生産量を増加させることができる.
「国際的分業」による生産量の増加(すなわち
消費量の増加)が,貿易の利益である.
15
応用:博士と秘書
能力
博士
秘書
論文1ページ
1時間
10時間
タイプ1ページ
0.5時間
1時間
機会費用
論文1ページ
タイプ1ページ
タイプ2ページ分
論文0.5ページ分
博士
秘書
タイプ10ページ分 論文0.1ページ分
16
理解を深めるために
1
日本が米を,フィリピンがテレビを増産する
(比較優位のパターンと逆の行動をとる)
とき,「世界全体として」米もテレビも
生産量が減ってしまうことを確認せよ.
2
次のようなケースで機会費用を計算し,
貿易の利益が生じるかどうか考えよ.
日本
フィリピン
米100kg
テレビ1台
1人
5人
1人
5人
17