原発事故から2年…

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Transcript 原発事故から2年…

全国反核医師の会(PANW)
核戦争防止愛媛県医師・歯科医師の会
曽根康夫
2011年3月11日福島原発 炉心溶融事故
3月12日 1号建屋の水素爆発、その後3.4号建屋も
水素爆発
3月15日未明 2号機でボンの音とともに容器の破損部
から大量の放射性物質がもれる。北西の風と降雪で内陸が
2号機の建屋はきれいだが、圧力
放射能汚染
容器は最大の損傷
放出された主な放射性物質
 ヨウ素131
半減期は8日 すでに測定不能
甲状腺に集積して甲状腺癌(チェルノブイリでは100倍
に)
 セシウム134
が1:1)
半減期2年
(134と137
 セシウム137
半減期30年 ⇒今の土壌汚染の
原因
ただしセシウムの生物学的半減期は70日 (尿か
ら体の外に排泄される)
セシウム土壌汚染:同縮尺でチェルノブイリと比較
疎開した人口40万人、土壌汚染で避難地域を決
定
避難した人口8万人(濃い茶
色)
・55万Bq/m2以上
がチェルノブイリと同じ基準で
避難地域を設定すれば、福島市
や郡山市から70~80万人が
避難することになる。 薄茶の
が避難地域
18万~55万Bq/m2 の周辺は避難の権利地域
(希望者は避難を補償される)
2
<文科省航空機モニタリング 2011年9月>
トSv)
空間線量
(シーベル
<避難地域の設定>
*ソ連政府(チェルノ
ブ イリ)の基準では
緑色
5mSv/年 以上
0.5~1マイクロ
Sv/h
*日本政府の基準では
黄色
20mSv/時 以上
3.8マイクロSv/h
チェルノブイリでは避
難地域の汚染レベル地
域で、子供、妊婦ふく
めた70~80万人が居
住
事故2年後も福島市の汚染は同じ
2012年10月の訪問
市中心部
事
故
復
旧
時
の
、
被
ば
く
線
量
め
や
す
信夫山ふもと 8 mSv/年
20mSvとさ
れた
生協わたり病院前 6 mSv/年
2011年11月10日
愛媛新聞
2012年12月15日 福島
市内は放射線管理区域
(空間線量積算が1.2
mSv/3ヵ月 以上)が点在
JR福島駅前
上は路上
下は1.5mの高さ
福島テルサ前交差点 6mSv/
年
法令を無視した避難基準(2重の基準)
市中心の信夫山ふもと 8mSv/
年
生協わたり病院前 6mSv/年
<福島県内での避難基準>
年間20ミリシーベルト以上の被
ばく
(年間空間線量では 33mSv、線
量計では3.8マイクロSv以上と
している)
1日中屋外にはいないとして、空
間線量の約6割を被ばく線量に算定
<福島以外での日本の法令>
・年1mSv=一般公衆の被ばく限
度
・年5.2mSv以上=放射線管理
区域
一般公衆の立ち入り禁止、
未成年の労働を禁止
<法令を無視する根拠>
低線量被ばくのリスクに関する
ワーキンググループ(内閣府)報告書
2011年12月22日
日本の放射線医学の重鎮らで構成、が報告
① 年間100ミリシーベルト以下の被ばくで
は発がんリスクの明らかな増加が証明されて
いない
②チェルノブイリでも甲状腺がん以外の健康被害はな
かったと国際機関が報告
②避難指示の基準とされる、被ばくの年間20
ミリ
シーベルトの設定は適切
<100mSv以下は癌のリスクが証明されない の根拠>
広島・長崎被ばく者12万人の死亡状況調査
 1947年よりの米軍調査⇒現在も日米共同の「放
影研」で
 12万人、一人一人の「被ばく線量評価」と「死
因」の調査
 被ばく線量は、ネバダ砂漠の核実験から推定
 「被爆した集団」が、「被爆してない集団」に比べ
て、どれだけ癌の発生が多いかのデータをとり続け
ている!
 その結果
 1Sv(1000mSv)の被ばくで、癌死リスクが
被ばく量と、ガン発生リスクの関係
mSv
いチ2
たャ0
。ー1
で2
は年
、日
1本
0整
0形
外
科
以学
下会
がの
塗被
りば
つく
ぶレ
さク
れ
て
放射線影響研究所データよ
り
100mSv以上は線量増加に比例して、癌の発生も増
加した
それ以下の被ばく線量ではこの関係が認められなかっ
被ばく量と、ガン発生リスクの関係
放射線影響研究所データで
は
100mSv以下はこうなっ
ている
0.1Sv(100mSv)以下ではバラつきが大きく、直線モデルはあては
まらない。 低線量被ばくはリスクがないのではなく、喫煙など他
のリスクの中にマスクされている!
(京都大学原子炉研究所 今中哲二)
日本の放射線専門医の3段論法
 100mSv以下被ばくのリスクは、喫煙などの他の
環境リスクとの識別しての検出がむつかしい
↓
 検出が難しいほど小さい
↓
 小さいから考えなくてもかまわない
↓
 安全・安心である!
木村真三先生
44歳 (放射線衛生学)
愛媛県広見町出身
10~20ミリシーベルト
の被ばくリスクを他の因子
と分けて取り出すには、統
計学的に60万人の調査が
必要です。
広島・長崎では12万人し
か調査できてないから、1
00ミリ以下のリスクが取
り出せなかった。
「100ミリ以下のリスク
はない、でなく、正確には
分かっていない」 が学問
的に正しい言い方
世界の原発で働く労働者の
健康調査から、100mSv以
下被ばくでの癌の増加とい
う、新しい知見が報告され
「内閣府ワーキンググループの
放射線専門家の見解は誤りで
2012年12月15日
す」
福
100mSvで癌死リスク0.5%の意味
 TVなどでの、お抱え学者の説明は
「あなたがガンで死亡する確率は33%。それが3
3.5%に増える。タバコや野菜嫌いのリスクの方
がずっと大きい」
⇒ 何だか大したことないよ
う!
 本当は、「10万人の市民が被ばくすると、そのた
めに500人が癌で死亡する」 ⇒ たいへんな被
害だ!
 ICRP(国際放射線防護委員会)
①被ばくのリスクは個人でなく、集団に適応する
②100mSv以下のリスクも、放射線防護の立場で
「直線しきい値なしモデル」を採用する
「直線しきい値なしモデル」とは
 これ以下なら安全という
被ばく線量はない。
 100mSvで0.5%リ
スクなら
 20mSvで 0.1%
 10mSvで 0.05%
リスク=10万人が10
msvの被ばくで、50人
がガン死
(他の9万9千550人は
<参> 急性放射線障害(細胞・臓器障害)は、確定的
影響がゼロ)⇒確率的
「7万人が自宅を離れてさまよっている
時に、国会は一体何をやっているので
すか!」
2011年7月27日衆院厚生労働委
員会
児玉龍彦
東京大学 先端科学技術研究センター長
2011年7月27日 衆院厚労委員会
児玉龍彦 参考人質疑
 人間には25000の遺伝子がありますが、DNAの
修復・保護に関する 「癌抑制遺伝子」が一定数あり
ます。
 これがやられなければ、低線量によるDNA障害は修復
される(癌にはならない)ことがわかっています が
 これがやられれば、将来は癌が発症します。
 実際に25000の遺伝子
の中でどこがやられるかと
いうことは極めて確率論的
です。
放射線によって損傷し
た遺伝子のDNA
木村真三先生 44歳(放射線衛生学)
愛媛県広見町出身
・北宇和高校卒後、九州工大夜間部などを経て、北海道大大学院で学位
有期雇用の研究職を転々とし、時には塗装工や専業主夫で生活
・40歳にして初めての正社員・労働安全衛生総合研究所(千葉市)
チェルノブイリや医療従事者の被ばく調査を行う・・・・・しかし!
・1999年東海村臨海事故で直ちに現地調査へ行かず後悔(上司「行
くな」と)
・2011年3月12日、職を辞して 福島現地調査へ、その内容は5
回にわたり
NHK ETV特集「ネットワークで作る放射能汚染地図」で紹介
2012年12月15日
福島市
木村真三先生
スライド
3月15日未明の2号機
爆発と、北西の雨風で
のセシウム落下が
今の土壌汚染の主因
2号機
一見は無傷
「乳児や子供も安心できる年間1ミリシーベルト以下になるには160年
かかる」との報告に、地元の方は、「よく言ってくれた」と評価!
半減期が8日で、すでに消失して検出できない
消えたから安全になったのではない
2011年3~4月の間にどこの地域が汚染され
誰がどれだけ被ばくしたかもわからない!
できることは検診での早期発見!
放射性ヨウ素(半減期8日)は既に検出で
きないが、セシウムと異る分布
ETV特集
ネットワークで作る放射能汚染地図(5)埋もれた初期被爆より
度い
汚わ
染き
の、
疑茨
い木
方
面
が
、
高
濃
3,15未明・早朝は北風であった!
爆発時に、ヨウ素は、セシウムより低温で早く揮化する
早朝の北風で、いわき、茨木、千葉が、放射性ヨウ素の汚染地帯になった可
能性
2012年3月15日の風向きと
ETV特集
放射線のシュミレーション
ネットワークで作る放射能汚染地図より
国の調査 45%の子供にヨウ素131甲状腺
内部被ばくがあったが?
 3月12~15日の爆発から2週後(24
~30日)
 いわき、川俣、飯舘の子供1150人を国
が調査
 45%の子供が甲状腺被ばく
⇒翌年 「検査機械が適切でなかったので被
ばく線量の評価はできない」と修正
甲状腺被曝は事故直後の混乱などで、きち
んとした計測はされなかった
甲状腺被曝、最高87ミリシーベルト
50ミリ超えも5人 2012年3月9日 朝日
 弘前大学の床次(とこなみ)教授らが、事故の約1
カ月後に行った成人住民65人の測定結果を分析し
た
(福島県が住民の不安をあおると
調査の中止を要請したので
65人にとどまった)




結果を1年後の2012年3月公表
65人中 50人が ヨウ素131 の被曝
半数が10ミリシーベルト以下だったが、
5人が50ミリシーベルトを超えており、 最高87
mSv
成人の最大87ミリシーベルトを乳幼児にあてはめれ
ば、1歳児で800ミリシーベルトの被ばくに相当
NHK・ETV特集
ネットワークで作る放射能汚染地図⑤
より
甲状腺エコー検診の2012年結果
甲状腺がん1名
強い疑い精査中1名
2012年12.16 川俣町から飯館村へ
 飯舘村
 人口6000人の過疎の村
 飯館牛などのブランド牛、
どぶろく特区などでの町
おこしの成功事例として、
見学者が多かった
 2011年4月に、計画
的避難地域に指定、全村
避難へ
 2012年7月に3地域
へ分類
20mSv以下避難解除準
備 20~50mSv 居
住制限
50mSv以上
帰還困難
 ゼネコンが1日4300人を投
入する除染プロジェクト
川俣町⇒飯館村の峠を超えると
車中の線量計が急上昇
・バス車中でも時に2マイクロSv/hを
超える
・丘で上昇、低地で低下を繰り返
す。
・3.15の放射性プルームが、高
地の土壌・樹木に沈着している
放棄された農場は荒れ放題⇒
2012年12月16日の飯舘村役場
・2011年3月末、この建物の
奥に子供を集め、甲状腺検査を
行った
・周辺は10~20μSv/時と高線
量であったが、5月まで避難が行
われず
・「牛の処分をするために避難命
令を遅らせた」 地元の村議
役場玄関周辺は、自衛隊によ
り徹底的にジェット洗浄され
モニタリングポストは0.5μSv
前後。線量計より1割低い
役場の裏に除染土の仮仮置き場
線量計を近づけても 1.5μSvと以外に低い。説明:「砂と書かれた
黒い袋は遮蔽用の袋であり、汚染土は内側の白いカバーの下です。」
で納得
仮置き場が決まらないの
に置いてるから「仮仮置
き場」です
白いカバーの下に汚染土
役場周辺は住宅街、野原は高線量!
毎時4μSv,年間30msv以上の線量
住宅地周辺を除染しても、山野の環境全体
に沈着したセシウムのほんの一部
2~3年で子供が住めるようにはならない
住宅地で、2人1組の見回り隊に出会う。
「ここの住民で毎日見回りに来てます」
と!
農地の除染風景・巨大プロジェクトだが
これで農業が再生できるのか?
作付けされない汚染農地の中
に、新たな汚染土の山が
表土をはぎとられた農地
クレーンで遮蔽用の黒い砂
袋を、汚染土の周りに積み
上げている
誰も住まない街にブランド牛の看板
コンクリートの上 1.5mでも、1.42マイクロシーベルト/時、年
12mSv
村から隣・隣の
旧飯野町役場内
に飯舘村役場
総選挙の投
票所も、
村の掲示板
も設置され
ていた
福島医療生協いいの診療所で
松本所長(福島民医連会長)の報告
・原発から50キロの診療
所
多くの方が、川俣・飯野を
経由して福島方面へ避難し
ていった。
・今思えば高線量の中を走
り回っていた。
・「暖かい牛乳がうれし
かった」との感謝の声を思
い出すと胸が痛む
・私のフィルムバッジは1年で
2.29mSvの外部被ばく
飯舘村からの避難者と懇談
・夫が癌で闘病中で、
避難所でなく「借り上
げ住宅」で生活。
・夫は在宅往診を受け、
数ヶ月前に死亡。後ろ
木戸の向こうに仏壇
・プライバシーはあるが、
支援物資は届かない
村から配布された線量計
川俣・飯野の柿はカラスも食べない
 干し柿の産地で車窓
から熟した柿の木々
が
 だが柿は線量が高く、
柿の取り入れは中止
 人が食べないとカラ
スも柿を食べなく
なった
 世界唯一の原子爆弾の被爆国日本は
世界で唯一
妊婦や乳児も含む一般公衆が
年間5~20ミリシーベルトの被ばくを
容認する国となっている!
 山下俊一教授
 内閣府、低線量被ばくのリスクに関するワーキング
グルーフの゚責任者 は宣言した!
「放射線から国家を守る」!
しかし
 <棄民政策1>
守るのは国民ではなく”国家”
官僚機構・族議員・電力会社・原
子力や放射線学会のお抱え学者
そのために法令を曲げて
福島県民に被ばくを強要する
 <棄民政策2>
「尖閣や領土を守るため」として
沖縄県民に危険な普天間基地・
オスプレイを押し付けていると同じ
伊方で事故が起きても”国家”は
国民.私たちを守らず切り捨てる
まとめ
 年間20mSvをこえる避難地域は1~2年の住宅地除染
では、乳幼児を含む人が住めるようにならない。
 法令で居住が禁止される5~20mSv汚染地域(福島
市・郡山市など)に乳幼児を含む人々を住まわせるのは、
「国家を守るための棄民政策」である。
 この地域を最優先で除染し1mSv以下ををめざすべき。
希望する住民の一時的避難や健康不安への支援は、
NGOや民医連・保団連・生協がになう課題
 脱原発運動、政府に法令を順守させる運動、被ばく地の
人々に寄り添う運動、を連動させて行おう