m - 国立大学法人鹿児島大学工学部機械工学科
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Transcript m - 国立大学法人鹿児島大学工学部機械工学科
鹿児島大学工学部
X線装置等取扱者
安全教育
平成16年4月28日
鹿児島大学工学部X線作業主任者
機械工学科 中村祐三
内線 8261
[email protected]
http://www.mech.kagoshima-u.ac.jp/~nakamura/
鹿児島大学工学部エックス線障害予防規定(案)
(趣旨)
第1条 この規定は、労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、
電離放射線障害防止規則の規定に基づき、鹿児島大学工学部(
以下「本学部」という。)の管理するエックス線装置の使用等の放
射線業務で起りうるエックス線障害を防止するために、必要な事
項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規定において、「エックス線装置」とは、エックス線を発
生する装置をいう。
2 この規定において、「放射線業務」とはエックス線装置の使用
又はエックス線の発生を伴う当該装置の検査の業務あるいはエッ
クス線管若しくは又はエックス線の発生を伴うこれらの検査の業
務のことをいい、「取扱者」とはエックス線装置の使用及びその他
の取扱いに携わる者をいう。
(エックス線装置及び管理区域)
第3条 本学部で使用するエックス線装置の種類及び使用場所
並びに管理区域は、別表第1のとおりとする。
2 この規定において「管理区域」とは、外部放射線による実効
線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間
につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域をいう。
(放射線障害防止委員会)
第5条 本学部にエックス線障害の予防に必要な事項を審議す
るため、放射線障害防止委員会(以下「防止委員会」という。)を
置く。
(エックス線作業主任者)
第6条 学部長は、エックス線障害の発生防止について指導監督
を行わせるため、有資格者の中からエックス線作業主任者1名を
学長に推薦するものとする。
(取扱者の登録)
第12条 取扱者は、エックス線管理責任者の承認を受け、
取扱者名簿に登録されなければならない。
2 エックス線管理責任者は、取扱者名簿をエックス線作業
主任者を経て学部長に提出しなければならない。
3 登録の有効期限は、登録をした年度内とする。
(取扱者の遵守事項)
第13条 取扱者は、エックス線装置の使用に当たって、備
付けの使用簿にあらかじめ使用目的、使用条件、取扱者名等
を記載するとともに、次に掲げる事項を遵守しなければなら
ない。
(1)エックス線装置の取扱いに熟知していること。
(2) 管理区域内でエックス線発生装置を使用する場合には、
放射線測定器を装着すること。
(3)エックス線障害の発生の防止に努めること。
(4)異常が生じたときは、直ちにエックス線管理責任者に
報告すること。
(教育訓練)
第18条 学部長は、取扱者に対し、エックス線障害を防止するた
めに必要な教育及び訓練を施さなければならない。
2 教育及び訓練の実施項目は、次に掲げるとおりとする。
(1)放射線の人体に与える影響
(2)エックス線装置の安全取扱い
(3)エックス線障害の防止に関する関係法令
(4)予防規定
3 教育及び訓練の実施は、エックス線装置を初めて使用する場
合にあっては使用前に、使用開始後にあっては1年を超えない期
間ごととする。
4 前項の規定にかかわらず、第2項に掲げる項目に関し十分な
知識及び技能を有していると学部長が認める者に対しては、その
理由を記録することにより教育及び訓練を省略することができる。
(教育訓練)
第18条 学部長は、取扱者に対し、X線障害を防止するために必
要な教育及び訓練を施さなければならない。
2 教育及び訓練の実施項目は、次に掲げるとおりとする。
(1)放射線の人体に与える影響
(2)X線発生装置等の安全取扱い
(3)X線障害の防止に関する関係法令
(4)予防規定
3 教育及び訓練の実施は、X線発生装置等を初めて使用する場
合にあっては使用前に、使用開始後にあっては1年を超えない期
間ごととする。
4 前項の規定にかかわらず、第2項に掲げる項目に関し十分な
知識及び技能を有していると学部長が認める者に対しては、その
理由を記録することにより教育及び訓練を省略することができる。
電子と物質との相互作用
真空チャンバー
フィラメント(W)
熱電子
電圧Vで加速された
入射電子
連続X線
特性X線(K線)
特性X線(L線)
加速電圧V
オージェー電子(1〜3 nm)
二次電子(10 nm)
反射電子(1〜2 mm)
入射電子の透過深さ(5 mm)
銅(加速電圧 V = 20 kVのとき)
電流 i
X線発生の原理
入射電子
1.
連続X線(白色X線)
軌道電子
原子核 K
L
M
Mg原子
X線発生の原理
1.
連続X線(白色X線)
軌道電子
原子核 K
L
M
Mg原子
連続X線
(制動X線、白色X線)
X線発生の原理
1.
連続X線(白色X線)
反射電子
軌道電子
原子核 K
L
M
Mg原子
X線発生の原理
1.
連続X線(白色X線)
入射電子のエネルギー
E eV
単位(eV)
e ;電子の電荷
V ;加速電圧
連続X線の最短波長
hc hc
min
E eV
h ;プランク定数
c ;光速
1.24
min
[nm]
V
ただし、加速電圧の単位はkV.
例)30 kVで加速した
入射電子を用いたX線
回折装置
min = 0.41 nm
X線発生の原理
2.
特性X線
軌道電子
入射電子
原子核 K
L
M
Mg原子
X線発生の原理
2.
特性X線
軌道電子
2次電子
原子核 K
L
M
Mg原子
X線発生の原理
2.
特性X線
軌道電子
原子核 K
L
M
Mg原子
X線発生の原理
2.
特性X線
軌道電子
特性X線
(Ka線)
原子核 K
L
M
Mg原子
X線発生の原理
2.
特性X線
K線(Kα線)
K殻軌道電子のエネルギー準位;EK
L殻軌道電子のエネルギー準位;EL
電磁波として放出されるエネルギー;DEK
DEK EL EK
特性X線の波長;K
K
hc
hc
DEK EL EK
h ;プランク定数
c ;光速
※Kβ線
空位になったK殻にM殻の軌道電子が落ち込む際に、放出される特性X線の波長は
K
hc
hc
となり、Kα線の波長よりも短い(エネルギーが高い)。
DEK EM EK
X線の波長と強度
強
度
特性X線
Mo
Ka
25 kV
K
20 kV
15 kV
連続X線
10 kV
min
0
0.1
波長
0.2
0.3
X線管
連続X線の強度
I AiZV m
A ;定数
m ;定数(=2)
i ;管電流
V ;管電圧
Z ;ターゲット物質の
原子番号
電流 i
X線回折の原理
入射X線
A原子からの散乱X線とB原子
からの散乱X線の位相が一致
するのは、行路差PBQが波長
の整数倍のときである。
このとき、強い回折X線が得
られる。
反射X線
単色X線(波長)
A
q
q
q
q
P
Q
B
結晶
原子面
間隔
d
ブラッグの法則
2dsinq n
n = 1,2,…
X線回折装置
警告灯
空間線量率
測定の掲示
ディテクター
使用簿の記帳
(名前、使用日時・
時間、管電圧・電流、
ターゲット物質、試
q
X線管
フィルムバッ
ジの着用
q
単色X線
q
料等)
試料
緊急時の連絡
掲示
遮蔽
X線回折 (XRD)スペクトルの例
X線(γ線)と物質との相互作用
光電効果
入射X線
原子核
K
L
M
Mg原子
X線(γ線)と物質との相互作用
光電効果
入射X線
光電子
原子核
K
L
M
Mg+イオン
陽イオン・
電子対の
生成
X線(γ線)と物質との相互作用
コンプトン散乱
散乱X線
入射X線
反跳電子
原子核
K
L
M
Mg+イオン
陽イオン・
電子対の
生成
X線(γ線)と物質との相互作用
電子対生成
原子核
K
L
M
入射X線
(1.02MeV以上)
Mg原子
X線(γ線)と物質との相互作用
電子対生成
陽電子(0.51 MeV以上)
原子核
K
L
M
入射X線
(1.02MeV以上)
Mg原子
電子(0.51 MeV以上)
X線(γ線)と物質との相互作用
入射X線
I I o exp(mx)
高エネルギーX線
低原子番号物質
強度 Io
低エネルギーX線
高原子番号物質
物質
x
m;吸収係数
透過X線
γ線(X線)の物質中の透過と吸収係数
物質中におけるX線の強度
I I oemx
吸収係数
m
光電
効果
mphoto
m
吸収係数
電子対生成
mpair
m = mphoto
(光電効果)
+ mCompt
(コンプトン効果)
+ mpair
(電子対生成)
m Compt
コンプトン散乱
1
E= 1.02 MeV
γ線のエネルギー
log(E/mec2)
γ線(X線)の物質中の透過と吸収係数
アルミニウム
(Z=13)
鉄
(Z=26)
http://physics.nist.gov/PhysRefData/XrayMassCoef/cover.htmlより転載
γ線(X線)の物質中の透過と吸収係数
質量吸収係数 = m /r
X線のエネルギー
E = 10 keV
質量吸収係数 吸収係数
(cm2/g)
(/cm)
Al
(r= 2.7 g/cm3)
Fe
(r= 7.87 g/cm3)
26.2
70.8
170.6
1343
E = 40 keV
Al
0.5685
Fe
3.629
Pb
14.36
(Z = 82, r= 11.35 g/cm3)
1.58
28.6
163
0.1 mm
0.50
I/Io
1 mm
8.4×104 4.2×1016
1.5×106 4.6×1059
0.98
0.75
0.20
5 mm
-
0.85
0.45
0.057 6.2×107
8.4×104 4.1×1036
X線光電子分光(XPS)の原理
光電効果
光電子
E = hn - EK
入射X線
エネルギー
= hn hc/
原子核
K
L
M
回りの原子との
結合様式や結合力に
よって異なる
Mg+イオン
機器分析センター
(電気電子工学科)
放射線計測1
a線、線、g線(X線)が物質中に入射すると、物質を構成
する原子と相互作用して、原子を電離あるいは励起する。
これらの電離・励起作用の結果、物理的・化学的・生物学
的効果が生じる。
また、電離・励起作用を利用して、放射線の計測が可能で
ある。
(1) 気体電離
放射線による物質の電離作用で、正に帯電するイオンと電子の対が
形成される。空気のイオン対形成に要するエネルギーは35 eV程度
であるから、4 MeVのa線によって~105個のイオン・電子対が形成
される。この電荷の量は非常に小さいが、これを増幅することによっ
て、放射線を計測することが可能である。
放射線計測2
(2) 半導体との相互作用
シリコンSiやゲルマニウムGeのような半導体物質では、放射線との相互作
用によりエネルギーを受け取った電子が原子の束縛を離れて、伝導電子帯
にあげられ、また価電子帯には正の電荷を持つ正孔が生じる。これらの電
子・正孔対は、電圧のかかった半導体中を運動し、電流として検出できる。
(3) 蛍光
放射線との相互作用により、原子は電子的に励起された状態になる。イオ
ン性結晶や絶縁体では、原子の励起状態から安定である基底状態に遷
移するときに、蛍光を発する。よって、その蛍光量を測定すれば、放射線
の量を見積もることができる。
放射線計測3
(4) 化学反応
放射線による原子の電離・励起は、化学反応をもたらす。例えば、写真
乳剤の臭化銀AgClは、放射線の飛跡にそった電離作用により、Ag+イ
オンが還元され、銀として析出し黒化の写真現象が生じる。
(5) 熱的効果
放射線が物質中に入射して損失したエネルギーの一部は、物質の熱
振動に使われ、温度があがる。このため、放射線照射によって付与さ
れた熱量を測定することで、放射線の量を見積もることができる。
電離箱
電子なだれ
比例計数管領域
GM計数管
放射線
電子
紫外線
陽イオン
のさや
陽極
1回の電離によって増幅される信号パルスの大きさは108倍!
シンチレーションカウンターの原理
一つのダイノードで増倍する電子の数を5個とすると、10段のダイノード
がある場合、510 ≈ 107個の電子が形成される。
放射線と半導体の相互作用
3 eV
pn接合型半導体検出器の原理
線量に用いる単位1
吸収線量
電離放射線により1kgの物質中に1Jのエネルギーが付与されたとき、
1Gy(グレイ)とする。
自由空気の空気カーマ(照射線量 )
電離によって1 kgの空気中に作られる家電粒子の運動エネル
ギーの合計。単位はGyを用いる。
1 Gy =2.97 x 10-2 C/kg
線量(線量当量)
放射線の種類、エネルギーにより物質(生体)に及ぼす影響が異なる。この
ため、各放射線に対する線質係数(X、γ線;1、エネルギー不明の中性子;10、
エネルギー不明のアルファ粒子;20等)を掛けて、等価な線量とみなす。
線量に用いる単位2
実効線量(実効線量当量)
発癌、遺伝的欠陥等が発生する頻度は放射線の線量を関数とする確率
で表される。実効線量当量は、この確率的影響を容認できるレベルに制
限するために導入された線量であり、Sv(シーベルト)の単位で表される。
等価線量(組織線量当量)
放射線照射の量によって障害の重傷度が変わり、しきい値がありうる
ような非確率的影響(皮膚の赤斑、白内障など)を防止するために導入
された線量である。単位は、Sv(シーベルト)である。
自然放射線
年間 2.4 mSv
(時間平均 0.27 mSv/h)
暮らしの中の放射線
胸部CT(1回)
宇宙線
国内の自然放射線(/年)、2.4 mSv/y
(0.36 mSv/y)
一般公衆の線量限度(/年、医療被曝を除く)
大地γ線
(0.41 mSv/y)
胃のX線集団検診(1回)
体内全部
(1.63 mSv/y)
原子力緊急事態となるケース(1時間)
K-40
(0.18 mSv/y)
国内の自然放射線の差(県別)
ラドンなど
東京・NY飛行機往復
(1.5 mSv/y)
胸のX線集団検診(/1回)、軽水炉周りの線量目標値(/年)
異常が発生し原子力事業者が通報しなければならないレベル(1時間)
0.001
0.01
0.1
1
線量
(mSv)
10
JCO臨界事故(1999年9月30日)
(茨城県東海村再
転換工場)
10
東海村舟石川
3人の職員が、注濃
縮(18.8%)の硝酸
ウラニル約16kgを
バケツで沈殿槽に
入れたところ、臨界
事故発生。
1
0.1
1999.10.1 3:23
1999.10.1 0:29
1999.9.30 21:35
1999.9.30 18:41
1999.9.30 15:47
0.01
1999.9.30 12:53
ガンマ線空間線量率(μSv/h)
JCO
2人死亡
被爆量 17Sv
10 Sv
8SV
http://www.rerf.or.jp/nihongo/radefx/dosereco/doseesti.htmより転載
放射線の生体に与える影響1
放射線障害の過程
1) 物理的過程:放射線が生体に照射されると、細胞内分子に電離あ
るいは励起の形でエネルギーが吸収される。
2) 化学変化:電離あるいは励起された分子が生体構成物質の化学
変化を引き起こす。
3) 初期障害:細胞構成物質の重要な分子(DNA、RNA、蛋白質等)
の化学変化が起こる。
4) 拡大過程:初期障害が細胞内の物質代謝によって拡大され、検出
可能な生化学的障害となる。
5) 最終効果:初期障害が拡大されると最終的に細胞死が起こる。さ
らに個体の死にも導く。
放射線の生体に与える影響2
直接作用と間接作用
1 直接作用
放射線が重要分子(DNAなど)に命中して、
これらの分子を直接電離(励起)するために
障害が生じる。
2 間接作用
放射線が水分子に作用して、反応性の高いラジカル(遊離基;H*、
OH*など)や分子(H2O2)が形成され、これらが重要分子と反応して
障害が生じる。
放射線の生体に与える影響3
放射線障害の感受性
細胞の増殖能力が大きいほど感受性が高く、分化の進んだ細胞
ほど感受性が低い。
胎児、小児:高感受性
成体
高感受性:生殖腺、骨髄、胸腺リンパ組織、ひ臓
中程度の感受性:皮膚、腸上皮、眼
低感受性:筋肉、結合組織、中枢神経、脂肪組織
放射線の生体に与える影響4
放射線被爆による障害
急性障害
低照射量レベル;細胞再生系の減少
血球数の変化(0.20 Sv以上)
骨髄死
腸障害(腸死 10 Sv以上)
高照射量レベル;
中枢神経障害による死(100 Sv)
慢性放射線障害、晩発性障害
悪性新生物(癌、白血病)誘導、免疫力低下
放射線白内障、 遺伝性異常の誘発、寿命の短縮等
電離放射線障害防止法
放射線業務従事者
実効線量(第4条)
<500 mSv/5年
<50 mSv/1年
妊娠可能女性 <5 mSv/3ケ月
等価線量(第5条)
<150 mSv/年(目の水晶体)
<500 mSv/年(皮膚)
妊娠中女性(第6条)
内部被爆
実効線量
腹部の表面被爆 等価線量
< 1 mSv
< 2 mSv
電離放射線障害防止法
第七条(緊急作業時における被ばく限度)
事業者は、第四十二条第一項各号のいずれかに該当する事故が発生し、同項の
区域が生じた場合における放射線による労働者の健康障害を防止するため
の応急の作業(以下「緊急作業」という。)を行うときは、当該緊急作業に従事
する男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性の放射線業務従事者
については、第四条一項及び第五条の規定にかかわらず、これらの規定に
規定する限度を超えて放射線を受けさせることができる。
2 前項の場含において、当該緊急作業に従事する間に受ける線量は、次の各号に
掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないように
しなければならない。
1)実効線量については、100mSv
2)眼の水晶体に受ける等価線量については、300mSv
3)皮膚に受ける等価線量については、1Sv
3 前項の規定は、放射線業務従事者以外の男性及び妊娠する可能性がないと診
断された女性の労働者で、緊急作業に従事するものについて準用する。
X線測定装置
1)X線通過の際に生じる気体の電離作用を利用し、生成した
電荷を測定するもの
電離箱、GMカウンター、シンチレーションカウンター、
ポケットチエンバー等
2)X線通過の際に生じる固体内の化学反応、励起反応を
利用したもの
ガラスバッヂ等(取扱時着用義務)
工学部でX線発生装置等周りの空間線量率に用いているのは、
電離箱、GMカウンターならびにシンチレーションカウンター
である。
X線発生装置責任者は、空間線量率が法定限度以下であること
を確認し、掲示する義務を負う。
被爆歴の記録
1)X線発生装置等を使用する際には、必ずガラスバッヂを着用しな
ければならない。
着用部位
男子および妊娠不能女子:胸部
妊娠可能女子:腹部
局所被爆が予想される場合はその部位
2)ガラスバッヂは2週間毎に交換し記録を集積していくので、無く
したり損じてはならない。
3)測定した記録は各個人に通達するので、被爆の有無を各自で確認
しなければならない。
4)X線発生装置等を使用する際には、氏名、使用条件、使用時間等
を備え付けの記録用紙に記さなければならない。
被爆の恐れがある場合
1)万一被爆した場合、あるいはその恐れがある場合には、直ちに
X線発生装置管理責任者に通知しなければならない。
2)被爆した場合、被爆量と被爆した部位が重要であり、これらが
わからない場合には装置の使用状況から算出する。このため、X線
発生装置の使用条件の記録を義務づける。
3)エックス線装置管理責任者は、放射線障害防止委員会委員長も
しくはエックス線作業主任者に事故の報告を行わなければならない。
責任者、防止委員会委員長ならびに作業主任者は、被爆したあるい
は被爆の恐れのある取扱者に対して医師の診断を行わさせなければ
ならない(工学部長)。
使用上の注意
1)X線の遮蔽は、高原子番号の物質(鉛等)で行う。あるいは、低
原子番号物質を用いる場合、遮蔽が行えるように十分厚みをとる。
2)電子顕微鏡等では、X線の遮蔽が十分に行われているが、X線回
折装置では発生装置からX線が洩れないように遮蔽をするとともに、
X線を照射している試料より回折又は反射するX線があるので、備え
付けの遮蔽窓を必ず閉め、ならびに装置を使用中であることを示す警
告灯をつけなければならない。
3)決して、X線を直接あびるような行動をしてはならないし、また
間接的な被爆を受ける恐れのないよう各装置の管理責任者の指示に
従って放射線防護措置を施し操作しなければならない。
健康の個人管理
工学部においては、X線等発生装置取扱者に、特別定期健康診断の受診、ガ
ラスバッヂの着用を義務づけている。これを怠った場合には、取扱者登録を
抹消する。
1)放射線を取り扱う者は、使用開始前に1回、使用後は半年を越えない期
間中に1回血液検査を受けなければならない。
2)健康管理医による被爆歴の有無、内容等の問診、皮膚、眼球及びその他
の健康診断を3カ月を越えない期間中に1回受けなければならない。
3)上記問診においては、放射線被爆の有無に関して、自己申告をしなけれ
ばならない。
4)上記の特別定期健康診断は、指定された日時にしか行わない。
5)万一放射線被爆を受けた場合には、取り扱っているX線発生装置の責任
者に直ちに申し出ること。
6)健康診断の結果は各個人に通達するので、自ら異常がないか確認する。
7)健康診断の記録は晩発性障害の恐れがあるので、保存する。
日本人の正常な血液所見
正常血球数(/mm3)
白血球数 6000-7000
赤血球数 男 500×104
女 450×104
血色素量 100%
(17mg/dl)
血小板数 30-50×104
(栓血球数)
白血球分率
リンパ球
単球
20-25%
5%
顆粒球
好中球 60-70%
好酸球 0.5-2%
好塩基球 0.5%
プラズマ細胞 0.5%
放射線防護の三原則
(1)遮蔽をする。
(2)線源から距離をとる。
(3)被爆時間を短くする。
X線回折装置
警告灯
ディテクター
空間線量率
測定の掲示
緊急時の連絡
掲示
使用簿の記帳
(名前、使用日時・
時間、管電圧・電流、
ターゲット物質、試
q
X線管
料等)
q
q
フィルムバッ
ジの着用
特別健康診断
の受診
試料
遮蔽