「放射線」とは

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Transcript 「放射線」とは

医学部・環境因子系
放射線の基礎と人体影響
先導生命科学研究支援センター
松田 尚樹
1
放射線の特徴
 無色、無臭
人間の五感では感知できない
 人体に障害を引き起こす
急性障害 晩発性障害など
 感知できない危険に対する人々の反応
無視する or 極度に不安になる
2
感知できない危険に対する人々の反応
 態度を決定するプロセスの二重過程モデル

Chaiken S: J Peronal Social Psychol, 30,1980
 システマティック処理

与えられた情報を十分に考え態度を決める
 ヒューリスティック処理


周辺的な手がかりにより態度を決める
問題を完全に避けるか問題を無視する(二値的)
3
飛行機搭乗
三菱自動車
X線検査
シンドラー社E V
アメリカ産牛肉
遺伝子組換食品
原子力発電
授業代返・代筆
真夏のUVケアなし
原発近隣生活
1
2
3
4
5
放射線 radiation
空間を伝わるエネルギーの流れ
E=(1/2)mv2
粒子線
粒子
運動エネルギー
電磁波
光子
振動エネルギー
E=hν
5
電離放射線 ionizing radiation
放射線のうち、空気を電離することのできるもの
一般に、「放射線」とは「電離放射線」を意味する
++++++++++
GMサーベイメータ
----------
陽極
電圧パルス検出
陰極
6
粒子線
粒子線
本体
電荷
透過性
α線
He原子核
++
低
β-線
陰電子
-
中
β+線
陽電子
+
中
陽子線
陽子
+
低
中性子線
中性子
なし
高
電離作用
あり
7
電磁波
電磁波
γ線
波長(cm)
電荷
透過性
電離作用
高
あり
中
なし
10-15~10-9
X線
10-10~10-5
紫外線
1~3.8x10-5
可視光線
3.8~7.8x10-5
赤外線
8x10-5 ~1x10-2
なし
8
放射線はどこから出てくるか?
(1)
 原子核の中から


放射性同位元素(radioisotope)の壊変による
 α線、β線、γ線
核反応、核分裂による
 陽子線、中性子線
 原子核の外から
 X線
9
Isotope アイソトープ
同位体・同位元素
陽子の個数が同じで、中性子の個数が異なっている原子の仲間
電子(electron)
中性子(neutron)
陽子(proton)
水素
重水素
1H
2H
トリチウム
3H
質量数(陽子数+中性子数)
10
Radioisotope ラジオアイソトープ
放射性同位元素
放射線を出して他の種類の原子核に変化するアイソトープ
α線
ヘリウム(He)の原子核
β線
電子
γ線
電磁波
α壊変
β壊変
α・β壊変に伴う
11
α線・α壊変
4Heの原子核
紙
親核種
226Ra
陽子
中性子
222Rn
88
138
陽子
中性子
娘核種
86
136
12
β線・β壊変
電子(electron)
紙
3H
陽子
中性子
アクリル板
3He
1
2
陽子
中性子
2
1
13
γ線
親核種
α崩壊
α線
β崩壊
β線
娘核種(不安定状態)
電磁波
(光子)
紙 アクリル板
鉛板
娘核種(安定状態)
14
半減期
壊変によって親核種の数が半分になるまでの時間
→ 放射性同位元素の種類によって定まっている
1
親
核
種
の
残 1/2
存
割
合 1/4
1/8
1半減期
2半減期
3半減期
経過時間
15
40K
 β崩壊
 半減期12.8億年
 天然の状態で全カリウム中 0.0117%含まれる
→ 天然放射性同位元素
 体内には 全カリウムとして0.2mg/kg体重の割合で存在
16
232Th (トリウム)
238U (ウラン)
 土壌や建材中に含まれている天然放射性同位元素
 安定同位元素になるまで次々に崩壊していく
→ 天然の崩壊系列
17
238U
234U
4.5x109y
234Pa
a
234Th
b
1.2 m
6.8 h
2.5x105y
b
a
230Th
7.5x104y
24 d
a
b
1.6x103y
222Rn




ラドン
希ガス
空気中に漏出
ホコリに吸着
3.8 d
a
218Po
1.5 s
a
226Ra
a
218At
b
214Bi b
20 m
a, g
210Tl b
1.3 m
214Po
210Po
164μs
210Bi b
a
5d
210Pb b
a
138 d
a
206Pb
206Tl b
22.3 y
a
206Hg b, g
4.2 m
8.2 m
3.1 m
a
214Pb
26.8 m
ウラン系列
放射線はどこから出てくるか?
(2)
 原子核の中から


放射性同位元素(radioisotope)の壊変による
 α線、β線、γ線
核反応、核分裂による
 陽子線、中性子線
 原子核の外から
 X線
19
核反応
1つの原子核に他の原子核や陽子、中性子、
光子などを衝突させたときに起こる反応
14N(n,p)14C
32S(n,p)32P
20
核分裂
重い原子核が2個以上の原子核に分裂する現象
巨大エネルギー
中性子
235U
235U
γ線
核分裂片
連鎖反応
(臨界)
21
放射線はどこから出てくるか?
(3)
 原子核の中から


放射性同位元素(radioisotope)の壊変による
 α線、β線、γ線
核反応、核分裂による
 陽子線、中性子線
 原子核の外から
 X線
22
制動X線
電子
(-)
加速する
(エネルギーを得る)
失ったエネルギーが放出される
制動X線
原子核
(+)
減速する
(エネルギーを失う)
23
特性X線
特性X線
電子が外軌道から内軌
道に移った時にエネル
ギーが放出される
24
放射線 radiation
空間を伝わるエネルギーの流れ。
空気を電離する能力を持つ粒子線
または電磁波を、特に電離放射線と
いう。
放射能 radioactivity
放射線を出すことの出来る能力。
放射性同位元素は放射能を持つ。
25
放射線の主要な性質
 電離作用
 物質を直接的あるいは間接的に電離する
 生体影響の原理
 励起作用
 物質にエネルギーを与える
 余ったエネルギーが蛍光や分子結合切断として発散される
 生体影響の原理
 写真作用
 写真フィルムを感光させる
 放射線診断の原理
26
放射線の人体影響
分類1
影響
確定的
影響
分類2
確率的
影響
急性
影響
分類3
晩発
影響
身体的
影響
遺伝的
影響
白血球減少
不妊
胎児奇形
皮膚紅斑・脱毛
白内障
がん
子孫の異常
?
?
?
27
放射線の人体影響
放射線防護の観点からの区分
しきい値
頻度 100
(%)
 確定的影響
 しきい値を越えて被ばくした場合に現れ
る
 確率的影響
 しきい値が存在せず、線量の増加とと
もに影響の発生確率が増加する
 がん
 遺伝的影響
50
0
発生
確率
(%)
線量
10
5
0
線量
28
放射線の標的
DNA
80% 水(H2O)
20% 有機高分子
29
放射線による染色体異常
30
直接作用
DNAの放射線による分解反応
H2O
radicals
間接作用
細胞内の水分子の分解によるラジカルを介したDNAの分解作用
31
塩基損傷
修復酵素
放射線
修復
1本鎖切断
2本鎖DNA
2本鎖切断
生物影響
修復不可能
不完全修復
損傷
自然発生(/細胞/日)
放射線誘発(/細胞/Gy)
塩基損傷
20,000
300
1本鎖切断
50,000
1,000
2本鎖切断
10
300
DNA損傷の cellular outcome
DNA損傷
修復不能
不完全修復
 遺伝情報を複製できない

 間違った遺伝情報を持つ
細胞増殖の停止
 遺伝情報を翻訳できない


DNAの変異
タンパク合成の停止
細胞死
突然変異
33
一定量以下の
DNA損傷であれ
ば、すべて修復で
きる。
一定量以上の線
量で障害が起こる。
細胞死
組織、機能障害
確定的影響
突然変異
遺伝的不安定性
確率的影響
・がん
・遺伝的影響
不完全な修復は、
DNA損傷量にかか
わらず、一定の確
率で起こる。
どんなに低線量で
も、障害がおこる
可能性がある。
34
放射線の単位
 吸収線量
 等価線量
 実効線量
人
体
影
響
放射線量
35
吸収線量(Gy:グレイ)
 ある任意の物質中の単位質量あたりに放射線により付与されたエ
ネルギーの平均値
 1Gy=1J/kg

放射線が1kgの物質と相互作用した結果、1Jのエネルギー
吸収があるときの吸収線量
放射線
1 kg
エネルギー吸収
1J
36
等価線量(Sv:シーベルト)
 組織・臓器における放射線の影響を、放射線の種類やエネルギーによる
違いを補正し、共通の尺度で表現する量
 組織・臓器の平均吸収線量(Gy)x 放射線荷重係数
放射線
組織
臓器
吸収線量
等価線量
Gy
Sv
放射線荷重係数による補正
37
放射線荷重係数
 主に発がんを指標とした生物学的効果をもとに決定
放射線の種類
エネルギー範囲
放射線荷重係数
光子(γ線、X線)
全エネルギー
1
電子(β線)
全エネルギー
1
E < 10 keV
5
10 keV < E <100 keV
10
100 keV < E < 2 MeV
20
2 MeV < E < 20 MeV
10
20 MeV < E
5
E > 2 MeV
5
中性子
陽子
α粒子、核分裂片、重い原子核
20
38
実効線量(Sv:シーベルト)
 等価線量を組織荷重係数によって補正し、全身の放射線影
響(発がん)の指標となる量
 人体の12の組織および残りの組織における「等価線量x組織
荷重係数」の総和
組織・臓器
吸収線量
等価線量
実効線量
放射線
? Sv
Sv
Sv
組織荷重係数による補正
39
組織荷重係数
 全身が均等に被ばくした場合の影響に対する、それぞれの組
織・臓器が被ばくした場合の影響の相対的割合
組織・臓器
組織荷重係数
組織・臓器
組織荷重係数
生殖腺
0.20
肝臓
0.05
赤色骨髄
0.12
食道
0.05
結腸
0.12
甲状腺
0.05
肺
0.12
皮膚
0.01
胃
0.12
骨表面
0.01
膀胱
0.05
乳房
0.05
残りの
組織・臓器
0.05
40
確定的影響と しきい線量(1)
標的組織
症 状
白血球減少(感染症)
骨髄
0.5
赤血球減少(貧血)
2–6
血小板減少(出血)
2-6
男性
不妊
女性
眼
しきい線量(Gy)
水晶体混泥
白内障
一時的不妊
永久不妊
一時的不妊
永久不妊
分類
急性影響
身体的影響
0.15
3.5 – 6
0.65 – 1.5
急性影響
身体的影響
2.5 - 7
0.5 – 2
5
晩発影響
身体的影響
41
確定的影響と しきい線量(2)
標的組織
症状
胚死亡 流産
胎児
奇形
精神発達遅延
皮膚
しきい線量(Gy)
0.05 – 0.1
0.1
0.12 – 0.2
一時的紅斑
2
一時的脱毛
3
壊死
18
分類
急性影響
身体的影響
急性影響
身体的影響
42
確率的影響
さまざまな被ばくによる発がん
放射線被曝
放射線治療
放射線診断
職業被曝
発電所事故
放射線誘発がん
脊髄疾患のX線治療
照射部位、骨、白血病
骨盤内疾患のX線治療
消化管、白血病
血管造影(トロトラスト)
肝臓、胆道、白血病
胎児の被曝
白血病
頻回の胸部X線透視
乳腺
ウラン鉱山
肺
文字盤工(ラジウム)
骨、副鼻腔
放射線技師
白血病
チェルノブイリ
小児甲状腺
43
確率的影響
原爆被爆者の発がんリスク
潜伏期は白血病が2〜5年、その他のがんは10年以上
44
原爆被爆者の被ばく線量域とがん発生リスクの関係
がん発生の上昇を示す疫学的
証拠が得られる最小線量
急性被ばく
10-50 mSv
慢性被ばく
50-100 mSv
45
10~100mSv以下の低線量放射線の影響を推定
する最も適切なモデルは何か?
a
b
c
d
e
しきい値なし直線モデル
Linear Non-Threshold (LNT)
下向きカーブ
上向きカーブ
しきい値あり直線モデル
ホルミシスモデル
46
実効線量限度(一般公衆)
 1mSv/年
47
名目発がんリスク係数(一般公衆)
detriment-adjusted nominal risk coefficients for cancer
(whole population)
ICRP1990 6.0 x 10-2 / Sv
6.0 x 10-5 / mSv
1 人/ 16,667 人
ICRP2007 5.5 x 10-2 / Sv
5.5 x 10-5 / mSv
1 人/ 18,182 人
ICRP : International Commission on Radiological Protection
国際放射線防護委員会
48
実効線量限度(放射線業務従事者)
 100mSv/5年

ただし50mSv/年を越えないこと
 妊娠可能な女子の場合の特例

5mSv/3月
49
名目発がんリスク係数
(放射線業務従事者)
detriment-adjusted nominal risk coefficients for cancer (adult workers)
ICRP1990
4.8 x 10-2 / Sv
4.8 x 10-5 / mSv
ICRP2007
4.1 x 10-2 / Sv
4.1 x 10-5 / mSv
年平均線量限度(20mSv)を40年間浴び続けたとすると
4.1 x 10-5 x 20 x 40 = 0.0328
3.2人 / 100人
50
名目遺伝的影響リスク係数(一般公衆)
detriment-adjusted nominal risk coefficients for hereditary effects
(whole population)
ICRP1990 1.3 x 10-2 / Sv
1.3 x 10-5 / mSv
1 人/ 76,923 人
ICRP2007 0.2 x 10-2 / Sv
0.2 x 10-5 / mSv
1 人/ 500,000 人
51
リスクの比較
(人口10万人あたりの年間死亡者概数)
全死因
848.5
放射線発がん
(放射線業務従事者)
4.1
がん
255.1
水難事故
0.70
心疾患
135.4
インフルエンザ
0.55
脳血管疾患
103.9
他殺
0.52
喫煙発がん(現状)
80.0
自然災害
0.10
喫煙発がん(1000円)
30.0
HIV
0.04
自殺
23.9
食中毒
0.004
交通事故
9.1
落雷
0.002
放射線発がん
(一般公衆)
5.5
BSE感染牛による
クロイツフェルトヤコブ病
0.0009
いろいろな事項についての10万人あたりの年間死亡数、体質研究会、http://www.taishitsu.or.jp/risk/risk2006.html
52
リスクのモノサシ、中谷内一也、NHKブックス
Because of the uncertainty on effects at low doses, the
Commission judges that it is not appropriate, for the formal
purpose of public health, to calculate the hypothetical number
of cases of cancer or heritable disease that might be
associated with very small radiation doses by large numbers
of people over very long periods of time.
ICRP draft recommendations 2007
53
チェルノブイリ原子力発電所事故
 1986年4月26日に発生。
 原子炉内の多量の放射性物質が大気中に放出。
 現在のウクライナ、ベラルーシ共和国及びロシア連邦
に及ぶ地域が汚染。
 急性放射線障害による死者は28名。
 2004年までの間に19名ががんで死亡。被ばくとの因果
関係は不明。
 周辺地区において小児甲状腺がんが有意に増加。
54
小児甲状腺がん
WHO: 2006
The Chernobyl Forum: 2003-2005
55
朝日新聞 2006年4月27日
56
チェルノブイリ原子力発電所事故によるがん死のリスク
Cardis et al. 1996
対象
事故処理
作業者
1986-1987
人口
平均被ばく
線量
がんの
種類
固形がん
200,000
100mSv
白血病
固形がん
避難住民
半径30km
高度汚染
地区住民
その他の
汚染地区**
住民
135,000
10mSv
白血病
固形がん
270,000
50mSv
白血病
固形がん
6,800,000
7mSv
*生涯:95年、初期:10年
白血病
自然発がん死
事故による発がん死
期間*
発生数
発生率
発生数
発生率
寄与率
生涯
415,000
21
2,000
1
5
生涯
800
0.4
200
0.1
20
初期
40
0.02
150
0.08
79
生涯
215,000
16
150
0.1
0.1
生涯
500
0.3
10
0.01
2
初期
65
0.05
5
0.004
7
生涯
43,500
16
1,500
0.5
3
生涯
1,000
0.3
100
0.04
9
初期
130
0.05
60
0.02
32
生涯
800,000
16
4,600
0.05
0.6
生涯
24,000
0.03
370
0.01
1.5
初期
3,300
0.05
190
0.003
5.5
**Cs-137>37kBq/m3
3,960
4,970
チェルノブイリ原子力発電所事故によるがん発生死
International Agency for Research on Cancer/WHO, 2006
事故による発がん死
対象
人口
平均被ばく線量
発生数
寄与率
事故処理作業者
避難住民
高度汚染地区住民
600,000
66mSv
4,000
3.5
事故処理作業者
避難住民
高度汚染地区住民
その他の地区住民
~6,000,000
14mSv
9,000
0.9
~570,000,000
0.5mSv
16,000
0.01
ヨーロッパ全土
5.6人/10万人/mSv
放射線生物学上の謎
 非標的細胞への作用?

bystander effect
 DNA損傷修復後の細胞における遺伝的不安定性
の誘導?
 genetic instability
 低線量に対する細胞応答の特異性?

low dose hyper-radiosensitivity
59
The bystander effect of radiation
Damage signals may be transmitted from irradiated to non-irradiated
cells in a population, leading to the occurrence of biological effects
that receive no radiation exposure.
Gene expressions
Genetic effects
- DNA damage, cell killing,
mutation, transformation
damage signals
biological effect
irradiated cells
non-irradiated cells
Gap Junctional Intercellular Communication
Extracellular Soluble Factors
Co-culture experiment
X-ray
irradiated cells
recipient cells
Phosphorylated H2AX and ATM
Micronucleus assay
Mutation assay (at hprt locus)
Bystander cells
Irradiated cells
Focus of phosphorylated ATM and g-H2AX
Red : phosphorylated ATM
Green : g-H2AX
Non-targeted cells cocultured with 1Gy-irradiated cells
照射細胞との共培養により非照射細胞にDNA損傷が誘導される
0.4
0.3
0.2
0.1
0
非照射細胞同士
の共培養
非照射細胞と照
射細胞の共培養
Micronucleus formation
mitosis (telophase)
binuclear cell
micronucleus
照射細胞との共培養により非照射細胞にDNA損傷が誘導される
350
300
250
200
150
100
50
0
非照射細胞同
士の共培養
非照射細胞と照
射細胞の共培養
非照射細胞と照射
細胞(抗酸化剤処
理)の共培養
照射細胞との共培養により非照射細胞に突然変異が誘導される
突然変異頻度 (10-6)
9
5
0
非照射細胞同士 非照射細胞と照
の共培養
射細胞の共培養
遺伝的不安定性
渡邉, 放射線のおよび環境化学物質による発がん, 医療科学社
極低線量照射によるDNA損傷は修復しない?
Rothkamm and Lobrich, PNAS, 2003
CT受診患者のDNA損傷は修復する?
Lobrich et al., PNAS, 2005
謎は深まる
 放射線の非標的細胞においても、DNA損傷、微小核形
成、および突然変異が生じる

細胞間のシグナル伝達が起こっている?
 DNA損傷を修復し生存を続けた細胞が、分裂を繰り返し
た後に突然変異を起こす可能性がある

細胞には放射線の痕跡が残されている?
 極低線量ではDNAの損傷が修復されずに長期にわたっ
て残存する


アポトーシス(細胞の自殺)によって除外される?
生体内では損傷は残存しない?
71