治水パワーポイントファイル
Download
Report
Transcript 治水パワーポイントファイル
「辰巳ダムの過大な基本高水」
2012年7月8日
説明者: 久保田康宏
1
1 基本高水とは
• 基本高水とは、
• 洪水防御に関する計画の基本となる洪水のことで
あり、
• そのピーク流量を基本高水ピーク流量といい、
• 同じ意味の言葉として使用されている。
• ①昔は、既往最大洪水流量で定められていたが、
• ②現在は、確率論的に推測する治水安全度の考え
方に基づいて定められている。
2
1
2 過大な数値が算定された原因
その計算の過程に3つの問題
①対象降雨量の問題,
②異常な降雨波形を棄却する
基準の問題,
③飽和雨量の問題
2
3 対象降雨量の問題
1/100の2日雨量
被告:極値3分布 → 314ミリメートル
原告:12分布モデル → 284ミリメートル
350
314
適合度
0.035
284
適合度
0.024
雨量(ミリメートル)
300
250
200
150
100
50
0
被告
原告
4
4 異常な降雨波形を棄却する基準の問題
1/100の3時間雨量
• 被告:12分布 → 142ミリメートル
• 原告:12分布 → 126ミリメートル
平成7年型 139ミリ 次順位の昭和36年型 99ミリ
160
3時間雨量(ミリ)
140
120
142
1741
平成7年型139ミリ
126
1312
次順位の昭和36年型99ミリ
100
80
60
40
20
0
5
5 飽和雨量の問題
飽和雨量とは、
降雨で地表が飽和状態になるという目安の雨量
被告:県の検証結果以上の採用 100ミリメートル
原告:県の検証結果どおりの採用 113ミリメートル
飽和雨量(ミリメートル)
•
•
•
•
114
112
110
108
106
104
102
100
98
96
94
92
113
1741よりも小さ
くなる
1741
100
6
被告
原告
6 まとめ
流量(立方メートル毎秒)
• 基本高水は、1750ではなく、
• ②棄却で1312を選択し → ①対象降雨で10%小さくなり(1180?) →
③飽和雨量でさらに小さくなり(1110?)
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
1750
②適正な棄
却基準
1312
被告
原告1
①適正な対
象降雨
原告2
③適正な飽
和雨量
原告3
7
7 3つの比較の視点
•
•
•
①カバー率50パーセントの数値との比較,
②過去の既往洪水記録との比較,
③ 石川県が実施した流出計算との比較
8
8 カバー率50パーセントの数値
計画ハイドログラフ群の24のピーク流量
--ピーク流量を降順に並べる--
カバー率
80%値
カバー率60%値
カバー率50%値
③統計的に最も確
からしい
9
37
9 過去の既往洪水記録との比較
10
10 石川県が作成した流出計算との比較
過去62年間の基準点最大流量
11
47
11 3つの比較
12
12 検証がされていない
基本高水ピーク流量の数値が妥当であると判断
するためには,
妥当性に関する検証を実施することが不可欠で
ある。
それにもかかわらず,これが妥当であるとの根拠
が何一つ提示されていない。
13
13 流量確率評価
基本高水ピーク流量から
ダム調整後の数値
1/100推定値
流量(立方メートル毎秒)
辰巳ダム計画値1460
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
371~405
26
370~474
27
362~476
30
流量観測年数
14
14 雨量データによる流量確率評価
流量(立方メートル毎秒)
1/100推定値
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
辰巳ダム計画値1750(飽和雨量100)
1337
約1100
100
0
飽和雨量
15
15 比流量
16
16 まとめ(基本高水との比較)
犀川治水計画
1750
平成7年型棄却
1312
カバー率50%
946
過去の洪水
770930
(昭和8、28年、36年)
流量確率評価(雨量)
比較対象の
1/100推定値
1750
700±50
1337(飽和雨量0)
約1100(飽和雨量100)
比流量
約1280
0
500
1000 1500 2000
流量(立方メートル毎秒)
16 まとめ2(基本高水との比較)
昭和53年流量観測開始以降
浅野川放水路
120
1750
犀川治水計画
1870
既存ダム調整
1460
過去の洪水
(平成10、16年)
犀川/内川ダム
調整410
352
364
データ26年 371~405
データ27年 370~474
データ30年 362~476
流量確率評価
0
500
1000
比較の対象とする
1/100推定値
1460
1500
流量(立方メートル毎秒)
2000
16 結論
本件基本高水ピーク流量は,
①その計算過程に過大な数値を算定する危険性
が認められ,
②カバー率50パーセントの数値などとの比較か
ら,過大が明白であった状況のもとで,
③新基準にのっとり,その妥当性について,検証
が行われるべきであったにもかかわらず,
④検証なく,妥当と結論。
19
おわり
58
20
その他
58
21
原告第10準備書面3頁
「1 対象降雨量(2日雨量)314ミリメートルの計算過
12分布と
程が不合理であること」
確率評価するため
極値3分布
するべき!
同7頁
「2 異常な降雨波形を棄却するための基準が著しく不
合理であること」
確率評価するため
12分布
について、被告の前記説明を踏まえた上で、LN3Q法
原告も同じ
の意義やジャックナイフ推定値とジャックナイフ推定
考え!
誤差の違いに言及しながら説明してください。
22
毎年最大の雨量、流量データを
「確率分布」で評価
第一 : 適合度評価
SLSC値(標準最小二乗基準): 少なくとも0.040
以下、 0.030以下であれば良好
データと確率分布とのズレが小さい → 適合度が良い
第二 : 安定性評価
ジャックナイフ推定誤差 : 最も小さいもの
新データを加えても算定結果が左右されにくい
→ 安定性が良い
23
2の(2)について
対象降雨量 314ミリメートルの計算過程が不合理であること
確率分布数
被 告
極値3分布
適合度評価
(SLSC値)
0.040以下は2分
布、0.030以下は
なし
安定性評価
21.0~30.4
(ジャックナイフ推定誤差)
のうち、最小
採用分布
2日雨量
グンベル分布
0.035 21.0
314ミリメートル
原 告
棄却基準の考え
方と食い違い
適合度の良い分
布がない
24
棄却基準の考え方と食い違い
• 被告は、「年最大2日雨量は極値であり、極値
理論による極値分布を優先する。」という理由
で、3種類の極値分布で確率評価している。
• 一方、棄却基準のところでは、上記の3分布を
含む12種類の確率分布を用いて評価している。
適合度の良い分布がない
• 極値3分布では、SLSC値が 0.03 以下の分
布がない。
25
追加1
追加2
2日雨量の確率評価(極値3分布)
(適合度)
10
28
2日雨量の確率評価(極値3分布)
SLSC値が0.04
以下は、2分布
(適合度)
11
29
2日雨量の確率評価(極値3分布)
ジャックナイフ推定誤差
が小さい分布を選択
ジャックナイフ上限値
ジャックナイフ推定誤差 (安定性)
ジャックナイフ推定値
30
13
2の(2)について
対象降雨量314ミリメートルの計算過程が不合理であること
確率分布数
被告
原告
極値3分布
12分布
適合度評価
(SLSC値)
0.040以下は8分
布あり、0.030以
下は6分布
安定性評価
21.6~30.3
のうち、最小
(ジャックナイフ推定誤差)
採用分布
LN3Q分布
0.024
2日雨量
314ミリメートル
21.6
282ミリメートル
31
14
2日雨量の確率評価(12分布)
(適合度)
16 32
2日雨量の確率評価(12分布)
SLSC値が0.03以下の
良好なものが、6分布
(適合度)
17 33
2日雨量の確率評価(12分布)
ジャックナイフ推定誤差が
最も小さい分布を選択
ジャックナイフ上限値
ジャックナイフ推定誤差
ジャックナイフ推定値
34
19
2の(2)について
対象降雨量314ミリメートルの計算過程が不合理であること
確率分布数
適合度評価
(SLSC値)
安定性評価
被告
原告
極値3分布
12分布
0.040以下は、2分布、
0.040以下は、8分布あり、
0.030以下無し
0.030以下6分布
21.0~30.4
のうち、最小
21.6~30.3
のうち、最小
採用分布
グンベル分布
0.035 21.0
LN3Q分布
0.024 21.6
2日雨量
314ミリメートル 282ミリメートル
(ジャックナイフ推定誤差)
適合度が劣り、
信頼性が小さい
×1.11倍
適合度がよく、
35
信頼性が高い
20
2の(2)について
対象降雨量314ミリメートルの計算過程が不合理であること
まとめ :
被告は、適合度の良好な確率分布を選択していない
適合度が劣るグンベル分布で314ミリメートルを決定
基本高水ピーク流量が過大になった原因のひとつ
21
2の(2)について
異常な降雨波形を棄却するための基準が著しく不合理であること
被告
確率分布数
適合度評価
(SLSC値)
安定性評価
(ジャックナイフ推定誤差)
採用分布
12分布
0.040以下は10
分布あり、すべて
0.030以下
8.6~17.4
のうちの最大
LN3Q分布
0.024
犀川大橋基準点流
域平均3時間雨量
原告
安定性が最も悪
い!
17.4
142ミリメートル
(=124.5+17.4)
37
22
犀川大橋基準点流域平均3時間雨量の確率評価
SLSC値が0.04以下、かつ、
0.03以下が 10分布
(適合度)
24 38
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
SLSC値が0.04以下、かつ、
0.03以下が 10分布
25 39
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
被告
ジャックナイフ推定誤差が最
も大きい分布の上限値を選
択:安定性が悪い
ジャックナイフ上限値
ジャックナイフ推定誤差
27
40
流域平均3時間雨量の評価(12分布)
ジャックナイフ
推定誤差
原告
ジャックナイフ推定誤差が
最も小さい分布の上限値
を選択:安定性がよい
被告
28
41
2の(2)について
異常な降雨波形を棄却するための基準が著しく不合理であること
確率分布
適合度評価
(SLSC値)
被告
原告
12分布
同左
0.040以下は
10分布あり、すべ
て0.030以下
8.6~17.4
安定性評価
のうちの最大
(ジャックナイフ推定誤差)
LN3Q分布
採用分布
0.024
基準点流域平均
3時間雨量
17.4
同左
8.6~17.4
のうちの最小
グンベル分布
0.023
8.6
142ミリメートル 126ミリメートル
(=124.5+17.4)
(=117+8.6)
42
29
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
被告の棄却基準 141.9
原告の棄却基準 125.6
30
43
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
Gumbel分布1/500確
率水文量を超えている!
LN3Q分布1/400確率
水文量を超えている!
原告の棄却基準 125.6
3144
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
被告の棄却基準 141.9
平成7.8.30型は、Gumbel分
布1/400を超える
45 32
2の(2)について
異常な降雨波形を棄却するための基準が著しく不合理であること
まとめ :
被告は、安定性が悪いLN3Q分布で棄却基準を決め、
基準点流域平均3時間雨量を142ミリメートルとした。
1/400確率
を超える平成7年型が棄却されず。
基本高水ピーク流量が過大になった原因の一つである。
33
46
「旧基準」による基本高水ピーク流量の決め方
計画2日雨量
降雨波形群
計画ハイドログラフ群
314mm
① 33の実績降
雨を引き伸ばし
② 9つを棄却して、
24候補を選択して、
基準点流量を算出。
47
35
計画ハイドログラフ群の24のピーク流量
--ピーク流量を降順に並べる--
36
48
計算ピーク流量とカバー率の関係
④ 24の候補のうち、
カバー率 50%(中位
数)値以上、最大値の
間で慎重に決めること
2番目 →
⑤ 旧基準で慎重に判断す
ると、1750 は過大であり、
大きく見ても 1300 程度を
予測すべきである。
「カバー率 60~80 %程度になった
例が多い。」⇒1064~1276
1300程度と予測すべき
(2番目は、1312)
24の候補について、カバー率と
流量の関係を図示
1312
平成7年型は
外れ値
38
49
甲第24号証より
カバー率と流量の関係
●
平成7年型は
外れ値
39
50
⑥石川県想定の基本高水ピーク流量は、
平成7年型棄却の1.33倍!
1800
1741
×1.33倍
1600
1312
流量(m3/秒)
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
石川県想定
石川県想定
原告想定
平成7年型棄却
40
51
100年に1回の洪水のピーク流量
• 以上の検討結果に基づいて、論理的に検証すると、100年
に1回の洪水のピーク流量は以下のようになる。
• 先に述べた24のピーク流量から平成7年型洪水を棄却した
データを用いて、カバー率50%の流量を求めると、約 930
m3/秒となる。
• その結果に対象降雨量に関する修正を行い、282mm/314
mmを乗じた流量 835m3/秒が、近似的に100年に1回の
洪水のピーク流量となる。
• 論理的に求められる100年に1回の洪水のピーク流量は、
過去の洪水流量の記録を用いて検証することができる。
41
52
実際に採用されている基本高水ピーク流量
・実際の基本高水ピーク流量は、治水計画の安全性を考慮して、一
般的には、論理的に求められる100年に1回の洪水のピーク流量
よりも大きい値が採用されている。
・旧基準では、「この値(カバー率)が60~80%程度となった例が多
い。」とされているが、実際には計算流量の内の最大のものを採
用している場合がほとんどである。このことが、諸河川の治水計
画での基本高水ピーク流量を過大にする主要な原因である。
・新基準では、計算された流量のうちの最大のものを採用することと
している。この際、流量確率などを用いて検証することが必要で
あるとしている。
・犀川の場合には、降雨波形の棄却基準が不合理であるため、一般
的に過大であるピーク流量より、さらに1.33倍も大きい基本高水
ピーク流量が採用されている。
42
53
2の(4)について
過去の洪水量と比較して,本件基本高水
ピーク流量が著しく過大であること
過去100年間の大洪水
・ 昭和8年前線豪雨
930m3/秒 (石川県が雨量から推定)
・ 昭和36年第二室戸台風
700±50 m3/秒 (石川県が洪水痕跡から推定)
・ 平成10年台風7号
864 m3/秒 (石川県が流量観測記録)
44
54
過去の洪水と基本高水ピーク流量の比較
基本高水ピーク流量
1750
1800
1600
1400
流量(m3/秒)
1200
1000
過 去 100 年 間 の 大 洪 水
930
800
700±50
( 750 ~650)
864
600
400
200
0
昭和8年豪雨
第二室戸台風
平成10年台風7号
石川県想定
45
55
二大洪水の比較
1400
1200
流量(m3/秒)
1000
800
1211 ← ほぼ同じ規模の大洪水 → 1192
(実際の流出)
流量観測値
(実際の流出)
洪水痕跡推定値
864
700 ±50
164±50
誤差:約20%
600
400
200
0
昭和36年第二室戸
平成10年台風7号
雨量から計算した全量流出(飽和雨量ゼロ)流量
観測流量
48
56
被告の「比流量による検証」の説明
被告の基本高水ピーク流量 1750 m3/秒の検証
57
49
比流量の比較では検証にならない
【その理由】
・本支川、他河川とのバランスを見るもので、ピーク流量の妥当
性を検証するものでない。
・検証する際の上下限の幅が大きい。
例えば、1280 ~ 2030 m3/秒(750 m3/秒)の幅がある。
【検証に必要なこと】
1/100流量の妥当性を評価できること
→ そのためには、「実績の流量記録から推定した1/100
確率流量」、あるいは、「過去100年間の最大規模の洪水」
などとの比較が必要である。
50
58
検証する際の上下限の幅
2030 m3/秒
1280 m3/秒
検証する際の上下限の幅が大きい。
例えば、1280 ~ 2030 m3/秒(750 m3/秒)の幅がある。
⇒ 検証にはならない。
51
59
基本高水ピーク流量の検証
【検証1 】 (原告第10準備書面33~35頁)
30年間の観測流量による流量確率評価:
803~1096m3/秒
【検証2 】 (原告第10準備書面35~36頁)
57年間の観測雨量から求めた流量による
流量確率評価:
1080m3/秒
52
60
2の(5)について
犀川本川の流域定数 ー飽和雨量についてー
石川県が検証洪水で求めた飽和雨量
犀川ダム地点 → 平均102mm
内川ダム地点 → 平均106mm
下菊橋地点(犀川大橋隣接地点)
→ 平均113mm
平 均
100mm
不合理な点
①犀川ダム、内川ダムを二重にカウント
②113mmを100mmとする理由が不明
55
61
下菊橋地点(犀川大橋隣接地点)の飽和雨量の検証
平成10年
台風7号
56
62
飽和雨量の設定値に対するピーク流出量
30ミリ→2043
100ミリ→1741
190ミリ→1193
石川県作成資料より:飽和雨量と基本高水ピーク流量について
57
63