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原告に説明を求める事項
2010年8月11日
進行協議(勉強会)
原告説明者: 上 野 鉄 男
中 登史紀
1
2の(1)について
被告第7準備書面6頁「ウ 異常降雨波形を
除外するための棄却基準」について、
基準地点(犀川大橋)の3時間雨量並びに犀川
ダム及び内川ダム両地点の1時間雨量につ
いて言及がされていますが、
このうち原告が争点とするのは、犀川大橋基
準点流域平均3時間雨量の棄却限界に
ついてでしょうか。
2
2の(1)について
(争点とする棄却限界)
基準点の基本高水ピーク流量を決定づけるのは、
3時間雨量なので、
原告が争点とするのは、
犀川大橋基準点流域平均3時間雨量
の棄却限界です。
3
質問事項 2の(2)について
原告第10準備書面3頁
「1 対象降雨量(2日雨量)314ミリメートルの計
算過程が不合理であること」
同7頁
「2 異常な降雨波形を棄却するための基準が著
しく不合理であること」
について、被告の前記説明を踏まえた上で、LN3Q法
の意義やジャックナイフ推定値とジャックナイフ
推定誤差の違いに言及しながら説明してください。
4
2の(2)について
原告第10準備書面3頁
「1 対象降雨量(2日雨量)314ミリメートルの計算過
12分布と
程が不合理であること」
確率評価するため
極値3分布
するべき!
同7頁
「2 異常な降雨波形を棄却するための基準が著しく不
合理であること」
確率評価するため
12分布
について、被告の前記説明を踏まえた上で、LN3Q法
原告も同じ
の意義やジャックナイフ推定値とジャックナイフ推定
考え!
誤差の違いに言及しながら説明してください。
5
毎年最大の雨量、流量データを
「確率分布」で評価
第一 : 適合度評価
SLSC値(標準最小二乗基準): 少なくとも0.040
以下、 0.030以下であれば良好
データと確率分布とのズレが小さい → 適合度が良い
第二 : 安定性評価
ジャックナイフ推定誤差 : 最も小さいもの
新データを加えても算定結果が左右されにくい
→ 安定性が良い
6
2の(2)について
対象降雨量 314ミリメートルの計算過程が不合理であること
確率分布数
被 告
極値3分布
適合度評価
(SLSC値)
0.040以下は2分
布、0.030以下は
なし
安定性評価
21.0~30.4
(ジャックナイフ推定誤差)
のうち、最小
採用分布
2日雨量
グンベル分布
0.035 21.0
314ミリメートル
原 告
棄却基準の考え
方と食い違い
適合度の良い分
布がない
7
棄却基準の考え方と食い違い
• 被告は、「年最大2日雨量は極値であり、極値
理論による極値分布を優先する。」という理由
で、3種類の極値分布で確率評価している。
• 一方、棄却基準のところでは、上記の3分布を
含む12種類の確率分布を用いて評価している。
適合度の良い分布がない
• 極値3分布では、SLSC値が 0.03 以下の分
布がない。
8
追加 配布の表(その1)
乙140号証
表-4.7
確率2日雨量
の確率評価
極値3分布→
適合度SLSC値 →
1/100確率水文量 →
9
2日雨量の確率評価(極値3分布)
(適合度)
10
2日雨量の確率評価(極値3分布)
SLSC値が0.04
以下は、2分布
(適合度)
11
追加 配布の表(その1)
乙140号証
表-4.7
確率2日雨量
の確率評価
極値3分布 →
適合度SLSC値 →
1/100確率水文量 →
1/100ジャックナイフ推定値
→
1/100ジャックナイフ推定誤差
→
12
2日雨量の確率評価(極値3分布)
ジャックナイフ推定誤差
が小さい分布を選択
ジャックナイフ上限値
ジャックナイフ推定誤差 (安定性)
ジャックナイフ推定値
13
2の(2)について
対象降雨量314ミリメートルの計算過程が不合理であること
確率分布数
被告
原告
極値3分布
12分布
適合度評価
(SLSC値)
0.040以下は8分
布あり、0.030以
下は6分布
安定性評価
21.6~30.3
のうち、最小
(ジャックナイフ推定誤差)
採用分布
LN3Q分布
0.024
2日雨量
314ミリメートル
21.6
282ミリメートル
14
追加 配布の表(その1)
乙140号証
確率12分布 →
表-4.7
適合度SLSC値 →
確率2日雨量
の確率評価
1/100確率水文量 →
15
2日雨量の確率評価(12分布)
(適合度)
16
2日雨量の確率評価(12分布)
SLSC値が0.03以下の
良好なものが、6分布
(適合度)
17
追加 配布の表(その1)
乙140号証
表-4.7
確率2日雨量
の確率評価
確率12分布 →
適合度SLSC値 →
1/100 確率水文量 →
1/100 ジャックナイフ推定値
→
1/100 ジャックナイフ推定誤差 →
18
2日雨量の確率評価(12分布)
ジャックナイフ推定誤差が
最も小さい分布を選択
ジャックナイフ上限値
ジャックナイフ推定誤差
ジャックナイフ推定値
19
2の(2)について
対象降雨量314ミリメートルの計算過程が不合理であること
確率分布数
適合度評価
(SLSC値)
安定性評価
被告
原告
極値3分布
12分布
0.040以下は、2分布、
0.040以下は、8分布あり、
0.030以下無し
0.030以下6分布
21.0~30.4
のうち、最小
21.6~30.3
のうち、最小
採用分布
グンベル分布
0.035 21.0
LN3Q分布
0.024 21.6
2日雨量
314ミリメートル 282ミリメートル
(ジャックナイフ推定誤差)
適合度が劣り、
信頼性が小さい
×1.11倍
適合度がよく、
20
信頼性が高い
2の(2)について
対象降雨量314ミリメートルの計算過程が不合理であること
まとめ :
被告は、適合度の良好な確率分布を選択していない
適合度が劣るグンベル分布で314ミリメートルを決定
基本高水ピーク流量が過大になった原因のひとつ
21
2の(2)について
異常な降雨波形を棄却するための基準が著しく不合理であること
被告
確率分布数
適合度評価
(SLSC値)
安定性評価
(ジャックナイフ推定誤差)
採用分布
12分布
0.040以下は10
分布あり、すべて
0.030以下
8.6~17.4
のうちの最大
LN3Q分布
0.024
犀川大橋基準点流
域平均3時間雨量
原告
安定性が最も悪
い!
17.4
142ミリメートル
(=124.5+17.4)
22
追加 配布の表(その2)
乙80号証
表-4.9
3時間雨量
の確率評価
確率12分布 →
適合度SLSC値 →
1/100確率水文量 →
23
犀川大橋基準点流域平均3時間雨量の確率評価
SLSC値が0.04以下、かつ、
0.03以下が 10分布
(適合度)
24
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
SLSC値が0.04以下、かつ、
0.03以下が 10分布
25
追加 配布の表(その2)
乙80号証
表-4.9
3時間雨量
の確率評価
確率12分布 →
適合度SLSC値 →
1/100確率水文量 →
1/100ジャックナイフ推定値 →
1/100ジャックナイフ推定誤差 →
26
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
被告
ジャックナイフ推定誤差が最
も大きい分布の上限値を選
択:安定性が悪い
ジャックナイフ上限値
ジャックナイフ推定誤差
27
流域平均3時間雨量の評価(12分布)
ジャックナイフ
推定誤差
原告
ジャックナイフ推定誤差が
最も小さい分布の上限値
を選択:安定性がよい
被告
28
2の(2)について
異常な降雨波形を棄却するための基準が著しく不合理であること
確率分布
適合度評価
(SLSC値)
被告
原告
12分布
同左
0.040以下は
10分布あり、すべ
て0.030以下
8.6~17.4
安定性評価
のうちの最大
(ジャックナイフ推定誤差)
LN3Q分布
採用分布
0.024
基準点流域平均
3時間雨量
17.4
同左
8.6~17.4
のうちの最小
グンベル分布
0.023
8.6
142ミリメートル 126ミリメートル
(=124.5+17.4)
(=117+8.6)
29
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
被告の棄却基準 141.9
原告の棄却基準 125.6
30
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
Gumbel分布1/500確
率水文量を超えている!
LN3Q分布1/400確率
水文量を超えている!
原告の棄却基準 125.6
31
基準点流域平均3時間雨量の確率評価
被告の棄却基準 141.9
平成7.8.30型は、Gumbel分
布1/400を超える
32
2の(2)について
異常な降雨波形を棄却するための基準が著しく不合理であること
まとめ :
被告は、安定性が悪いLN3Q分布で棄却基準を決め、
基準点流域平均3時間雨量を142ミリメートルとした。
1/400確率
を超える平成7年型が棄却されず。
基本高水ピーク流量が過大になった原因の一つである。
33
2の(3)について
• 第10準備書面18頁「第2 旧基準と比較
して、本件基本高水ピーク流量が著しく
過大であること」について、カバー率の意義
に言及しながら説明してください。
34
「旧基準」による基本高水ピーク流量の決め方
計画2日雨量
降雨波形群
計画ハイドログラフ群
314mm
① 33の実績降
雨を引き伸ばし
② 9つを棄却して、
24候補を選択して、
基準点流量を算出。
35
計画ハイドログラフ群の24のピーク流量
--ピーク流量を降順に並べる--
36
計画ハイドログラフ群の24のピーク流量
--ピーク流量を降順に並べる--
カバー率
80%値
カバー率60%値
カバー率50%値
③統計的に最も確
からしい
37
計算ピーク流量とカバー率の関係
④ 24の候補のうち、
カバー率 50%(中位
数)値以上、最大値の
間で慎重に決めること
2番目 →
⑤ 旧基準で慎重に判断す
ると、1750 は過大であり、
大きく見ても 1300 程度を
予測すべきである。
「カバー率 60~80 %程度になった
例が多い。」⇒1064~1276
1300程度と予測すべき
(2番目は、1312)
24の候補について、カバー率と
流量の関係を図示
1312
平成7年型は
外れ値
38
甲第24号証より
カバー率と流量の関係
●
平成7年型は
外れ値
39
⑥石川県想定の基本高水ピーク流量は、
平成7年型棄却の1.33倍!
1800
1741
×1.33倍
1600
1312
流量(m3/秒)
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
石川県想定
石川県想定
原告想定
平成7年型棄却
40
100年に1回の洪水のピーク流量
• 以上の検討結果に基づいて、論理的に検証すると、100年
に1回の洪水のピーク流量は以下のようになる。
• 先に述べた24のピーク流量から平成7年型洪水を棄却した
データを用いて、カバー率50%の流量を求めると、約 930
m3/秒となる。
• その結果に対象降雨量に関する修正を行い、282mm/314
mmを乗じた流量 835m3/秒が、近似的に100年に1回の
洪水のピーク流量となる。
• 論理的に求められる100年に1回の洪水のピーク流量は、
過去の洪水流量の記録を用いて検証することができる。
41
実際に採用されている基本高水ピーク流量
・実際の基本高水ピーク流量は、治水計画の安全性を考慮して、一
般的には、論理的に求められる100年に1回の洪水のピーク流量
よりも大きい値が採用されている。
・旧基準では、「この値(カバー率)が60~80%程度となった例が多
い。」とされているが、実際には計算流量の内の最大のものを採
用している場合がほとんどである。このことが、諸河川の治水計
画での基本高水ピーク流量を過大にする主要な原因である。
・新基準では、計算された流量のうちの最大のものを採用することと
している。この際、流量確率などを用いて検証することが必要で
あるとしている。
・犀川の場合には、降雨波形の棄却基準が不合理であるため、一般
的に過大であるピーク流量より、さらに1.33倍も大きい基本高水
ピーク流量が採用されている。
42
2の(4)について
原告第10準備書面20頁「第3 過去の洪
水量と比較して,本件基本高水ピーク流
量が著しく過大であること」について、洪水
痕跡等から流量を求める方法に触れた上で、
説明してください。
43
2の(4)について
過去の洪水量と比較して,本件基本高水
ピーク流量が著しく過大であること
過去100年間の大洪水
・ 昭和8年前線豪雨
930m3/秒 (石川県が雨量から推定)
・ 昭和36年第二室戸台風
700±50 m3/秒 (石川県が洪水痕跡から推定)
・ 平成10年台風7号
864 m3/秒 (石川県が流量観測記録)
44
過去の洪水と基本高水ピーク流量の比較
基本高水ピーク流量
1750
1800
1600
1400
流量(m3/秒)
1200
1000
過 去 100 年 間 の 大 洪 水
930
800
700±50
( 750 ~650)
864
600
400
200
0
昭和8年豪雨
第二室戸台風
平成10年台風7号
石川県想定
45
乙第30号証、
主要地点におけ
る最大流量
大きい実績降雨ごとに、
実績の降雨のまま
(引き伸ばしなし)
降雨のすべてが地中
に浸透することなく
(飽和雨量ゼロ)
流出したと仮定して
計算した最大流量
犀川大橋地点
昭和36年第2室戸台風→1211
犀川大橋地点
平成10年台風7号→1192 46
過去57年間の基準点最大流量
47
二大洪水の比較
1400
1200
流量(m3/秒)
1000
800
1211 ← ほぼ同じ規模の大洪水 → 1192
(実際の流出)
流量観測値
(実際の流出)
洪水痕跡推定値
864
700 ±50
164±50
誤差:約20%
600
400
200
0
昭和36年第二室戸
平成10年台風7号
雨量から計算した全量流出(飽和雨量ゼロ)流量
観測流量
48
被告の「比流量による検証」の説明
被告の基本高水ピーク流量 1750 m3/秒の検証
49
比流量の比較では検証にならない
【その理由】
・本支川、他河川とのバランスを見るもので、ピーク流量の妥当
性を検証するものでない。
・検証する際の上下限の幅が大きい。
例えば、1280 ~ 2030 m3/秒(750 m3/秒)の幅がある。
【検証に必要なこと】
1/100流量の妥当性を評価できること
→ そのためには、「実績の流量記録から推定した1/100
確率流量」、あるいは、「過去100年間の最大規模の洪水」
などとの比較が必要である。
50
検証する際の上下限の幅
2030 m3/秒
1280 m3/秒
検証する際の上下限の幅が大きい。
例えば、1280 ~ 2030 m3/秒(750 m3/秒)の幅がある。
⇒ 検証にはならない。
51
基本高水ピーク流量の検証
【検証1 】 (原告第10準備書面33~35頁)
30年間の観測流量による流量確率評価:
803~1096m3/秒
【検証2 】 (原告第10準備書面35~36頁)
57年間の観測雨量から求めた流量による
流量確率評価:
1080m3/秒
52
基本高水ピーク流量のまとめ
803 ~
53
2の(5)について
被告第7準備書面9頁「エ 犀川本川の
流域定数」に記載されている内容は、仮
に、被告の手法に依拠した場合であっても、
争うところがありますか。
54
2の(5)について
犀川本川の流域定数 ー飽和雨量についてー
石川県が検証洪水で求めた飽和雨量
犀川ダム地点 → 平均102mm
内川ダム地点 → 平均106mm
下菊橋地点(犀川大橋隣接地点)
→ 平均113mm
平 均
100mm
不合理な点
①犀川ダム、内川ダムを二重にカウント
②113mmを100mmとする理由が不明
55
下菊橋地点(犀川大橋隣接地点)の飽和雨量の検証
平成10年
台風7号
56
飽和雨量の設定値に対するピーク流出量
30ミリ→2043
100ミリ→1741
190ミリ→1193
石川県作成資料より:飽和雨量と基本高水ピーク流量について
57
おわり
58